映画『金環蝕』 | ヒズモのブログ

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映画 『金環蝕』(1975年、大映、155分)

監督 山本薩夫、 脚本 田坂啓、 原作 石川達三

キャスト 宇野重吉、仲代達矢、三國連太郎、西村晃、山本學、高橋悦史、峰岸徹、京マチ子、中村玉緒、夏純子、北村和夫、大滝秀治、中谷一郎、久米明、永井智雄、神山繁、内藤武敏、根上淳、鈴木瑞穂、前田武彦、加藤嘉、安田道代、吉田義夫、神田隆、河村弘二、原田清人、外野村晋、山本武、大塚道子、長谷川待子

 

WOWOWで観ました。42年前の映画です。すごいオールスターキャストです。WOWOWで仲代達矢さんが語っていましたが、今、こういう映画は作れないだろうなと私も思いました。

(映画.comより)

allcinemaの解説です。

「ダム建設をめぐる政界の黒い霧と、総裁の座を争う血みどろの戦いを繰り広げる政治家たちを描いた政界内幕ドラマ。石川達三の同名小説を、山本薩夫監督が豪華キャストで映画化したパワー溢れる大作。昭和39年5月12日、第14回民政党大会で、現総裁の寺田政臣は、同党最大派閥の酒井和明を破り、総裁に就任した。選挙での多数派工作に要した資金は両候補とも10億円をはるかに越えた。早速、寺田陣営は資金の補填に奔走、やがて、ダム工事の入札に絡む工作を請負い5億円を捻出する……。」

 

石川達三が小説化した元の事件は1965年に表面化した「九頭竜川ダム汚職事件」。Wikipediaにある事件概要です

「電源開発が計画した九頭竜川のダム(九頭竜ダム)の建設をめぐり、第一工区は指名競争入札で行われた。41億円の最高額で入札した鹿島建設が落札、間組、熊谷組、西松建設、前田建設の4社が最低落札価格を超えていないとして失格となった。池田隼人首相への政治献金を約束した鹿島建設と電源開発が結託して行った可能性があるとして、国会で田中彰治代議士が追及。だが、首相秘書官だった中林恭夫とこの問題を追及していたジャーナリスト、倉地武雄が不自然な死を遂げ、問題はうやむやになった。」

 

宇野重吉、仲代達矢、三國連太郎他の名優たちの迫真の演技に、2時間半を超える上映時間を感じさせませんでした。これだけ多くの登場人物の人間模様を観ているうちに分からせてゆく山本薩夫監督はさすがだなと思いました。

 

しかし、観終わった後の無力感、寂しさ、やるせなくなりました。終盤に疑惑が一気に闇から闇に葬られていきます。映画の中では、もっと未来は明るいぞと思わせるラストシーンに出来なかったのかなあと思いました。

 

高橋悦史が演じる政治新聞社社長が、大手マスコミの政治記者たちに対し、政治家たちの汚職を知っていながら「馴れ合い」で記事にしようとしないことを責めるシーンがあります。今、どうなのでしょうか。

 

仲代達矢演じる星野官房長官、宇野重吉演ずる金融王石原の対決、疑惑を暴露しようとする保守系国会議員神谷を演じる三國連太郎は本当になりきっており、迫力があります。

 

首相夫人役で京マチ子が出てきます。内閣秘書官西尾を演ずる山本學をせめる眼が怖かった。似たようなことが最近あったような…。

 

なお、タイトルの意味は冒頭にテロップで出てきます。

まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真黒に腐っている

 

俳優のみなさん(すでに亡くなった方も多いですが)の42年前のお姿を観ることができて、それも楽しめました。社会派作品として、見ごたえのある映画でありました。

 

 

お読みいただき、ありがとうございます。

 

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