いよいよ、今年も最後の一日となりました。


昨日は今年映画館で観た日本映画のベストテンをアップしましたが、今日は外国映画です。日本インターネット映画大賞 への投票を兼ねて映画館で観た外国映画41本の中から選んでみました。


【作品賞】(3本以上10本まで)
  「最初の人間 」           5点
  「最終目的地 」           5点
  「ライク・サムワン・イン・ラブ 」  4点
  「最強のふたり 」          4点
  「ブラック・ブレッド 」         3点
  「少年は残酷な弓を射る 」     2点
  「アルゴ 」               2点
  「レ・ミゼラブル 」          2点
  「アーティスト 」           2点
  「ル・アーヴルの靴みがき 」   1点
【コメント】
 新しい出会いと人生の転機を描いて印象的な作品(「最終目的地」、「ライク・サムワン・イン・ラブ」、「最強のふたり」、「ル・アーブルの靴みがき」)、人間の中の暗部を抉るような作品(「ブラック・ブレッド」、「少年は残酷な弓を射る」)...。全体に地味な扱いの作品が多くなっている感じがします。今年は映画館で観る本数が少なかったことから自然と観る作品を厳選したこともあるのか、比較的、印象的な作品の割合が高かった気がします。 
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【監督賞】              作品名
   [ジェームズ・アイヴォリー] (「最終目的地」)
【コメント】
  様々な歪さを抱えながらもそれなりに安定していたグループに異分子が入り込み、そこから波紋が広がり、それぞれが新たな地平に歩き出す。その過程がシミジミと描かれ印象的でした。
【主演男優賞】
   [奥野 匡] (「ライク・サムワン・イン・ラブ」)
【コメント】
  この人の存在があればこその作品だったと思います。
【主演女優賞】
   [メリル・ストリープ] (「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 」)
【コメント】
  本人よりも本物らしい存在感が見事でした。
【助演男優賞】
   [オマール・シー] (「最強のふたり」)
【コメント】
  
【助演女優賞】
   [ティルダ・スウィントン] (「少年は残酷な弓を射る」)
【コメント】
  理解できない息子に翻弄される母を好演し、作品にリアリティを出していました。
【ニューフェイスブレイク賞】
   該当なし
【音楽賞】
  「ライク・サムワン・イン・ラブ」
【コメント】
  作品に漂うレトロな雰囲気を支え、作品の味わいを深める印象的な音楽だったと思います。
【ブーイングムービー賞】
  「プレイヤー
【コメント】
  観なければよかったと一番後悔した作品でした。
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もう2012年も終わろうとしています。


今年は、ここ数年の中では、あまり映画を観るなかった一年となってしまいましたが、それでも、映画館で観た映画が70本。その内、日本映画は29本でした。その中から、私のベストテンを選び、例年通り、日本インターネット映画大賞 に投票したいと思います。


【作品賞】(3本以上10本まで)
  「夢売るふたり 」      5点
  「鍵泥棒のメソッド 」   4点
  「その夜の侍 」      4点
  「毎日がアルツハイマー 」 4点
  「かぞくのくに 」      3点
  「カミハテ商店 」      3点
  「わが母の記 」       2点
  「EDEN 」         2点
  「ポテチ 」         2点
  「ミロクローゼ 」      1点
【コメント】
こうして、特に印象に残った作品を並べてみると、人間の奥底にある業を抉り出すような作品が好きなのだなぁと思います。それは、ある意味で"毒を含む視線"なのかもしれませんが、ここに挙げた作品には、その暗さの底から立ち上ってくる一筋の希望が見えてくる瞬間があったような気がします。
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【監督賞】      作品名
   [西川美和] (「夢売るふたり」)
【コメント】
 犯罪の共犯になることを通して変質していく2人の姿が印象的でした。善人の中に潜む悪の描き方が印象に残りました。
【主演男優賞】
   [阿部サダヲ]  (「夢売るふたり」)
【コメント】
 パッと見、地味な印象のごく当たり前の善人な男の中にあるどす黒さが見事に表現されたいたと思います。
【主演女優賞】
   [高橋恵子] (「カミハテ商店」)
【コメント】
 ほとんどセリフがない中、僅かな表情や言葉の抑揚の変化で、複雑な心の動きを繊細に表現していて印象に残りました。
【助演男優賞】
   [香川照之] (「鍵泥棒のメソッド」)
【コメント】
 あまりにあり得ないきっかけから記憶を失う詐欺師の物語にその演技がリアリティを加えていたと思います。
【助演女優賞】
   [樹木希林] (「わが母の記」)
【コメント】
 本当に認知症の老人としか思えない迫力のある演技に痺れました。
【ニューフェイスブレイク賞】
 該当なし

 
【音楽賞】
 該当なし

【ブーイングムービー賞】
  「月光ノ仮面
【コメント】
 製作者側の想いが前面に出過ぎているのか、観る側を考えていないような感じがしました。あまりに意味不明で、あまりに雑な感じで、全く作品の世界に浸れませんでした。
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レ・ミゼラブル

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1985年の初演以来、ロンドンで27年間にわたり上演が続き、今なおロングラン記録を更新し続けているヴィクトル・ユゴーが1862年に発表した同名小説を基にしたミュージカルを映画化した作品です。ミュージカルは未見ですが、原作小説は好きで、何度か読み返しています。原作を映画化した1998年の「レ・ミゼラブル 」もDVDで観ました。


ジャン・バルジャンは、パンを盗んだ罪がきっかけとなり、19年間服役した後、仮出獄しますが、生活に行き詰まり、再び盗みを働いてしまいます。その罪を赦し庇ってくれた司祭の温かさに触れ、生まれ変わることを決意します。過去を捨て、必死に働いたジャン・バルジャンが起こした事業は大成功し、周囲に推され市長にまでなります。ある日、彼は、ファンテーヌという女性と出会い、彼女から愛娘コゼットを託されます。しかし、そんな折、彼の過去が明るみに出て、長年、彼を追っていたジャベール警部に追われる身となります。ジャベールの追跡をかわしながら、コゼットを迎えに行ったジャン・バルジャンは、コゼットとともにパリへ逃亡。彼女に限りない愛情を注ぎ、美しい娘に育て上げ...。


あまりに有名な原作とあまりに有名なミュージカル。かなりの長編を映画化した作品ですが、なかなか巧く纏められていると思います。158分という2時間半後超えの上映時間の長い作品になっているとはいえ、ジャン・バルジャンが仮出獄してから亡くなるまでですから、相当の年月に亘るできごとを描いているわけで、しかも、その間にジャン・バルジャンの苦悩と再生、ジャベールとの関係、ファンティーヌとコゼットの運命、ジャン・バルジャンとコゼット、マリウスと革命、コゼットとマリウス...、様々な人間関係と社会の流れが描かれるワケですから、これを纏め上げるというのはなかなかの難題なのではないでしょうか。


かなり思い切った取捨選択がされていたり、エピソードの設定が変えられていたり、いろいろあって、正直、残念な部分もないわけではありませんでしたが、基本的には、納得して観ることができました。本当は、コゼットがジャン・バルジャンと出会う場面、ここは、原作通りにして欲しかったような...。ここを変えたことについては???です。宿に着いた時も、ジャンバルジャンがバケツを持ったままだし...。ここは、コゼットが自分が持つと主張することで、コゼットがどんな扱いを受けていたかが伝わってくる場面でもありますし、原作通りにすることで余計に時間がかかるとか、他の部分に悪影響を与えるとかないような気がしますし...。


ラストは、蛇足だったような気もしたのですが、ジャベールの姿がそこにないあの場面をみせるということにあのラストを持ってくる意義があったのかもしれませんね...。その前の修道院の場面でひとまず終わらせ、エンドロールにラストの映像と歌を重ねた方がよかったような気もしたり...。


キャストについては、ジャベール警部はもっと冷酷さが感じられる顔つきの俳優の方が良かったのではないかとか、エポニーヌを演じたサマンサ・バークスがあまりに魅力的すぎて、エポニーヌよりコゼットに走ったマリウスの気持ちが分かりにくくなってしまっているとか、テナルディエの風貌も悪人度が足りないのではないかとか、少々、首を傾げたくなる部分もありましたが、ファンティーヌ役のアン・ハサウェイ、テナルディエの妻役のヘレナ・ボナム・カーターは役どころにピッタリだったと思います。


まぁ、若干、気になる部分もないわけではありませんでしたが、全体に、楽しめましたし、「レ・ミゼラブル」の世界を堪能できました。歌の力が実感できる作品でもありました。


本作が、今年、映画館で観る最後の映画になります。本作を選んで良かったです。久し振りに、映画を観ながら思い切り涙しました。できれば、映画館の大きなスクリーンで観ておきたい作品だと思います。お勧め。



公式サイト

http://www.lesmiserables-movie.jp/

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ぼくたちのムッシュ・ラザール

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ぼくたちのムッシュ・ラザール [DVD]/フェラグ,ソフィー・ネリッセ,エミリアン・ネロン
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ある朝、牛乳当番で、いつもより早めに登校した男子生徒は、教室で首をつって天井からぶら下がっている担任教師の姿を目撃してしまいます。思いがけない事件に揺れる小学校そんな中、代用教員として自分を売り込んできたバシール・ラザールが代用教員として採用されます。最初は、生徒たちも、担任に自殺という異常事態と慣れない新参の教師に戸惑いを隠せませんが...。


人生は理不尽と不公平に満ちていて、努力しても報われるとは限らず、人と人の心は通い合わず、けれど、それでも、生きるに値するものだと思えてきます。


バシールの人生も波乱に満ちて、理不尽さが溢れるもの。大人の事情に振り回されている生徒たちと通じるものがあったのかもしれません。


揺れる生徒たちの想いに触れることを恐れているかのようが学校側の姿勢。本当は、きちんと自殺した教師のことについて、人の死の受け止め方について、命について、語り合えればよかったのかもしれません。けれど、身近な人間の死、それも、理不尽な突然の死を語るということは、大人にとっても、いえ、大人なればこそ、なかなか難しいもの。バシールが、故郷について生徒たちに語れないのも、それを語ることが家族の死を語ることに繋がるからではないでしょうか。


シモンは、担任教師の自殺が自分の態度に関連しているのではないかと密かに悩み、バシールも、心の奥に大きな傷と秘密を抱えています。


その2人の胸の内が明らかになる過程は、サスペンス的な緊張感を漂わせます。その想いの描き方が実に繊細でありながら絹糸のようなしなやかな強さを感じさせ、胸に沁みます。


事なかれ主義の校長など、学校が官僚組織的になってしまって、少々、頑迷な感じさえする辺り、モンスターペアレンツ的な保護者の存在、日本を思わせるような感じです。学校という環境が、そこで働く教師たちや学校に関わる親たちをそうしてしまう。そんな要素が学校という場所にはあるのでしょうか。


バシールが、いくら臨時の代用教員とはいえ、あまりに簡単に、何の審査もなく、教師として採用されてしまう辺りには違和感がありましたが、校長の裁量範囲が広く、緊急事態ということになれが、こんなこともアリなのでしょうか...。カナダの教育事情には全く詳しくないので、よく分かりませんが...。


地味で、94分という短い作品ですが、印象的な作品でした。

遥かなるクルディスタン

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クルド人のベルザンは政治活動をしています。一方トルコ人のメフメットは水道局で働いている政治には無関心の青年。けれど、ある日、バスで隣り合わせた男が残したバッグの中に入っていた銃がメフメットのものだと疑われ、拘留されます。肌の色が濃い目であることからクルド人ではないかとの疑いも持たれたメフメットは、拷問を受けます。全くの濡れ衣だと分かり、1週間ほどたって釈放されますが、警察に拘束されたというだけでメフメットは一緒に住んでいた仲間から住まいを放り出され、職を追われます。その後、メフメットとベルザンとの絆は一層深まりますが...。


クルド人は、クルディスタンと称されるトルコ、イラク、イラン、シリアにまたがる山岳地帯に住む民族で、その人口は、2000万人とも3000万人とも言われています。クルド人たちが一つになって独立すると困るので、それぞれの国で迫害と抑圧を受けてきました。大国は、その時々の中東政策の都合によって、クルド人を利用してきました。湾岸戦争の時も、アメリカは、フセイン打倒のために、イラクのクルド人を利用しようとしています。トルコでは厳しい同化政策がとられて、クルド人に対する人権弾圧については、国際的にも非難を浴びています。EU加盟の承認を得るため、トルコ政府もクルド人問題について態度を軟化させてきていて、多少はクルド人の扱いが好転しているとのことですが、最近まで、クルド語の使用すら禁止されていたそうです。


メフメットは、無実だということが分かり釈放されますが、彼がクルド人だという誤解は解けぬまま。その情報をどこからか手に入れた誰かが書いたのであろう大きな真っ赤な×印。居場所を変えてもメフメットを追うように執拗に書かれる×印は、ナチスドイツの支配下でユダヤ人の家の扉に書かれ、胸に付けることを強要された黄色い星を連想させます。


本作の後半は、メフメットがベルザンの遺体を故郷に運ぶ鎮魂の旅となります。その過程で、ごく普通のノンポリ青年だったメフメットは、クルド人が置かれている現状を目の当たりにし、トルコがクルド人に何をしてきたのかを知ります。やっとの思いで辿り着いたベルザンの故郷、ゾルドゥチは、ダム湖になっていました。ベルザンの故郷は、地図上から消し去られていたのです。


大都会の賑わいを見せ、豊かさが感じられたイスタンブールの風景が、郊外に出ると延々と荒野の続く荒涼とした景色に切り替わります。そして、クルド人が住む地域も荒涼とした原野ばかり。ドアに大きく描かれた真っ赤な×印の毒々しさとその情景の寒々しさがクルド人の置かれた立場を現しています。


そして、その視線は、トルコ人であってクルド人問題を描く作品を撮った本作の監督にも通じるものがあります。自分が属する民族や社会体制が行っている弾圧行為に目を向けるようになったメフメット。彼は、クルド人と誤解されトルコの権力から睨まれるわけですが、同時に、弾圧する側に属する人間なのです。その彼が、抑圧される側に身を置き、その立場を友人と共有し、その中で知らなかった現実に目の当たりにする。そして、その過程が、彼を大きく成長させている。そこには、僅かであっても、やはり、和解の道への一筋の光が感じられます。


映画作品としては、ストーリーの作り方にも、やや、粗さが感じられますし、ストーリーの面白さという点でも今一つな感じはします。そもそも、生粋のトルコ人であるメフメットが自分がクルド人でないことを証明することはそんなに難しいことではなかったのではないかとか、銃の指紋を調べればメフメットのものでないことは分かったのではないかとか、遺体を入れた棺を何日も持ち歩いたら腐敗して大変だったのではないかとか(乾燥しているので、結構、長持ちするのでしょうか?)、木製の棺をダム湖に流しても沈んだりはしないのではないかとか、突っ込みたくなるところもあります。それでも、トルコ人がこの作品を取ったということの意義は非常に大きなものがあると思います。

僕等がいた 後編

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前篇 で描かれた時から5年を経た東京。大学卒業を控え、就職活動真っ最中の七美のそばには、いつも彼女を支えてきた竹内の姿がありました。矢野が母の離婚により、東京に住むことになってから、遠距離恋愛を続けてきましたが、ある日から、毎日矢野から七美にかかっていた電話も途絶え、連絡が取れなくなっていました。竹内は、七美にプロポーズすることを決意しますが...。


少々、演技陣の年齢に何ありだった前篇に比べ、違和感なくなるはずの本作でしたが、結構、回想シーンが多く、現在と過去での演じ分けがほとんどないため、益々、過去の映像への違和感が増してしまった感じがします。


前篇で役柄をうまく表現していたように思えた有里役の本仮屋ユイカも、本作は、あまりパッとせず。存在感たっぷりだった竹内も、単なるイイヒトになってしまっていて、ちょっとがっかりでした。


そして、波瀾万丈を見せつつ、なおかつ、これまでのいろいろに落とし前をつけて、ラストに持っていくために無理している感が強く、ご都合主義満載なところも気になりました。


一途な愛の美しさを描いた作品...なのかもしれませんが、一番、一途だったのは、有里だったりして...。何だかんだ言って、七美には竹内がいたわけで、その竹内に随分支えられたわけで...。


矢野にしても、七美を本当に信じていたのなら、あんな姿の消し方をするはずもなく...。彼女に対する信頼があるなら、きちんと理由を話すし、きちんと別れを言いますよね...。そこを無理につじつま合わせようとするからストーリー的にも無理が生じたのですよね...。


なるようになったラストですが、この矢野の性格、七美がこれからも振り回されるのは目に見えていて、大恋愛が結ばれたものの、一緒になった途端、擦れ違いが起きるようになり、やがて喧嘩別れな将来が浮かんできてしまって、なかなか"感動"というわけにはいきませんでした。


本来、ハッピーエンドにすべきでない物語だったのだと思います。それを無理すると一つの作品として崩壊する...という実例になってしまっているのではないでしょうか。


このラスト、原作とは変えてあるようですね。であれば、原作は本作より良いラストなのかもしれない...と思いました。原作のラストを読んでみたいです。

僕等がいた 前篇

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小学館"月刊ベツコミ"に連載された小畑友紀の同名コミックを映画化した作品。原作は未読です。


北海道、釧路。クラスメイトの結婚式で故郷に帰った高橋七美は、廃校となる母校の屋上に佇んでいました。懐かしき日々を思い出しながら...。


高2の新学期、七美はクラスの人気者で、ほとんどの女子が憧れていた矢野元晴とこの屋上で出会いました。時折、寂し気な表情を浮かべる矢野に七美もいつしか惹かれていきます。そんな中、矢野の親友、竹内から、矢野が死別した年上の恋人、奈々との過去を引きずっていると聞きます。思い悩む七美でしたが矢野への想いがおさえきれなくなり、生まれて初めての告白をします。一途な想いを貫く七美に対し、矢野は少しずつでしたが心を開いていきます。しかし奈々の幻影と、矢野に想いを寄せる奈々の妹、有里の存在が、ふたりの間に立ちふさがります。七美と矢野は、互いに想いをぶつけ合い傷つきながらも、ついに未来を誓い合いますが...。


雰囲気的には、既に大人になった人が懐かしの高校生時代を振り返って、かつての幼いなりに精いっぱい背伸びをしつつ恋に恋していた時期をドロドロしたものを濾過して美しく描いた作品...といったところでしょうか。観ていて気恥ずかしくなるほどの実にベタベタな恋愛劇です。


恋して傷つき、悩み、幸せを感じ、涙を流し...。何だかとっても青春な作品でした。何故、矢野が、そんなに苦しみ悩む程、奈々に心寄せたのかとか、何故、矢野が七美を、七美が矢野をそこまで好きになったのかとか、結構、肝心なところが弱いような感じもしました。けれど、まだまだ世間知らずなコーコーセー。ちょっとしたことに運命を感じてしまったりすることこそ、青春なのかもしれません。


高校生を演じるには、キャストに違和感あり過ぎなのは、後篇重視のキャスティングになっているからなのでしょう。本作は"後篇の前座"といったところなのかもしれませんが、それにしても...です。ただ1人、七美役の吉高由里子より1つ年上の本仮屋ユイカは、有里を演じて、違和感なく高校生として存在していました。特に、矢野に告白しようとして伝わらない場面。見事な表情が印象的でした。まぁ、辛うじてコスプレコントにならずにすんでいるのは、それなりに演技力のあるキャストが揃えられた成果かもしれませんが...。


まぁ、オジサン、オバサンになれば、高校生にはこうであって欲しいという想いが出てきたりもするので、高校生時代から離れた世代の方が素直に観られる作品ということになるのでしょう。懐かしの高校生時代を甘く切ない気分で振り返りたい人には良い作品かもしれません。まぁ、映画館のスクリーンでなく、レンタルのDVDで十分かと思いますが...。


取り敢えず、後篇も観ることとします。

さて、今年もクリスマスイブがやってきました。クリスチャンでも何でもないのですが、宗教的に寛容で、誰でも八百万の神様たちのお仲間に入れてしまい、何でもありなごく普通の日本人な私。折角の美味しいケーキを食べられるイベントを逃すわけにはいきません。


ということで、今年も今夜はクリスマスケーキです。10月に高島屋で予約しました。いろいろなパティシエのケーキから選べるのですが、PLATINOのケーキ(クリスマス ノエル)を予約しました。


ノエル=フランス語でクリスマスの意、ですから、"クリスマス ノエル"という名称は、少々、不思議な感じですが、スポンジと生クリームの間にイチゴのコンポートを挿んだ10×8cmの小ぶりなケーキです。これは、2人用ということで作られたサイズのようですが、メタボな大人が2人と子どもが1人という構成の我が家。それでも、クリスマスだから美味しいケーキは食べたいよね...という状況にぴったりのサイズです。


元々、PLATINOの定番にある"フレジェ"をクリスマス用にアレンジしたのだとか。フレジェは食べたことありますが、イチゴのコンポートが、結構、しっかりした味で、生クリームたっぷり感がある割には、あまりしつこい感じがしなくて、とてもイチゴが感じられるケーキでした。


で、当然の如く、写真をここにアップするはずだったのですが、写真を撮り忘れ...。気付いた時には、すでに跡形もなく...。ということで、元になっているフレジェの写真をアップしておきます。

日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~-PLATINO 2012


これが、3倍弱くらいの大きさになって、イチゴの他にプルーベリーを載せ、サンタクロースと雪だるまとヒイラギの葉の飾りとチョコレートのプレートが載せられていました。


3人で食べきりサイズで味も量も満足。


息子が生まれて、言葉を覚え、おぼろげながらもサンタクロースの存在を理解するようになったのが、12年前でしょうか。その後、サンタクロースのおねだりする楽しさを覚え、やがて、サンタクロースの存在を疑いながらも信じている振りをした方がお得という時期を経て、サンタクロースを卒業したのが2年前。


家族3人で揃ってクリスマスケーキを食べられるなんていう時期も、実は、この先、そんなに長くは残されていないのかもしれません。一年、一年を大切にしたいものです。


まぁ、それはともかく、今年も、無事、家族そろってクリスマスケーキを美味しくいただくことができました。


Merry Christmas!!!

最初の人間

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アルベール・カミュの自伝的小説「最初の人間」を映画化した作品。カミュ自身が、「自分の最高傑作になるだろう」と予言したと言われるこの小説は、1960年に自動車事故で亡くなったカミュの没後30年以上を経て原稿が発見され、未完のまま1994年に刊行されています。原作は未読です


1957年夏。40代の作家、ジャック・コルムリはブルターニュのサン・ブリューの仏軍墓地に立つ父の墓を訪れていました。数日後、ジャックは数年振りに故郷のアルジェリアへ向かいます。空港に着くと、ジャック同様、フランスによるアルジェリアの植民地化に疑問を呈する学生が大学での討論会へ招待しようと彼を出迎えます。大学での討論会は、仏領アルジェリアを進める保守派と革新派が入り交じり、熱気を帯びていました。ジャックが演台に立ち、アラブ人とフランス人の共存を提言すると過激派が講堂に乱入、討論会は混乱に陥ります。翌日、ジャックは母、キャサリーンと再会。久し振りの我が家で、ジャックは父の写真を見つめながら、自分の幼少の頃に思いを巡らせ...。


第一次世界大戦で父を亡くした小学生のジャックは、母とその弟のエディエンヌ、そして父方の祖母と共に暮らしていました。成績優秀なジャックは中学への進学を希望していましたが、教育の価値を認めない祖母の反対によりエディエンヌが勤務する新聞の印刷工場で働くことになります。そんな中、彼の才能を惜しんだ担任教師のベルナールが祖母に直談判し、ジャックは進学することになったのでした。


故郷での2日目、ジャックはアラブ人居住区にいる小学校時代の級友、ハムッドに会います。ハムッドはその昔、ジャックがフランス人であるというだけでケンカをふっかけ、蔑んでいた人物でした。ハムッドは「我々に友情はなかった」と当時を振り返りつつも、息子のアジズが過激派のメンバーであるとして不当逮捕されたので、その無実をはらしてくれるようジャックに嘆願します。政府機関に顔がきくジャックは、早速アジズを釈放すべく上層部に掛け合いますが、アジズは断首刑に処されてしまいます。アルジェリアの大地に生まれながら敵同士に変容してしまったアルジェリア人とフランス人。アジズの死を受け、ジャックは、ラジオで演説を始め...。


普通に混在しながら同じく土地で生きてきた複数の民族が、いつしか、憎みあい、殺し合い、平和だった場所が殺戮の地に変わってしまう...ということは、サラエボなどでも起こっていることです。


アルジェリアに骨を埋めるつもりであると語る農園主の「フランス人とアルジェリア人は共存できる。もう少し、殺し合って、もう少し苦しみ合った後に。」というような意味合いのセリフが印象に残りました。ボブ・ディランの名曲「風に吹かれて(blowing in the wind)」の歌詞の中の「how many deaths will it take till he knows,that too many people have died ?」という部分が思い浮かびました。彼の言う、共存できるようになるまでの十分な量の殺し合いと苦しみ合いを済ませてしまうには、どれだけの年月が必要になるのでしょうか。


第一次世界大戦後に高まっていたアルジェリアでの独立運動が激化したのが第二次世界大戦以降。1954年にアルジェリア人と入植したフランス人の間の対立が高まりアルジェリア戦争が勃発。100万人に及ぶ死者を出して1962年にアルジェリア民主人民共和国として独立。1960年代に、サハラ砂漠では、フランス政府により核実験が行われています。独立社会主義政策がとられますが、1965年に軍事クーデターが起きたりしながらも、一定の経済的な成長を達成しますが、政治体制はいろいろと変わっていきます。1991年にイスラム原理主義政党が選挙に圧勝した後は、クーデターが起こってその選挙結果が無効にされたり、イスラム原理主義過激派によるテロが頻発したり、内戦状態となります。近年、少しずつ落ち着いてきてはいるようですが、平和な共存はまだ実現されていない様子。殺し合いも憎しみ合いもまだ足りないということなのでしょうか...。


自分を生みだした家族や土地への愛情の強さが観る者の心に沁みてきます。ラストの演説。国や故郷を愛する気持ちが辿り着くところは、自分を産んでくれた母への想い。けれど、同時に、ジャックは、故郷を出たからこそ成功した人間。もし、故郷を出なかったら、貧しい一家の一員として、未だに貧しく無学であったことでしょう。


言葉はジャックの武器で、大学やラジオでの演説はジャックなりの闘い方だったことでしょう。そして、それは故郷への愛から生まれた闘いだったことでしょう。けれど、それは、故郷を離れたからこそ得られたもの。


言葉の力で成功をおさめ、名声を得たジャックの凱旋。かつてジャックをいじめていたアラブ人や叔父との再会での、それぞれとの関係の在り方から、幼き日と現在の落差が伝わってきます。穏やかなりし過去と変わり果てた今。アルジェリアの美しい風景をバックに、抗えない運命と人間が繰り返してきた戦いの歴史とそこに生きる人々の苦悩と幸せ。


変わり果てた故郷を目の当たりにしたジャックの懊悩が心に痛いです。上映の2時間弱が、かなり濃密な時間となりました。


単館上映の地味な扱いの本作ですが、できれば、一度は観ておきたい作品だと思います。お勧めです。



公式サイト

http://www.zaziefilms.com/ningen/

クリスマス・ツリー

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クリスマス・ツリー [DVD]/ウィリアム・ホールデン,ブルック・フラー
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10歳になるパスカルには、母がいませんでしたが、父のローランに愛され、父の恋人、カトリーヌとの関係も良く、幸せな日々を過ごしていました。夏休みをローランとコルシカ島で過ごしますが、海で遊んでいる時、近くに核爆弾をつんだ飛行機が墜落。その日から、パスカルは体の不調を訴えるようになります。病院で診察を受けたところ、放射能のため白血病に侵されていることが判明。った。医師は、ローランにパスカルの命はあと半年と宣告します。ローランは、あと半年をパスカルの思い通りに過ごさせてやろうと決心し...。


幼くして余命半年との宣告をされてしまう僅か10歳の少年。その短い人生の最期を幸せなものにしようと奔走する周囲の大人たち。父のローランにとっては、たった一人の子ども。経済的な余裕もある様子のローランですから、その気になれば、パスカルのために相当のことができるワケで、パスカルは様々な物を与えられます。


そのこと自体は、親心としてとてもよく分かるのですが、それでも、法に反するような行為までしてしまうのは、どうかと...。ローランの中に、パスカルの病の原因が核爆弾であり、その責任がフランス政府にあるという思いがあったからこその行為なのだとは思いますが...。


幼い子どもに死が迫っているという親にとって受け入れがたい状況の中、苦悩するローランの気持ちは良く描かれていると思いますし、その哀しみや理不尽さへの怒りのようなものが切々と伝わってきます。


それでも、若干、美しすぎるのは気になりました。ローランが医師からパスカルの今後について説明を受ける場面で、医師はパスカルが苦しむであろうことを伝えていますが、その様子はほとんど見られません。身体に大きな負担がかかるような治療をしなかったことで、苦しまずに済んだという面もあるとは思うのですが、それにしてもです。


ローランの"犯罪行為"にしても、実際は、もうちょっと警備もしているでしょうし、あんなに巧くいくわけもなく、盗んだ代物は、素人に簡単に扱えるものであるはずもなく、そもそも、海での飛行機事故の時水中にいたローランが全く無傷で何の影響も受けていないというのも不思議だったりしますが、まぁ、この辺りは、目を瞑るべきところでしょう。


お約束のようなお涙頂戴、幼い子供の難病もの。ストーリー的には平凡ですが、美しい映像と抑えた描写が観る者の涙を誘います。