共産党機関紙の配布が国家公務員法違反に問われた事件で、旧社会保険庁職員、堀越明男被告(56)を逆転無罪とした29日の東京高裁判決は、国家公務員の政党機関紙配布などを一律に禁じた同法や人事院規則、それを合憲と認めた最高裁判決(74年、猿払(さるふつ)判決)に疑問を投げ掛けた。検察側は上告するとみられ、最高裁が今後、判例を見直すかどうかが焦点になる。

 猿払判決は、職種、勤務時間内外などの区別なく政治的中立性を損なう行為の禁止を認めた。今回の1審判決や、警視庁官舎に共産党機関紙を配布したとして同法違反に問われた元厚生労働省課長補佐に対する東京地裁判決(08年9月)はこれを踏襲した。

 29日の判決は、猿払判決から30年以上が経過して国民の表現の自由に対する認識が深まり、西欧諸国が国家公務員の政治活動を緩やかに解釈していることを指摘し、一律の罰則適用は違憲と判断。堀越被告の場合は▽管理職でない▽休日に配布した--ことなどを無罪の理由とした。元厚労省課長補佐も休日に配布しており、同じ枠組みをあてはめれば、「課長補佐」の地位や職務内容が結論を左右することになる。

 一方、政治的ビラの配布を巡っては、ほかに(1)市民団体の自衛隊イラク派遣反対ビラ配布事件(2)僧侶の共産党ビラ配布事件--がある。いずれも住居侵入罪に問われ、最高裁で有罪が確定した。ともに建物に立ち入ってドアポストに配布しており、最高裁は「管理者の意思に反し、住民の私生活の平穏を害する」と断じた。集合ポストに配布した堀越被告は住居侵入罪に問われず、元厚労省課長補佐も同容疑は起訴猶予となっている。【北村和巳】

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