英科学ニュース:原子力、プラスチックの有害性、他
テーマ:科学技術と社会サイコム・ニュース(http://scicom.jp/mailmag/ )のためにまとめたもの。とりいそぎ。
英科学ニュース5/29
■研究に関しては、動物実験に関するレポートが一番大きなニュースかもしれません。英国の動物愛護・権利運動は、先日もアメリカでテロリストとして扱われているという報道があったように、国内外で激しい活動を繰り広げていますが、今週も、レポート以外にも、ブリティッシュ・エアウェイズが実験用の動物の輸送を禁止したり、動物権利の問題の報道についての議論が起きたりしています。国民、研究者、メディア関係者のすべての人たちにとって取り扱いの難しい問題になってきていることをうかがわせます。
■シェラフィールドの再処理工場での燃料漏れのニュースにも驚きました。最長で9ヶ月も、見過ごされてきたということだけでなく、選挙前の報道が控えられたとみられているところが重ねて驚かされます。ブレア政権がエネルギー問題においてもう一度、原子力に重点をおこうとしている矢先ということもあり、タイミングが悪いというかなんというか、今後はどうなっていくのでしょうか。
■シェラフィールドのあるカンブリア地方は、このメルマガでも言及される「欠如モデル」という言葉を生んだブラインアン・ウィンの論文の舞台でもあります。論文では、放射能汚染がすすんでいるという疑いのある地域の調査において、放射性物質の専門家が、羊酪農家の持っている「知識」を見過ごしてしまった(「欠如」していると思った)ために実情把握が遅れてしまったことが主題になっていますが、今回の事件は(まだ事実関係ははっきりしていませんが)、より広く深い問題のような気がして成りません。これ以上、私の生半可なコメントは避けますが、日本と抱えている問題が似ているだけに、注目していていくべき事件だと思います。
■健康・医療関連でも、私達の生活と大きく関わってくるようなニュースがいくつかありました。特にプラスティックの件に関しては、一面にも取り上げられたほどで、もしかしたら大きな動きにつながってくるかもしれません。
■ビジネス面では、New Scientist紙のホームページにあったDVDの規格のニュースが目をひきました。インペリアル・カレッジの研究者の言葉として、開発しているとはいえ(規格の問題は)「我々に決定権はない。ハリウッドが決めるんだよ」というコメントが惹かれていました。先日、東芝とソニーの規格の競争が英紙でも伝えられていましたが、それとの関連はどうなっていくのでしょうか。
■ちなみに、私は次週から2~3週間、このメルマガの編集協力ができません。このセクションを意識して読んでくださっている方々がどれだけいらっしゃるかわかりませんが、あらかじめご了承ください。(岡橋)
動物権利
●Scientists told: reduce animal experiments
http://education.guardian.co.uk/businessofresearch/story/0,9860,1491676,00.html
▼the Nuffied Council on Bioethicsによる動物実験に関する二年がかりの調査レポートが発表される。短期間で動物実験を中止することは非現実的だといいつつも、動物実験の替わりになるような方法も模索していくこと、動物実験に関する情報開示を進めることなどを提言。
●Scientists dismayed by BA animal ban
http://www.guardian.co.uk/animalrights/story/0,11917,1494462,00.html
▼土曜日のガーディアン紙の一面記事。ブリティッシュ航空(通称BA)が、実験用の動物の輸送を禁止することに関して、政府や科学者が懸念をしめしている模様。
●Two sides to animal rights story
http://www.guardian.co.uk/animalrights/story/0,11917,1494914,00.html
▼先日、サイコムニュースでも紹介した、動物権利・反生体解剖の人たちの行き過ぎた例を示した記事がありましたが、その後、記事がかならずしも正確ではなかったことが話題になっている。ここでは、問題となった記事を書いた記者が、経緯を書いている。また、この件に関しては、Europeans for Medical Progress (EMP)が主催したメディアの責任を考える討論会(@ロンドン)でも議論された。
原子力
●Plutonium was left lying in a puddle on the floor for nine months
http://news.independent.co.uk/uk/environment/story.jsp?story=642357
▼'Complacency' led to the spillage of 83,000 litres of highly radioactive nuclear liquor at the Thorp reprocessing plant in Cumbria. Francis Elliott on a scandal that could destroy government plans for a second nuclear age
●Revealed: huge Sellafield leak went undetected for 9 months
http://news.independent.co.uk/uk/environment/story.jsp?story=642358
▼この4月に、シェラフィールドにある再処理工場で、83000リットルの燃料漏れが起きていることがわかった。長くて9ヶ月も発見されずにいたという。なおかつ、選挙まえだったので、事件がメディアにでてくるのが遅くなったという(!)。さらに、閉鎖にともなう経費などに5億ポンド(約100億円!!)の税金が使われる予定。ブレア政権のエネルギー政策にも影響をあたえる可能性もあるかもしれません。
大学・研究生活
●Anti-cheat software turned on academe
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2022165
▼学生のカンニング(cheats)を防ぐために使われているソフトウェアが、学術誌にも使われるかもしれない。
●Minister downplays potential course cuts
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2022172
▼化学の学部の閉鎖などは、国家的な問題にはなっていないのではないか。と新しい高等教育大臣が語る。
健康・医療
●Toxin in plastics harming unborn boys: Scientists say chemicals have gender
bending effect
http://www.guardian.co.uk/medicine/story/0,11381,1493570,00.html
●'Gender-bending' chemicals found to 'feminise' boys
http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn7440
▼ガーディアン紙では一面記事。プラスティックや化粧品などに普通に含まれている「フタラート(phthalate)」という物質が、男の赤ん坊の成育を阻害し、彼らをよりフェミニンにして、生殖機能などを低下させることは研究者の間で知られていましたが、今回のアメリカでの研究ではそれが、現在の日常にあるようなレベルでも起こりうることを示したということで衝撃的なようです。(もとの論文は、Environmental Health Perspectives)
●Exposed: how cigarette firms target women
http://news.independent.co.uk/uk/health_medical/story.jsp?story=642351
▼タバコ産業が、1970年代から1990年代にかけて、女性の喫煙者を増やすための研究を行っていたことをしてきたことがAddictionという雑誌の論文で指摘される。女性向けのブランドづくりや宣伝、製品開発も。今後20年で女性の喫煙者は2倍になるといわれている。
●Media pluckers strike again
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1492076,00.html
▼IVF clinics that take on difficult cases are being unfairly compared to those with a selective door policy, says Vivienne Parry
▼体外受精(IVF)の病院ごとの成功率をしめした報告書が発表される。記事では、全部の数字がでていないと思われるので、一概には比べられないことを指摘している。
●Taking the pill could reduce women's libido, US scientists claim
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1492599,00.html
▼アメリカの科学者が、避妊用ピルが、女性のリビドーを減退させていると主張。そういった副作用は認められているが、服用をやめるほどのことがあるわけではないという医者の声も。
●New fears over cholesterol drug
http://education.guardian.co.uk/businessofresearch/story/0,9860,1490995,00.html
▼アストラゼナカ社のCrestorというコレステロールを下げる薬が、他の薬よりも二倍近い副作用を起こすという研究結果。
●Superbug death sparks warning
http://www.guardian.co.uk/medicine/story/0,11381,1491373,00.html
ビジネス
●Nanoscale light tricks promise huge DVD storage (New Scientist)
http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn7432
▼Iomega社が、現在のDVDの40倍から100倍のデータを収められる技術についてのパテント。ロンドンのインペルアル・カレッジでも同じような技術開発が進んでいる。DVDの新規格については東芝とソニーの間で話し合いがすすんでいるということですが。
温暖化
●G8 will not set targets to cut global warming
http://news.independent.co.uk/world/environment/story.jsp?story=642008
▼G8の会議では原子力については議論される予定だが、温暖化をとめるためのターゲットを定めたりする予定はない模様。
●Owners of gas-guzzling cars to be hit by five-fold tax increase
http://news.independent.co.uk/uk/transport/story.jsp?story=642355
▼ガソリンを多く消費するBMWやレンジ・ローバーなどの車の所有者の道路税が五倍になる可能性。
その他
●Robot to explore buried ice lake
http://education.guardian.co.uk/higher/sciences/story/0,12243,1490331,00.html
▼南極下の湖を英科学者によるロボットが探査。より大きいVostok湖ではなく、Ellsworth湖でおこなわれる。
●The shocking truth about sex in Britain's primary schools
http://education.independent.co.uk/news/story.jsp?story=642340
▼インデペンデント紙の調査で、英国の10歳以下の子どもたちの間でも、「ふしだらな(promiscuous)」行為や言動が広がっていることが明らかになる。政府も学校のクラスに「尊敬の文化(culture of respect)」を取り戻そうと躍起になっているようですが。。。
●Brain-boosting pinta launched
http://www.guardian.co.uk/food/Story/0,2763,1492400,00.html
▼集中力や学習能力など脳の働きに良いとされる、オメガ3(魚や亜麻に多く含まれる)入りの牛乳を国内大手が発売。






