橋下大阪市長(前知事)の「維新八策」にとりれられて話題の、ベーシックインカム。
すべての国民に無条件で、たとえば一人月5万円の、生活費を給付する、というものである。
先だっては、早くからこれを提唱している田中康夫氏(元長野県知事・新党日本)の話を、ネットの中継で聞く機会があった。
日本版「緑の党」の発足を目指す「みどりの未来」も、月10万円というけっこうな高額で、政策に盛り込んでいる。

政府のいう税と社会保障の一体改革など、いってみれば改革ではなく、現状維持である。
ベーシックインカムをもとに、その他の制度改革を考えることのほうがはるかに抜本的な解決ではないか、と思っている。

ベーシックインカムで解決できることを列挙しよう。
これだけの利点があっても導入できないとすれば、その理由をまた考えればいいのだ。

1.障害者、老人、寡婦、子ども手当など、弱者に対する社会保障を一気に一元化することができる。
  もちろん、これで賄えない部分もあるだろうが、社会保障の原則は「生活できない」人を救う措置だから、例外として対処すればいいだろう。
  行政の立法や裁量に頼らず、将来に向けての「生き方」を、個人個人が考えることができる
2.生きるために、したくない仕事をする必要がない。
  失業が怖くなければ、本当にやりたいこと、社会にとって大切だと思えることに、個人でもNPOでも取り組むことができる。
3.家族の絆を取り戻すことができる。
  個人で月5万円では食べていけなくても、3人いれば15万円、やっていける。生活経費は家族にかかるからだ。
  とりあえず一緒に暮らそうとか、収入のために子どもをつくろうとか、家族を増やすことで生活水準を上げることができる。
4.税の簡素化ができる。
  ベーシックインカムがいわば基礎控除なので、それ以上のあらゆる所得に、一律の所得税をかけることができる。
  一律ということになれば、法人税と統一することもできるし、各種優遇税制も根拠を失うことになる。
5.地域の自主性を尊重でき、過疎過密がなくなる。
  都市は、経費もかかるが、それ以上の収入が見込めるために、人を集めてきた。
  基礎的な収入があれば、都市に頼る必要もなく、都市に出ていく必要もない。