シャネル&ストラヴィンスキー

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シャネル&ストラヴィンスキー [DVD]/マッツ・ミケルセン,アナ・ムグラリス,エレーナ・モロゾヴァ
¥3,990
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伝説のファッションデザイナー、ココ・シャネルとパリに亡命していたロシアの天才作曲家、イゴール・ストラヴィンスキー。1913年5月29日のパリ、ストラヴィンスキー作曲、ニジンスキー振付けの「春の祭典」の初演が行われますが、あまりに斬新な舞台は、酷評されます。その7年後、ストラヴィンスキーの才能を惜しんだシャネルは、困窮するストラヴィンスキーに生活の援助を申し出ます。豪華な自宅に彼とその家族を招き入れ、ともに暮らすようになり...。


様々な芸術家に経済的な援助をしたシャネル。本作では、ストラヴィンスキーとの関係が取り上げられます。秀でた才能に恵まれた者同士の間に生まれる男女の関係。そして、そこに絡む"シャネル5番"の誕生秘話。


ストラヴィンスキーの妻子がともに暮らす家の中で情事を重ねていく2人。この辺りの描写が濃厚で、息が詰まるような湿度が感じられます。背徳的な行為であるが故の緊張感と恍惚。危ない道だからこそ、それは、限りなく魅力的なものだったのでしょう。


もちろん、ストラヴィンスキーの妻が、2人の関係に気付かないワケがありません。シャネルのモラルのなさを咎めるストラヴィンスキーの妻に対し、そんなものには縛られないと真正面から跳ね返すシャネル。上流階級の消費者に支えられる商売をしながらも、世間的なモラルなどはねつけるシャネルのプライドが光るこの対決の場面も印象的です。


ストラヴィンスキーの"芸術家"としての自負。シャネルの"成功者"としての誇り。時にその2つがぶつかります。「私には力があり、貴方より成功している」と言い放つシャネル。「自分は芸術家だが、君は洋服屋」だと言うストラヴィンスキー。金銭関係が絡んでも、恋愛関係が絡んでも、そこは、自分の才能を盾に生きてきた者同士。それぞれに譲れないプライドがあるのでしょう。この辺りの描写があることで、単なる"不倫物"とならずにすんでいるのでしょう。


それでも、全体的に、2人の情事に焦点が偏りすぎ、「春の祭典」の初演失敗から再演成功への道のりや、「シャネル5番」の誕生秘話が単なる背景になってしまった点は残念。もう少し、それぞれの"仕事"の 部分の比重を増やした方が、2人の関係の複雑さとそこにある様々な感情の絡み合いが伝わってきたのではないかと思います。


冒頭の「春の祭典」の初演を再現した舞台は圧巻。これまた、伝説的な存在となっているニジンスキーが登場する辺り、バレエファンには見逃せないところかもしれません。


冒頭の失敗した「春の祭典」初演の舞台、ラストの成功した再演の舞台。いずれも印象的で、できるなら、映画館のスクリーンで観たい作品。観ておいて損はないと思います。



シャネル&ストラヴィンスキー@ぴあ映画生活

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殺人!

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殺人! [DVD]/出演者不明
¥2,940
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ヒッチコックのイギリス時代の作品。


ロンドンの劇団の花形女優が殺されます。その現場には、同じ劇団の若手女優、ダイアナが火かき棒を手に呆然として立っていました。彼女は殺人の容疑者として逮捕され、起訴されます。陪審員の一人、サー・ジョンは彼女を犯人とすることに疑念を抱きますが、ダイアナにとって不利な証拠が多く、死刑判決が確定してしまいます。アマチュア探偵でもあるサー・ジョンは、独自に事件の真相を探り始め...。


殺人犯人と疑われ、かなり不利な状況にあるダイアナ。死刑判決が確定したものの、裁判中も、ただ一人彼女の有罪を疑っていた陪審員、サー・ジョンが、独自の捜査を行い、真相を探り出します。


ダイアナの有罪を揺るがす材料が少しずつ揃ってきますが、有罪を覆す決定的な証拠が出てきません。そのために、サー・ジョンが一計を案じ...。


1930年の製作、80年も前の古い映画ですから当然ですが、犯人も含め、全体的に牧歌的というか、人の良さが感じられます。それだけ、今の私たちが、殺人事件の隠蔽の仕方とか、裁判での戦法とか、そうした小手先の技術に関して耳年増になってきているのでしょう。


本作で、真相を暴く過程は、それはそれで、なかなか面白いのですが、それでも、この手のストーリーに慣れてしまった現代の私たちにとって、やけに人の良い犯人に思えてしまいます。その人の良さがあったからこそ、解決できた感じも否めませんし...。


それでも、殺人事件を扱っても、決して残酷な感じにならず、どこかユーモラスな雰囲気さえ感じられる作品に仕上がっている辺り、ヒッチコックらしさが感じられます。"栴檀は双葉より芳し"ということなのでしょうか...。


最初は斬新だったトリックもどんどん古びていき、時代とともに複雑さ、難しさを要求されていくミステリー作品。ミステリーというのは、その性質上、新鮮さを保ちながら長く生き延びるのが難しいものなのかもしれません。そういう意味では、ヒッチコックファンが、彼の初期の作品という観点から楽しむべき作品なのかもしれません。


良くも悪くも"古典的"な作品です。見ておいて損はないと思います。



殺人!@ぴあ映画生活

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あなたは私のムコになる

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あなたは私のムコになる [DVD]/サンドラ・ブロック,ライアン・レイノルズ,ベティ・ホワイト
¥3,990
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マーガレットは、ニューヨークの出版社に勤めるやり手の編集長。40歳で独身、カナダ人。仕事には厳しく、社員たちからも恐れられています。ある日、出版社会長から呼び出され、彼女が国外退去を命じられたことを告げられます。仕事が忙しく、ビザの更新のための手続きを忘れていたのです。マーガレットは、自分のキャリアを守るため、そこにやって来た28歳のアシスタント、アンドリューとの結婚を宣言。驚いたアンドリューでしたが、断れば失業と脅され、すぐに離婚するからと説得されてしまいます。その週末、2人でアンドリューの実家を訪問。マーガレットは、アンドリューの家族の温かさに触れるうち、後ろめたさを感じるようになり...。


ありがちなストーリーではあります。何らかの理由で不本意な結婚をするハメになる2人。けれど、そんな中から本物の恋が生まれる。そう、恋愛はどこから生まれるか分からない。それも、人生の面白さ。設定を聞いただけでストーリー展開が予測できる作品で、予想が裏切られることなく進行します。


魔女とも呼ばれるマーガレットですが、追い詰められ、結婚に向けて必死になる姿などには、可愛らしさも感じられ、嫌味なだけの独裁者になっていない点が良かったです。全体にコミカルな軽い感じで、テンポも悪くなく、最初から最後まで楽しめました。


アラスカの自然も美しかったですし、そこで暮らす人々の懐の広さ、温かさ。成る程、マーガレットの心境の大きな変化にも頷かされます。家族を知らず、自分から家族を作ることから逃げてきたマーガレットと家族から距離を置いてきたアンドリュー。家族という存在から距離をおきたがっている点では、似た者同士なのかもしれません。2人の家族の状況、家族への接し方などを通し、家族の温かさ、鬱陶しさがバランスよく描かれていたと思います。


アンドリューの父、母、祖母。それぞれのアンドリューやマーガレットへの関わりに、それぞれの愛情が見えてきて良かったです。特に、おばあちゃん。物事の本質をしっかり見ている感じが、さすがの年の功が感じられました。ちょっとトンでいる辺りも嫌味なく、可愛らしく表現されていて、彼女の魅力が引き出されていたと思います。


ただ、マーガレットの人物描写には、少々、不満が残ります。彼女がやり手の編集長であるなら、アンドリューのことを事前にもっと見抜いていても良かった気はします。2人の仕事上の遣り取りの部分が少ないのも物足りない感じはしますが、彼女もそれなりの規模がありそうな組織の中で出世してきているわけだし、編集者というのは、自身で創作するのではなく、作家の創作に関わる役割なのですから、アラスカでの経験があってアンドリューへの評価が一変というのも、少々、不自然な気がしました。それに、周囲から恐れられている割には、あまり理不尽に周囲に怒りをぶつける場面は見られませんでしたし...。あの程度で、魔女とまで言われてしまうのは、彼女が可愛そうでしょう。


それでも、全体に丁寧に作られた感じがあって、それなりに楽しめます。観て損はないと思います。



あなたは私の婿になる@ぴあ映画生活

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あゝ!一軒家プロレス

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あゝ! 一軒家プロレス [DVD]/ソニン,橋本真也,粟田麗
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プロレス団体"ZERO"の主宰者、獅子王は、念願のマイホームが完成し、その記念パーティを開きます。けれど、ライバルの一条が殴りこんできて、マイホームは崩壊。妻は奇病に罹ってしまいます。それを知ったTV局プロデューサーの山路は、視聴率を稼ぐため、一計を案じ、獅子王にある企画を持ちかけます。失ったマイホームを取り戻すため、そして、妻を救うため、山路の策略に嵌った獅子王は危険なデス・マッチに挑むことになり...。


あまりにグロくて、それも、無意味にグロテスクで、それだけで、ダメでした。プロレスは筋書きのあるドラマ。かなりの頻度で興行を打たなければならない世界。相当数の試合をこなさなければならないわけで、プロとして責任を持ってスケジュール通りの仕事をするためには、筋書きを大事にしなくてはいけません。


本当の真剣勝負などあるわけもない世界に命懸けの勝負を持ち込んでいるわけですが、その命の賭け方がどうも安っぽい感じがしてしまいました。結局、彼らは、山路に踊らされていたわけで、それが分かってもなお戦い続けるのは、あまりに自分たちのそして相手方の命を軽んずる行為。愛を叫んでいる場合じゃないだろうと突っ込みたくなります。


シリアス路線でいきたいのか、ぶっ飛びたいのか、どうも、中途半端。そこに必要性の感じられないグロテスクな映像が入ってくるので、目を逸らしたくなります。


ストリーも展開も滅茶苦茶。愛だの何だの言わずに、血を求めて戦うのなら、それもないわけではないと思うのですが、この展開で妻や家族への愛を持ち出されてもねぇ...。


佐野史郎が、山路の完全に"イッテしまった"雰囲気を見事に表現していて、存在感を出していました。この山路の姿が、本作の製作者の姿に重なる感じもしましたが...。山路は、本当にそれで"数字を取れる"と思っていたようですが、本作の製作者は、本作で"数字を取れる"と思っていたワケではないですよね?


出演陣では、ソニンも、初々しく必死な感じに好感が持てました。


普通の一戸建ての家でプロレスというアイディアは面白いと思います。もっとも、クライマックスのプロレスは、"一軒家"で行われたとは言い難いと思いますが...。妻の奇病はカット、純粋に、資金難のために一軒家プロレスの興行を打つ、それも、ごく普通の家で、という流れの方がすっきりとしたと思います。


元となるアイディアを十分に活かせておらず、何とも残念な作品となってしまっています。本作が遺作となってしまった橋本真也。これは、さぞかし、心残りなのではないかと思います。



あゝ!一軒家プロレス@ぴあ映画生活

ディープ・ブルー

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ディープ・ブルー -スタンダード・エディション- [DVD]/ドキュメンタリー映画
¥2,625
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海の中やその周辺で生きる生物など、様々な表情を見せる海そのものを被写体としたドキュメンタリー作品。


地球の表面積の7割を占める海。けれど、そこは、人間にとって生活できる環境ではありません。特に深い部分は、まだまだ未知の世界。人間が辿りつけていない場所もあり、例え、辿りつけている場所であっても、大掛かりな機材が必要となったりする。そんな、人間にとって、見過ごしてしまいがちな、あまりに非日常的な場所にも、命の営みがあります。その驚く程に豊かな生命の世界が映し出されます。


水深5,000mの世界から、浅瀬、砂浜まで、北から南まで、さまざまな海の世界を見せてくれます。そこには、残酷さもあります。食べるもの、食べられるもの。食べられる方も大変ですが、食べる方も必死。そのまさに命懸けの戦いすら、豊かな命の世界の美しさとして感じられます。


全体としてみれば、左程、目新しい映像があるわけではありません。NHKのドキュメンタリーなどで観たことのあるような映像がほとんど。煩く解説がないのは良いのですが、もう少し、登場する生物についての解説が欲しいような気もしました。設定を変えることで、名前と一言解説の字幕を見られるようになっていたりすると、もっと良かったのではないかと思いました。


ただ、一点、気になったところ。やはり、欧米の人にとって、海の覇者は、哺乳類である鯨やイルカであるべき、なのでしょうね...。ラストのナレーションにも違和感ありました。人が海を痛めつけているという現状は、鯨の減少に象徴されるべきものではないような...。(もっとも、鯨を減らした最大の原因は、欧米諸国による捕鯨だったはずですが...。)


そこそこ良く出来たBVGといったところでしょうか。良くも悪くも、"邪魔にならない綺麗な映像と耳に馴染む音楽"という感じ。特に夏には涼しげで嬉しい映像だと思います。



ディープ・ブルー@ぴあ映画生活

バレンタインデー

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バレンタインデー Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)/アシュトン・カッチャー,ジェニファー・ガーナー,ジェシカ・アルバ
¥3,480
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バレンタインデーのロサンゼルスを舞台に、男女15人の恋模様を描いた群像劇。


2月14日、花屋の青年は、恋人にプロポーズして"Yes"の返事を貰って舞い上がりますが、どうも、彼女の様子が変。その彼の親友で心臓外科医と恋愛している女性は、彼の出張のためバレンタインを一人ですごすことになります。小遣いを握り締め花屋を訪れた小学生の男の子は、プレゼント用の花束を注文。バレンタインデーが嫌いと公言し、バレンタインデーを嫌うメンバーで、毎年、パーティーを開いている独身女性は思わぬ出会いに胸をときめかします。結婚50年目を迎える夫婦の絆は、意外な事実が発覚したことにより揺れ動き...。


ちょうど、バレンタインの時期に公開され、観に行きたいと思いながらも劇場で観ることができずにいた作品です。かなり季節外れではありますが、DVDのレンタルができるようになったので、観てみました。


バレンタインの一日。その日にかける人々がいれば、その日を疎ましく思う人々もいて、いずれにせよ、心穏やかでいることは難しいもの。さて、そんな一日をどう過ごすのか...。


年齢、職業、人種の違うさまざまな男女15人の一日を描く群像劇で、登場人物の多い分、一人ひとりの描写が薄く感じられる部分もありますが、全体的には、なかなか気の利いた感じの洒落た雰囲気の作品に仕上がっています。その日をきっかけに別れたり、出会ったり、互いの大切さを再認識したり、思わぬところから恋が生まれたり...、予定調和的な展開が多かったのですが、こうした定番の季節物としては、ハラハラドキドキや斬新さより、こうした安心して観ていられる作品の方が相応しいのかもしれません。


その中でも、飛行機の中でであった男女。ビジネスマン風の男性と休暇中の女性将校。この2人の間にロマンス誕生かと思いきや、男性は別の恋人の下へ、そして、女性は最愛の息子の下へ。この2人に関するエピソードの部分は、本作の中で唯一意外性のある部分となっていて、程よいスパイスとなっていて印象的でした。


あまりに豪華な出演陣、特に女優陣が、観る者を飽きさせることなく、作品の世界に誘います。


登場人物もエピソードも多く、散漫な感じは否めませんが、良質のラブコメ群像劇。特別にどうという程のことはありませんが、気軽に楽しめる洒落た作品に仕上がっていて、バレンタインデーを盛り上げてくれる作品になっています。バレンタインのデート向けにはぴったりの作品、といったところでしょうか。



バレンタインデー@ぴあ映画生活

パリ20区、僕たちのクラス

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フランスで教師をしているフランソワ・ベゴドーの実体験を元にした小説をベゴドー自身の主演で映画化した作品。


移民が多く住む地域、パリ20区にある中学校を舞台に、国語(フランス語)教師と24人の生徒たちの日常をドキュメンタリー風に描くノンフィクション作品です。


パリ20区にある中学校に国語教師として勤務するフランソワは、新学期に向けて準備中。アフリカ系、アジア系、アラブ系など、様々な人種の生徒を抱えるフランソワのクラスの生徒たちは、一筋縄ではいかず、フランソワに反発するだけの生徒もいて、フランソワは、てこずらされます。彼は、生徒たちに自己紹介文を書かせ、それを手がかりに、生徒一人ひとりを良く知ろうとしますが...。


奇跡が起こるわけでも、何か画期的に変わるわけでも、誰かが大きく成長するわけでも、ありません。そんなところも、やけに、リアリティが感じられますが...。


最初の方の教師たちの遣り取りなどから、"問題児ばかりの底辺校"なのかと思いましたが、それにしては、生徒たちは皆、ヨイコばかり。授業中に教室内外を動き回るわけでもなく、派手な授業妨害をするわけでもなく、暴れ出すわけでもなく。


パリ20区は移民の多い地域。そう、かれらは、移民であり、社会的に弱い立場に置かれたものが多く、本人たちはともかく、親世代はフランス語が十分にできなかったりします。


まるでドキュメンタリーのようなリアリティ。脚本があって、演技されている作られた世界だとは、なかなか、信じられません。紛れもない現実を突きつけられる作品。ただ、リアリティにこだわり過ぎ、そのために、映画作品としての魅力をやや犠牲にしてしまっている感じはします。折角のフィクションなのですから、そのままの現実よりも、それを超えたところにあるものも描いて欲しかった気がします。


フランスの学校教育のあり方がいろいろと見えてきて新鮮な感じがしました。個々の生徒の成績を決める会議のに生徒の代表者が出席するとか、懲罰委員会とか。


そして、何だか人間らしい教師たち。かなり感情的になって、生徒に苛立ちをぶつけたり、手に負えなくなると、意外にに簡単に退学させたり。それでも、それぞれの頑張りどころはしっかりしていたり。学校とは何か、教師とは何か、教育とは何か、そして、学ぶということは何なのか...。


中学生時代が遠い過去となってしまった私としては、生意気盛りで、ちょっと粋がった彼らの姿に懐かしさも感じ、無用に肩肘張ることの勿体なさを説教したくもなりますが、只中にあっては、そういったものに目が行かないのでしょう。


いろいろなことが起こる割には、意外に平板で淡々とした雰囲気の作品ですが、様々に考えさせられる作品です。一度は観ておいても損はないと思います。特に教育に携わる人、今後携わりたい人にはオススメ。



公式サイト

http://class.eiga.com/



パリ20区、僕たちのクラス@ぴあ映画生活

ニック・オブ・タイム

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ニック・オブ・タイム [DVD]/ジョニー・デップ,クリストファー・ウォーケン,チャールズ・S・ダットン
¥1,500
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税理士のジーン・ワトソンは、娘思いの男。ロサンゼルスに娘とやってきますが、ユニオン・ステーションで6歳の娘を人質にされ、暗殺計画に加担するよう迫られます。ターゲットは、エレノア・グラント州知事。90分以内に彼女を暗殺しなければ娘を殺すと脅され、銃を渡されたジーンは、必死に娘を救おうとしますが...。


90分という限られた時間。その中で、状況は二転三転。緊迫感があり、手に汗握るドキドキ感を味わえました。


それにしても、この犯人たち。結構な組織力のようですが、肝心なところで杜撰。誰かに暗殺をさせるのなら、その相手については、きちんとリサーチすべきでしょう。銃を使えるかどうかすら分からない相手にこのような"大仕事"を託すというのは、あまりに無謀。


でも、招待状を出しているワケなのだから、前もって、招待客の中から適任者をリサーチするとか、或いは、目的を告げずに会場に誘導し、自分たちで暗殺を行い、その罪を押し付けるとか、もっと確実な方法があったのではないかと...。


途中まで、犯人側には、ジーンが暗殺に失敗することまで見越した計画があるのかもしれないと思いながら観ていました。どうやら、そうしたものが用意されていたことがはっきりと示される場面はなかったような...。


そうは言っても、ドキドキハラハラして作品の世界に引き込まれましたし、靴磨きのオジサンの作戦は、なかなか面白かったし、それなりに楽しめる作品になっていたことも確か。そう、このオジサン、なかなか魅力的な存在となっていました。ちょっと深いセリフを呟いたりもして。彼の存在感は、確実に本作を支える力になっていたと思います。


大事件に巻き込まれるフツ~のお父さんを演じるジョニー・デップも、思いもかけない方向に引き摺られていく一般の人の戸惑いを巧く表現していたと思います。もっとも、フツ~の人で、銃を撃つのが初めてな割には、相手を一発で仕留めていたり、なかなかの腕前だったりもしたのには、違和感がないでもありませんでしたが...。


まぁ、細かい部分で引っ掛かる部分はありましたが、それでも、最初から最後まで楽しめる作品ではありました。特別にジョニー・デップのファンでなくても十分に楽しめる作品だと思います。一見の価値アリだと思います。



ニック・オブ・タイム@ぴあ映画生活

旅立ちの時

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旅立ちの時 [DVD]/リバー・フェニックス,マーサー・プリンプトン,クリスティン・ラーティ



¥2,625

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1960年代、ベトナム戦争当時、反戦運動の一環としてナパーム工場を爆破し、守衛を失明させてしまった罪で警察に追われている両親とともに逃亡生活を続ける17歳のダニー。ニュージャージーの小さな町に移り住んできた彼は、音楽教師に才能を認められ、さらに、その娘のローナと出会って恋に落ちます。けれど、名前や髪の色を変えながら全米各地を転々とする生活の中では、ローナとの関係を深めることにも躊躇せざるを得ません。そんな中、かつての両親の同士が銀行強盗で逮捕され、一家は窮地に追い込まれ...。




指名手配されている両親との逃亡生活。なかなかな生育環境です。定期的に住む場所を変え、名前を変え、髪の色を変え...。州の境を超えればほとんど別の国なアメリカだから成り立つ生活なのでしょう。(かなり、都合よい設定になっているような気もしますが...。)




逃亡生活の中でも、何とか学校には通わせようとする両親の気持ち。そうした親心が感じられる面もある一方、いずれ破綻することが確実な将来へ向けての備えがなさ過ぎる感じがもします。子どもも成長し、いつか就職、結婚をする。それを考えれば、逃亡生活をずっと続けることは不可能。そう遠くない将来にピリオドを打たねばならない生活であることなど明白、であったはずなのに、その現実から目を逸らし続けてきたような両親、特に父親の言動には違和感がありました。




普通だったら、自分の親(子どもの祖父母)とか、親戚とか、普通の市民生活を営めている同士とか、信頼できる相手に預け、きちんと教育を受け、将来を考えられるような道を拓くための方法を探ろうとするのではないでしょうか?「一緒に暮らしたい」という気持ちは理解できますし、そうした愛情が尊いものであることは理解できますし、ダニーの才能は、母親との生活の中でこそ開花されたものではあるのでしょうけれど、それにしても...。




家族との生活を選ぶか、ローナとの恋と自分なりの生活を築いていく方向を選ぶか、岐路に立たされたダニー。ローナへの強い想い、そして、進学し自分なりの人生を築いていこうとする気持ちを持ちながらも、家族を捨てることもできません。逃亡生活を続けてきたために、家族以外との関係を深めるチャンスを持てずにきた彼にとって、彼の人生の全ては家族とともにあったわけです。やはり、そうそう、捨てられるものではないのでしょう。




結局、彼の逡巡に答えを出したのは、それまで、彼を手放すことに一番抵抗していた父親でした。この辺りの展開は、唐突な感じもしましたが、一人の少年の成長と自立が見えてくる場面で胸に沁みてきました。




子どもが大人になる。その過程では、家族からの自立という要素が不可欠なのかもしれません。子どもを育んできた家族も、大人になる子どもにとっては、時として自立を疎外する存在になってしまうもの。子どもが成長するためには大切な家族の愛情。けれど、一人の大人として自分自身の生活を築くためには、温かい家庭から巣立っていく必要がある。ダニーの場合は、少々、特別な環境に置かれていたわけですが、家族からの自立というのは、多かれ少なかれ、ほとんどの人にとって、大人になるための関門。そういう意味では、普遍的な子どもから大人への成長物語ともなっていると思います。




ダニーの旅立ちが、彼自身の決意より、彼の父親の決意により叶った点は、ダニーの成長物語として観た場合にちょっと引っ掛かるところではありますが...。まぁ、まだ、高校生という設定を考えれば致し方ないのかもしれませんね...。




何といってもリヴァー・フェニックスが見事。しっかりとした存在感を示し印象に残ります。改めて、彼が若くして亡くなったことが惜しまれます。




一見の価値ありだと思います。






旅立ちの時@ぴあ映画生活

アマルフィ 女神の報酬

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アマルフィ 女神の報酬 スタンダード・エディション [DVD]/織田裕二,天海祐希,戸田恵梨香
¥3,990
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予告された大規模テロからイタリアを訪問する日本の大臣を護るためローマに派遣された外交官の黒田は、現地についてすぐ、日本人少女の誘拐事件に巻き込まれます。犯人に身代金を要求され、ローマの名所のあちこちに行かされますが、交渉は決裂。一方、日本大使館では、大臣を向かえる準備が進められていて...。


前半の展開は、なかなかスリリングで惹きつけられました。犯人の目的が見えてこない中、振り回される少女の母親と捜査陣。大使館員たちのどこかとぼけた様子。「無駄遣いは外交官の特権」、このセリフにはリアリティがあり過ぎて笑えませんでしたが...。


歴史的な名所が数多く存在するローマ。その地理的条件を見事に活かしていて、観光PRとストーリーの展開が巧く絡められて、作品の世界に浸ることができました。観終えて、振り返ってみると疑問に感じられてくる部分も少なくないのですが、観ている間は、左程気にならなかったのも、ストーリー展開のテンポの良さと名だたる観光地の映像の美しさ故なのかもしれません。


ただ、誘拐事件がテロと絡んでくる辺りから、物語は失速していきます。犯人にしても、最初から登場の仕方が怪し過ぎ。中途半端に出たり引っ込んだりで、バレバレです。


そして、あの幕切れは、あまりに中途半端。あれだけの準備をして、どこからどのように集めたのかよく分からない人々を組織して、あのラストではねぇ...。そこまでやるなら、初志貫徹すべきでしょう。主犯に協力する人々の意図も分かりにくかったです。彼らは、あれでは、たまらないのでは?


アマルフィの風景は綺麗でした。海と山、斜面の家並み。誘拐犯に次々と観光地めぐりをさせられる辺りも、観光ガイドになっていましたし、スリの見分け方についての解説まで入っているという丁寧さ。観光客誘致のためのPR映画としては、悪くない作りになっているような気がします。


イタリア観光の予習用にはオススメですが、レンタルのDVDで十分かと...。前半の勢いが最後まで続けば、もっと面白くなったと思うのですが...。



アマルフィ 女神の報酬@ぴあ映画生活