数年前。
とある海外ロケから帰国した際。
成田空港の税関で、思わぬ足止めを食らった。
職員が、僕のキャリーバッグを開けるや否や、覗き込み、中身を掻き分け、手の平を底の方にまで滑り込ませ…とにかく執拗に何かを探り始めた。
僕の一つ前の順番で、チェックを受けた番組ディレクターは、ほぼ素通りだったにも拘らずである。
僕の時だけ、一体どういうことなのか。
俺が一発屋だからか。
疑心暗鬼に陥る。
結果、何事もなく済んだのだが、後学の為に聞いてみた。
曰く、麻薬を探していたとのこと。
僕のキャリーバッグが、当時、密売人の間で一番流行っているタイプのものだったらしい。
何の変哲もない、そこらで売っている代物。
むしろそれが良いのか。
知らんけど。
どの業界にも、流行りはあるようだ。
勿論、廃りも。
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