ヒズモのブログ

本好き、映画好き、落語好き、卓球好きのパート社員です。


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角田光代 著 『降り積もる光の粒』(2017年)

文春文庫  定価: (本体660円+税)

 

2014年8月発行の単行本が文庫化されたもので、新聞の文庫新刊紹介で知り、読みたくなって、読みました。

(amazonより)

帯にこう記してあります。「面倒で疲れると知っているのに、私はどうしようもなく旅に出てしまうのだ。二度と出会えないひと、もの、風景。旅をめぐる珠玉のエッセイ。

 

作家である角田さんの目で綴る、旅の風景、感じたこと、食べたこと、起こったこと、がなかなか面白く読めました。

 

表題となったエッセイが最初にあります。「(前略)…困難や疲労は、住み慣れた場所に帰れば消える。けれど、見知らぬ土地で蓄えた、そうしたちいさな光の粒は、時間の経過とともにますます輝きを強くする。それがその人を成長させるとか、ゆたかにさせるとは私は思っていない。ただ、静かに内に降り積もるだけ。それを一度知ってしまった人は、面倒でも、疲れるとわかっていても、どうしようもなく旅に出てしまう。旅に、取り憑かれてしまうのだ。いってみれば、光の粒コレクターになってしまうわけである。」(P5)

 

4章構成となっています。第1章、2章は短いエッセイ主体です。第3章、4章には比較的長いエッセイが入っています。

角田さんの考え方や感性、いろんなエピソードを楽しむことができました。私が前半部分で面白かった箇所をいくつか引用させていただきます。

 

「いつか、本当に餃子を追うためだけの旅をしてみたいなあ。」(P36)

 

「私はこの「列車でごはん」の時間が、たいへん好きなのである。食堂車のことも愛している。鉄女ならぬ、食堂車女と呼ばれてもいい。」(P43)

 

「仕事でも友人たちとでも、どこそこにいく、と決めたとき、私がまず考えるのは「そこでは何がおいしいのか」ということである。」(P48)

 

「車はかように旅向きだが、毎回友だちに連れていってもらうわけにもいかない。それで、私は国外を目指すようになった。…(中略)…経済的につねに逼迫していた二十代のころはとくに、国外の旅が多かった。」(P64)

 

「五日だろうが三日だろうが、その場所に「いる」ということが、きっと旅の本質なのだろうと思うようになった。」(P69)

 

「旅には神さまがいる。これは真実だ。神さまは、いろんな姿であらわれる。私の場合は、老紳士の姿であらわれることが多い。」(P71)

 

「知らない人との旅で私はストレスを感じたことがないばかりか、いつもいつも、びっくりするくらい、たのしい」(P77)

 

「思えば、そこにいく用などまったくないのに出かけていく、というのがひとり旅の神髄であり、あの夜のしんとした孤独こそ、ひとり旅の醍醐味なのだと、長い時間のあとで知った。」(P89)

 

「じつのところ私は未だに走るのが好きではない。好きではないながらも、続けている。ときどき、はじめてのマラソン大会を思い出す。知らない町で、さらりとした陽射しと、気持ちいい、とたしかに思ったことを。そうすると、また知らない町に走りにいきたいと思えるのである。」(P95)

 

子どもはいくつもの扉をくぐって、非日常を旅と名づけることを知る。」(P98)

 

「新幹線を含め長い時間列車に乗るときは、私もかならず駅弁を買う。そうして、どんなにおなかが空いていても、列車が動き出すまでそれを食べない。」(P102)

 

「ただ車窓から眺めているだけだったら、旅のあとにすぐ忘れてしまうようななんでもない光景が、こちらに向けて手を振るだれかの存在で、忘れられないものになる。旅をしていると、そういうことがよくある。」(P106)

 

面倒とはつまり、感情の揺れなのだろう。そのぶれが大きければ面倒も大きくなる。だから、旅を終えて覚えているのは、面倒なこと、感情が揺れ動いたことに、なる。」(P109)

 

私は他に、第3章の「旅を楽しむ三十冊」(P159~177)、「北斗星女ひとり旅」(P178~184)が面白かったです。そして、第四章はなかなか重い内容で、考えさせられました。

 

 

お読みいただき、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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映画 『42~世界を変えた男』(2013年、アメリカ、128分)

監督・脚本 ブライアン・ヘルゲランド

キャスト チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード、ニコール・ベハーリー、クリストファー・メローニ、アンドレ・ホランド

 

感動しました。野球映画の傑作だと思います。

(映画.comより)

映画.comの解説です。

史上初の黒人メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの半生を、ブルックリン・ドジャース(現ロサンゼルス・ドジャース)のジェネラル・マネージャー、ブランチ・リッキーとの交流を軸に描いたドラマ。1947年、ブルックリン・ドジャースのGMだったリッキーは周囲の反対を押し切り、ロンビンソンとメジャー契約を結ぶ。2人はファンやマスコミ、チームメイトからも誹謗中傷を浴びせられるが、自制心を貫き通し、プレーに徹するロンビンソンの姿勢に、次第に周囲の人々の心もひとつになっていく。「L.A.コンフィデンシャル」のブライアン・ヘルゲランドが脚本・監督。リッキー役のハリソン・フォードは、キャリア初の実在の人物を演じた。」

 

第二次大戦直後のアメリカの人種差別環境の中で、ジャキー・ロビンソンがドジャーズGMリッキーの精神的支援を受けて、内外の耐えがたい誹謗中傷に耐えて、実力を認めさせていく過程が、リアルなベースボールシーンとともにテンポよく描かれています。

 

ジャッキー・ロビンソンを演じるチャドウィック・ボーズマン、名演です。観ていて、あまりの差別が悲しくて、くやしくなりました。リッキー役のハリソン・フォードが、思慮深く、的確な言葉でジャッキー・ロビンソンに語り、そして見守る勇気あるGMを演じ、とてもいいです。

 

ジャッキー・ロビンソンに寄り添い、励ます妻役のニコール・ベハーリー、素敵な女優さんです。身の回りを世話する新聞記者役のアンドレ・ホランドもいいです。アカデミー賞映画『ムーン・ライト』のケヴィンを演じていますね。

 

ジャキー・ロビンソンが必死にプレーする姿が、やがて観客やチームメイトにも認められていくくだりでは、嬉しくなります。チャドウィック・ボーズマンの表情が崇高に見えてきます。

 

ジャキー・ロビンソンやブランチ・リッキーのような勇気あるチャレンジャーがメジャーリーグの歴史を変え、世界が変わったということがよくわかりました。

 

 

お読みいただき、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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映画 『用心棒』(1961年、東宝、110分)

監督 黒澤明、 撮影 宮川一夫、 音楽 佐藤勝

キャスト 三船敏郎、仲代達矢、山田五十鈴、東野英治郎、加東大介、志村喬、藤原釜足、司葉子、夏木陽介、渡辺篤、藤田進、西村晃、加藤武、中谷一郎、ジェリー藤尾、天本英世

 

三船敏郎の存在感、魅力がいっぱいつまった映画です。NHKBSプレミアムで観ました。

(映画.comより)

映画.comの解説です。

「二組のやくざが対立するさびれた宿場町。そこへ一人の浪人者がふらりと流れ着く。男はやがて巧みな策略で双方を戦わせ、最後には自らの刀を抜きやくざたちを倒す。町の平和を取り戻した彼は、またいずこへとも知れず去っていく……。時代劇に西部劇の要素を取り入れた痛快娯楽活劇。ピストルにマフラーのニヒルな殺し屋を演じた新鋭・仲代達矢の存在感が光る。64年にはセルジオ・レオーネ監督が本作をもとにマカロニウエスタン「荒野の用心棒」を作り、大ヒットした。」

 

昭和36年(1961年)公開ですから、56年も前の白黒映画です。従って、今は亡き往年のスターの姿を楽しめます。

 

始めから三船敏郎の後姿です。これがまた、かっこいい。この映画、絶対面白いぞと思わせます。無口で、何ごとにも動じない腹の座ったキャラクターがぴったりです。殺陣の速さには目をみはります。

 

Wikipediaによると「…侍同士の対決シーンで、すれ違いざま刀を振り下ろし、いったん静止して片方が倒れて死ぬという描写や効果音として刀の斬殺音を使用したのは、本作が最初である。」ということです。

 

また、「本作の殺陣の特徴は、桑畑三十郎は相手を斬る際、必ず1人につき2度斬っていることである。「1度斬ったぐらいでは、すぐには死なないだろう」という黒澤と三船の考えにより完成した殺陣であるとのこと。」とあります。

 

このようなエピソードを知って観ると、楽しみが深まりますね。

 

私は、斬新、美的な映像に感動しました。三十郎が丑寅一家の見張りを斬って、おぬいを助けだし、清兵衛一家の仕業に偽装工作するところで天井の米俵を斬って、米が滝のように落ちるシーン。また、清兵衛が徳右衛門の酒造を襲い、多くの酒樽から酒が流れ落ちるシーン。そして、最後のつむじ風の中での対決シーン、とてもいいです。白黒のグラデーションだけで、カラー映像を再現しているように思えます。

 

新田の卯之助を演じる仲代達矢が、如何にも冷酷非情なピストルを持った殺し屋という風情で、インパクトがあります。東野英治郎、山田五十鈴、司葉子、渡辺篤、それぞれ、特徴ある役を演じ嬉しくなります。若き加東大介がちょっと頭の弱い新田の亥之吉を演じ笑わせます。

 

この映画での三十郎というユニークなキャラクターを、三船敏郎は自分自身そのままに演じているように見えます。1961年のヴェネツィア国際映画祭男優賞を受賞されたのもうなずけます。そして、黒澤映画はやっぱり面白い。

 

 

お読みいただき、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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