暗戦 デッドエンド

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暗戦 デッドエンド [DVD]/アンディ・ラウ
¥1,500
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香港警察の刑事、ホーは重犯課の敏腕刑事。ある日、末期がんに侵され余命がわずかであることを知らされたチャンは、金融会社に乗り込んで人質を取って立て籠もります。チャンは、交渉人にホーを指名。チャンは、「これはゲームだ。72時間以内に逮捕してみろ!」と、ホーに挑んできます。チャンが仕掛けた罠に翻弄されながらも、ホーは必死にチャンを追いますが...。


自身の余命が幾ばくもないと知った男が復讐のための完全犯罪を企むという話。まぁ、ありがちと言えば、ありがちですが、シャープでスタイリッシュな空気を醸し出すチャン役のアンディ・ラウと彼を追うホー刑事役のラウ・チンワイが、それぞれにいい味を出していて見応えのある作品に仕上げています。


テンポもよく、派手すぎず奇を衒わないアクションが渋くてかっこよく、ラブストーリーの入り方も程よくバランスが取れ、チャンとホーの関係も納得のできる描かれ方で、なかなか、楽しめました。


意外性やどんでん返しを狙って無理して面白さを削いでしまう作品が目立つ中、予測不可能性を犠牲にしても全体のバランスやストーリーの自然さ(無理のなさ)を優先させたように受け取れる本作は、しっかりと、エンターテイメント作品として成立しています。(唯一、無理をしたのが"女装"だったかもしれませんが、まぁ、サービスと受け取りましょう。)


ラストの"プレゼント"の辺りも、粋な感じがしました。


肩肘張らず、けれど、きちんと作られた感じが心地よく、最初から最後まで作品の世界に浸ることができました。



暗戦・デッドエンド@ぴあ映画生活

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ゴーストライター

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ゴーストライター [DVD]/ユアン・マクレガー,ピアース・ブロスナン,キム・キャトラル
¥3,990
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ある作家が、元英国首相アダム・ラングの自叙伝をゴーストライターとして執筆することを依頼されます。ラングが滞在する真冬のアメリカ東海岸の孤島に1ヵ月缶詰にされることと、締め切りまで時間がないことを除けば、おいしい仕事のはずでした。けれど、前任者のゴーストライターは事故で死んだとのこと。不気味さも漂います。それでも、仕事を引き受けますが、その直後、ラングに、イスラム過激派のテロ容疑者を"不法"に捕らえ、拷問にかけたという戦犯容疑がかけられます。そして、ゴーストライターも、ラングの発言と前任者の遺した資料との間に矛盾を見出し、ラング自身の過去に隠されたもっと大きな秘密に気付き...。


政治家、それも、一国の首相経験者ともなれば、重要な機密の数々に触れているのは当然。時には、正義感からにせよ、功名心からにせよ、私利私欲のためにせよ、各種の陰謀の類に積極的に関与していることもあり得るでしょう。権力を握るということは、そういう立場に立つということなのでしょうから。


ゴーストライターとして自叙伝の執筆をするとなれば、その人物の闇の部分にも目を惹かれることもあるのでしょう。そして、変なところに興味を持ちすぎることが命の危機を呼ぶこともあるかもしれません。


ただ、そうは言っても...。


自叙伝ということで公に出版するのですから、秘密にしたくなるようなディープな部分は出さない前提なのですよね。それなのに、前任のゴーストライターは、その範囲を超えてしまったわけです。それは、ラングの側が不用意にその材料を渡してしまったのか、あるいは、ゴーストライターの側が自主的に"余計なこと"まで調べてしまったのか...。


いずれにしても、ゴーストライターに求められた仕事は、ラング自身による下手な原稿を面白い読み物に書き換えるという作業なのですよね。本来、自分で資料を調べたりするような部分は含まれなかったのではないかと...。違いましたっけ...?


まぁ、それは、少々、"仕事に熱心であり過ぎた"だけだからヨシとして...。


主人公である2人目のゴーストライター氏。あまりに不用心な気がしました。彼自身、前任者の死に不審なものを感じていたのに、何故、もっと用心しなかったのか...。そして、彼を追う側も、ラストに至る前までの段階では、追い方があまりに手緩い感じがします。


車のナビを使って、前任者の足取りを確認した辺り、なかなか面白かったのですが、その後の追いつ追われつに緊迫感があまりなく、少々、興醒めです。それに、そもそも、主人公の"正直でウソをつけない"という設定に問題ありでしょう。ゴーストライターなんて、どう考えても墓場までもっていかなければならない秘密を抱えなければならなさそうな仕事。そんな性格の人がゴーストライターを引き受けてはいけないと思うのですが...。


謎解きそのものの展開は面白かったので、主人公の人物設定に工夫があり、敵側の本気度がもっと高ければ、ぐっと面白い作品になったのだろうと思いますが...。



ゴーストライター@ぴあ映画生活

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パーフェクト・ストレンジャー

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パーフェクト・ストレンジャー [DVD]/ハル・ベリー,ブルース・ウィリス,ジョヴァンニ・リビシ
¥1,480
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新聞記者のロウィーナは、幼馴染のグレースの死の真相を追うことになります。ロウィーナは、自分の素性を隠し、グレースと関係があったとみられる大手広告会社の経営者、ハリソンに接近します。元同僚のマイルズの協力を得ながら、ハリソンの秘密を探りますが...。


謎解きの面白さ、意外性が本作のウリのようですが、残念ながら、その点についての醍醐味を味わうことは難しいです。主要な登場人物は3人。最初に怪しげなハリソン。次に気になるマイルズ。となれば、ラスト7分11秒に明らかになる人物は1人しかいません。そして、その人物が解答なのだとしたら、動機は、時折挟み込まれる意味ありげな映像から想像できる内容になっているはず。


で、その通りの結末に向かっていきます。


サスペンスものだからといって、結末の意外性だけでその面白さを評価することはできないでしょう。例え、結末が見えてしまったとしても、そこに至る過程に描き方に工夫があったり、登場する人物たちに魅力があったり、背景にあるものに物語が感じられたりすれば、面白い映画になり得る訳ですが、本作の場合、無理矢理、意外性を狙った感じが前面に出ていて興醒めです。


ロウィーナが、何故、ハリソンに狙いをつけたか、その点もよく分かりません。特に、個人的な恨みがあった様子はなく、それで、そこまでやるか...という疑問が湧きます。そもそも、グレースの死の真相を探ろうなんていう行動に出る必然性もないわけで...。無駄なことせず、放置しておけばよかっただけのことのような...。


その辺りの"ナゼ?"がきちんと描けていないために、観ていても、次々に???が浮かんできて、作品に集中できません。


ハリソンを演じたブルース・ウィルスは、さすがの演技だとは思いますが、キャラクターにあっていない感じは否めません。ロウィーナを演じたハル・ベリーは、彼女の持つ様々な顔を表現し、特に面白さが感じられない作品の中でも輝きを見せていました。マイルズを演じたジョヴァンニ・リビシは、不気味な変態さを見事に表現。主要人物が頑張っているわけですが、それをきちんと生かせていないのは、何とも、勿体ない話。


ハリソンを意味ありげに尾行する妻の行動とか、ハリソンのロウィーナへの追及が緩いとか、伏線のような伏線ではないような中途半端な場面や設定がいろいろとあり、その点でも消化不良。


もっと面白くできるはずの作品なのに...。



パーフェクト・ストレンジャー@ぴあ映画生活

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夏の終止符

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夏の終止符 [DVD]/グレゴリー・ドブリギン,セルゲイ・プスケパリス
¥4,300
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ロシアの北極圏辺境の島の気象観測所で長年働いているセルゲイは、自身の仕事を重要なものととらえ、黙々と忠実に任務に励んでいます。ひと夏のアルバイトとしてやってきたパーシャはイマドキの若者。セルゲイは、パーシャに厳しく仕事を教えますが、パーシャはマイペースで過ごします。パーシャに一通りのことを教え込んだセルゲイは、仕事を任せてマス釣りに出かけます。パーシャは寝坊して観測のタイミングを逃し、ウソの報告をしてしまい...。


恐らくは、放射能汚染が心配されている地域。放射線量を計測する機器が振り切れているような場面もあり、それにしては、着るものから何から無防備な2人の様子が気になりますが、彼らの主要な任務は放射線量の計測なのでしょう。


観測所は、恐ろしいほどに美しい大自然に囲まれています。けれど、そこには、人を寄せ付けない厳しさがあります。パーシャが、何故、この仕事をすることになったのか、その背景は説明されませんが、多分、そこでの生活は彼の予測を超えたものであったことでしょう。


データを丁寧に手書きで記録するセルゲイとPCでチャッチャと処理するパーシャ。真面目に仕事に取り組むセルゲイと、できるだけ簡単に済ませようとしている感じのするパーシャ。空き時間の過ごし方にもジェネレーションギャップが見られます。けれど、たった2人の世界。徐々に、2人の距離も縮まっていきます。


ところが、セルゲイはマス釣りに出かけてしまいます。その間にしてしまったミス。そして、セルゲイに当てられた伝言。パーシャは、セルゲイが戻っても伝言を伝えられません。1人になって、この環境の中で頼る者もなく生活することの怖さを実感したのかもしれません。パーシャのミスを叱責されることへの、セルゲイに置いていかれることへの怖さから出たウソ。そこに、さらに、ウソが重ねられていきます。


真面目で朴訥な人柄を感じさせるセルゲイに対するパーシャの言動には、なかなか、受け入れがたいものがあります。この辺り、もう少し、パーシャに気持ちを寄せたくなるような描写があっても良かったような気がします。パーシャがここに来た背景とか、その辺りを巧くからませてただのチャラチャラした若者ではないところを見せてほしかったような...。まぁ、ただのチャラチャラした若者なら、そもそも、ここへは来なかったのかもしれませんが...。


そして、セルゲイに対してとんでもないことをしてしまうパーシャ。けれど、元々、セルゲイには"覚悟"があったのかもしれません。もう相当に長くそこに住んでいるのでしょうから。そして、毎日毎日、観測をし続けてきたのですから。


パーシャの弱さを受け入れ赦したセルゲイと自分の弱さを一歩乗り越え成長を見せたパーシャ。2人が抱擁しあうシーンが胸に沁みました。


たった2人の登場人物。交わされる言葉も少なく、彼らや舞台設定についての説明もほとんどされません。大体のところを想像する材料は提供されますが、それも、最低限のもの。登場人物の行動が唐突に思える部分もあったりして、分かりにくい部分も少なくない、やや不親切な構成の作品ですが、2人の演技に引き込まれました。


地味ですが、なかなか見応えのある作品でした。



夏の終止符@ぴあ映画生活

最終突撃取材計画!

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最終突撃取材計画! [DVD]/ケヴィン・ファーレイ,デニス・ホッパー,ジョン・ヴォイト
¥3,990
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独立記念日を撤廃する運動を始めたドキュメンタリー映画の監督、マイケル・マローン。アラブのテロリストたちは、彼を"反米的"だと受け取り、彼を使って、テロを正当化する映画を撮らせようとします。一方、アメリカ史上の重要人物ジョージ・ワシントン、パットン将軍、カントリシンガーのトレース・アドキンスの3人が精霊となり、マローンの前に現れ、彼を愛国者に変えようとして...。


ひとことで言えば、マイケル・ムーアをおちょくった作品。


原題が"AN AMERICAN CAROL"となっていることからも分かるように、3人の精霊が悪人を改心させる「クリスマス・キャロル」をなぞったストーリーとなっています。明らかにマイケル・ムーアをモデルにした"反米的"なドキュメンタリー映画監督、マイケル・マローンを3人の精霊が"改心"させ、愛国者に仕上げていきます。本当に、マイケル・ムーアは反米的かということろにも疑問は残ります。確かに、彼の作品は、アメリカ社会の問題点を抉っていますが、愛するアメリカを何とかしたいという切ないまでの"愛"が感じられるのですが...。


まぁ、それはともかくとして...。


内容的には、強いアメリカ万歳!、アメリカがあちこちに仕掛けてきた戦争は全て正しい!、アメリカにこそ正義はある!っところです。すでに少なからぬ人が住んでいる土地を"発見"し、乗り込み、先住者たちから奪ったところに建国されたのがアメリカ。基本的に"力=正義"で何でも力でねじ伏せてきたのですから、そこを認めないと辛いのでしょうけれど...。


そして、最後に正義は勝つ!マローンは、見事に捻じ伏せられ、戦争万歳!となります。マローンだけでなく、彼にテロを正当化する映画を撮らせようとしていたアラブ人までが、アメリカ万歳!になってしまいます。


その挙句、「国民よ国に求めるのではなく、国のためにできることを考えよう」(by JFK)ですからねぇ。大義名分もなく、国連の賛意も得られない戦争を私利私欲のために仕掛け、国民の命を浪費するような政府のために何ができるのか考えるべきだと言われて、多くの人が素直に頷くのだとしたら、困りものです。しかも、アメリカのように強大な軍事力を持った国がそんな状態だとしたら、おっかなくてやっていられません。


9.11後は特に保守化し、言語統制が進んでいると言われる、アメリカ。からかいの対象がマイケル・ムーアだったから、本作の"言論の自由"は認められたのでしょうけれど、本作とは逆にガチガチの翼賛主義者を"改心"させるという内容だったら、社会的にどう扱われたのか、気になります。


まぁ、社会的に影響力を持つ人物を批判するということ自体は悪くないと思うのですが、誰かを非難したり貶したりする場合、その主体である"こちら側"を冷静に見る視点も同時に持っていないと薄っぺらな批判になってしまうような気がします。一見、対象を笑いものにしている漫画や物真似にしても、相手への愛がないと楽しく観られるものにはならないですよね...。その"対象への愛"が感じられないのですよね...。相手をきちんと見ようともせずに嘲笑っているという感じが気持ち悪いのです。そもそも、権力におもねる側が、こうしてお金をかけて権力を批判するものを笑うという構造が気持ち悪いのですが...。


3人の精霊たちも、完全なる善ではないはず。その辺りを冷静に捉える視点が欲しかったです。その辺りのバランスが良ければ、もっと笑えて考えさせられる作品になったはずなのですが、そういう方向を狙った作品でもないのでしょうね。仕方ないか...。

ラスト・ターゲット

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ラスト・ターゲット [DVD]/ジョージ・クルーニー,ヴィオランテ・プラシド,テクラ・ルーテン
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冬のスウェーデン。暗殺を生業とするジャックは、連れの女と雪原を歩いているところを狙撃され、スナイパーを返り討ちにすると、一緒にいた女も撃ち殺してしまいます。スウェーデンを後にしたジャックは、ローマで組織の連絡係と接触。“誰も知り合いを作るな”との指示を受け、山奥の村に身を隠します。男は自らをアメリカ人のカメラマン、ジャックと名乗り、静かで穏やかな日々を送ります。そこで、彼は美しい娼婦クララと出逢い、彼女は、謎めいたジャックに魅かれていきます。ある日、武器職人でもあるジャックは組織を通じて、マチルデという女から狙撃銃の製作を依頼されます。彼はこれを最後の仕事と決意し、依頼を引き受けますが...。


孤独な稼業に耐えられず、すぐ"お友だち"を作ってしまう寂しがり屋の殺し屋...といったところでしょうか。冒頭のシーンで罪もない"友人"を撃ってしまうジャック。後の場面で、彼女が裏切り者でも何でもないことをジャックが認識していたことが分かるのですが、それでも殺してしまったことに何の呵責も感じていないのでしょうか。殺し屋が"お友だち"を作ったらどうなるか、分かっているはずなのに、コリもせず、他人と親しくなってしまう辺り、反省というものをしない人物なのか、あまりに寂しがり屋なのか...。いずれにしても、殺し屋向きのキャラクターではないようです。


イタリアの田舎の村にたった一人のアメリカ人。何だかワル目立ちしています。そもそも、殺し屋の潜伏先としてそんな場所を選んでしまって良かったのかということもありますが、そんな中での孤独をしっかり描けていないうちに、お友だち作りに励んでしまうという展開は、あまりに、軽いような...。


そして、命が狙われていることは分かっているはずなのに、何故か、その相手を詮索しようともせず放置しているというのも、腕の良い殺し屋らしからぬ行動。普通、この状態で「引退さえすれば、万事、解決」とは考えないですよね...。あまりに不用心というか、楽天的というか...。こんなんで、よく、今まで生きながらえてきたものだと不思議な感じがしてしまいます。


もっとしっかりと、"腕利きの渋い殺し屋"らしいキャラクターを作りこんで欲しかったです。寂しがり屋の反省のできないしょぼくれたおじいちゃんでは、緊張感もなにもあったものではありません。"田舎の村で人とのかかわりの暖かさに触れ、それまでの生き方を考え直し、自分を狙っている人物を探って片を付けたうえで、普通の人間として村の中で新たな人生を開いていく"的な展開であれば、作品に深みが出たと思うのですが...。


残念な作品でした。



ラスト・ターゲット@ぴあ映画生活

僕達急行 A列車で行こう

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全国規模の不動産会社に勤務する小町と下町の鉄工所の跡取り息子の小玉。"鉄っちゃん"な2人は、ある時、ローカルな路線の車両の中で出会い、その後、東京で再会します。配管の欠陥の修理のため住んでいたアパートを出なければならなくなった小町は、小玉の鉄工所の寮に入りますが、やがて、小町は九州に転勤になり...。


ほのぼのとした温かい作品でした。まぁ、ありがちな内容を既視感のあるストーリーに無難にまとめた感じもしますが、ところどころクスッと笑えて最後には幸せな気分になれる作品に仕上がっていて、結構、楽しめました。


2人の"鉄っちゃん"振りが楽しいです。それぞれ、興味を持つポイントは違うけれど、2人ともかなりのオタク。楽しんでいるポイントは違うけれど、それでも、ディープな鉄っちゃんという共通点があれば仲良くもなれる。違いを認め合いつつともに"旅"を楽しむ姿は爽やかで微笑ましかったです。


いかにもな2人の鉄道関係の会話。一部、そこに、もう一人のオジサンが加わりますが、そこには、趣味を持つこと、そこにのめり込むことの幸せが溢れています。映像に醸し出される幸福感が観る者にも伝わってきます。そこが本作の最大の魅力かもしれません。


そして、その"趣味"が彼らの人生にもたらす実り。この"もう一人のオジサン"と2人が知り合った日のエピソードからその後の展開は読めてしまいますし、都合の良すぎる設定もあり、無駄に都合の良い偶然もあり、突っ込みどころもあったりするのですが、社会人としてきちんとした仕事をしながら趣味を追求し、生活を楽しんでいる姿には好感が持てました。


この先、日本各地に転勤しそうな小町くん。かなりの部分に鉄道が敷かれているわけですから、寅さんとか、釣りバカレベルのシリーズものになり得た作品なんですよね。これで終わるのでしょうか、それとも、どなたかが引き継ぐのでしょうか...。



公式サイト

http://boku9.jp/index.html



僕達急行 A列車で行こう@ぴあ映画生活

メランコリア

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ジャスティンは、マイケルとの結婚披露宴で、多くの人に祝福されていました。その会場となったのは、ジャスティンの姉であるクレアの夫、ジョンが所有する18ホールのゴルフコースのある屋敷。豪華なパーティーでしたが、そこに来ていたジャスティンの母からはその場の空気を凍らせるような発言ばかり。ジャスティンも心に大きな虚しさを抱えている様子で、頻繁に会場を抜け出したりしています。その頃、地球には、"メランコリア"と名づけられた惑星が地球に近づいていて...。


この世やこの世に溢れる生命を邪悪なものとしか感じられなかったら、この世の終焉には幸せを感じるのかもしれません。それは、悪にまみれ、泥沼のように鬱々とした地獄の終わりだから。しかも、惑星の衝突では逃れようがありません。そう、村に行ったところでどうにもならないわけです。


けれど、この世や様々な命への愛があると、それは何より大きな悲しみ。自分を取り巻く幸福や愛する相手が消滅するとか、大きな苦しみに投げ込まれるとしたら、堪らなく辛く、哀しいことでしょう。


結婚披露宴で暗い表情を見せていたジャスティンが地球の滅亡に際して冷静さを見せ、非常識なジャスティンとその母親に苛立っていたクレアやジョンが狼狽えるます。特に、社会的にも成功を収めている様子のジョンは、彼の成功を支えていた社会の喪失という大事件に向き合うことができません。


世界が引っくり返るような危機的な状況では、平穏な世界での適応力は役に立たないのかもしれません。むしろ、日常に適応しにくい者の方が、スムーズに危機に適応するのでしょう。


映像は禍々しいまでに美しく脳裏に焼き付きます。


演技陣もさすが。ジャスティン、クレア姉妹の母の何者をも寄せ付けない恐ろしいまでのマイペース振りは印象的。シャーロット・ランプリングの凄さを実感しました。その母親の元夫もいい味出していました。ジャスティンをキルスティン・ダンストの生きるエネルギーを喪ったような表情が胸に沁みました。クレアを演じたシャルロット・ゲンズブールも、前半部分ではジャスティンを現実の世界にとどめようと必死になる様子と滅亡に向かう恐怖を切なく表現していました。前半でも後半でも、ジャスティンに「時々、あなたのことが憎らしくなる」という言葉を投げつけますが、それでもたった一人の妹を想う気持ちが伝わってきます。


ただ、映画として面白かったかというと、残念ながら、そうでもありませんでした。意味ありげに登場しながら、あっさりと消えてしまったジャスティン、クレア姉妹の両親はどうしたんだとか、そもそも、ジャスティンは、何故、結婚を承諾したのかとか、中途半端な描写や設定が目立ち、集中力が削がれます。


決して悪い作品ではないと思うのですが、テンポの悪さもあってか、眠気を誘われる作品でもありました。



公式サイト

http://melancholia.jp/



メランコリア@ぴあ映画生活

ミケランジェロの暗号

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ミケランジェロの暗号 [DVD]/モーリッツ・ブライプトロイ,ゲオルク・フリードリヒ,マルト・ケラー
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1930年代のウィーン。ユダヤ人の画商一族、カウフマン家は、ミケランジェロのデッサンがを密かに所有していました。ある日、一家の一人息子、ヴィクトルは、家族同様に生活していた使用人息子、ルディにその隠し場所を教えてしまいます。ナチスに傾倒していたルディは、ナチス親衛隊員として昇進するために、それを密告してしまいます。カウフマン家は、絵画を奪われたうえ、収容所へ送られてしまいます。ヒトラーは、奪ったミケランジェロのデッサンをムッソリーニに贈ることでイタリアとの関係を強固なものにしようとしていました。しかし、その絵が贋物であることが発覚。本物の隠し場所を知っていた一家の父はすでに収容所で死亡していました。ナチスは、ルディに、ヴィクトルから本物のありかを聞き出すことを命令しますが...。


邦題にもなっている"暗号"というのは、父親からヴィクトルにあてられた本物の絵のありかを示すメッセージ。その謎解きがテーマかと思いきや...。その言葉は、父親と収容所で一緒だった人物からヴィクトルに伝えられる場面で登場し、その後は完全に放置され、ラストで突然解答が示されます。まぁ、"謎"と言えるほど難易度の高い"暗号"でありませんので、謎解きの面白さを追求なんてしている場合ではないのでしょうけれど...。


原題は「好敵手」の意。ヴィクトルとルディの勝ったり負けたりの関係を示す言葉なのでしょうけれど、基本的に好人物に描かれているヴィクトルと比べ、ルディの卑劣さが目立ち、ライバル同士の真剣勝負という雰囲気ではなくなってしまっているのが残念。


ヴィクトルにも形勢が有利になれば悪乗りする面があり、ルディにも已むに已まれぬ事情がある。いくらカウフマン家がルディを家族のように扱ったとはいえ、使用者と使用人の立場、使用者側にはそのつもりはなくても、使用人側からすれば傷つけられるようなこともあったかもしれない。その辺りをもう少し強調することで、2人の人物像にバランスが取れれば、もっと、丁々発止の面白さが感じられたと思うのですが...。


確かに二転三転する2人の関係はつまらなくはないのですが、何だか全体にまったりした感じで、今一つスリルが感じられませんでした。


もう少し、捻りがあったり、人物描写に深みがあれば、もっと味わい深い作品になったと思うのですが...。残念。



ミケランジェロの暗号@ぴあ映画生活

ヒトラーの審判 ~アイヒマン、最後の告白~ [DVD]/トーマス・クレッチマン,トロイ・ギャリティ,フランカ・ポテンテ
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アドルフ・アイヒマン(1906年~1962年)。


ナチス政権下でユダヤ人の大量虐殺に関与した罪に問われ、アルゼンチンに逃げますが、モサドに捕らえられ、イスラエルに強制連行され、裁判にかけられ、絞首刑に処せられます。


そのアイヒマンの最後の証言に基づいて制作されたのが本作。


第2次世界大戦終結の15年後、イスラエルの諜報機関(モサド)にアルゼンチンで捕らえられ、イスラエルに連行されます。そのアイヒマンの尋問を担当することになったのは、アヴナー。彼は、何とか、アイヒマンが大量虐殺に関わったことを告白させようとしますが...。


アイヒマンは、「自分は命令に従っただけ。」と主張します。命令は絶対であり、命令に従うのを避ける方法は自殺しかあり得ないと。その言葉は、真実だったのかもしれません。自分の判断でならできないようなことでも、力を持つ者からの命令という後ろ盾を得られるとできてしまったりする。自分の行動の是非についての判断を"絶対者"に委ねた途端、人は強くも、残虐にもなれるもの。


神に対する信仰心が人間を強くするのも同じこと。集団への忠誠心の強さが死の恐ろしさを弱めてしまうことも同様。獄中でのアイヒマンは、ごく普通をどこにでもいるような人物とも評されています。「ヒトラーの命令には背かない」そんなアイヒマンの決意が、殺人への抵抗感を薄めてしまったのでしょう。


平和な時代なら、ごく普通の小市民で、良き夫で、優しい父親だったかもしれないアイヒマンが、当たり前のように大量の人間を殺すことに関わるようになる。そこに、戦争、そして、独裁というものの恐ろしさがあるのでしょう。これまでの歴史の中で、様々に行われてきた戦争に絡む残虐行為。そのほとんどは、普通の人々によって行われてきたのですから。


作中でも、アイヒマンに「自主的にイスラエルに来た」という文書に署名させようとする場面が出てきますが、イスラエル政府は、アルゼンチン政府に対し、犯人逮捕や犯罪人引き渡しについての正式な手続きを行わずにアイヒマンをイスラエルに連行しています。後に、アルゼンチンは、イスラエルに対し、主権侵害だと抗議しています。ある意味、"さすが、イスラエル!"でしょうか。


人類史上まれにみる大虐殺を推し進める役割を担った人物、アドルフ・アイヒマン。映画の題材として興味深い人物ですし、観る者の心を惹きつける作品となり得たのだと思います。ただ、本作でのアイヒマンの描き方は凡庸。数百万人もの人間を死に至らしめることに関与したアイヒマンがいかに普通の人間だったかということ。そのギャップの大きさとそれを生みだしたものにもっと迫って欲しかったと思います。


全体に中途半端に無難にまとめすぎた感じが残念でした。