リンカーン

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リンカーン [DVD]/ダニエル・デイ=ルイス,サリー・フィールド,トミー・リー・ジョーンズ
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リンカーンがアメリカ大統領に再選され、2期目に入った1865年1月。奴隷解放の賛否を巡って起こった南北戦争は4年目に突入。既に、多くの若者の命が奪われていました。"すべての人間は自由であるべき"と信じるリンカーン大統領は、その実現のために憲法修正が必要だと考え、合衆国憲法第13条を議会で可決させるべく、議員たちに働きかけていきます。けれど、長期化する戦争の影響で形勢は不利になっていきます。そんな中、リンカーンの息子、ロバートは父の反対を押し切り、北軍に志願して入隊。大統領として、一人の父親として大きな試練に直面していき...。


アメリカの歴史だけでなく、世界の歴史に大きな足跡を残したリンカーン。人々が、黒人を財産と見做し、モノとして売買することを当然のことと考えていた時代、教会ですら"神が認めた"権利として奴隷を所有することを容認していたわけですから、この考え方を切り崩すのは、かなりの力を要したことは想像に難くありません。


本作に登場する反対派が恐れていたように、その後、黒人にも、女性にも参政権が与えられ、人種や性別による法的な差別は、時代を追うごとになくなってきています。もちろん、現実の社会の中で、様々に形を変えた差別は存在するわけですが、それでも、人間の自由を認めるそうした動きを大きく進めた一歩が、このリンカーンの"奴隷解放"であったことは間違いないのでしょう。


そのリンカーンの苦悩に満ちた足跡をかなり丁寧に事実を追っている感じがします。当時の雰囲気といったものも感じ取ることができる雰囲気のある映像でしたし、リンカーンを演じたダニエル・デイ=ルイスの演技も、そこにリンカーンその人が存在しているような見事なリアリティを出していたと思います。


全体的に、かなり丁寧に事実を追っている感じがする作品です。リアリティについては、相当拘ったのだろうと思いますし、憲法第13条の修正やそれに関わる様々な動きを細かく拾っていこうとしているのだと思いますが、あれこれ盛り込み過ぎて、核となる部分が、少々、ボケてしまった感じもします。リンカーン自身の人となりや、彼がいかにして"奴隷解放"にここまで力を注ぐようになったのかといった辺りの描写も薄くなってしまっていて、その点も、とても残念です。


そして、"英雄"リンカーンが、美化され過ぎている感じも。"北"が奴隷解放を推し進めたのは、人道的な理由だけではありません。大規模農業の運営に多くの単純作業に従事する低賃金労働者を必要とした南部と違い、工業化が進み、それなりの技能や技術を持った労働者を必要とするようになっていたという"実利面"の事情もあったわけです。そして、黒人奴隷の解放には力を注いだリンカーンも先住民に対しては相当にあこぎなことをしているわけで...。歴史上の英雄を描くに当って、タブーとまでは言わずとも、遠慮のようなものがあるのかもしれませんが、必ずしも理想的ではない部分も描いてこそ、作品に厚みがでてくるのではないかと思います。


かなりお勉強的な色合いが強く、2時間半を超える長編ですし、その割には、明確な山が見えてこない作品なので、正直、退屈な部分もありますが、まぁ、お勉強するために一見する価値のある作品ではあると思います。

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L.A.ギャングストーリー

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L.A.ギャングストーリー ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]/ジョシュ・ブローリン,ライアン・ゴズリング,ショーン・ペン
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1949年のロサンゼルス。ニューヨーク、ブルックリン生まれのギャングのボス、ミッキー・コーエンは、麻薬、銃、売春...、あらゆる手段を用いて、ロサンゼルスを牛耳り、さらにはシカゴから西の広い地域を支配しようとしていました。彼は、一部の警察官、裁判官、政治家たちを牛耳っていたため、犯した罪に対する罰を受けることもありませんでした。そんな中、パーカー市警本部長に、"コーエン帝国"を潰すよう命じられたジョン・オマラ巡査部長は、ロサンゼルス市警のはぐれ者たちを集め...。


コーエンも"悪"かもしれないけれど、警察官も負けてはいません。まぁ、警察の側が"戦争"と定義しているわけですから、思いっ切りやるということなのでしょうけれど、そもそも"戦争"は軍隊の仕事であって、警察の仕事ではなく、"戦争"と言い切る時点で、警察の側に正義はないと思うのですが...。


何よりも納得がいかなかったのは、最後、本部長が手柄独り占めというところ。そもそも本部長という役職にある以上、部下たちの汚職を何とかする立場にあったワケで、それを一部の部下たちに担わせ、自分は責任を負わないけれど手柄は独り占めというのは、彼が本当に"正義の人"ならあり得ないような...。考えてみれば、この本部長、かなりワルなのですよね...。正義の皮を被っている分、コーエン以上に悪かもしれません。本部長に比べると、最後は自分の拳で決着をつけようとするコーエンの姿に清々しさを感じてしまいます。本部長は、"秘密部隊"に相当世話になっているのに、彼らに報いようとすらしていないし...。


オマラが選んだメンバーは、コーエンの愛人に手を出そうとしている(実際、手を出しちゃった)ジェリー・ウーターズ巡査部長、ナイフの使い手で麻薬の取り締まりに力を入れていたコールマン・ハリス巡査、凄腕のガンマン、マックス・ケナード巡査、元は軍の諜報員で盗聴のエキスパート、コンウェル・キーラー巡査、ケナードの部下で何となくついて来ちゃった風なナビダ・ラミレス巡査といったかなり個性的な面々。けれど、個々の特徴が十分に活かせているかというと、その面も弱かったです。巨悪に立ち向かうには、組織の背景があまりに弱く、行動も行き当たりばったりで甚だ心許ない感じです。


対して、コーエンを演じたショーン・ペンが、結構な存在感を出していて、少々、警察側の面々が霞んでしまったようなバランスの悪さが気になりました。


全体に、スピード感のある軽い描写がされているのですが、ストーリーそのものが持つ重い空気感とはミスマッチで、そんなところも本作を観ている内に湧き起こる違和感に繋がるのかもしれません。


捜査なんかそっちのけ、裏切り者を探して証言を引き出そうとか、証拠を見つけてそこから事実を辿ってとか、そんな面倒くさいこと一切なしにただ戦う...のかと思ったら、グレイスの証言から逮捕状を取り...というごくごくオーソドックスな流れに収束していきます。その辺りも中途半端。"法を護る警察官としての捜査"にこだわるか、"はぐれ者による秘密部隊の戦争"として徹底的に戦うか、どちらかにして欲しかったような...。最後の最後ではぐらかされた感じです。


かなり面白く作れる素材なだけに、少し期待し過ぎてしまった部分もあったかと思いますが、それにしても、残念な部分が目立つ作品でした。

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禁じられた遊び

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禁じられた遊び [DVD]/ブリジット・フォッセー,ジョルジュ・プージュリー,リュシアン・ユベール
¥1,890
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1940年6月、南仏の田舎。機銃掃射で両親を失い、さまよっていた5歳の少女ポーレットは、少年ミシェルと出会い彼の家に連れていってもらいます。ポーレットのため、死んだ子犬の墓を作るミシェルから、死んだものを葬る事を知ったポーレットはミシェルといっしょに次々とお墓造りをしていき...。


無邪気な子供の行為にも戦争の影が...。ポーレットがミシェルの家で生活するようになった原因は、両親の突然の死で、その原因は、爆撃。そうである以上、本作に戦争の影は付き纏うワケですが、冒頭の爆撃の場面の後は、比較的、穏やかな日常が描かれます。悪戯っ子がいて、それに振り回され、怒鳴る親がいて、時には諍いがあっても愛のある家庭があり、恋があり...。


ポーレットは、そんなミシェルたちの穏やかな日々を掻き乱す存在ともなるワケですが、幼いながらに、なかなかに小悪魔的な面を持っています。あくまで、欲しいものは欲しいと主張。世の中のルールも常識も、我関せず。だって欲しいんだもん!!!まぁ、彼女の幼さということもあるのでしょうけれど、それにしても、5歳。普通なら、ペットとして飼っていた小動物の死に立ち会い、"お葬式"をした経験があってもいい頃ではないかと...。少なくとも、死んだらどうなるのか、誰かが死んだらどうするのかということについて、何も教えられた経験がないというのは、少々、違和感がありました。彼女の両親はあまり常識的な教育を彼女に施さなかった、あるいは、キリスト教徒ではなかった...ということ...でもないような気はしますが...。どうなんでしょう...。


それはさておき...。


戦争の酷さを描いた、というよりは、無垢の幼い悪女に絡め取られていく優等生な少年の物語のように感じられました。親の言うことを良く聞く賢い子どもだったミシェルが、葛藤しながらも、"悪に加担"するようになる様子を見ると、この幼い子どもたちの間に、確かに、オトコをたぶらかすオンナとオンナに溺れるオトコの関係を見て取ることができます。


もっとも、この"葬式ごっこ"へのポーレットのこだわりの強さこそは、両親の死をすぐそばで体験させられたポーレットが、精神的なダメージから身を護るために身につけざるを得なかったものなのかもしれません。身近な様々な死を弔う本当の目的は、彼女自身も意識してはいなかったでしょうけれど、子犬の死よりもさらに前に味わった両親の死から立ち直ることにあったのかもしれません。(そもそも、子犬を追わなければ、ポーレットの両親が生き残れた可能性があった...ということを考えれば、彼女に悪意はなかったのでしょうけれど、ポーレットは実にいろいろな人の運命を狂わせていることになります。)


ラスト、孤児院に連れて行かれるポーレットは、逃げ出します。"ミシェル"という叫びは、やがて、"ママ"に変わります。その時、彼女は、母親の死を実感したのでしょう。この場面は、死の本当の意味を知らず、死で遊んでいたポーレットが、死を理解する場面といえるのではないでしょうか。さて、ポーレットは、この先、本物の魔性の女となるのか、社会の規範の中で生きられる大人の女性となるのか...。


ナルシソ・イエペスによるあまりに有名なギターの演奏。このテーマ曲、「愛のロマンス」によって、本作に引き寄せられた視聴者も少なくないはず。


2人の子どもの演技...という以上に、2人から見事な表情を拾い出した撮影者のウデかもしれませんが、印象に残る名場面と名演奏に彩られた名作だと思います。一度は観ておきたい作品です。

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藁の楯

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藁の楯 わらのたて(Amazon.co.jp限定映像特典ディスク付)(初回限定生産) [DVD]/大沢 たかお,松嶋 菜々子,岸谷 五朗
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木内一裕の同名小説を映画化した作品。原作は未読です。


「この男を殺してください。御礼に10億円差し上げます。」前代未聞の広告が新聞に掲載されます。 広告主は巨額の資産を持つ財界の大物、蜷川。彼の7歳だった孫娘を惨殺した男、清丸に懸賞金を懸けたのです。命の危険を感じた清丸は、潜伏先の福岡で出頭。全国民の殺意が向けられる中、清丸の身柄を警視庁に移送するため、5人のSPと刑事が選ばれます。期限は48時間後。一般市民、警察官、機動隊員までもが執拗に命を狙ってくる中、命懸けの移送が始まります。護送車、救急車、新幹線と次々と移動手段を変えても、なぜか、ネット上の"キヨマルサイト"には移送チームの居場所がリアルタイムで掲載されてしまいます。誰が情報を流しているのか。誰が味方で誰が敵かも分からない状況の中で、SPの銘苅らは、清丸を連れ、東京を目指しますが...。


相当、力を入れられた大作という雰囲気の宣伝がされていましたが...。かな~~~り、穴の多い作品でした。


清丸を殺したら10億円...という懸賞金のかけ方自体、犯罪にはならないのでしょうか。下手すれば、こうした形の懸賞金を受け取ることも法律に触れるということで、折角の10億円が没収されたりしたら、元も子もないわけで...。法律に全然詳しくないので、何とも言えないのですが、その辺りの理屈については作中でも触れて欲しかった気がします。


清丸の位置を特定できる理由がアレなら、かなりのところまで、常に、ネット上で清丸の位置を正確に確認できたはず。その割には、清丸を追う人間が少なかったような気がするのですが...。10億円という金額は、人を狂わすに十分な金額。相当数の人間が清丸の居場所を把握できる状況にあったことは、駅周辺の状況が示しています。でも、何故か、新幹線を降りた清丸を追ってきたのは一人だけ。普通に車で行ける場所なのに、それは、あり得ないような...。


そして、これだけの状況で凶悪犯の護衛をしているという設定なのですから、彼を守る役割を担わされた5人は、もっと自分たちの身を護ることも考えるべきだったと思うのです。銘苅は、清丸に撃たれますが、防弾チョッキに救われます。同じく清丸護衛の任に当たった神箸と白岩は、何故か、防弾チョッキを着用していなかったようで、防弾チョッキを着ていれば防げたであろう場所を撃たれて命を落としています。この不用心さは不思議です。神箸も白岩もあんなに生きていたかったのに、何故、自殺行為と受け取られても致し方ないことをしたのか...。プロならプロらしく、備えるべきではないかと...。白岩については、何故、あそこで清丸から注意を逸らしたのかというもっと大きな謎も残りますが...。


そう、SPが、清丸から簡単に目を離し過ぎなのです。銘苅も簡単に目を離して逃げられたりしていましたし...。まぁ、確かに、そうでなければ、ストーリーの展開上、都合が悪いということなのでしょうけれど、もう少し、不自然さを消してほしかったです。


警視庁に連行した場面でも、あんな風に道路上に転がしておくとか、清丸を放置して語り合うとか、あり得ないですし...。物語を締めくくる場面なだけに、このあり得なさはいただけませんでした。そうまでして語り合った内容は、あまりに陳腐で耳を塞ぎたくなりましたし...。


まぁ、原作のある物語なので、原作の問題ならば仕方ないのですが、それにしても、こうしたあれこれについて、制作側は何も感じなかったのでしょうか。これだけ穴だらけな状況がスルーされるというのも不思議だし、放置されたまま映画が作品として出来上がってしまったことも、とっても不思議。ずっと???が頭の中を踊りっ放しでした。


ここまでやりたい放題やるなら、思い切りギャグにすればよかったのでしょうけれど、この真面目さでは救われないような...。

アパートの鍵貸します

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アパートの鍵貸します [DVD]/ジャック・レモン,シャーリー・マクレーン,フレッド・マクマレイ
¥1,890
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ニューヨークの保険会社に勤めるしがないサラリーマンのバクスター(バド)。彼は4人の課長に自分の部屋を時間貸しして勤務評価を上げて貰っていました。課長たちは不倫のためにバドの部屋を使っていたのですが、社内での不審なメッセンジャーの動きや不自然に高評価を受ける社員に気付いたシェルドレイク部長が5人目に割り込み課長昇進を持ちかけてきます。昇進して気を良くしたバドは以前から気になっていたエレベータガールのフランを誘いますが、シェルドレイクの不倫相手がフランでした。妻と別れるといいながら、いつまでも煮え切らないシェルドレイクに愛想を尽かしたフランは、不倫を解消しようとしてシェルドレイクが帰った後の部屋で睡眠薬を大量に飲みます。帰宅したバドはフランの命を救うことになるが隣人のドレイファス医師やフランの家族からは誤解されてしまいます。誤解が誤解を呼び...。


出世はしたいけれど、普通にやっていてはなかなか難しい。それで、仕事の実力以外のところで勝負をかける...ということは、まぁ、あること。どうせ働くなら、少しでも良い待遇で、良い賃金で...と願うのも分かるハナシ。そして、バドには、出世の手段となる地の利の良いアパートがあったワケで、それなら、それを利用したくなるのも人情。需要があって、それに応えるだけで、大きな犠牲を払うこともなく出世できるとなればなおさらのこと。そのために、多少、ご近所から誤解を受けることはあっても、大きな実害はないわけで...。4人の課長に部長が加わって5人になっても、1人1日であれば、休日の2日は自分のものという計算になるのですから、悪い話ではありません。


古い作品ですが、イマドキのサラリーマンにも通じる"勤め人の悲哀"といったところでしょうか。5人目に割り込んできた部長の相手が、密かに想いを寄せる相手だと知った時のバドの気持ちたるや...。


けれど、フランが自殺未遂を起こしてからのバドは、本領発揮。愛する女性を護ろうと頑張ります。"しがないサラリーマン"から"頼りがいのあるオトコ"に変わっていく辺り、なかなか見応えがありました。フランの手当てをしに来てくれた医師の非難もどこ吹く風、ヘンに肩に力を入れるわけでもなく、自然体で受け流す姿には、"本物のオトコの強さ"が感じられます。


この先、"絶好の立地のアパート"という秘密兵器を失ったバドが、どうやって、生活の糧を稼いでいくのか...という不安要素を抱えた2人ではありますが、まぁ、頑張っては行くのだろうと思わせてくれます。


あの有名なラケットでパスタを茹でるシーンに代表されるコミカルな場面も織り込まれ、安心して観られる楽しい雰囲気の作品に仕上がっています。


バドを演じたジャック・レモン、フランを演じたシャーリー・マクレーンが、いずれもはまり役。細部までよく練り込まれ、丁寧に作られた名作だと思います。一度は観ておきたい作品です。

ローリング・サンダー

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ローリング・サンダー HDニューマスター [DVD]/ウィリアム・ディヴェイン,トミー・リー・ジョーンズ,リンダ・ヘインズ
¥5,040
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ベトナム戦争中、敵に捕われ7年間の監禁生活から解放されて故郷に帰って来た空軍将校チャールズは、歓迎を受け、車や銀貨の詰まった袋を贈ら、栄誉を称えられます。けれど、妻からは、彼の不在中の不倫を告白されます。ある日、銀貨を狙う強盗に押し入られます。銀貨のありかを聞き出そうとする一味による拷問により、右手を失いながらも、何も話そうとはしないチャールズでしたが、そこに帰って来た妻と息子を殺されてしまいます。チャールズは、ともに、ベトナムから帰国した戦友、ジョニーの協力を得て、犯人たちを追い...。


クライマックスの銃撃戦に向かう時の制服姿。そして、銃撃戦を嬉々として戦うジョニー。軍人としてしか生きられない彼らの現状を象徴するようで、哀しかったです。彼らも、戦地に赴く前までは、ごく普通の市民だったはず。チャールズには幼い息子がいて、ジョニーも家族の中で幸せに生活していたのです。一人の夫であり、父親であり、息子であった彼らが、「もう、普通には生きられない」という切ない自覚をせざるを得なくなるまで追い込まれていく。それが、戦争の現実なのでしょう。


ジョニーが家を出る時の彼の本当の外出の目的に勘付いていたであろう父親との遣り取りが秀逸。それまで、ほとんど硬い表情を崩すことのなかったジョニーが生き生きと変化する辺りも見事で印象に残ります。


残念なのは、この戦闘シーンの溌剌とした感じがあまりに強く印象付けられるため、"復讐"という意味合いが進まってしまっている感じがすること。むしろ、軍人としての力を発揮できる場を与えられて、良かったのではないかと...。だとしたら、"楽しいゲーム"の場を与えた強盗一味は、その楽しさを享受したチャールズに感謝されてもおかしくないような...。チャールズの妻子は、ただ、彼に戦う場を与えるために命を捧げたかのような...。この辺りの描き方には、違和感がありました。


"復讐"を果たした彼らは、家路につきます。果たして、彼らは、その後、平和な生活を楽しめるのでしょうか。エンドロールに流れる曲では、"帰ろう"と歌われていますが、普通には生きられなくなってしまった彼らは、故郷での生活を取り戻せるのでしょうか。再び、入隊することになるのか、それとも、勝てなかったベトナム戦闘とは違い、勝てた銃撃戦に満足することができ、新たな生活を築くための力を蓄えることができたのか...。


"世界の警察"を自負していたアメリカが、わざわざ、遠いアジアに大量の兵士を送り込み、枯葉剤、クラスター爆弾、対人地雷と終戦後まで持続する被害をもたらすような兵器を大量に使用したベトナム戦争。どう屁理屈を捏ねても"勝った"とは言えず、本来なら"戦争犯罪"として追及されるような数々の"罪"を犯した戦争は、そこに参加した兵士たちにも、大きな身体的、精神的負担を与えたことでしょう。戦いの現場を身をもって体験した彼らは、その酷い体験を簡単に英雄譚として飾り立てることなどできなかったことでしょう。


自分たちの"英雄的行為"を自嘲気味に振り返るチャールズとジョニーの姿が脳裏に残ります。その後、ベトナム戦争の痛みから何かを学んだのかどうか...。今に至るまで、同じような行為を繰り返すアメリカ。取り敢えず、シリアへの派兵は回避されるようですが、どれだけ多くの人が酷く殺されても、痛めつけられても、戦わずにはいられない人類の愚かさを実感させられます。


そう、戦争で痛い目に遭った彼らでさえ、暴力でしか、武器によってしか、問題を解決できなかったのですから。

凶悪

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死刑囚の告白を元に真実を追求したジャーナリストが書いた雑誌の記事とそれをまとめたノンフィクション「凶悪-ある死刑囚の告発-」を映画化した作品。随分前ですが、ノンフィクションは、読んでいます。


ある日、ジャーナリストの藤井は、上司から、死刑囚の須藤が書いた手紙を渡され、取材するように言われます。留置所に面会に行った藤井は、須藤から、未だに明らかにされていない3件の余罪と、全ての事件の首謀者である"先生"と呼ばれる男について聞かされます。最初は、半信半疑だった藤井ですが、取材を進めていくうちに、須藤の話が事実であると捉えるようになります。藤井は、本件については記事の掲載を見合わせることを決めた上司の忠告や、妻、洋子を悩ませている藤井の母の介護問題から逃げるように事件にのめり込んでいきますが...。


人を殺すことについて、何の痛みも感じない...どころか、ゲームに興じるような雰囲気で、完全に楽しんでいるところが実に怖ろしい。そして、そんな"先生"たちは、須藤の妻や娘に優しい一面を見せたりします。クリスマス・パーティでの場面など、どうみても、"優しいおじさん"。ごく普通の優しい一面も持つ人間が、同時に、凶悪な殺人者であり得る。それが、人間の奥深さでもあり、恐ろしさでもあるのでしょう。


けれど、ラストで指摘されているように、もう一人、"先生の死"を、もしかしたら、誰よりも強烈に望んでいる人物がいます。


"先生"に踊らされて自分には無関係な人間を殺した須藤も、金のために老人たちを騙した"先生"も、血も涙もない凶悪犯であることは確か。けれど、彼らは、犯罪が明らかになれば、拘束され、命さえ奪われるかもしれないというリスクを背負ってもいます。けれど、彼らの外側には、完全な安全地帯で、高みの見物を決め込み、極悪人たちが死刑になることを期待している大勢の無辜の人々がいるのです。そうした"善良な市民たち"は、更に始末の悪いことに、自らの罪について全く無自覚...というより、自分たちに正義があると信じてさえいるのです。その先頭を走っているのが、藤井だと"先生"は言いたかったのではないでしょうか。


本当に凶悪なのは誰か。須藤の背景に居た"先生"の極悪非道振りを描きながら、彼らを取り巻く"世間の人々"の罪を抉り出している点が印象的。電気屋の牛場を"先生"に差し出したのは、彼の家族ですが、その家族たちは、特別に悪人だったわけではありません。ごく普通の善良なる人々だったのです。"先生"の毒牙にかかったであろう多くの老人たちの背景にも彼らを見捨てた"普通の家族"がいたはずです。藤井の妻、洋子も、義母に辛く当たってしまう自分に対し恐れを抱きます。そして、洋子の罪の背景には、母との問題から逃げている藤井がいるのです。


藤井の家庭の問題を持ち出した理由も分からなくはないのですが、それが、効果的だったのかどうかは疑問です。特に、"先生"たちの標的が老人であった上に、藤井の家庭の問題まで"老人問題"で揃えてしまったのは、どうかと...。何だか"老人は辛いよ"的な感じが強くなってしまい、"先生"たちの凶悪さより、"社会問題"という色彩を帯びてしまった感じがするのですが...。


洋子が藤井に向けた言葉。「あなたは、この事件を追って楽しかったんでしょ。」そう、私たちは、この事件について読んで、観て、語って、楽しんでいないとは言えないでしょう。これ程にも醜悪で酷い事件なのに...。

ラストで、先生の指は藤井を指すとともに、映画を観る者をも指しているのでしょう。その指が自分に向けられていることに思い至るかどうか、そこが、本作から受ける印象を決めているような気がしました。


冒頭から目を背けたくなるような酷い場面があり、ラストもドキッとさせられ、最初から最後まで重い作品です。唯一の救いは、藤井の妻、洋子かもしれません。彼女は、唯一、自分の中の"悪"を自覚し、それに向き合い、対処した人物と言って良いでしょう。藤井の母を施設に入れるという結論を良しとするかどうか、意見が分かれるところかもしれませんが、藤井の母にはきちんとしたプロの介護を受けられる環境を用意し、藤井と洋子が平穏な日常を手に入れる唯一の方法だったことも確か。在宅で家族とともに生活しながら、プロのきちんとした介護を受け、家族は家族で平穏な日常を送ることが難しいこの社会の現状を考えれば、藤井夫妻の選択は最善ではなかったかもしれませんが、問題解決のための悪くない方法ではあると思います。


藤井家、牛場家という2つの家族、そして、"先生"と須藤たちが作ろうとしていた家族のような関係性。愛から家族が生まれ、家族に絆が育まれるのと同様、"悪"も家族の中に醸成されていく...のだとしたら、それも、怖いことです。


全体としては構成の弱さが感じられ、藤井の家族の描き方とかステレオタイプな部分もあり、藤井が追った怪しげな人物が逃げ出し、予想通りトラックに撥ねられて死ぬとか、陳腐な表現も目立ったり...。そんなこんながあるせいか、"凶悪"で残酷な割には、ユルさも感じられてしまったりはします。まぁ、小さな穴は散見されますし、決して、気軽にお勧めできる作品でもありませんが、出演陣の名演にも支えられ見応えのある作品に仕上がっていると思います。



公式サイト

http://www.kyouaku.com/

ボクたちの交換日記

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ボクたちの交換日記 [DVD]/伊藤淳史,小出恵介,長澤まさみ
¥3,990
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放送作家、鈴木おさむのベストセラー小説「芸人交換日記 ~イエローハーツの物語~」を映画化した作品。原作は未読です。


高校水泳部の同級生だった田中と甲本は"房総スイマーズ"というお笑いコンビを結成して12年になります。30歳を目前にしながらも売れる気配は一向にありません。冴えない日々が2人の心を徐々に離れさせていきますが、そんな状況を打開しようと甲本が発案したのが"交換日記"でした。最初は気乗りしなかった田中でしたが"日記"を通じて、それまでは明かせなかった本音を語り合ううち、ふたりの関係が微妙に変化し始めます。そして、再び夢に向かって走りだした2人は、全てを掛け、お笑いコンテスト"笑軍"に挑みますが...。


青春...というには、少々、トウが立っているような気もしますが、何と言っても、人生80年の時代です。30歳なんて、まだまだ、若造、青春真っ只中と言って良いのかもしれません。


出会って、目標を共有するようになり、最初はとんとん拍子だけれど、躓いて、壁にぶつかりながら、それぞれが新たな道を歩んでいく。展開に驚くこともなく、最後まで予想通りにストーリーが流れていきます。テンポも悪くなく、物語としてもベタだけれど、それなりに面白かったのですが、全体に薄味に過ぎた感じはします。


仕事がなくて苦労する時期も、どこか、余裕のある2人。何故か、それぞれが、普通にきちんとした生活を営めていて、仕事がない切迫感とか、売れるかどうか先が見えない不安感とかが、今一つ、伝わってきません。2人とも、それなりにイケメンで、清潔感あって、身だしなみもきちんとしていて、何だか、全然、"売れない芸人"じゃない...って思うのは、売れない芸人に対する偏見なのでしょうか...。


甲本妻に、産休を取って働き続けられるような安定した仕事があったワケでもないのに、躊躇なく、結婚して子どもを作って...というのも、不自然なような...。普通、もっと悩んだりするのではないかと...。少なくとも、彼女の表情や安定感からは、全く不安とか心配とかが感じられず、このあまりに普通でない感じに違和感を覚えました。


「自分の夢を諦める時は、諦めてでもそれ以上に幸せにしたいと思う人が現れた時」というセリフは、本作のキモなのでしょう。なかなかジーンとくるセリフですが、折角なら、「この人を幸せにすることが自分の夢だと思える相手に出会えたなら、古い夢を捨てることを恐れるべきではない」として欲しかったような...。甲本は、夢を諦めたのではなく、妻子を幸せにするというより良い夢を得たのだといえるのではないでしょうか。


主役の芸人2人がイケメンなのは、芸人である内村監督の願望を反映させた結果なのでしょうか...。まぁ、ご愛嬌...でしょうけれど...。田中を演じた伊藤淳史、甲本を演じた小出恵介、いずれも、流石の演技でしたが、それでも、売れない貧しい芸人ならではの生活臭が薄い感じは難点だと思います。2人の力量というよりは、キャスティングの問題のような...。


そして、本作の監督自身がお笑い芸人だということ。できれば、本職の人が明かす舞台裏を見せられるというのは、どうも...。お笑いの人も、あれこれ苦労しているんだとか、不安を抱えながら頑張っているんだとか、そうした部分を思い浮かべながら、お笑い芸を見でも、心の底からは楽しみにくいような...。フリだけでも、まるで、何の努力もなく、ヘラヘラといい加減に取り組るというような余裕を見せて欲しいものです。


レンタルのDVDでの鑑賞で十分だと思いますが、悪くはないと思います。

体脂肪計タニタの社員食堂

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映画 体脂肪計タニタの社員食堂 (DVD2枚組)/出演者不明
¥3,360
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健康計測機器メーカー、タニタは、体脂肪計の販売を始めたものの、売り上げが伸びていきません。企業の業績にも悪影響が出てきている中、起死回生の策として、新商品発表会に向け、キャンペーンのためのプロジェクトが始動します。体脂肪率が40%を超える社員にダイエットをさせ、その結果を公表するという企画のモニターに指名されたのは、肥満体形で気弱な二代目副社長、谷田幸之助と、離婚した妻と暮らす娘にもその体型のために運動会などの学校行事への参加を拒否される丸山、ポッチャリ好きの男性にさえ痩せて欲しいと言われてしまう福原、そして、太田。幸之助の高校時代の友人で、かつては肥満体型だったもののダイエットに成功した栄養士の春野を社員食堂のチーフに迎え入れ、社命を受けたダイエットが始まりますが、食べたいという気持ちを抑えることは簡単ではなく...。


確かに、タニタは実存する企業なのですが、どこまで、事実を反映しているのかは、よく分かりませんでした。いくら、"親の七光り"とは言え、副社長のあの体たらくはないのではないかと...。どうやら、結構、父親としてもきちっとした風の社長を見ると、あの社長の息子がこの副社長...という点に違和感が残りました。


基本、会社のPR要素の強い作品なワケですが、この副社長の設定と"ダイエットキャンペーン中の大騒動"は、イメージを下げる方向に働いてしまっているような...。この部分が、実話だというなら、仕方ないのでしょうが、そういうことなのでしょうか...。


ダイエットモニター4人組のダメダメ振りには苛立ちを感じたりもしましたが、まぁ、その"弱さ"こそが、彼らの体型の原因だった...ということなのでしょう。そんな彼らにハッパをかけ続けた菜々子は、ダイエット成功者。彼女自身が大変さを実感していたからこそ、4人を見捨てずにいられた...ということなのでしょうけれど、菜々子自身のダイエットの大変さや、今に至る背景の描写が薄く、菜々子のエネルギーの根っこにあるものが今一つ伝わってこなかった感じがします。


肥満の原因は、単に消費カロリーを摂取カロリーが大きく上回っているということだけに対処すればよいのではなく、摂取カロリーが多くなってしまう背景にあるもの、消費カロリーが少なくなってしまう背景にあるものを見直していかねばならず、食事はもちろん、生活習慣や性格の問題といった、生き方全般の見直しが必要になる大事業なのだと言うことが伝わってきます。大変だけれど、いろいろと工夫することで大変さを軽減することはできるし、不可能なことでもないと思えてくるので、ダイエット中の人への応援映画といえるでしょう。


ただ、最後のオチは残念。本作を観ながら、折角、ダイエットを頑張ろうと思った人を最後の最後でガックリさせてしまうような展開は、笑いを取ろうとしたのでしょうが、それにしてもな印象が残ってしまいました。


私自身も、かなり、要ダイエットな状況なので、何とかせねば...との決意を新たにしています。これまで、様々なダイエット法を"克服"してしまっているので、全く、自信ないのですが...。


ストーリーとは全く関係ありませんが、壇蜜の存在感が見事。僅かな出演時間でしたが、しっかりと印象を残しています。もっとも、彼女への社長の対応を見ていると、会社の行く末が心配になってしまいます。この社長の人物設定が、今一つ、中途半端な感じがしました。


映画館に行って料金を払って観て満足できる作品化というと疑問ですが、そこそこ面白く作られていますし、レンタルのDVDで観る分には楽しめる作品だと思います。ただ、これでいいのか、タニタ!?という疑問は残ってしまいますが...。何も、タニタという社名をそのまま使わなくても良かったのではないかと...。"ニタニ"とか、"ヤマタ"とか、いろいろできますよね...。

草原の椅子

テーマ:
草原の椅子 [DVD]/佐藤浩市,西村雅彦,吉瀬美智子
¥3,990
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宮本輝の同名小説を映画化した作品。原作は未読です。


バツイチサラリーマン遠間憲太郎(佐藤浩市)は大手カメラメーカーで販売局長をしており、大学生の娘、弥生と2人暮らし。50歳を過ぎて、取引先の社長、富樫(西村雅彦)や骨董店オーナーの篠原貴志子(吉瀬美智子)と出会い、互いに友情を深めていきます。ある日、弥生は、アルバイト先の上司でシングルファーザーの喜多川に頼まれ、彼の息子、圭輔を預かることになり、家に連れて帰ります。突然のことに戸惑う憲太郎でしたが、母親から虐待され、心に傷を負い、ほとんど言葉を発することもできなくなっている圭輔に同情を寄せるようになり、圭輔も徐々に憲太郎たちに心を開くようになります。そんな折、憲太郎のもとに持ち込まれた写真集に出ていたパキスタンのフンザの写真に心を惹かれて...。


圭輔の両親である喜多川秋春、祐未。母親の祐未は、圭輔を虐待し、パチンコに行くために圭輔をテーブルの脚に縛り付けて放置。父親の秋春は、そんな圭輔を助けることもできず、一度、憲太郎たちを頼ることを覚えたら、圭輔のことなど構う気もない様子。かなりどうしようもない親ですが、残念ながら、「こんな親いるはずない!!」とは言えない現実があることを私たちも知っているワケで...。そして、祐未を演じる小池栄子が実に巧く、観ていて苛立ちを覚えずにはいられないしょ~~~~~もない母親をリアルに出現させています。


酷い両親のもとで、心に深い傷を負った圭輔でしたが、両親に捨てられたことで、世の中には信頼に足る大人が存在することを知り、この世も悪くないものであることを知り、新しい家族を得ることができ、その中で癒され、子どもらしさを取り戻していきます。救われたのは圭輔だけではありません。圭輔に関わった大人たちも、圭輔との関係の中、それぞれの新たな人生を手に入れていきます。


どうしようもない圭輔の両親でしたが、一つだけ、圭輔に良いことをしました。それは、圭輔を手放したこと。周囲の介入を拒んで、子どもを殺してしまうまで追い詰められていく親が少なくない中、子どもを手放すという選択をしたことは評価すべきなのかもしれません。


子どもを産んだからきちんとした両親になれるわけではありません。残念ながら、どうしようもなく、親になる力のない人もいるのです。それでも、意地になって自分の力で何とかしようとして、結局、どうにもならないいら立ちを子どもにぶつけ、虐待死させるくらいなら、子どもを捨てる方がどれだけマシか分かりません。殺すくらいなら捨てろ!!!が本作のもう一つのメッセージ...というワケでもないのでしょうが...。


それにしても、こんな喜多川に同情する弥生もちょっと...。喜多川との関係を疑う憲太郎を非難しますが、この件については、"お父さんの勝ち!!!"でした。


フンザの風景など美しく印象的でした。こんな場面で田舎の風景を利用するというのは、あざとい気もしますが、山と草原の景色は見事。そして、憲太郎、富樫、貴志子、圭輔の再出発のきっかけにするには、ぴったりな舞台なのでしょう。観ていて、大変そうだけれど、一度は行って観たいと思わせられるような映像でした。


タイトルが、今一つ作中で活かされていないのはちょっと残念でしたし、ラストに向かう展開など、あまりにベタで、哀しくなる程予想通りな感じもしましたし、良く言えば手堅い、悪く言えば目新しさに欠ける全体に地味な作品です。けれど、そんなありきたりで地味な日々を丁寧に過ごす生き方の中にこそ幸せは存在するのかもしれません。登場人物たちの心情が丁寧に描写され、演技陣に恵まれ、見応えのある作品に仕上がっていたと思います。