2007-01-13 14:14:28

アレクサンダー・テクニーク

テーマ:私のイチオシ☆セラピー

 今日は、THERAPYで連載中の体験リポート・エッセーをアップするね。アレクサンダー・テクニーク・インターナショナル認定教師である、かわかみ・ひろひこさんのグループレッスンと個人レッスンを体験してきたので、そのときのリポートなんだけど。これがなかなかに奥深く、内省のヒントとなる哲学的な考察を含むワークだったりするので、次回ブログで、さらにそのへんにも言及する予定ですぅ(^_^)v

グリン マクドナルド, Glynn Macdonald, 片桐 ユズル
図解 アレクサンダー・テクニーク


 アレクサンダー・テクニークとは、1869年タスマニア生まれの俳優、F・M・アレクサンダー氏が見出し、体系立てたメソッド。人が無意識にみずからの動きを邪魔している習慣的パターンを手放し、身体が本来の伸びやかな動きを取り戻すための、感覚の〝再教育〟レッスンだ。

 アレクサンダー氏がこの手法を確立したのは、舞台で自分の声が出なくなったのがきっかけ。俳優としてのキャリアが危機に瀕し、医師も頼りにならなかったがために、氏はみずから原因を探り、やがて大きな発見にたどり着く。それが、「自分には朗唱するとき頭を縮め身体を引き込むようにして咽頭を圧迫するクセがあり、そのせいで声が出なくなった。つまり自分で自分の声を奪っていた」という事実だった。

 それから彼は、「身体は(精神も含めて)つながり合った一つの有機体であり、一部分の動きはそこだけ取り出して矯正できるようなものではない」、「頭を縮め身体を引き込むような動きは声を出すときだけでなく、日常のあらゆる行為に及んでいる」、「ほとんどの人は自分と同様に、本来の身体能力を損なう〝引き込み〟のパターンがそれぞれにある」といった気づきを重ねていく。こうして、彼は7年かけて自分自身を圧迫し損なうような動きを止めていくアプローチを獲得し、そのプロセスを確立して、やがて人々に教えるようになったという。

ジェレミー チャンス, Jeremy Chance, 片桐 ユズル
ひとりでできるアレクサンダー・テクニーク―心身の不必要な緊張をやめるために


「ほとんどの人は何かしようとするとき、反射的に頭や四肢(腕と脚)を胴体の方に引き込み、自分で自分の邪魔をしながら動いているんです。引き込み方は人によってさまざまに違いますが、邪魔しているのは同じ。だからアレクサンダー・テクニックを学ぶことによって肩凝り・腰痛があれば軽減し、音楽家の場合は楽器の奏でる音、歌うときの声の響きが豊かになり、俳優の場合は存在感が自在に変わり、騎手であれば馬と一体化して軽やかに疾走できるようになる。やりたいことを効率よく、ハイ・パフォーマンスで行なえるようになっていくんです」

と、かわかみ・ひろひこさんはいう。

 そのため欧米の音楽学校や演劇学校ではアレクサンダー・テクニークが広く取り入れられ、代替療法としてもよく知られている。またアレクサンダー・テクニックを学ぶドイツのナショナル・チームは、世界大会で優勝することが多いのだそうだ。

 私も今回グループレッスンに参加したとき、ある声楽家の方がかわかみさんの指導によって瞬時に声の響きを変え、ぐんと奥行きと広がりを増したのを実際に耳にして驚いた。自分で自分を〝邪魔〟する動き――身体の使い方――に気づき、それを止めるだけで、なんと身体パフォーマンスは豊かな広がりを見せることか。人間に本来備わった身体機能や表現力、可能性の無限なる大きさや奥深さ(そしてそれをどれだけ損ない、表現できないままに生きていることか!)の片鱗を垣間見る思いだった。

 
HP

かわかみさんのHPはこちらをクリック→

 ところで、私は今回、グループレッスンも個人レッスンも体験させてもらったわけだが、どちらのレッスンの内容もきちんと紹介する自信がない。

 なぜなら、アレクサンダー・テクニークとは基本的に、何か特定の動きや技法をトレーニングしたり、マスターするようなボディワークではないからだ。むしろ「〇〇しなければ」「〇〇しよう」と思ったときに起こってくる心身の無意識の反応に気づき、いかに「しようとする」ことを止め、心身に生じる不必要な緊張を解いて行くか――。そのためのワークと言えそうなのだが、そのワークの内容を言葉で説明することは甚だ難しい。


 かわかみさん自身もアレクサンダー・テクニークを学び始めたときには、自分がやっていることにどんな意味があるのか、自分が何のワークをやっているのか、長い間よくわからなかったという。

 それでも、アレクサンダー・テクニークの代表的なワークである「椅子から立ち上がって、また座る」という動作を繰り返すワークで、あるとき立ち上がる途中に(前傾の中腰のまま)動きを止めるように指示され、その間5,6分まったく身体に負担を感じなかった。そのことにかわかみさんは心底驚き、それがアレクサンダー・テクニークに本格的に取り組むきっかけになったという。


 ただしそれ(負担を感じずに中腰を保てたこと)は、「余分な筋肉の緊張を手放し、ラクに効率的に身体を使う」ということが瞬間的にできるくらい、すでにある程度かわかみさんの感性が研ぎ澄まされていたから、だろう。

 私自身は初めてのチェア・ワークで、そこまでの体感覚は得られなかった。それでも、身体の無意識の緊張、顎を上げるようにして身体を引き込む傾向、太ももに力を入れて立ち上がるクセなど、私が〝自分で自分の邪魔をする〟パターンはずいぶん自覚させてもらった。

 そして、第1頚椎が無理のない本来の支点で頭部を支えられるようにかわかみさんにそっと手を添えられ、「頭がデリケートに動いてバランスをとるのを許してください」という指示に従い、そのバランス感覚を意識しながら重心を移動して立つとき。それだけで不思議なほど身体全体がまとまりを取り戻し、軽やかに動くようになることも実感できた。

バーバラ コナブル, ウィリアム コナブル, Barbara Bonable, William Conable, 片桐 ユズル, 小山 千栄
アレクサンダー・テクニークの学び方―体の地図作り


 そのほか、歩いたり、階段を上り下りしたり、あるいは腕を回したり、さまざまな動きを実際に行ないながらのレッスンだったが、これらはいずれも同じ目的で行なわれる。つまりこれは、生徒がみずからの身体内部の微細な動きに注意を向けるように教師に導かれ、余分な力みや緊張を起こさず、本来のバランス感覚を取り戻し定着させていくレッスンなのだ。

「そうすることで、私自身は身長が伸びて若返り、機嫌よく生きられるようになりました。アレクサンダー・テクニークを学ぶことによって、特に女性は若くキレイになるし、みんなエネルギーに満ちてくる。身体を壊してパフォーマンスをあきらめていた人も、あきらめないでよくなるんです」

 と、かわかみさん。

W.バーロウ, 伊東 博
アレクサンダー・テクニーク―姿勢が変わる・からだが変わる・生き方が変わる

 それにしても、なぜ無意識のレベルとはいえ、人は自分で自分の邪魔をして動くのだろう?(意識と肉体は密接に関連しあった有機的なネットワーク体である以上、これは心理面でも同じことが言えるわけだ。実に実に興味深い!)

「原因はわかりません。間違った身体の使い方の刷り込みもあるだろうし、成長の過程でバランスが崩れたままクセがつくこともあるでしょう。それに社会生活を営んでいると、人は目の前のことにとらわれて、どうしても近視眼的になる。それだけでも身体は緊張して縮み込むことになりますから」

 しかし、そんなこんなも身体の内側の微細な動きに意識を向けるだけで変わってくる、とかわかみさんは続ける。肉体の緊張と意識の緊張はつながっていて、意識と身体は分けられない。だからこそ、アレクサンダー・テクニークを学ぶことによって、誰もがそれ以前より幸福に生きられるようになるのだそうだ。

「これはちょっと誇大妄想が入っているかもしれませんが(笑)。少なくても私はそう確信しているし、そういう人が増えていったときの世界を見てみたい。そういう思いが、この仕事を続けるモチベーションにもなっているんですよ」

 そういって微笑むかわかみさんの、どこかホノボノとしたラクそうな気配に何よりも説得力を感じる(笑)。かつてサラリーマン時代のかわかみさんは、かなり不機嫌に生きていたそうだが、こんなふうにラクに機嫌よく生きられる人が増えたら、それだけで世界はどれだけ変わることだろう。

 今は私たち一人ひとりの心身だけでなく、世界ぜんたいが緊張し圧迫され、ギューッと縮み込んだようなテンションの高い状態で動いている時代。だからこそ、それを解放するためのアプローチがこうして次々にもたらされ、各分野でそれを伝えよう広めようとする人が活躍を続けているのだろう。

 アレクサンダー・テクニークの教師であるかわかみさんも、その一人であることは間違いない。





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コメント

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4 ■みらくるkidsさん、

「緊張しないで集中する」というダスカロスの言葉は深いですよね。
「呼吸」がセルフコントロールの鍵を握っていることからわかるように、そして『エソテリック・ティーチング』の内省の章にも書かれていたように、「内側は見る」ということは、心のありよう、動き、欲望だけでなく、からだの感覚を感じ、見て、その動き、状態を自分でコントロールできるようになっていくことを含むのでしょう。

深い、深い、深すぎる……お話ではありました(笑)。

3 ■緊張しっぱなしです~

う~ん!無意識の緊張かぁ。私、意識的にも体が緊張しているのわかりますよぉぉ。エネルギーブロックたくさんなんだろうなぁ~。
歩いている姿勢も前かがみで自信のなさの表れだと思います。
体を自由に動かすって意外と難しいですよねぇ。いかに色々な規範や価値観、刷り込みによって心が縛られているか・・。それに無意識に自動反応してしまう。体を通してそれらに気付くってすごい体験ですよねぇぇ。

2 ■りんさーーん!

りんさんだけじゃないですよぉぉ~。私たちはみんなみんな、この社会で生まれ育つ中でたくさんの「〇〇であるべき」「〇〇すべき」「〇〇でなくては」「〇〇しなくては」を刷り込まれ、自縄自縛になりつつ大人になってゆくのです。ま、その中には必要な「しつけ」「常識」というものもあるんでしょーが……(^_^;)

で、こういう「〇〇であるべき」「〇〇すべき」「〇〇でなくては」「〇〇しなくては」をウノミにして、ガチガチになって生きている人ほど、こういう価値観を疑うことなく自分を正しいと思い込み、それを他人にも押しつけて、ギューギュー縛りつけようとしたり、責めたり非難したり、ひそかに悪意を募らせたりと、「本人も周囲も大変だよー、それ」的なことになっていくわけで。かなりしんどいわけです(>_<)

こうしたさまざまな価値観を相対化して、気づいて、許して、癒されて、ラクに自由になっていくことって、ほんとうに大切かと。一人の気づき、癒しは必ず周囲の人に伝わっていくので。

今、りんさんはまさに、このような時を生きていらっしゃるのだと思いますよん、傍で見ててハッキリと。
私もそうだけど(笑)。だって気づき、許し、癒しはまんま私のここずーーっと変わらぬテーマでありますし(笑)。

それと

①肉体
②感情体(気持ち、心)
③思考体(考え)

は3つとも、重なり合った1つのエネルギー場の、おんなじ1つの「自分」。
体験を共通し、相互に影響を与え合うこの3つを切り離して存在させることなど、到底不可能だそーですよん(^_^)v

1 ■う~~~~ん

「〇〇しなければならない」
「●●でなくてはならない」


私、自分の性格をリーディングして貰うと必ずといっていいほど
こういう言葉で自分を縛っていると指摘されます。
真面目さゆえに、と言われるけど本人至って自覚ないから
単にこういう類の言葉で自分を縛り付けている頭の固い人間なんだろうね。

私個人だけの問題ですむならまだしも、こういう考え方は子供へも及んでいます。

息子との不仲の大きな一因でもあると知ったのは最近だから
もっと早く知りたかったな。。。

自分を縛り付けている思考から開放されると
身体にも出るんですね~
心と身体は密接に繋がってる、ってことでしょうか。

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