つながりの書13 2-2『聖なる剣(つるぎ)』1/2 | 地球が喜ぶ仲間を作る! at 千葉県で自然な生き方の追求と普及

地球が喜ぶ仲間を作る! at 千葉県で自然な生き方の追求と普及

『1000年先へつなぐ地球家族』をテーマとし、地球人としての理想的な生き方を追求していく活動期

――――――――――――――
第2章 破滅と浄化
2-1『機能停止』の続き> (目次はこちら
――――――――――――――

加藤さんは
セミナーや講演会を主催する会社を
経営しているのだが、

ボランティアスタッフが
30人くらい協力してくれて
それで成り立っているというのだ。

その会社をやっている人は
どんなに素晴らしい人間性の持ち主なんだろう……、

僕もそんな魅力のある人間になりたい!
と思っていた。

僕は一度気になって、
彼女の主催するセミナーに参加したことがあった。

会場に入ると加藤さんは
とても明るい振る舞いで、

参加者1人1人に
「こんにちはー、加藤です^^
 今日は来てくれてありがとうございます!」

と挨拶をしていた。

小柄だけど輝いていて、
存在感があった。

これが人を引き寄せているんだろうなと思ったが、
そんなものではなかった。

僕が加藤さんに相談のメールを送ると、
快く引き受けてくれた。

そして渋谷から5駅ほど西の駅前で
待ち合わせることになった。

当日駅の改札前で会うと、
セミナーで見た時とは違い、
メガネをかけて素朴な感じだった。

それでもこの人に相談に乗ってもらうんだと思うと、
緊張して落ち着かなかった。

カフェに入ると、
そこは少しレトロ感がある、
小奇麗な広めの雰囲気だった。

茶色い木のテーブルがたくさん並んでおり、
僕らはそこを通り過ぎて、
奥にある4人掛けの丸いテーブルに座る事にした。

窓際で明るい場所だった。

「右側と左側、
 どっちに座るのが話しやすい?」


そんな所から気遣ってくれるとは。
いきなりの質問に僕は戸惑った。

「あ、どちらでも。
 ……やっぱり左側がいいですかね」


硬くも座り心地の良い椅子に座り、
僕らはメニューから飲み物を選んで注文した。

店に流れるジャズっぽい音楽が小さく聞こえたまま、
僕らは数秒間の無言を共有した。

「それで? 相談というのは?」

「え……と、
 どこから話そうか迷うんですけど」


「どこからでも」

僕は真っ白になりかけている頭の中に、
なんとか言葉を探しながら現状を話した。

加藤さんは親身な相槌を打ちながら、
真剣に話を聞いてくれた。

途中、透明なカップに入った
紅茶が運ばれてきたが、

僕らはしばらく
それに手を付けなかった。

僕は仕事内容や資金がない現状の他に、

世のため人のためにという
理念を持ってやっていること、

そしてもう逃げの道には
行きたくない事を話した。

一通り話したい事を話して、
アドバイスを求めた。

「この状況を、
 どうすれば乗り越えられますかね~?」


「うーん……」

加藤さんは頭の中で
何かを整理しているようだった。

僕はその間に
ノートとペンを取り出した。

紅茶を一口飲んで、
ペンを持って聞き耳を立てた。

すると間もなく、
衝撃の答えが返ってきた。

「話を聞いてるとさぁ……
 人のためとか言いながら、

 結局は自分の利益のことを
 考えているんじゃないの?」


ドキッとした。

その通りだ。
僕は言葉を返せなかった。

「黒いものは削ぎ落とした方が良いよ。
 お金の事を考えながらやると上手くいかないから。

 人はね、
 ピュアなものにくっつきやすいの。

 ミッションだけを残して
 それ以外のエゴとかを全部削ぎ落とす……。

 その後で事業が上手くいくの」


黒いものを、削ぎ落とせ!

聖なる剣が僕の胸を貫いた。

それまで僕は、
相手のための一番に考えるという信条で

周りにもそういう事が大事なんだよと
説いていたのだが、

自分自身が出来ていなかったのだ。

本当の意味での
『理解』をしていなかった。

黒いものなんて僕は持っていない!
相手中心に、人のためにやっているんだ!

そう自分で思い込んでいただけに、
『黒いものを削ぎ落とす』という表現は
妙にしっくりと来て、かなり響いた。

そういう事を思う前に、
細胞が反応して、僕の体の動きを数秒間、
呼吸も含めて停止させた。

口は半開きで、
まばたきもしなかった。

その間、
何も聞こえもしなかった。

その時の加藤さんの言葉には、
厳しさの奥に、深い愛情を感じた。

僕は沈黙していたが、
加藤さんはとても親身になって、
他にもいろいろと教えてくれた。

⇒つづく

――――――――――――――

※まとめて読みたい場合は、以下の電子書籍をお求めください。

つながりの書 ~幸福人の教え~/星 絢

¥980
Amazon.co.jp