バチェロレッテ ―あの子が結婚するなんて! ― [DVD]/キルスティン・ダンスト,リジー・キャプラン,アイラ・フィッシャー
¥3,990
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高校時代の同級生で、"ブタ顔"で、おデブなベッキーに、結婚するという話を聞かされたレーガンは、そのことをすぐさま親友のジェナとケイティに報告。3人は結婚式に出席するためにNYに集まります。美人で頭も良くて彼氏もいるのに結婚の気配すらないレーガン、忘れられない元カレとの再会に動揺するジェナ、エッチ優先で本気の恋に巡り会えないケイティ。そんな3人が結婚前夜パーティでハジケすぎて、花嫁のドレスを破ってしまい...。


ハング・オーバー 」の女子版といったところでしょうか。友人の結婚式の前夜、弾けまくります。ただ、ハング・オーバーが、ただ単なる酔っ払いが羽目を外した結果のおバカ、なのに対し、こちらは、花嫁に対する感情とか、自分の恋に関する捻じれた想いとか、いろいろと絡まっていて一筋縄ではいきません。


この女子ならではの気持ちをもっと丁寧に描いてくれていれば、それなりに楽しめる作品になったのではないかと思うのですが...。"美女軍団"の3人が、揃いも揃って下品でお下劣で、醜悪さばかりが前面に出ている感じで、"面白い"とは思えませんでした。それぞれにそれなりの魅力があって、結婚相手が見つからないのが不思議な感じの3人を配した方が良かったような...。3人とベッキーを比較した時に、あまりにベッキーの方が魅力的で、そのためにこの3人の醜悪さが強調されてしまったような...。人の結婚式を何だと思っているのか...。


で、とんでもないことを散々やらかしただけではなく、その後始末は全て人任せ。それも、誠意を尽くしてお願いするのではなく、キレまくって無理を押し付ける感じ。まるで、我儘まるだしの赤ん坊。いくら何でも酷過ぎです。嫉妬が渦巻くとか、本音が噴出とかではなく、後先考えず無責任で反省もできない赤ん坊集団の大暴れ...でした。


笑わそうとしている場面なのだということは伝わってくるけれど笑えない場面も多く、観ていて、気持ちが宙ぶらりんのまま、落ち着く先が見えてこない居心地の悪さを感じます。単なるドタバタ劇で、88分という映画作品としては短めの90分を切る作品なのに、やけに長く感じられました。

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日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~-2013072821170000.jpg



「GIOTTO」愛知県に本社がある株式会社プレジィールが展開しているブランドだそうです。東京では数カ所のデパートで取り扱っているようですが、私が普段、買っているのは、小田急百貨店新宿店。本館の地下のお菓子売り場の一角にお店があります。


ドライフルーツが2種類(ブルーベリーとオレンジ)とマカダミアナッツが入ったクッキーで、ハート型。見た目も可愛らしく、生地とドライフルーツとナッツのバランスが程よく、サクサク具合も適度で、美味しく、飽きのこない味。軽い食感で、けれど、ドライフルーツが入っているせいか、ちょこっとお腹にたまる感じもあって、オヤツとして、程よい感じがします。


初めて、買って以来、主に自分のオヤツ用に、定期的に買っています。ちょっとしたお土産にすることもあるのですが、あまりどこででも売っているものではないこともあるのか、結構、好評です。

8枚入りで1050円。賞味期限は常温保存で90日間。個装されているので、少人数の職場のお土産にもできるし、あまり堅苦しくないちょっとした手土産とか、御礼に添えてとか、職場でちょこっとつまむオヤツとか、いろんな場面で使えるお菓子だと思います。

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シャニダールの花

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大手製薬会社、シンオウ製薬の研究所。そこにある"シャニダール"と呼ばれる施設には、"提供者"と呼ばれる若い女性たちが集められていました。彼女たちは、胸に宿した花を育て、満開になったら、それを会社に提供する契約をしていたのです。満開時の花びらに含まれる特殊な成分から新薬の開発が可能となり、巨万の富を生むとのこと。そこで働く研究者の大瀧の元に、"提供者"たちの心のケアをするスタッフとして、美月響子が配属され...。


秘密が隠されていそうな研究所、禍々しさが含まれる美しさを見せる花々、"提供者"たちの不思議な生活...。謎めいた雰囲気に惹き込まれました...が、中盤から失速。


"提供者"たちは、どういうルートであの施設に繋がったのか...。最初は、世間的に、"人に寄生する花"の存在は公になっていない感じで、シンノウ製薬の企業秘密な感じもしたのですが、それなら、シンノウ製薬はどうやって、彼女たちの存在を知り、施設に勧誘したのか...。なんだかよく分かりませんでした。そして、そもそもあの花は何のか、あの会社はどのように利潤を上げているのか、"提供者"たちのその後はどうなるのか...。謎な部分について、ほとんど何も語られないまま、情緒的な方に流れてしまう感じで、消化不良でした。


最終的には、どこにでも生えるようになった様子の花。それまで、大金をかけて"提供者"を管理し、かなり神経を使ってやっと育てていた風な花だったのに、何故、そんなに簡単に、場所を選ばず勝手に咲く花になってしまったのか...。簡単にそれができるなら、何も、あんな大掛かりな施設を作って女性たちを集める必要はなかったワケですし、そもそも、そんなに簡単に手に入れられる花なら、大金を稼ぐ手段になり得ないワケで...。花が進化して、繁殖力を高めたってことなのでしょうか...。


ネアンデルタール人云々の話も、あまりに"トンデモ"で、観ていて気持ちが引けてきてしまいました。もうちょっと、それらしい理屈を作って欲しかったです。


それでも、結構、上映中、作品の世界に惹き込まれたのは、大瀧役の綾野剛ゆえ。影を宿し、それでいて怪しげな色気を感じさせる佇まいが印象的でした。正直、それだけの作品でしたが、それだけでも、それなりに楽しめるところが綾野剛の力なのでしょう。


というわけで、ただただ綾野剛を観るための作品だと思います。それ以上に期待しなければ、かなり、満足できる作品かもしれません。



公式サイト

http://shanidar-hana.com/

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映画 鈴木先生

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映画 鈴木先生 通常版 [DVD]/長谷川博己,臼田あさ美,土屋太鳳
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武富健治の同名コミックを映画化した作品。TVドラマにもなっています。原作は未読、TVドラマは未見です。


緋桜山中学校の国語教師、鈴木先生(長谷川)。理想のクラスを作り上げようと奮闘していますが、妊娠中の妻・麻美(臼田)がいるにもかかわらず、自身の"実験教室"に不可欠な"スペシャルファクター"と捉えている生徒、小川蘇美に対して良からぬ妄想をすることもしばしば。生徒会選挙と文化祭の準備に追われるなか、"壊れてしまった"天敵の家庭科教師、足子先生(富田)が、休養から復活。さらに、卒業生、勝野ユウジ(風間)が学校に立てこもり、小川が人質に取られるという史上最悪の事件が発生し...。


学園ものとしては異色の作品だと思います。教師の仕事に対して熱意があることは確かなのですが、決して"熱血"ではなく、学園もの特有の熱さが感じられません。鈴木先生の世界が、学校の中だけに閉じていなく、外の社会を受け止める感性を持っていることが伝わってきて、そこに程よい冷静さが生まれているような感じがします。


そこに対比される存在として登場するのが足子先生。何が起こっても、自分が傷つかなくて済む方向からしか物事を見ない、受け止めない"能力"の高さには敬服です。完全に自分の世界の中に自分の気持ちを閉じ込め護っている...ということなのでしょう。


"明るく、清く、正しい社会"を徹底させようとするとどうかるか...。人間が、決して"善"や"正義"だけでできているわけではない以上、あまりに正し過ぎる社会は、ほとんど全ての人にとって住みにくい社会になるのではないでしょうか。誰の中にも"悪"が存在する以上、道を踏み外すこともあるでしょう。そんな時にちょっとした逃げ場があれば、大きく社会から外れなくてもすむということもあるわけで...。


特に、学校という"健全であること"が良しとされる環境の中では、人間の本性の中に"悪"が存在することに目を背けがちですが、やはり、それは、どこかで、生徒も、そして、教師をも追い詰めてしまう危険性を孕んでいるのではないか...。


鈴木先生の"正しい"点は、自身の中にある"悪"をきちんと意識しているところにあるのではないかと思います。時々、挟み込まれる鈴木先生の妄想。教師にあるまじき願望が自分の中にあることへの自覚こそが、彼を"プロの教師"として存在させているのではないか...。自分の中にある弱さや愚かさ危なさを受け入れつつ、何かと問題を抱えているけれど、それでも、社会を救うのは、私たちの未来を築くのは、"教育"でしかあり得ないと信じることができる鈴木先生。日本の教育のために、日本の未来のために頑張って欲しいものです。


相当に社会派で、教育の問題にも真摯に取り組んでいる本作ですが、クライマックスの事件の解決の付け方には、疑問も...。小川さん、超人的過ぎます。この場面は、作品全体の雰囲気の中でかなり浮いていた感じがしました。鈴木先生の"天敵"足子先生の活躍は良かったと思います。"天敵"を憎まれ役のまま放置しない辺りは、本作の描くテーマに相応しい処理の仕方だったと思います。


勝野に呼びかける鈴木先生のひと言は胸に迫りました。ここにこそ、教育の可能性があるのでしょう。世界の変化する可能性に希望が感じられる作品だったと思います。

月世界旅行

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月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術 Blu-ray/トム・ハンクス,コスタ・ガヴラス,ジャン=ピエール・ジュネ
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天文学会のメンバーである6人の学者が、月世界旅行を計画します。巨大な砲弾に乗って彼らは月に着陸。6人は、早速、探検を始めますが、その途中で、月世界人の襲撃を受けます。奮闘むなしく生け捕りにされた彼らは、月の王に差し出され...。


私が本作の存在を知ったのは「ヒューゴの不思議な発明 」がきっかけでした。ご同類は少なくないのだろうと思いますが...。


1902年(明治35年!)の製作で、映画史上初のSFと言われる作品。もちろん、ストーリーの面でも、撮影技術の面でも、現在の映画作品に比べるとあまりに子ども騙しな感じはします。


それでも、カラーフィルムのない時代に、モノクロのフィルムで撮影し、フィルム、一コマ一コマに手作業で直に彩色してカラーにしたということ。さらに、長い間、行方不明になっていた本作のフィルムが、1993年にスペインで発見され、20年近くもの歳月をかけて修復したということ。


僅か15分程度のごくごく短い作品ですが、その製作のために、そして、修復のためのかけられた膨大な手間と時間を考えると、まさに"超大作"。これは、現代人の目線からではなく、本作を製作した人々の情熱、観客たちの熱狂、修復に関わった人々の献身に想いを馳せながら見るべき作品でしょう。本作製作後の111年の進歩を超えるものが伝わってくるような感じがします。


月に行くなど、夢のまた夢だった、人類が初めて月面に降り立つ67年前の作品と言うことになります。月に空気があり、普通に樹が茂り、地底には"月世界人"が住んでいて...。科学的な知識の乏しかった時代のイマジネーションの豊かさと、月という果てしなく遠く思われた世界にさえ、身の回りに見られる風景と感覚を持ち込んだ人間の想像力の限界を見せてくれていたりもします。


そして、ドキュメンタリーにおいても指摘されていますが、"帝国主義的"な臭い。・・・というか、人類とは何も関係ないところで平和に暮らしていた月世界人の場所へ勝手に乗り込んでいって、戦って...というのは、"十字軍"的、あるいは、"桃太郎"的というべきなのかもしれません。異質な存在を、異質であるというだけの理由で攻撃したくなるのが、洋の東西を問わず、人間の本性とは思いたくありませんが...。


本作と併せて、メリエスの半生や「月世界旅行」修復について描いたドキュメンタリーである「メリエスの素晴らしき映画魔術」が収録されています。インタビューで登場するメンバーがなかなか豪華で、お得感ありました。

星ノくん、夢ノくん

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星ノくん・夢ノくん [DVD]/山ロ哲也.星島耕介.塩沢えみな.谷田文郎
¥4,935
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修学旅行で地球にやって来た"星ノくん"と"夢ノくん"は、帰りの汽車に乗り遅れ、2人だけ取り残されてしまいます。時間を潰すお金もなく、噛んでいないと死んでしまう酸素2倍ガムも残り僅か。愚痴っぽくてすぐに怒る夢ノくんは、気弱で少々ピントはずれな星ノくんを「こうなったのはすべて君のせいだ」と責めるのですが、自分1人では何もできません。星ノくんは、修学旅行のしおりに、「列車に乗り遅れた場合は指定の場所で故郷の星と交感して帰る方法を知るべし」、と罹れているのを見つけます。その公園の場所を聞こうと、近くにいた女性に声をかけますが、恋人にふられたばかりのその女は、「道を教える代わりに元カレを殴って!」とトンデモナイ要求を突き付け...。


身勝手で、気分屋で、でも、人を思いやる気持ちもあり、時には、自分の何かを犠牲にしても誰かのために尽くすこともあったり...。暇だといってみたり、忙しいといってみたり、死ぬといってみたり、死なないといってみたり、自分のことばかりしか考えない登場人物たち。その身勝手さは、宇宙人も地球人も同じ...のようですが、そんな彼らに注がれる視線が温かく、プラスもマイナスも含めて受け入れてくれている感じが心地よかったです。


ちょっと無理したお伽噺に道徳の教科書的な香りを加えた作品という感じがしました。青臭い人生観を騙るセリフもそこここに登場し、でも、ヘンな宇宙人設定のためか、あまり嫌味にはならず、独特の雰囲気を出していたと思います。エンドロールでも流れる「やつらの足音のバラード」(♪なんにもない、なんにもない、まったくなんにもない♪)も本作の雰囲気にピッタリで巧い選曲だったと思います。


良くも悪くも、素人っぽい作品...であるのは、まだ、素人だった時代の荻上監督の作品ですから仕方ないのですが、68分という短編であるにも拘らず、長さを感じさせる作品でした。やりたいこと、表現したいことが一杯あって、でも、それがまだ、全く第三者の観客にきちんと伝わる"表現"としては昇華していなくて、ところどころにキラリと光るものを感じさせながらも、"楽しめる映画作品"にはなり切れていない...という感じでしょうか。


アンテナを伸ばして使う携帯電話が登場します。2000年の作品ですから、13年前なのですが、もうすでに携帯電話がひとつ前の時代のものになりつつある今、なんだか懐かしかったです。13年という年月の長さを実感してしまいました。


本作の監督である荻上直子のヒット作「かもめ食堂 」の5年前の作品と言うことを考えると、ここからの5年間というのも、大きな年月だったということになるのでしょう。

殺意の香り

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殺意の香り [DVD]/ロイ・シャイダー,メリル・ストリープ,ジェシカ・タンディ
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ニューヨークの精神分析医、サムの患者、ジョージが殺害され、その件で、ジョージが勤めていたオークション・ハウスの同僚だという金髪美女、ブルックがサムの元を訪れてきます。そして、ほぼ同時に、事件を担当する刑事がやってきます。事件に興味を持ったサムがジョージの診療カルテを読むと、ジョージには愛人がおり、訪れた家で緑の箱を手に入れ、ぬいぐるみをいたぶる少女に出会った夢の話をしていました。フロイト心理学によれば、箱は"女"、緑は"嫉妬"を示すもの。サムは、オークション・ハウスへ出かけ、ブルックを探り...。


極めてオーソドックスなサスペンスです。ストーリーの流れも、事件の真相も、犯人に見つかり方も、クライマックスの展開も、実に古典的で、メリル・ストリープの若々しさもあって、古さを感じさせる作品です。犯人が明らかになる過程も強引だし、クライマックスのハラハラドキドキの演出にも無理矢理感が漂います。


そして、何人もが殺される割には、殺人の動機がショボイような...。スッキリ解消されていく伏線らしい伏線もないため、ラストでの爽快感もなく、観終えても、何だかはぐらかされたような感じが残ってしまいます。


オークションの場面で、サムがブルックに刑事が来ていることを知らせる辺りは面白かったのですが、全体に、あまり起伏はなく、興味を惹かれるような要素が少なかったと思います。


まぁ、本作の見どころは、ほぼ、メリル・ストリープだけといって良いでしょう。サムを演じたロイ・シャイダーも渋くて良かったですが、ちょっと地味な感じで、印象としては弱い感じがします。良くも悪くも若く美しかった(今でも、十分に、美しいですが)メリル・ストリープを観るための作品だと思います。時に妖艶で、悪女っぽくもあり、善良なか弱い女性のようでもあり...。さすがです。

I AM/アイ・アム ~世界を変える力~ [DVD]/トム・シャドヤック,デヴィッド・スズキ,ロリン・マクラティ
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事故に遭遇して体の一部が麻痺してしまった映画監督のトム・シャドヤック。時間をかけてリハビリをし復帰しますが、その経験がシャドヤックに人生に対するまったく異なる価値観をもたらします。家を売却し、モービルハウスに住むようになったシャドヤックは科学・哲学・信仰の分野における優れた人々と議論を交わしていきます。生物学者で環境活動家のデヴィッド・スズキ氏、生理心理学やストレスについての研究を行っているハートマス財団の研究主任ロリン・マクラティ氏、1984年にノーベル平和賞を受賞した南アフリカのデスモンド・ツツ元大主教...。各分野の影響力のある人物たちと、戦争や貧困、環境問題などの根底にある現代社会の矛盾を掘り下げながら世の中や人間の真理に迫ります。


言いたいことは分かる気もするのですが...。人間の本質は、"競争"や"強欲"ではなく、"協調"や"共感"という捉え方には、疑問も感じます。確かに、協力し合うとか自分を犠牲にしても他人のために尽くすとか、それも、少なくない人間に見られる行為ではあります。けれど、自分のささやかな利益のために人を殺すのも人間。"どちらが人間の本質か"ではなく、"どちらも人間の中にある"のではないでしょうか。


この"競争"か"協力"か、どちらが本質かという思考は、とても、欧米的な感じがしますし、人間は、生来善であるのか、悪であるのかの議論に決着をつけること自体、あまり意味がないような気がします。数多くの美点があることも確かですが、醜い面を否定できるわけではないし、そもそも、何が正義で何が悪かと言うこと自体、その時の状況で簡単に変えられてしまうのですから...。


悲劇もあり、喜劇もあり、感動もあり、それが人間の社会。どの部分が善でどの部分が悪で、と仕分けし、悪を排除しようとしても、それは、無理な話。悪も善もある社会の中で、どうバランスを取っていくのか、どう折り合いをつけていくのか...ということを考える方が現実に対処しやすいのではないかと...。


作品自体は、人間という存在を温かく包む視線が感じられ、私たちの社会の中に光を感じさせる部分もあり、悪くなかったと思います。インタビュー対象の選択も悪くなかったと思いますし、いろいろと考えさせられる部分もありました。けれど、どうしようもなく、私たちの中に、私たちの社会の中に根付いている"悪"を"否定すべきもの"としか扱っていないところで、底の浅さが感じられてなりません。闇の存在が、光を存在を示すことがあるのと同じように、"悪"があるかこそ成り立つ"正義"という視点が加えられていたら、グッと深みが出たのではないかと思うのですが...。

ティモシーの小さな奇跡

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ティモシーの小さな奇跡 [DVD]/ジェニファー・ガーナー,ジョエル・エドガートン,CJ・アダムス
¥1,500
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エンピツ工場で働くジム・グリーンと妻のシンディは、子どもを欲しくて不妊治療を受けていましたが、ある日、その望みが叶わないことを宣告されます。ある夜、2人は、"自分たちの理想の子供"について紙に書き出し、それを庭に埋めます。それは2人が子どもを諦めるための行為でしたが、真夜中、ひとりの泥だらけの少年が現れます。"ティモシー"と名乗った少年は、一見、普通の子どもでしたが、奇妙なことに両足のくるぶしあたりに葉っぱが生えていました。 突然現れたティモシーに困惑しながらも、2人は彼を自分たちの子どもとして温かく迎え入れ...。


土の中から出てきた泥だらけのティモシー。世界一可愛いゾンビ...ってところでしょうか。足に葉っぱを付けているのですから、木の妖精といったところなのでしょう。この世のモノならぬティモシーは、異界の者らしく、次々と"奇跡"を起こします。


ただ、この"奇跡"が、ハッピーなだけのものではなく、常に、人間の愚かさや醜さを感じさせたり、大きな落とし穴が用意されていたりして、一筋縄ではいきません。清く正しいだけのファンタジーにはならないのです。パブおじさんは笑顔になっても死を追いやることはできませんし、音楽会が盛り上がっても嫌味や妬みが絡んでいるし、奇跡的なゴールを決めてもどんでん返しがあるし...。その辺り、単なる綺麗ごとには終わらせまいとする意思のようなものが見え隠れするような...。ただ、ファンタジックな設定に変に現実的な負の面を付け加えたことで、ファンタジーとしても日常を描いた作品としても中途半端になってしまった感じがしました。


そして、結構、残念なのが、鉛筆工場存続の決定打として描かれている"新製品"が、それ程、画期的な商品と思えないこと。確かに、木を伐らなくてよくなるのかもしれませんが、それで、使用に耐えうる魅力的な鉛筆ができるのかというと、甚だ疑問なのですが...。


さらに、肝心の2人が親として成長したかどうかという問題。"理想の子"相手に練習して何を学べるのか、その点については、甚だ心許ないような...。もちろん、初めて生まれた子どもに対して初めて"親"をやるケースが大多数を占めるのでしょうから、予行練習はおまけのようなもの。ハードルが低くても問題ないのかもしれません。けれど、養子を受け入れるというのは、自分たちの間にできた実子を育てる場合よりかなり難易度が高いわけで...。


それに、このティモシーが"練習台"としては、良い子過ぎるのです。女の子をしてきた母親が、男の子を育てることで世界観を変えられるような別世界に引き摺り込まれるケースは、結構多いわけで...。これまで、多くの"男の子の母"を救ってきたであろう西原理恵子の名著「ああ息子 」。私も、息子のあまりの行状に絶望しかけた時、この本を読んで、どれだけ"ウチだけじゃない..."と慰められてきたことか!!!


と思うと、ティモシーレベルでおたおたしているこの2人に、養子をきちんと育てることができるのか...不安になってしまうのですが...。あの面接で、彼らに養子を手配してしまう縁組センターの判断も大いに疑問ですし...。


もっと完全にファンタジックなお伽噺として映画いた方が説得力のある作品になったのではないかと思うのですが...。変に現実を入れたことでバランスが崩れてしまったような気がします。

つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語 [DVD]/阿部寛,小泉今日子,野波麻帆
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井上荒野の同名小説を映画化した作品。原作は未読です。


春二は艶という女性と駆け落し、大島へと辿り着きますが、気ままな妻に翻弄されて続けてきました。そんなある日、艶は、病気により昏睡状態に陥ります。春二は、妻と関係のあった男性たちに艶の危篤を知らせることにしますが...。


艶という一人の女性に関わった(であろう)男たちに関係する女たちの物語。


不倫があったり、嫉妬や争いがあったり、自殺があったり...。いろいろあるのですが、全体に起伏に乏しい印象です。全体が5つのエピソードに分けられ、一つ一つの物語に深入りすることができなかったこともあるのでしょう。底が浅い感じで、消化不良な感じが残ります。2時間を超える長い作品ではあるのですが、それ以上に、長さを感じてしまいました。


艶自身は、ほとんどその姿を見せません。艶を巡る人々の物語が描かれることで、艶という人物が描かれるのですが、それぞれのエピソードがバラバラな感じになっているせいもあるのか、艶の人となりが、今一つ実感できませんでした。かなり、奔放に生きてきたのだということは分かりますが、それは、春二に対して安心しきっていたからなのかもしれません。眠っているだけの艶に囚われた春二の姿を見ていると、そんな気がしてきました。


艶も春二もそうなのですが、それぞれの物語に出てくる人々も、相当、ぶっ飛んでいます。これは、類友ということなのかもしれませんが、やり過ぎ感は否めませんでした。


そうはいっても、もちろん、見所も...。病院へ向かう上り坂を自転車で駆けあがる春二。かなりの脚力です。阿部寛は、このシーンを演じるために、相当鍛えたのではないかと...。本作のテーマとは全く関係のない部分ですが、何度か登場するシーンでもあり、背景の美しさと合わせて印象的です。そして、大竹しのぶ。どんな中でも、やはり、この演技力は見事。この大竹しのぶのエピソードが一番、見応えありました。


タイトルの「つやのよる」は、通夜(つや)の夜...に通じ、艶の通夜の場面は、本作でもポイントが置かれた部分なのでしょう。姿を見せない男たち。そこに、彼らの艶との関係に対する答えが見えてくるようです。そして、春二の"勝利宣言(?)"。弔問客は一人の女とその息子。彼女がやって来たのは、過去の関係ゆえではなく、この先の関係を見るから...ということなのでしょう。"春二の艶からの卒業式"といったところでしょうか。「艶の死に顔綺麗だね。」これは、艶と春二の人生に報い、慰める言葉かもしれません。そこに行きつくまでの道のりには、何かと突っ込みたくもなりましたが、なかなか味わいを感じさせるラストでした。このラストの直後に流れてくるエンディングの歌も作品にぴったりで良かったです。


そこに至るまでの個々のエピソードの描き方によっては、もっと面白くなる作品だったのだろうと思います。原作は読んでみたくなりました。