うつ病

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ひきこもりやニートの人の中には、うつ病で苦しんでいる人が少なくありません。





この10年ほど、テレビ、雑誌、新聞などで、うつ病がよく取り上げられています。





これらの番組、特集、記事のおかげで、日本人のうつ病への理解もずいぶんと深まりました。




以前は、うつ病というと、なるべく人に隠して、病院にもいきにくい病気と考えられていました。





しかし、今では誰でもなる可能性のある「心の風邪」と考えられています。他の人に隠す必要もなくなってきましたし、お医者さんにも行きやすくなりました。





うつ病は、日本において、市民権を得たと言えるでしょう。治療においても、最近はよい抗うつ薬が開発され、うつ病は薬をのんで、安静にしていれば治る病気と考えられるようになりました。





これですべてが解決すればいいのですが、残念ながらそう簡単にはいきません。





いったんよくなっても、またストレスがかかると50%くらいの人が再発し、再発を繰り返しているうちにその30%くらい、すなわち全体の1割強の人が慢性化します。





そうなると薬を飲んで安静にしても、なかなかよくなりません。





国内のうつ病の患者数は1999年から2008年までの9年間で、44.1万人から104.1万人へと2.4倍にも増えています。





それに伴って、どの企業においても、精神疾患で休職する人が急増しました。





教職員の病気休職者数の推移では、1990年から2008年の18年間で、精神疾患による休職者数はなんと1017人から5400人と、5.3倍にも増加しています。





全休職者数に占める割合で見ますと、1990年には28%だったのが、2008年には63%にも上っています。





教職員の休職で言いますと、精神疾患による休職のほうがメインになってしまっています。





この傾向は一般の企業においても同様です。うつ病が原因で休職、退職した人は年間80万人~120万人にもなるといわれています。





もはやうつ病を治すことは、患者や家族ばかりではなく、会社と社会にとっても大きな問題となっています。





求職者が発生したために、会社が払わなければならないコストはばかになりません。30歳、勤続5年、扶養者2名の人で考えてみます。






大まかな計算ですが、休職中の給与15万円(基本給の50%)、社会保険料5.5万円、代替の派遣社員の増加コスト22万円、上司対応コスト5万円です。





これを合計すると1ヶ月で47.5万円にもなります。1年間ではなんと570万円です。





これだけではなく、バックアップメンバーの残業代、製品出荷遅延、営業活動低下などの機会損失、社内調整・手続き・外部連携などの人事の対応コストもあります。





また、金額では換算しにくいにですが、他の従業員のモチベーションの低下や、業務量の増加による業務効率の低下も起こります。





日本国内の自殺者が毎年多数出ていることも、大きな社会問題になっています。





1965年から1970年ころは自殺者と交通事故の死者数が1万5000人前後で同じくらいでした。





その後、交通事故の死者数は国がいろいろな施策を実施するにしたがって減少し、2009年には4914人と3分の1まで減少しました。





これに対して、自殺者は1998年に突然1万人近く増えて3万人を突破しました。





以前の2倍です。このため、国がいろいろな施策を実施していますが、少しも減る気配がありません。





2009年も3万2845人にもなっています。なんと、毎日90人もの人が自らの命を絶っているのです。





一人ずつ取り上げたら、とても新聞に書ききれないため、特別な人が自殺しない限り、話題にもなりません。





自殺死亡率は先進国ではロシアに次いで第2位です。人口あたりでは、米国の約2倍、英国の約4倍にもなります。





自殺者の60~70%は背景にうつ病があるといわれています。自殺者の減少は、うつ病への対策なくしては実現しません。





では、うつ病とはどのような病気なのか、簡単に説明しましょう。うつ病は、男性38.6万人、女性65.5万人(2008年)と男性よりも女性のほうが多い病気です。





男性では働き盛りの30代、40代に多いのですが、女性は60代、70代と年配の方が多くなっています。





うつ病とは、気分が落ち込む病気です。ただ、どんな人でも、仕事で失敗したり恋人に振られたりすれば気分が落ち込みます。





普通の落ち込みとうつ病とはどう違うのでしょうか。うつ病は、ただ気分が落ち込むだけでなく、夜寝られなくなる、食欲がなくなる、気分が減退する、集中力が低下する、ということが起こってきます。





そして、それが2週間以上続くと、うつ病と考えられます。普通の落ち込みですと、自然と時間とともに心が癒えて元気になってきますが、うつ病はきちんと治療しないとよくなりません。





うつ病は誰でもなる可能性がある病気です。一生のうちに、男性の5%から12%、女性の10%から25%はうつ病になるといわれています。





このため、最近はよく「心の風邪」といわれます。しかし、うつ病になった人にうつ病を「心の風邪」と言うと怒られます。





うつ病は単なる「風邪」といったなまやさしい病気ではなく、本人にとっては、ものすごく辛い病気だからです。





たとえるなら、「心の肺炎」か「心の結核」です。


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