ヒミツのひみつ

平凡な日常はくだらない突っ込みドコロ満載です!   

クスっと笑って、ウンウンと頷いて、あなたのストレスちょっと発散させましょう。


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Mの「顔」への執着は尋常ではなかった。

それは整形前からあり、一度二人で図書館に行ったときのことだ。

 

何万冊もある巨大なその図書館で、私は小説のネタ探しに目的の本を次々と読み漁っていた。

ふと、見ると、Mはある写真集に釘付けになっていた。

それは外人が撮った顔のアップだけを収めた写真集で、Mはある一枚をじっと見つめていた。

そのモノクロ写真は、陽にどす黒く焼けた中年の男が無表情のままこっちを見ていた。

悲しいのか、苦しいのか、まったく解らなかったが血走った目はMを捕らえて放さなかった。

 

私は声をかけるのも気が引けてそのまま放っておき、数時間後に再びそこに戻ると、

Mは変わらずその写真を見続けていた。

閉館のチャイムが鳴り、しかたなく声をかけるとMはようやく立ち上がり、何食わぬ顔で歩き出した。

 

あの時、Mはいったい何を考えていたのか。

何時間も同じ写真を見て、どう感じたのだろうか。

何を思ったのか。

何かを決意したのか・・・。

 

本当は訊きたくてしかたがなかったのだが、なぜか知るのが惜しい気がして、なにも言わなかった。

 

「知るのが惜しい」

 

それは私の中で生まれた不思議な感情だった。

 

 

 

 

「Mのコト」関連ブログ 

「護国寺の雪(エッセイ小説)」http://blog.livedoor.jp/tsuhsan724/ 

 

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どっかの学者が言っていたが、ヒトはものを見ているようで見ていない。

正確には物体の認識をイメージや曖昧な記憶を当てはめて判断するのだそうだ。

 

Mの整形は目、鼻、輪郭だった。

顎を尖らせるためにシリコンのようなものを入れたらしいが

本当に別人になってまったく面影がなくなってしまった。

その不自然さが怖くなり、先月、シリコンを取ったとのことだった。

 

そこで私はまじまじとMを見つめた。

確かに、違う。声を出さなければよく似た他人と言った感じか・・・。

しかし、その独特なMの雰囲気は当然変わるわけもなく、

私はこの空気だけでMと決め付けていた。

 

気づかなかったことに何度も誤る私にMはなぜか心底嬉しそうに微笑んだ。

 

Mは、顔ではなく、心で接しているから変わっても気づかなかったんだね。と言った。

 

Mの知り合いで、整形に気づかなかったのは私だけだった・・・。

 

何も言わなかったがMはこのときすでに整形したことを深く後悔していて、

その後、あるはずもない整形部分の痛みに何年も悩まされた。

 

 

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最近、「Mのコト」を書いてますけど、実はこれは別のブログで書いているエッセイ小説と関連してます。

「護国寺の雪」というエッセイ小説なのですが、ぜんぜん、ぜ~んぜん更新していない!!

 

あまりに更新してないのでちょっと最近、閉鎖しようかと思っています・・・。

 

しかし、なんつーか、「M」は大事な記憶でいつか小説にしてやると意気込んでいたこともあるし

もったいないので、せめてこっちのブログで紹介しておこうかと悪あがきです。

 

「護国寺の雪」では名前も性別も設定を変えてますけど、ひっくるめて同じことを書いてます。

 

まぁ、暇つぶしに読んでみてくださいませ。

 

護国寺の雪 http://blog.livedoor.jp/tsuhsan724/

 

 

あ、ダーリンとはちゃんとラブラブです(笑)

 

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一時期、Mとまったく連絡を取らなかった。

まるで互いに約束でもしたかのようにぱたりと交流が途絶えた。

私も欝状態が激しく、極力他人と関わりたくない、話したくない、と閉鎖的になっていたせいもある。

勤めていた会社を辞め、何もしない一ヶ月が過ぎたころ久々にMに電話をした。

 

半年振りに会い、近況を話している間、Mはしきりに私の表情を伺っていた。

それからも週一回は会った。

何をするでもなくMの部屋で一日中本を読んだりMが描いた絵を眺めたりした。

二ヶ月が過ぎた頃か、Mがふと言った。

「気づかないふり?」

その意味がまったく解らなかった。

Mは自分の顔を指差した。

「顔。変わったんだよ」

すうっと背筋から血の気が引いた。

Mは整形したのだ。

しかも、ほとんど元の顔とは違う。別の顔だった。

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Mと私は性格は真逆だったが根本は同じモノがあるのか、とても居心地がよかった。

趣味、趣向、興味があるもの、笑うところ、センス、どれも同一人物のようにぴったりと合う。

それはまるで凹と凸のようにぴたりとはまるのだ。

真逆の部分は固定された思考回路部分。

 

当時の私は、白か黒。0か100。正解か不正解か。生きるか死ぬか。

すべてに対してはっきりさせたい人間だった。

Mはそれとは逆に、物事に正解も不正解もないという意図したあいまいな人間。

よく喧嘩をしたのは戦争や殺人という一般論で「罪」だと言う私と

それは固定された、作られたものであって「罪」だと決めるのはおかしい、と言うM。

何度も喧嘩をしながら自分にはない相手の考え方を吸収していった。

喧嘩をしたことがない私が、唯一、怒鳴りつけたのがMだった。

 

当時、私は実感がほとんどなかったが重度の鬱病だったと思う。

眠る瞬間の、暗闇の天井を見つめる時が安堵の一瞬。

あぁ、今日はこれで誰とも話さなくていいんだ、とほっとする。

ある日、何かがぷつんと切れたように死のうと思った。

その衝動は抑えられずMに電話したが、出ない。狂ったように電話をかけたが出ないのだ。

私は机をあさってカッターでリストカットをした。

深く切る度胸もなく浅い傷で終わった。

しばらくしてMから電話があった。

私はMを罵倒した。ナゼ大事なときにいないのか、と叫ぶとMは小さく、ごめんとつぶやいた。

 

その時、Mもまた、追い込まれていた。

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人生で一番大切だったヒトだと思うM。

Mが死にたいと言うなら、私も当然死のう思った。

 

 

19歳の時、Mに出会った。幼馴染の紹介だ。

Mは画家志望。私は作家志望。

Mは変わっていた。Mも私を変わっていると口癖だった。

しかし、他人を影響させるにはどこか変わっていないといけないものだ。だからいいのだ、とMは笑った。

Mは天才だ。他人を一気に集中させる力を絵から発散させていた。

Mは一枚描くたびにプロへ進んでいく。目標は日本画家だった。

しかし、Mはある日戸惑った。

プロに近づく度に描きたいものが描けなくなる歯痒さ。

その頃、私は佳作、落選の繰り返し。

親しい友人に盗作され才能とはなんなのか苦しむ。

Mと私。

同じ時期に同じように才能のことで欝になる。

それでもしっかりしようとして形だけでも凛とした私。

食べ物さえろくにとらずに栄養失調になるまで閉じこもるM。

欝のままどうにか働き社会人として生きていた私。

欝の波に飲まれて暗闇の部屋に半年間閉じこもったM。

Mと私は似ていた。

 

「出来の悪い自分と、出来のいい自分」

 

それがどうにか生き延びて半年振りに再会したふたりの口癖になった。

 

 

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