2005-06-29 06:07:05

知識人論① 知識人って・・・

テーマ:知識政治
<友人からの指摘で誤記を改めました(6/29)>

知識人論①とあるが、今後どれだけ続くかわからない。コレっきりで終わる可能性もある。


Fuller, S. 2005. The Intellectual. Cambridge: Icon Bookd Ltd.


フラーの本の中では、例外的に読みやすい本なのだが、正直、私はこの知識人論をもてあましている。本は読んだし、サマースクールで話は聴いてきたし、準備は万全で、かついろいろと重要な点を取り上げて勝手に議論してみたい気にもなっているはずなのだが・・・。


まず、果たして自分は「知識人」という属性についてどんなスタンスをとるのか?というところからして未だ定まらない身分であることがある。サマースクールの参加者の若い学生達もそのへんでとまどっていた様子であった。彼らの多くは、社会学とか哲学とか心理学とかを大学院レベルまでやってきてしまった人たちであり、彼らにとって学問とは「専門知識」なるものを身につけて、知識の「蓄積」に貢献するぞ、という意気込みを持っていると思う。しかし、フラーはどうやらそういうアカデミックは、浮世離れしてしまって役に立たないのだから、知識の「蓄積」ではなくを「流通」させることのできる知識人が必要である、という主張のようだから、「これから修行だ」と構えている若きアカデミックたちにとっては少し拍子抜けしてしまうのかもしれない。


彼によると、知識人は、さまざまなメディアを使い、さまざまなオーディエンスを相手に自分のアイデアを流通させていかなければいけないという。例えば、サルトルはただ哲学をしていただけではなく、雑誌を立ち上げたり、小説を書いたりしてたよね、というのが証拠として挙げられたりする。また、仲間内の評価や大学のポスト(テニュア)にこだわるアカデミックが多いみたいだけど、歴代の思想家でアカデミズムと折り合いが悪かった人たちはたくさんいるじゃないか、といったりもする(例えば、マルクス)。


だから、フラーの知識人論を聞いていると、現在のフレームワークでこれから競おうと思っている若きアカデミック志望者にとっては、「そうかもしれないなぁ」という同意と、「じゃあ、どうすればいいのよ」という疑問がないまぜになって、落としどころがわからなくなってしまうということになってしまう。

しかし、まわりを見回してみると、学位がなくたって、大学の外にだって、社会に大きなインパクトを与えている知識人はたくさんいることがわかってくる。というのも、フラーの主張の一つである。そうして、知識人になるための戦略を学ぶことによって、知識人の裾野を広くしていこうということなのだろうか?

フラーのいう知識人は、なにもテレビによくでてくる評論家だけではなく、政治家やジャーナリストやライターやテレビ番組制作者・・・などなどいろんな人たちを含んでいる。いま注目をあびつつある(?)科学コミュニケーターならぬ、知識コミュニケーターなんて言い方のほうがしっくりくるのではないか。実際、いまだ何者なのかよくわからない科学コミュニケーターもこの知識人論に照らし合わせて考えてみると結構しっくりくるのではないかと思っている。特に、これから大学院で教育される予定の未来の科学コミュニケーターたちにとって、科学技術コミュニケーターになるのだというよりも、新しい時代の知識人になるのだ、といわれたほうがモチベーションも誇りも高くなるような気がする(その分、薄給でも働くようになるかもしれないという問題もある)。もしかすると、科学技術コミュニケーターの隠れバイブルとして、この本を位置づけられるかもしれない。

つづく(予定)。

2005-06-26 22:10:09

英科学ニュース:英科学技術10ヵ年計画の危機、等

テーマ:科学技術と社会

政策
●Scientists fear broken pledge
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2022867

▼ある筋の情報によると、国家財政委員会は、去年の夏に大蔵大臣が約束した、科学研究予算の大幅な増資を10年計画の初年度から達成できないと見込んでいるという。科学界にとっては、衝撃的なニュースであり、すでに政府を非難するような発言もみられます。

●Into Africa
http://education.guardian.co.uk/higher/research/money/story/0,11109,1510565,00.html

▼Research funding has gone global with £13m earmarked for Africa, but more could be forthcoming from overseas sources, says Linda Nordling

▼イギリスで、国際開発省(DfID)と経済や社会科学の研究資金を提供するESRCが、アフリカの救済プランの研究公募をはじめる。ESRCの公募では初めて、海外からの応募も可能となる。

大学
●Largest faculty sets out ambition
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2022907

▼イギリスで最大級の人文学部(研究者1,000人、学生15000人)となる、Institute of Science and Technologyがマンチェスター大学に誕生。主な研究テーマは、Chinese studies; poverty, inequality, development and globalisation; governance; innovation, science and society; culture, identity and change; and creativity。「革新、科学と社会」がはいってます。

●20% of staff now just teach
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2022864

▼20%のスタッフが、教育のみに縛られているという統計がでる。

ビジネス
●Scottish stem cell firm plans Aim float
http://education.guardian.co.uk/businessofresearch/story/0,9860,1512679,00.html

▼スコットランドの幹細胞研究会社のStem Cell Sciencesが、Alternative Investment Marketに上場し、1000万ポンドの資金集めを計画中。ReNeuronやBiofusionなどの前例はあまりうまくいっていない。

医療・健康
●Scientists forge ahead with stem cell research
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1510600,00.html

▼過去五年の間に、幹細胞研究における3000の発見がパテントされたことなどが書かれた報告書が出版される。政治的な環境が厳しいにもかかわらず、大学や企業が研究を推し進めていることが示されているという。25%のパテントが、最も議論をよんでいる堕胎された胎児から取り出された細胞を使った研究から得られている。

●Sperm and eggs could be created from stem cells, says new study
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1510375,00.html

▼シェフィールド大学の研究者によるとヒト胚をつくることが、実験室だけで可能かもしれない。それが可能になると、ゲイカップルや独身男性が子どもをつくることが可能になったり、閉経後の妊娠が可能になったりするという。倫理的にどこまで人工的な操作が許されるのでしょうか。

●Baroness urges right to end life for elderly
http://www.guardian.co.uk/medicine/story/0,11381,1514929,00.html

▼WHOのチーフ・メディカル・オフィサーが、尊厳死を認めるべきと主張。

●Dying of ignorance
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1510717,00.html

▼Women are dying of cancer because medical research is not being shared

その他
●Close nuclear leak plant for good, says Sellafield
http://www.guardian.co.uk/nuclear/article/0,2763,1483997,00.html

▼問題を起こしたシェフィールドの核処理施設が閉じられることになるらしい。

2005-06-26 01:23:07

ブランク

テーマ:ブログ

スウェーデンから帰ってきました。


三人のレクチャラーの講義だけではなく、各国から参加していた学生達との交流から、さまざまなことを学んだ二週間だった。ほんとうにあっという間の二週間だった。授業料をとらずににここまで贅沢なコースを提供してくださった、ルンド大学と協賛していただいた関係者の皆さんに感謝。


さて、これから生活のリズムを立て直さなければならない。

2005-06-03 17:43:23

サマースクールにいってきます。(ブログはしばしお休み)

テーマ:ブログ

今日から、サマースクールに参加します。


The Sciences and Humanities in a Changing World
http://www.icomm.lu.se/summerschool/


大仰なタイトルですが、どんなことになるのか楽しみです。

主な授業は、「知識人論」「心理学の歴史」「社会科学の哲学」。

ということで、ブログ更新はしばらくのあいだお休みになると思います。


帰ってきたら、サマースクールでの成果をもとに
なにか書いていければなぁと思っています。

2005-06-03 17:33:42

科学技術コミュニケーションの人材育成

テーマ:科学技術と社会

sumidatomohisa さんのところでも紹介されているように、いつのまにか、科学技術コミュニケーションの人材育成が動き出している。科学技術コミュニケーションが、巷で見受けられるようになったのは、つい二年前くらいだと思うのだが、もう大学院ができてしまっている・・・。これも、広ーい解釈が可能な点では共通している「科学」と「コミュニケーション」の威力なのだろうか。


●科学を易しい言葉で――“通訳"養成、大学院で 6月1日 読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20050531i116.htm


これらの大学院以外でも、阪大のコミュニケーション・デザイン・センターなど他にもこうした試みがどんどんでてきている。 まさにこれからといった感じ。


こうなってきた背景には、もっと科学技術のガバナンス(!)に積極的に関わっていく人材が求められているのだろう。 だから、「通訳」っていうのはすこし消極的な目標だと思う。


また、カタカナになってしまうが、端的なスローガンとしては、


「リアクティブ(reactive)からプロアクティブ(proactive)へ」


だと思う。つまり、科学・技術者からもたらされる科学技術の成果を「事後的」に処理するのではなく、「事前」から知識生産の一端を担っていくのだ。「あなた作る人、わたし伝える人」というのでは、古すぎる、役に立たないっていうところからでてきたのが「科学技術コミュニケーション」ですよね。

2005-06-01 18:45:13

イギリスは原子力へすすむのか

テーマ:科学技術と社会

先日のニュースのまとめでは、原子力エネルギーについてのニュースがいくつかありましたが(インデペンデント紙が主)、ガーディアン紙の月曜日のComment&Analysis欄では、おおきな記事で原子力エネルギー擁護論でがでていました。ガーディアンはシェフィールドの件については、あまりおおきく扱ってないようです。労働党よりといえるのでしょうか。それほど党派性を感じさせない批判性があるとおもっていたのですが(>ガーディアン歴の長いpomoさんはどう思いますか?)。


●Forget about wind farms. Nuclear power is the future:We are energy junkies, but there's a safe, clean answer to our cravings

http://www.guardian.co.uk/comment/story/0,,1495257,00.html

Max Hastings
Monday May 30, 2005
The Guardian


現実的にいけば、原子力だという主張です。我々は、エネルギー浪費家なんだからしょうがないと・・・。たしかにそうなんですが・・・風力だオルタナティブだというのは偽善にほかならないのでしょうか。


いずれにせよ、エネルギー政策は切羽詰ってきているかんじです。深読みするならば、労働党政権は原子力発電所を作る方向で準備している感じです。

2005-06-01 18:45:13

イギリスは原子力へすすむのか

テーマ:科学技術と社会

先日のニュースのまとめでは、原子力エネルギーについてのニュースがいくつかありましたが(インデペンデント紙が主)、ガーディアン紙の月曜日のComment&Analysis欄では、おおきな記事で原子力エネルギー擁護論でがでていました。ガーディアンはシェフィールドの件については、あまりおおきく扱ってないようです。労働党よりといえるのでしょうか。それほど党派性を感じさせない批判性があるとおもっていたのですが(>ガーディアン歴の長いpomoさんはどう思いますか?)。


●Forget about wind farms. Nuclear power is the future:We are energy junkies, but there's a safe, clean answer to our cravings

http://www.guardian.co.uk/comment/story/0,,1495257,00.html

Max Hastings
Monday May 30, 2005
The Guardian


現実的にいけば、原子力だという主張です。我々は、エネルギー浪費家なんだからしょうがないと・・・。たしかにそうなんですが・・・風力だオルタナティブだというのは偽善にほかならないのでしょうか。


いずれにせよ、エネルギー政策は切羽詰ってきているかんじです。深読みするならば、労働党政権は原子力発電所を作る方向で準備している感じです。

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