師弟より近く、恋人より遠い関係のまま、ゆるゆると旅を続ける僕僕先生と王弁を描く“僕僕先生シリーズ”の第5弾です。
前作〔第4作『さびしい女神-僕僕先生』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20130128.html)〕の最後で活気を取り戻した峰麓両国では、蚕嬢こと碧水晶の結婚が決まり喜びに沸いています。
さて、碧水晶が相手に選んだのは、引飛虎でしょうか、茶風森でしょうか。読んで確認してください。
その婚礼の席に突然現れた異国からの使者は、漢人に弾圧された異民族たちが手を取り、立ち上がることを呼びかけます。
その動きに興味を持った僕僕先生と王弁たちの一行-第1作『僕僕先生』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20110117.html)以来、コンビを組む美少女の姿をした仙人の僕僕先生とニートの若者の王弁、第2作『薄妃の恋-僕僕先生』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20110119.html)に登場し、王弁たちと行動を共にしている皮だけの妖怪になってしまった女性の薄妃、第3作『胡蝶の失くしもの-僕僕先生』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20110808.html)で刺客として僕僕先生の命を狙ったものの王弁たちに同行することになった劉欣-は、旅の途中で知り合った少女の蒼芽香も一緒にその異国“ラクシア”へと向かいます。
ラクシアはカリスマ性を持つ若き王のラクスが率いる全てが平等で諍いが存在しない理想郷でした。
そして、何とラクスに興味を抱いた僕僕は、その突然の求婚を受け入れてラクスの妻となってしまいます。
僕僕の決断に驚く一行の目には、ラクシアはどう映っていたのでしょうか。
王弁は、ラクシアの町の豊かなものの、どこか付き纏う不自然にいらいらさせられます。
薄妃は、ラクシアの少女たちとおしゃれについて話し、彼女たちが心に秘めている不満を感じます。
劉欣は、ラクシアの人々の笑顔の胡散臭さを疑い、黙々と調査を進めて、ラクシアの影に気付きます。
そして、僕僕の結婚に落ち込む王弁は、劉欣に無理やり目を覚まさせられて、自分のできることをやろうと決意します。
前作に引き続き、この作品でも僕僕はあまり活躍しません。
それは、この作品のテーマが、民族間の軋轢と国家と個人の関係という基本的に人間同士の問題なのかもしれません。
終盤の王弁、薄妃、劉欣の大活躍と3人の人間的な成長には目を見張りました。
続編がますます楽しみになってきました。
先生の隠しごと 僕僕先生 (新潮文庫)/新潮社
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表紙のイラストと本文中の挿絵は、前4作同様にイラストレーターの三木謙次さんです。
珍しく走っている王弁が描かれています。
僕僕先生とラクスは仲がよさそうですね。
三木さんの公式サイトはこちらです。→http://www.mikichannel.net/
また、“僕僕先生シリーズ”の公式サイト“ぼくぼくステーション”はこちらです。→http://www.shinchosha.co.jp/bokuboku/
[2014年2月10日読了]