*この記事は2009年2月頃にmixiに書いたものです*
年末に娘を連れて久喜にあるキングスホビーに遠路はるばる行ってきた。
ここは「夜汽車の客車」に使用されるような客車をメインに扱う金属キットメーカーの店であり、野望を達成するためにはこのメーカーの客車を導入するのが必須であるからである。
金属キットというのはどうしてもディテールが大味になりやすいのだが、このメーカーのものはかなり細密に作られていて、プラ製品と引けをとらない。
さて、実は今回は様子見のつもりだったのだが、衝動的に買ってしまったのが同社製のマロネ38のキットである。
こちらもそのうち「夜汽車の客車たち」で紹介する予定だが、かいつまんで言えば、スハ32系に属する戦前製の2等寝台車である。
ツーリスト式というロングシート状の寝台の他に、特別室として4人用区分室を二つもつのが特徴だ。
そのため、かなり特徴的な窓配置をもつ客車となっている。
金属キットには区分室部分の仕切りも入っており、他も色々凝った作りになっていて、なかなか手強い。
別売部品で内装用にツーリスト式寝台と区分室用寝台・喫煙室用に転換クロスシートを利用することになっているが、区分室用寝台は売切れ、喫煙室座席は利用できる事を知らずに買わなかったので、ツーリスト式寝台のみ購入。
喫煙室用の転換クロスシートはその後鶴見の模型屋でゲットしたが、買えなかった区分室寝台はプラシートで自作してみることにした。
組み立てる上で一番の問題は、やはり金属キットであるので、ハンダ付けが必要になることだろうか。
瞬間接着剤でも組み立て可能との事だが、強度に不安がある。
しかしながら、我が家には反抗期を迎えた幼児がいるので、ハンダを使ったり、毒性のあるフラックスを使ったりするのはまだ怖い。
とりあえず接着剤でやってみるか、ハンダにするか悩んだ末に接着剤で組んでみることにした。何事も経験である。
それにしても、やはり手強い!
初っ端から雨樋の貼付けという難作業が待ち受けていた。
で、見事に失敗である。
雨樋は見事にカーブを描いている。屈辱だ(笑)
遠くからみれば誤魔化せる程度だが、瞬間接着剤の硬化速度と接着力をなめていた。
反対側の側面はエポキシ系接着剤を使うことで何とかなった。
これも貴重な経験だ。
とりあえず、事情が許せば雨樋だけはハンダ付けにした方が良さそうだ。
あとは思った以上にサクサク進む。
プラキットよりやる事が段違いに多いが面白い。
プラキットでは側板と妻板で四角に組めば車体部分は呆気なく出来上がりだが、キングスホビー製のキットは雨樋貼付けの後内張りと外張りの貼り合わせ、デッキ部分の組み立て、ドアの工作のあとようやく妻板を貼り合わせて、プラキットでいうところの車体が完成する。
外装が終わったら次は内装だ。
やはり肝になるのは区分室寝台だ。
寝台部分は厚さ1.2mmのプラ板を切出し、壁は0.5mmのプラ板を使用。
背ズリとして0.3mmのプラ板を貼ると案外それっぽく見えるものだ。
開放室部分のツーリスト式寝台は旧仕様製品に合うように作られていて現行製品に付けるためにはリブを削りとるという加工が必要になるのだが、これが案外難渋した。
零細メーカーだけにやすやすとモデルチェンジできないのは判るが、やはり対応して欲しいものだ。
最初に書いたとおり、マロネ38は区分室寝台と開放寝台の合造なので仕切りが多い。
開放寝台側デッキ寄りの客室仕切り、車体中央の仕切り、区分室仕切りとある。
これらに寝台や喫煙室座席をつけるとなかなか賑やかだ。
やはり面白い。
床下はプラ製で、GREENMAX製と似たような印象。ただし、床板自体は一般的な2軸ボギー車と共用であるため、3軸用に一部リブを削る必要がある。
もっとも、こちらはたいして面倒でもなかった。
パーツ自体の取付けはGREENMAX製より接着剤用の塗りしろが広くとってあり、しっかり組み立てができた。
床板の次は屋根だ。
プラ製の屋根パーツに通風器の取付け場所に穴を空けて通風器を差込む。
これはプラキットでも電車のキットでは珍しくない作業だ。
屋根の裏側にスケールが彫ってあって位置決めしやすく、GREENMAX製より親切だ。
屋根の車端部分には戦前製客車特有のステップを取付ける。これは細かいエッチングパーツになっていて、やや神経を使うところだ。
差込み用の穴が既に開いてるのでその点は楽である。
このステップはプラキットや完成品だとモールドになっていることが多いが、実感的なのは無論こちらである。
ここまできたらいよいよ塗装だ。
車体と内装部品をサンポールに漬けて歯ブラシで洗う。
エッチング液と酸化幕でくすんだような色だった真鍮パーツが新しい10円玉のようなきれいな色になった。
その後はメタルプライマーで塗装の下地をつくるのだが、このメタルプライマーがクリアでどれだけ塗れているのかわかりにくい。
特に夜間にベランダでの作業のため殊更判りにくく、初めてということもありここでも見事に失敗。塗り過ぎである。
悪いことに厚くなりすぎた部分が車体を流れている途中で固まってしまい、目立つ段差ができてしまった。
しかたがないのでぼってりした部分は一旦アルコールで拭いて剥し、塗り直し。
あとはサーフェイサーを吹いて修正することにした。
サーフェイサーを吹いて段差をペーパーがけし、勾配を緩くして目立たないようにするわけだ。
プラキットで塗装失敗した時の経験がここで約に立っている。
やはり何事も経験だ。
反対側は先の失敗を教訓になんとか光源を確保しつつ少しずつ塗り、成功の範疇に収まった。
室内仕切りも一部塗りすぎなっているところがあったが、車体に入ってしまえば見えない部分だったので目をつぶる事にした。
肝心の区分室仕切りは良い塩梅で塗ることができたので良しとする。
内装は全体をライトグレーで塗装する。
これはプラのパーツと真鍮パーツの色合いを統一するためだ。
ライトグレーが乾いたら、次はスロネ30に使ったウッドブラウンで塗装する。
なかなか良い感じだ。
次はいよいよ車体である。
まずはサーフェイサーを吹いてみる。
予想通りクッキリと段差がでてしまっている。
とりあえず600番・1000番・2000番のサンドペーパーで段差を削る。
削ったところでもう一度サーフェイサーを吹いてまた削る。
これを目立たなくなるまで繰り返すわけだ。
段々集中力が切れて来たので気分転換を兼ねて屋根と床下の塗装を行った。
こちらは特に失敗もないので楽なものだ。
床下は黒でシュシュッと塗ればおしまい。
屋根はステップが真鍮製なので軽くメタルプライマーを吹いた後にダークグレーを塗る。
いずれも納得いく範囲で塗ることができた。
床板を塗ったので台車を履かせる事にした。
台車は2軸台車であればGREENMAX製やKATO製を使えるのでピンではめ込みだけだが、マロネ38は3軸台車であるのでキングスホビー製を使わざるを得なかった。これがやや面倒な構造になっていて、真鍮製のスペーサーを噛ませて台車のボスを作る。
パイプとワッシャーを床板の穴に入れて台車をネジ止め。
どうも首振りのスムーズさが今一歩。これは調整が必要かも。
台車の取付けが終わったら再び車体の作業に戻る。
よくみなければ目立たなくなったところで、いよいよ青帯のライトブルーを塗る。
ちなみに自分は青帯の色としてGREENMAXカラーの伊豆急ハワイアンブルーを使用している。実物は青1号という色だそうで、やや緑がかった明るい青である様だ。
ここからはいつものプラキットと一緒だ。
ライトブルーを2度塗りし、マスキングを行う。
なお、ここまで一気に書いたが、実際は何日かに作業を分けて行っている。
なにせ、作業時間は娘が寝てからの深夜のみだし、それに加えて食器や調理道具を洗うのも夜は自分の担当だ。
まぁ、そんな訳で実は作業時間はまとまって取れないのである。
本音を言えば塗装は昼間にやりたいところなのだが、平日は仕事があるし休日は娘の相手だ。
まぁ、可愛い娘と嫁のためならそこは我慢だ(笑)
という訳で土曜夜着工で青塗装が終わったのは水曜日深夜である。
これでもなかなかのペースではないだろうか。
そしていよいよぶどう色2号の塗装だ。
こちらも要領は今までと一緒。
1mm幅のマスキングテープをウインドシルに添って貼付け、しっかりと抑えて塗料が回り込まないようにする。
マスキングが終わったらいよいよ塗りすぎてボテボテにならぬよう慎重に塗装する。
デッキ部分は凹凸が多いので念入りに塗装。
無論2度塗りである。
塗装は成功。
あとは十分に乾かしていよいよ仕上げだ。
まずはゴム系接着剤を利用して窓を貼る。
とりあえず客室部分全体に貼付ける。
その後でお楽しみの曇り窓の表現だ。
マロネ38はトイレと洗面所がやや変則的に付いており、開放寝台側のデッキ隣にトイレ・洗面所が一か所ずつ。車体中央に洗面所が一ヵ所。区分室側デッキ隣りにトイレが一ヵ所となっている。
そのため、曇り窓が目立つ車両となっているのだ。
トイレに関しては半透明のセロテープに白い紙を挟み、窓に貼付けてみた。
なかなか良い感じである。
洗面所は半透明セロテープを4枚重ねてみた。
さて、実はこの他にもう1ヵ所スリガラスがある。区分室側デッキの隣に給仕室があるが、スペースの都合上縦長になった。
このうちデッキ寄りが荷物棚になっていて、荷物棚部分が曇り窓になっているのである。
さらにネット上にアップされてる貴重な実物写真をみると、スリガラス越しに荷物車の窓のような保護棒が見える。
そこで、半透明セロテープにマニ60用の余った窓セルを挟み込んでみることにした。
結果は2枚目の写真で御覧のとおり。狙いどおりの表現となった。
後は屋根と床下をくっつけて、インレタでナンバーを入れれば目出度く完成だ。
写真はとりあえずナンバーと寝台表記まで入れたところ。
昭和34年6月~の仕様とすればこれで完成だ。
実は雨樋やプライマー失敗を鑑みて、この車はこのまま昭和34年以降仕様として、もう1両昭和34年以前風で作ってしまおうかと思ったりしているが、出来上がってみると思った以上に気にならないものだ。
塗装自体には比較的成功したからだと思う。
目的としている編成は主に昭和34年までであるので、やはり2等表記と形式上の所属表記を入れて昭和34年以前風にしようと思う。
と、いうわけで、とりあえずマロネ38は完成をみた。
続きは、夜汽車の客車たちで(笑)
写真1枚目:組み立て中。特徴的な窓配置がよくわかる。
写真2枚目:完成まであと一歩。手前側が゛2等特別室゛の区分室寝台になっている。
写真3枚目:反対から見たところ。手前の窓ごしに区分室仕切りが見えるのが特徴的。