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文学とレトリックと人生と

2012-02-11 15:50:21 Theme: 読書の意味 hermanの投稿
文学には様々な表現があります。

巧みな表現といっていいのでしょう。

様々な世界観や価値観を小説から見出すことができます。

作家によって、作品によってそれは多様です。

小説の中から人々が飛び出してきたり、先を読む前に動き出したりします。
不思議な感覚です。

これが楽しみの一つなのですが。

心が動く表現(文章など)に出会うたびに狼狽してしまうし、勝手な想像で、泣いてしまったりもします。

泣いた後はなぜかスッキリします。

こうした巧みな表現のことを「レトリック」というそうです。


ある本に次のような一節がありました。
私たちは身近に触れるものを一つ一つ取り出し、
それに言葉を与え、表現を変え、世界を再び瑞々しく蘇らせるのだ。
それがレトリックの効用である。

世界を絶えず違った角度でとらえ、さまざまな表現を駆使する。
私たちは毎日違った朝を迎える。
すべてが新鮮で、世界は絶えず新しく蘇る。

生きるそのこと自体がすでに冒険であり、
私たちは毎日未知の世界に旅立つのだ。
本を読む喜びは、そのことと無関係ではない。

私たちは硬直した価値観を植え付けられ、常識という枠にはめられ、
生きることが退屈な繰り返しへと変貌する。

読書は魔法だ。
一回きりの人生を豊かにし、柔軟な思考と豊かな想像力、
そしてレトリック感覚を与えてくれる。

世界中のあらゆる知識、このほとんどが日本語によって手に入る。
あらゆる思想、宗教、私はそれらに触れるだけでも
十分に生きることに意味を見出すことができる。

感情も感性も思考も、すべて言語によるものであるかぎり、
こうした言語訓練こそが、その人の知性や教養、感性、
レトリック感覚を磨くものであって、そういった意味では、
本ほど素晴らしいものはないのだ。

本を自在に手にできる時代は、その人の生き方を変える。

私はこのレトリックに翻弄されているといえますね。
いい気分だ。

でも、「生き方」は変わったのだろうか。

人と接するうえでじっと耳を傾け、
いろんな想像をするようにはなったようです。
言葉を通じて様々な情感が湧き上がって来るようにもなってきたようです。

それを説明できるようになりたいものです。

それまでは煮ても食えないギラギラした鈍い実存主義者だったような気がします。
鈍さはなかなか克服できない。
これが「枠」にはめれた状態なのかもしれない。
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しのぶセンセにサヨナラ

2012-01-20 19:01:38 Theme: 東野圭吾 hermanの投稿
かつて「秘密」を読みました。

読ませる文章を書く作家だなぁ、と感心しました。

久しぶりに東野さんの本に触れてみました。

浪速少年探偵団シリーズの第二弾ですね。
一つの事件は、

なぜ、起きたのだろうか?

背景は?

どんなプロセスで起きたのだろう?

事件の関係者は

趣味や職業は?

どんな感情を持っているのだろう?

どんな生活を送っているのだろう?

担当刑事や鑑識はどんな人たちだろう?


毎日の新聞社会面を見ながら

不謹慎ですが、

いろいろ、あれこれ、

考えるのが楽しみなりますね。

数人で事件の真相を想像してみると楽しいかもしれない。


この文庫本の解説は西上心太さん。

次のように評しています。
作者はお話作りがうまい上に、的確な描写を平易で安定した文章で綴ります。
いわゆるサクサク読めるという作家なのです。
あまりの面白さに一気に読んでしまうことがしばしばで、かえって後になって印象が残りにくい嫌いがなきにしもあらずです。
なるほどそのとおり。

読み始めるとつい一気に読んでしまう。

心憎いまでに

「的確な描写を平易で安定した文章」

です。


かといって、

トリックやアイデアに手を抜いている風がない。

「みどり色の星」の物語|一日、一日の未来

2011-12-15 11:09:40 Theme: 時代 hermanの投稿
【あらすじ】
人生は夢かもしれない。でも、幻の中で、せめて幸せでいられたら。
19歳の遠山エリカは、冬のある日、知り合いの中学生とともに訪ねた研究所に閉じ込められ、たまたまその場に居合わせた6人と共に想像を絶する「時空の旅」を経験する。たどり着いたのは、みどり色の太陽が輝く星。大通りに立ち並ぶ五角形の几帳の家には、生きるために必要な備品がすべて備えられていた。そこは、高度な文明を持つ異星人が、訪問者たちのために作った保護地域だったのだ。
途方にくれる彼らに、やがて頼みの綱だった樹田博士から、「時空の一致するところに移動せよ」という緊急指令が入る。彼らは再び時空をジャンプし、無事地球に戻れたのだが……。
それは幻覚でしかなかった。落胆と失望の末に、エリカはひとつの選択をする。月日は流れ、49歳になったエリカはついにすべてを思いだす。
なんとなく手にとってしまう本ってありますね。
表紙を見て、目次に眼を通して、奥付のプロフィールを確認して。

読み始めるのに2週間くらいかかりました。
背表紙が呼んでいるような感覚があって、やっと読みはじめました。

なんだ、SF(サイエンスフィクション)か。

と、思ったのですが、
いい感じのSFですね。

一気に読了!

現実は、本当に現実なのでしょうか。

わたしたちの世界はいろんな仕掛けが
もたらしたものなのかもしれません。

もちろん知るよしもありませんが。

キーワードのようなセンテンスをいくつか抜き出してみました。

「歳月って、ほんとうに不思議なものだわ」・・・
「このあたしだって、太古の時代の人間になる日が、必ず来るんだわ。時間の流れるのがとまらない限りはね」

「ちょっと・・・が命取りになった。人生日はそんなことがある。にがいな、ほんとに」
「ほんとうに、ささいなきっかけで、人生は変わるんだなあ」

なにもかも幻。そう思って、心の整理をしたほうがいいみたい。

自分の中で、以前は実人生で豊かにあふれていた。生きるための火―幸せではなかったけれども、そのおかげで生ききた火。それが消えてしまっていた。

「・・・ああ、冒険旅行がすべて終わったんだなあと思って、さびしきなったんだよ」

「・・・もともとフッキーがひきおこした人間関係のごたごただったからな。彼女の対応がすっかり変わったんで、いろんな問題も消えてしまったというわけだ」

ほんのわずかな時間のつどいではあっても、なぜだろと思うほどの幸福感である。生きるための火のようなものが、ふたたび心身に溢れてくる気がした。

「・・・コスモス・フィーバーというものがある、・・・宇宙熱だな。あまりの環境の違い、性癖の違い、そして果てしないほどの距離による孤独感によって、両者の間に生じる熱。・・・」

「・・・おれたちはいはば、歴史的機密でむすばれたきょうだいなんだからな。・・・」

希望。・・・そう、いつのことからか、それが人生にはなくなっていた。きらめき。それもうせていた。きらめき?いや、ひょっとしたらひとつだけ、恵利子にはそれが残されているかもしれない。それは彼女のハンドバックの底にはいっている、ある写真である。

「あれは幻なのよ。ただの、夢なのよ」
「いや、夢と願望が出発点ではあるが、既成事実を土台にし、組み合わせてコンピューターが原始計算して作り出した物語だろう。・・・」

「・・・だけど人間は、たぶん、何もなくてもせずにはいられないんだと思う。遠くの世界にむかわずにはいられない。知って、知って、もっと知りたいと願うんだよ。・・・」
「おろかで、分際ってものをわきまえていないかもしれないわねえ。・・・それが命で、情熱なの。・・・」
「そう、人間ばかりではなく、知的生命体というものはそうなんだろう」

あの冬の日、シャラの家に連絡網を伝えにいかなかったとしても、そのさきの運命は幻のと比べてどっこいどっこいだったのかも。
人生なんて、どこで過ごすのがいいかなんて、わからない。旅がメンバーで決まるというけど、人生もたぶん同じ。お互いのこころだけ。ほかはすべて夜店の幻燈みたいに、影・・・なのかもしれない。
これからは力をふりしぼって生きてやる。寒くたって、平気だ。土木作業でも畑仕事でも、なんでもしてやる。・・・ああ、楽しくなってきた。ぼくもたたかう。生きてやる。一日、一日。

著者は、1952年9月10日生まれ。
現在ウィーンに住んでいるという。
興味ある作家の一人になりました。

さて、こちらは「青い世界」。メリークリスマス!
$本の世界-青い世界へ

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