タタカッテシネ第4.5回公演『燈火の中、貴方を想ふ』を3公演、見てきました。
キャストの演技などに関する感想は前の記事に書きましたので、ここからは演劇の感想や、設定、演出で不満だったことなどを書きたいと思います。

 

○ストーリーについて
 戦時中の話ということで、かなり重いテーマになることを想像していましたが、笑いの要素がバランスよく組み込まれていて、心が暗いまま帰途に就くということはありませんでした。
恋愛、出産、死という人生を描くために、戦争という非日常的な空間を生かして短期間で切り取って見せるという脚本はとてもよくできていたと思います。

 女性16人だけ、男性出演者は無しという舞台でしたが、戦地に赴いてる旦那さんとか恋愛の対象を語ることによって、そこに男性の姿が見えるかのような構成は中々よかった。

 演者それぞれの良さを引き出す演出によって、嘘っぽい設定でもリアルに感じることができました。演技の素人と言ってもよい集団を上手にまとめ上げていました。

 

いろんなところに伏線が張ってあるので、何回か見てそこに気がついていくと更に面白く感じます。
セリフをしゃべっている人ではなく、その後ろや舞台の端っこで演技をしている人たちに注目するのも観劇の醍醐味なんだなぁと改めて思わせてくれる演出でした。

 


さて、ここからはネタバレを含みますので改行。
不満だった点をつらつらと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、大道具から。

戦時中ということで「裸電球」がぶら下がっていて、その明かりが灯ることで夜を表します。
でも、戦時中は空襲を避けた「灯火管制」なので、黒い布で覆われてなきゃいけないんですよね。
気持ちでもいいので、そういった配慮があればもう少しリアリティが出たと思います。

 

同様に、壁に工場の勤務時間が張ってあるのですが、午前8時から体操・朝礼があって、8時30分から作業開始。って、30分も朝礼なんてやりますかね?時間がもったいないから10~15分くらいじゃないのかな?という細かな突っ込み←

 

 

続いて小道具。
戦時中のものとか、現代で見つけ出すのは困難だったんでしょうね。

 

まずはプラスチック製の洗面器。
大庭ちゃんがお風呂に行くのに抱えて出てきます。古く見えるように汚してあるのですが、さすがにこの時代にプラスチックの洗面器はありえないでしょう(^^;;

 

産湯に使った金たらい。武器を作るために金属類は供出してた時代ですから、金たらいには違和感が。
でも、木製のたらいなんて現代では値段も高いだろうし手に入らないだろうなぁ(^^;;

 

消毒薬が入っていたのもプラスチックの瓶でした。これも陶器瓶に赤十字マークでも入れたらリアリティがあったと思いますが、そこまでこだわるほどのものでもないのかな?

 

衣装はまぁ、シャツは古臭いデザインのものを集めてきたって感じでしたね。もんぺも時代を感じさせてよかったのですが、破れたところはきちんと縫いましょう!って思いました。当時の日本人はそういうところに厳しいんですから、若い女性の肌が見えてるっ

てことはありえないと思います。

 

郵便用のカバンはさすがに新し過ぎたかな?当時なら金具とか無いでしょうし。

最後はマグカップ。お洒落な女性を表現するためにあえてマグカップを使ったという意図はわかるのですが、どう見てもプラスチック製の現代品なんですよね(^^;;
で、「水を持ってきて!」って時にもそのマグカップが登場しちゃうので、そこは誰でも使える供用の湯飲み茶わんでしょ!って思わず突っ込んでしまいました。

 

 

あと、セリフで気になったのは外来語。
「シーツを持ってきて!」=「敷布を持ってきて!」
「スポーツ万能」=「運動神経がよい」
かな。英語は敵性語と言われていた時代に、平気でカタカナ言葉を使うのはちょっとね(^^;;

 

キムさんに対する「タコ部屋で寝起きして、給料は日本人の半額、さらに詐取されるから給料がほとんどもらえない」っていうのも、昭和19年なら日本人だって総動員令で働かされて同じような状況だったろうと思うんですけどね。まぁ、朝鮮問題に触れるのはや

めておきますけど。

 

他に、知覧に行って海軍航空隊の隊員から手紙をもらってくる・・・って、知覧は陸軍の特攻基地だぞ!って突っ込みの声も。

 

 

演出では、空襲のシーン。
ゼロ戦のエンジンの組み立てや部品の生産をしている割には、1945年7月まで空襲を受けてないというご都合主義はおいておいて(きっと、工員には真実は知らされてなくて、ただの民生工場だったんでしょう)、

爆弾が落ちてからサイレンが鳴り始めるなんてことはありえないだろ!(サイレンが聞こえた直後に落ちるほうがまだリアル)

まずは「火を消せ!」っていうのが当時の防空法。軍需工場であれば尚更、防火訓練はしっかりやらされていただろう。あんなにパニックになるはずがない!
火を消そうとしたけど火勢が強すぎて消せず、それでも消そうとする子を強引にやめさせて、絶望から気力が失せた子を立ち上がらせて、生きるために逃げる・・・っていうのが本来の姿だろうなぁ。

 

 

最初に見たときは、こんな些細なことが気になってあまり楽しめなかったものがあります。2回目からは割り切って、「これはニッポンという架空の国の話だ!」って思って見ていくと純粋に楽しめたんでよかったと思います。しかし、こだわりの性格はなんとか

したいぞ←w

 

 

ただ、この脚本って変なところでリアルなところがあるんですよね。
舞台は山梨県富士見村なのですが、1945年7月6日夜に甲府に空襲を受けて、富士見村にも焼夷弾が落とされているんですね。「七夕空襲」と呼ばれているそうです。劇中でも七夕の飾りを作っていました。
この空襲の死者・行方不明者は1,127人、被害戸数は18,094戸(市内の約2/3が消失)だそうです。

この劇と同じように、東京から学童疎開で甲府にやってきていた子たちも多かったようで、多くの子供たちも亡くなってしまったようです。

 

この劇をきっかけに戦争のことを調べ、その悲惨さを追体験して戦争の愚かさを知る。

そんな人たちが増えて戦争がなくなればいいですね。

 

以上、突っ込みも交えての感想でした。

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