ニューイヤーズ・イブ

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ニューイヤーズ・イブ Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)/サラ・ジェシカ・パーカー,ザック・エフロン,ジェシカ・ビール
¥3,980
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大晦日のニューヨーク。多くの人にとって最大の関心事は、年越しのカウントダウンを、誰とどこで迎えるかということ。 妹の結婚式やパーティといった予定が詰まっているのに、心ここにあらずの男は、去年の大晦日に出会った女性が忘れられず...。偶然、再会した、かつて恋人同士だった男女は、別れた後にそれぞれの仕事で大成功していましたが...。死期の迫った孤独な老人は、"ボール・ドロップ"を見たがりますが、担当医は許可しようとしません。同じ病院では、新しい年の最初の出産に贈られる賞金を狙って2組の夫婦がライバル心むき出し。クレアはその"ボール・ドロップ"の準備に追われています。マンハッタンで働くメッセンジャーのポールは、届け物をした会社で今年の"願い事リスト"を持った中年の女性に会い...。シングルマザーの母は、娘とボーイフレンドの行動が心配で...。アパートのエレベーターに乗り込んだ男女は、エレベーターの故障で閉じ込められ...。


ほっこりと温かくなれる作品でした。


どうしよもなく悪いことは起こらず、酷い悪人も登場せず、死や哀しみの中にも希望が描かれ、安心して観ていることができます。


出演陣も豪華で、カウントダウンのイベントの豪華さにふさわしいスターが勢揃い。それでいて、きちんとバランスの取れた作品になっている辺り、実に見事です。


一年が終われば、その直後に新しい一年が始まる瞬間を迎えます。他の当たり前の日付の変わる午前0時と、基本的には同質のものなはずですが、そこに付けられた一年の区切りが、私たちに特別なものを意識させます。一つの区切りを迎える時、そこに、変化を期待する人は少なくないでしょう。漫然とした日々を見直す機会となり、マンネリを打ち破るきっかけにもなるのが、こうした区切りの時。


日本では"一年の計は元旦にあり"などとも言われますが、本作にも、"一年の計"を最後の一日で叶えようとする女性が登場します。この女性に関するエピソードが印象的でした。彼女と若い男性。"年の差婚"がはやりの日本ですが、この2人の関係、なかなか、微笑ましく可愛らしいものでした。少しずつ殻を破って、脱皮するように魅力的になっていく彼女。そんな変化を作り出すのも年が新しくなる時の奇跡なのかもしれません。


生命の誕生があり、死があり、出会いがあり、別れがあり、笑いがあり、涙があり...。ショックなことがあってもそれを乗り越えたりもして...。それは、一年、365日、毎日、この世界に起きていることではありますが、こんな特別な夜には、そんな当たり前の日常について、ちょっと立ち止まって考えてみたくなるもの。


人生全般を考え直したくなるのが年越しの夜、愛について恋について見つめたくなるのがバレンタインデーということになるのでしょうか。では、次は、クリスマス?、それとも...。


ボール・ドロップの会場の映像では、やけに、"TOSHIBA"のロゴが目立っていました。他に日本製品では、真っ白なグランドピアノが河合楽器のピアノでしたね。他には"NIVEA"でしょうか。スポンサーへの気配りもたっぷり。大人の事情もきちんとわきまえた作品でした。


まぁ、都合よすぎるのは確かですが、それは、"大晦日の奇跡"ってことで...。楽しめました。もう、三分の一が終わろうとしている時に何ですが、この2012年を良い年にしたいものです。



ニューイヤーズ・イブ@ぴあ映画生活

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ミッシング~50年前の記憶~

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ミッシング~50年前の記憶~ [DVD]/ジョン・ハム,ジョシュ・ルーカス,ローナ・ミトラ
¥3,990
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警察官のトムは、10歳になる息子トミーを連れて花火を観に行く途中、ダイナーに寄り食事をしますが、トムが数分席を離れ戻ってくると息子が消えていました。それから10年、あきらめきれずに捜索するトムに、息子と同じくらいの子どものミイラ化した遺体が発見されたと通報が入ります。ところが、その遺体は、50年前に殺害され埋められたことが判明、トミーではないことが明らかになります。トムは別の幼児誘拐事件で逮捕されていた男バート・ロジャンニを疑い、尋問するが認めません。トムは、物的証拠をつかもうと捜査を続けます。一方、1958年、借金を抱え、妻に自殺され、住む場所を失い、3人の息子のうち、上の2人を親戚に預け、末息子を連れて仕事を探す男。やっと、見つけた建設現場での仕事も軌道に乗り、彼に好意を寄せる女性も現れたのですが...。


地味な作品です。決して、ツマラナイ訳ではありません。すっごくビッグネームという程ではありませんが、しっかりとした演技のできる出演陣が揃えられ、ストーリーも悪くはありません。かなり早い段階で犯人が分かってしまうのですが、その点が大きな欠点になっているとも思えません。


でも、全体としては、地味...というか、印象が薄いというか...。もっと、面白くなってもよさそうなのに、何かが足りない...。


50年前の事件と10年前の事件、やや、50年前に比重が偏り、10年前の事件の印象が薄くなっていて、そのために、2つの事件が重なっていく過程が心に響かなかったのかもしれません。


それに、犯人の動機も今一つ弱い感じがします。ここは、もうちょっと捻って欲しかったところ。果たして、そんなことで殺すのでしょうか?他にもっと確実で安全な方法もあったような...。特に50年前の事件、息子のジョンを殺すことがその父親の重荷を下ろすことに繋がらないことくらい、父とジョンの様子を見ていれば分かったはずだし、犯人があんなところで手を出さなければ、それなりに平和で幸福な解決に至っていたわけですし...。


他にも思わせ振りに見せられ、放置された伏線もあり、気になります。90分ほどの作品なのに、詰め込み過ぎたのかもしれません。


勿体ない感じがしました。

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デンバーに死す時

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デンバーに死す時 [DVD]/アンディ・ガルシア,ガブリエル・アンウォー,クリストファー・ロイド
¥1,500
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かつて"聖人"と呼ばれていたジミーは、ヤクザな世界から足を洗い、遺言ビデオの製作会社を経営していましたが、内情は火の車。ある日、昔のボスから呼び出され、"仕事"を依頼されます。仲間を集めてボスから命じられたボスの息子を振った女性の恋人を脅すという"仕事"に取り掛かりますが、大失敗。ジミーの仲間は、ボスに命を狙われるようになります。ジミーは、ボスに「街を出れば見逃す」と言われますが、ジミーは、なかなか街を出ようとはしません。彼にはやるべきことが残されていて...。


なかなか渋かったです。ジミーの動きがあまりにのんびりした感じで、少々、イライラしたりもしましたが、段々、彼なりの仁義の切り方がカッコ良く思えてきます。不本意ながらも引き受けざるを得なかった昔のボスからの命令。彼は、そこに仲間を引き込みます。本来、それ程、難易度が高いとも思えない内容の"仕事"でしたが、そこに仲間を誘ったのは、人手が欲しいというより、仲間に手間賃を渡すためだったのでしょう。


けれど、彼は、その仲間故に大きな失敗をします。役割分担の仕方について仲間に押し切られ、そのことが原因となった失敗。成程、この人の好さゆえの"聖人"の呼称なのでしょう。けれど、ジミーの人の良さが大きな悲劇の種となります。悪事を成功させるためには、変に情に流されず、冷徹な計算のもとに行動できなければならないということなのかもしれません。


仲間に報酬を渡すためには"仕事"を成功させなければなりませんでした。そのためには、役割分担をもっと練る必要があったのです。そこでビルの我儘に引いてしまったことで、結果的に、その後の悲劇を招いてしまったわけですから...。まぁ、ヘンリーなりの"復讐"はしているわけですが、それで、取り返しがつくってものでもないでしょうし...。


ジミーについて語る老人は、ジミーが昔は悪かったのだと言います。どのようにどれ程悪く、それが、何故、"聖人"になったのか、その辺りがよく分からなかったのですが、それについて、何か示唆されていましたっけ?


ラスト。再び、老人は、ジミーの物語を始めます。ジミーたちは、老人の物語の中で生き続けるのでしょう。よく、人は二度死ぬと言います。一度目は命を失った時、二度目は人々に忘れられた時。そう、ジミーには、まだ、二度目の死は訪れていないのです。


最初、ちょっと分かりにくかったですが、なかなか印象的なラストでした。何だか緩い感じで、残酷な殺し方をされようとしている割には緊迫感が感じられず、全体的には、可もなく不可もなくといった感じでしたが、レンタルのDVDでながら見するには悪くないと思います。



デンバーに死す時@ぴあ映画生活

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フェイク・クライム

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フェイク・クライム [DVD]/キアヌ・リーヴス,ヴェラ・ファミーガ,ジェームス・カーン
¥3,465
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ニューヨーク州北西部の都市、バッファローのハイウエイ料金所で深夜働くヘンリーは、看護師の妻と漫然と日々を過ごしていました。ある日、高校時代の悪友たちから野球の試合に誘われます。球場に向かう途中、車を銀行の前に停め、お金をおろしに行くという友人たちを待っていたところ、突然ベルが鳴ります。知らないうちに彼は強盗の運転手にさせられていたのでした。訳も分からず逮捕されたヘンリーは仲間のことを一言も喋らず、懲役3年の刑に処せられます。1年後、仮釈放されたヘンリーですが、妻は彼を陥れた悪友の一人の子どもを身籠っていました。その後、ひょんなことから舞台女優のジュリーと知り合います。彼女が出演するチェーホフの「桜の園」を上演する劇場から隣にある銀行に通じる地下通路があったことを知ったヘンリーは、やってもいない銀行強盗の罪で服役したのだから、その分を取り戻そうと、銀行強盗を計画し...。


しっかし、このヘンリーってヤツは、何考えているんでしょうか?頑張りどころが違い過ぎなのです。何故、最初に技能強盗で無実の罪をきせられた時、自分を陥れた人たちを庇ったのか。そして、無実の罪で服役したからって、出所後にその犯罪を実行してしまうなんて、これもまた、何考えているのだか...。


とにかく、ヘンリーが行き当たりばったり。ずっと刑務所で生活していたかったマックスを誘って実行した銀行強盗なのに、簡単に自分を裏切った男の一人を仲間にしてしまったり...。他人の人生を自分の都合で大きく変えさせてしまいながら、この無責任さ。


これでは、元妻が心変わりするもの当然です。きっと、ジュリーも苦労することになるのでしょうね...。


肝心の計画もあまりに杜撰。かつて、銀行強盗犯として逮捕された人物が、その時に狙われた銀行の周辺をウロウロすれば、普通、もっと疑われるでしょう。ヘンリーの行動に疑問を感じたのが警備員一人とは!こんな銀行が、ヘンリーたちにターゲットにされるまで無事でいたのも不思議なような...。


大体、あんな大掛かりな穴掘りをやっていれば、音や振動を不審に思われない方が変。穴掘りをする側も、その辺りに配慮している雰囲気はまったく感じられなかったのですが、あれで、音も振動も他の人たちにバレない...ってことはないですよね...。


ということで、間の抜けた、緊張感もなく、ドキドキハラハラもない緩い作品でした。



フェイク・クライム@ぴあ映画生活

アーティスト

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アメリカ、アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞などその年の最多部門に輝いた作品。


1927年のハリウッド。女優を目指すペピーは、偶然、映画界の大スター、ジョージと知り合い、彼からアドバイスをもらって有名になっていきます。ちょうど、サイレント映画からトーキー映画に移っていく時代。サイレント映画で成功していたジョージはトーキー映画の隆盛と共に没落していきます。ペピーはそんな彼を気にかけていましたが...。


3Dの派手な映像が増えてきた今の映画。そこにモノクロのサイレント映画。これは、確かに新鮮です。そして、ただのサイレント映画ではありません。トーキーを作れる時代でこそのサイレント。特に、サイレントからトーキーに代わっていく時にジョージが見た夢の映像は面白かったです。


大きな変化が押し寄せてきた時、そこに巧く対応して新しい流れに乗っていく人と乗れずに後れをとっていく人。古い時代に成功していた人ほど、新しい流れに乗りにくいものでしょう。成功していたということは、その時代の価値観に最も適応していたということにもなるわけですから、どうしても、新しい時代とのギャップも大きくなってしまうわけで...。


サイレント時代の一大巨匠、チャップリンもサイレントにこだわった一人だったと思います。


実際、サイレントからトーキーに替わっていった時、多くのサイレント時代の大物人気俳優が活躍の場を失いました。サイレント時代のイメージがあまりに強すぎて新しい時代に合わないと判断されたり、声質や発音が良くないとか、理由はいろいろあったようですが...。


明暗を分けた2人。一方は時代の変化とともに活躍の場を失い、一方は瞬く間に階段を駆け上がり...。階段が舞台になっている場面がいくつかありましたが、確か、おちぶれてからのジョージは、いつも階段を降っていたような...。


サイレントにしても、字幕で示されるセリフは少なめだった様に感じました。その分、自然と"演技"に注意が向けられます。日頃観ているトーキーよりも、映像に集中して観ていたような気がします。まぁ、ほとんど極限までセリフを排除した作品である分、ストーリーは分かりやすい単純なものになっていた感じもしますが、表現の"技"で魅せる作品になっていたと思います。


そして、何より"アギー"。本作で一番、印象的な演技を見せてくれる存在と言ってもいいでしょう。特に、クライマックスの"BANG"には笑わされました。


二匹目、三匹目のどじょうを狙える作品ではないと思います。でも、3Dなどのハイテクで魅せる作品が多くなっている今だからこそ新鮮な味わいを楽しめる作品になっているのだと思います。どんどん派手に大げさになっていく映像に食傷気味になっている今だからこそ。そういう意味では、製作、公開の時期も良かったのかもしれません。


できるなら、映画館で観ておきたい作品だと思います。お勧め。



公式サイト

http://artist.gaga.ne.jp/



アーティスト@ぴあ映画生活

テイカーズ

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テイカーズ [DVD]/マット・ディロン,ポール・ウォーカー,チップ“TI”ハリス
¥3,990
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綿密な計画と意表をつく作戦で、次々に大掛かりな銀行強盗を成功させゴージャスでスタイリッシュな生活を楽しんでいる男たち5人のチーム"TAKERS(テイカーズ)"。普段は別々に生活しながら、1年に1度集結して犯行に臨んでいました。ある日、警察に捕まっていた元の仲間、ゴーストが出所し、現金輸送車襲撃の計画を持ちかけます。メンバーは躊躇するも、ゴーストへの負い目と大金に目がくらみ、新たな強盗の準備をたった5日間で行うことを決めます。しかし、ロサンゼルス市警のウェルズ刑事は、彼らのかつての犯行の真相に少しずつ迫っていて...。


犯罪のプロ集団で、それで生活費を稼いで優雅に暮らしている人々のようなのですが、それにしては、不用心で抜けているのです。


何よりも、"ゴースト"の計画に簡単に乗り過ぎ。プロなんだから、臆病と言われようと腰抜けと言われようと用心深くなくてはいけないのではないかと...。準備にじっくり時間をかけるのが彼らのスタイルの様子。それは、しっかり守らなければならないですよね、普通。そこをしっかりと守ってきたからこそ、これまで、無事に過ごしてこれたのでしょうし、その点については、自覚があったはず。いざとなったら"ゴースト"を切り捨てる算段までしているのですが、その割には、彼の周辺を探ろうという意思が見られないというのも違和感あります。大体、無理してまでこの計画に乗らなければならないほど経済的に困っていたとか、どうしても断れない状況にあったメンバーがいたようには思えませんし...。


そして、準備の段階で尾行されていることに気づきながら尾行相手について何も対処していないというのも何を考えているんだか...。ちょっと調べれば彼らが警官だということも分かるでしょうに。ウェルズ刑事も、車のナンバーも控えているのだから、もう一歩、迫るべきだったのですよね...。


"元妻に邪魔されなければ"娘と行動できるといったウェルズ刑事でしたが、彼の愛娘との休日を駄目にしたのは、彼自身。そこまでして犯人を逮捕したかったのなら、もうひと頑張りすべきだったでしょう。そんな中途半端なことをするくらいなら、娘との一日を大事にすべきだったでしょう。


まぁ、ホテルであれだけ派手な銃撃戦を繰り広げても、しばらくは放置されていて、警官が駆け付けるまでにも随分な時間がかかっているようですから、犯人の側も、取り締まる側も程よくバランスが取れて抜けていて、ちょうど良い相手になっているということでしょうか...。ウェルズ刑事も、空港の駐車券を見つけたのに、空港に警官を張り付けるための動きをしなかったのは何故なのか...。


この、追う側も追われる側も、都合よく不用意で、都合よく賢い感じが何とも間が抜けて、中途半端で、作品の世界に浸れませんでした。


何とも残念な作品です。



テイカーズ@ぴあ映画生活

映画版 犬飼さんちの犬

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映画版 犬飼さんちの犬 [DVD]/小日向文世,ちはる,佐藤二朗
¥3,990
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単身赴任から戻った犬嫌いのお父さんと、お父さんが不在の間に家族が飼いはじめた犬の間の騒動を描くドラマの劇場版。ドラマは観ていません。


離島の店に単身赴任していたスーパー勤務の犬飼保は、犬飼という苗字ながら、大の犬嫌い。可愛らしい子犬にさえ怖くて近付くことができません。ある日、仕事の関係でしばらく自宅に戻ることになりますが、1年振りに帰った家には、何と犬がいました。真っ白なサモエド犬の"サモン"くん。それは、子供たちが「父親に似ているから」との理由で飼いはじめた犬で...。


まぁ、犬飼さんちに生まれてその姓を受け継いだだけで、犬嫌いだと不思議がられるというのも無体な話ではあります。世の犬飼さんが皆、犬を飼っているわけでもないでしょうし...。


何とも可哀想なお父さんです。単身赴任中に勝手に大嫌いな犬を飼われてしまった。そして、その犬には、自分の居場所であった書斎が割り当てられ、自分が愛用していた袢纏を与えられ...。犬を飼いたくなってしまうところまでは分かります。でも、外で飼うこともできたでしょうし、何もお父さんが使っていた書斎でなくても良かったワケで...。


最初、犬を飼うことに反対していたお父さんが、いざ、犬を飼いはじめると、家族の中で一番犬を可愛がるようになっていた...というのは、あるハナシ。随分前でしたが、我が家で犬を飼った時も、最初反対していた父が、一番、犬にメロメロになっていました。でも、この犬飼さんのお父さんの犬嫌い、というより、犬への恐怖心はかなりのもの。やっぱり、ちょっと、可哀想ですよね...。そんなお父さんに簡単に犬を任せ、散歩までさせてしまうお母さん。特に夫婦仲が悪い様子もない...というより、仲の良さそうな家族なのに、このお父さんの気持ちへの配慮のなさは不思議な感じすらしました。その後明らかになるお父さんの小さいころの絵日記について何か知っていたという設定だったら納得できるのですが...。


ただ、この犬飼さんの犬への恐怖心の描き方が極端すぎた感じもします。元々は犬好きだったというエピソードも登場するくらいで、ここまでの怖がり方、嫌悪感というのは、違和感ありました。


犬飼さんの犬嫌いが、ここまで極端な形ではなく、その後の展開ともっと巧く繋がる形で描かれていれば、違和感なく、もっとすんなりと受け止められたのではないかと思います。


"サモン"くんは、可愛くて名演技でした。そして、本作が、"犬が可愛いんだからそれでいいだろう"的な作品ではなく、犬飼さんのお父さんをはじめ、登場人物がきちんと描き、お父さんの心境の変化と家族の絆の深まりも丁寧に描く作品になっていた点も良かったです。


主演の小日向文世が役柄にぴったりと合っていて、見事な味わいを出していました。あまり期待はしていなかったからということもあるのかもしれませんが、結構、楽しめました。



犬飼さんちの犬@ぴあ映画生活

「名探偵コナン」の劇場版、第16作。


コナンが居候している毛利探偵事務所に脅迫電話がかかり、その後、事務所が入っているビルの下で自動車が爆発します。さらに犯人から謎の暗号が伝えられ、それを解かないと爆弾が爆発するとのこと。毛利は、爆弾が仕掛けられている場所を推理し、そこに駆けつけますが、爆弾は見つかりません。そこ頃、サッカー観戦を楽しんでいたコナンは、毛利探偵の娘、蘭からの電話で脅迫電話のことを知り、暗号の解読に乗り出しますが...。


息子に付き合って観に行ったのですが、いっくらなんでもこれはないんじゃないかって内容でした。"復讐譚"なのですが、どう考えても、被害と報復が見合っていません。確かに子ども一人の命は大切ですが、仮に、救急車が早く病院に着いていても助かったかどうかは分からないワケで、ここまでするほど恨みを抱くというのは違和感あります。それに、こんな大掛かりな犯罪を全く個人で、しかも、この手のことにはド素人な人物が実行してしまうというのは、コナンの超人的パフォーマンス以上にあり得なさ過ぎ!!


まぁ、爆弾に詳しい人物と協力関係にはあったようですが、こんな大掛かりなこと、滅多矢鱈にできるものではありません。こんなに大量の爆薬の入手だって大変ですよね。協力者がいれば、そちらへの報酬も必要なわけで、大量の爆弾の製作費も併せて、かなりの費用が必要だったはず。犯人が大金持ちだったようにも思えないのですが、どこから、その資金が出てきたのか...。ゴールポストにも細工しているようですが、これだって、10カ所もの競技場でやるのは、相当のこと。どこか大きな国の諜報機関が全力で動くとかじゃなきゃ無理でしょう、普通。大体、あの装置も目立ち過ぎ。もっと、ちょっと頑張ればできるレベルでないとあまりのあり得なさに気持ちが引けてしまいます。


これだけ大規模な犯罪だと、犯人の動機とか何とか考える必要はなく、"この規模の計画を実行する能力や費用を持っている人物"を探せば自ずと答えは出るって感じです。


そして、実名で登場し、本人が声を担当しているサッカー選手たちのあまりの棒読みが泣けてきます。こちらも、いくら何でもなレベルでした。どうしても"本人出演"に拘るのならば、実際の試合やファンサービスの機会などで声を拾って、それに絵を合わせたらよかったのではないかと...。


意味ありげだけど何でもなかった手帳とか、TV局の怪しげな2人とか、中途半端に消えていってしまったのも気になりました。


いっくら、お子ちゃま向け漫画映画だとしても、これはないってレベルです。子どもをバカにしているのでしょうかねぇ...。


コナンの魅力の一つであるお間抜けな毛利探偵とコナンの掛け合いの面白さとか、そういったところをもっと見せて欲しかったです。


爆発シーンとか、コナンのスーパーな活躍シーンは、凝った映像で迫力ありましたが、それだけ。正直、お金を取っていい作品とは思えませんでしたが、製作者側は何を考えていたのでしょう?


もっと、地味な事件でも十分だと思います。まだ、次作もあるようですが、毛利探偵の面白さと、コナンとの掛け合いの楽しさといったコナンならではの魅力をしっかり感じられる作品を期待したいです。



公式サイト

http://www.conan-movie.jp/index.html



映画 名探偵コナン 11人目のストライカー@ぴあ映画生活

ロック ~わんこの島~

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ロック ~わんこの島~ DVD スタンダード・エディション/佐藤隆太,麻生久美子,土師野隆之介
¥3,990
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三宅島、2000年6月26日に始まった群発地震と8月の大噴火。9月初めには全島民が避難することになります。三宅島に住む一家の姿を実話をもとに描いた作品。


三宅島で民宿「たいよう」を営む野山一家(父の松男、母の貴子、息子の芯、父の母である房子)。芯は、責任をもって世話をするという約束で、房子が飼っていた犬が産んだ子犬をロックと名付けて飼いはじめます。芯もロックもすくすくと育っていった2000年、6月から群発地震が起こり、8月には大噴火。芯は両親と離れ、島から避難することとなります。やがて、全島民が避難することになり、松男、貴子と房子も島を離れます。芯は、再び、両親と暮らせるようになりますが、ロックとははぐれてしまい...。


住み慣れた故郷から引き離される人々。長年、築いてきた地域社会も崩れ、生活の糧を得る元であった仕事もできなくなり、全てをゼロから建て直さなければならない状況に置かれるということの厳しさが描かれます。


避難指示が出された2000年9月2日の4年5カ月後の2005年2月1日、避難指示が解除されました。長い期間にわたる避難生活のため三宅島以外に生活基盤を移した住民も少なくなかったようですが、2010年の段階で約3000人が帰島しているとのこと。現在も、まだ、火山ガスの噴出が続いているという状況の中、やはり、人々の故郷への想いの強さなのでしょう。


本作もその生まれ育った故郷への気持ちに溢れています。


ただ、残念ながら、映画として面白かったかというと、そうでもないような...。


芯のナレーションで説明される部分が多過ぎて、饒舌な印象になってしまったかと...。そして、いろいろなものを詰め込み過ぎて、詰め込まれた要素のバランスも悪くて、散漫で冗長な印象の作品になってしまっています。


いくら、犬が可愛くても、子どもが健気でも、これでは、集中が途切れてしまいます。中心となる柱をしっかりと作って、サイドストーリーとのバランスを巧く取って欲しかったです。


演技陣はそれぞれ好演していましたし、決して特別につまらない作品ではないのですが、残念な作品でした。



ロック ~わんこの島~@ぴあ映画生活

銃殺

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銃殺 [DVD]/ダーク・ボガード,トム・コートネイ,レオ・マッカーン
¥3,990
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第一次大戦が3年目となった1917年。逃亡罪でハンプ二等兵は軍法会議にかけられることになります。彼の弁護を担当することになったハーグリーブス大尉は、はじめはその任務に気が乗りませんでしたが、ハンプ二等兵の生い立ちや逃亡の理由を聞くうちに、彼に同情するようになり...。


最初の世界大戦だった第一次大戦。そこには、それまで以上に過酷な戦闘が繰り広げられていたことでしょう。3年もの間、前線から前線に渡り歩く生活。一緒に志願して入隊した仲間も次々に殺され、いつまでたっても戦争の終わりは見えてこない。


そんな戦場にとどまり続けろということの方が酷なわけですが、軍隊の都合としては、逃亡兵を許すわけにはいかないということなのでしょう。逃げ出した者を許してしまえば、軍隊は成り立ちません。兵士の多くは、喜んで戦いの場所に居続けているわけではなく、できるものなら帰りたいと願っていることでしょうから。ハンプの仲間に、自らの足を銃で撃ったものがいたように、自分の身を傷つけても戦場から離れようとした者はいたわけです。


弁護をすることになったハーグリーブス大尉との対面の場面、裁判での場面、ハンプの愚かなまでに不器用で真っ直ぐな性格が表れています。その真っ直ぐさは、ハーグリーブス大尉の意欲を引き出しましたが、裁判の場面では、自身に不利に働いています。


そして、裁判の終了と判決。判決の後のハーグリーブス大尉とその上官との会話に、この裁判の裏にあったものが見えてきます。


軍隊の都合に翻弄されるハンプの命。国にしてみれば、軍隊にしてみれば、一兵卒の命など消耗品に過ぎないのかもしれません。けれど、彼には彼の人生があり、家庭があり、生活があり...。いろいろなものを背負いながら軍隊にいたのです。


平時であれば大切に扱われるはずの人の命。それが、まるで一個の武器のような消耗品として扱われてしまうのが戦争。そこに、戦争の酷さがあるのでしょう。


処刑される側が一人の善良な国民であるのと同じように、処刑を担う側も不本意な仕事をさせられる一人の犠牲者。何のための死刑判決なのかという疑問を残してラストを迎えます。


粗末に捨てられたハンプの命。軍隊にとっては損失と言えないほどのものだったのかもしれません。そのあまりにもあっさりとした捨てられ方を思う時、残酷さも感じます。けれど、同時に、第二次大戦下の日本軍で、ハンプ程にも大切にされなかった多くの兵士がいたことを考えると複雑なものも感じます。


戦争の酷さを見事に表現した見応えのある作品だと思います。お勧め。