正直、期待外れでした。

そもそも『デスメタルアフリカ 暗黒大陸の暗黒音楽』(パブリブ)という本は、著者のハマザキカク氏による身も蓋もないレビュー(例:美人キーボード擁する退屈極まりないゴシック!)だとか、現地バンドマンの斜め上な言動が面白いのであって。

取り上げられているバンドの大半はただのB級メタル(「デスメタル」ですらない)か、それ以前のアマチュアだから音楽自体に面白味があるわけじゃないんだよね。

たとえば代表格(?)のSCRATCHは、あのブラック・メタル風のいわゆるコープス・ペイントで泥臭い歌謡ロックを演っているというギャップがおかしいわけだけれど、そのおかしさを楽しむには、やはり相応にメタルの知識が必要。そうでなければプログレのOSANNAと比較するという的外れな感想になるのは仕方がない。

あとベスト10は多すぎで、SCRATCHを5位に格上げしてベスト5にしたほうがインパクトを残せたのでは。またインパクトの面ではAFRICAN DOOMHAMMERを取り上げていないのも腑に落ちない。

(……とツイッターで呟いたところ、ハマザキ氏から「(AxDxは)曲が長すぎる上にPVも作られていないので見合わせた」との解答をいただきました)
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要約すると、



オズフェストでガルネリウスのライヴを観て「イモっぽい」と正直に書いた人のブログが、2chのガルネリスレに晒されて、ガルネリ信者に炎上させられた



……というお話です。



では、原文から槍玉に挙げられた箇所を引用します:



「MO6x4x9x4のブログ」内『BLACK SABBATH / Ozzfest Japan 2013』

http://ameblo.jp/6x4x9x4/entry-11529685543.html


「オジー/サバスへのリスペクト」、「不毛であったメタルの復興」これ担ってきたのがOzzfestである。じゃぁ今回のOzzfestってどうだったんだ?

正直、日本からの出演バンドはカナシイことに普段聴いてる音の外だったりするのでジャッジはできないが日本側からの「添え物」として妥当だったのはホルモン、DIRくらいだったんじゃないかという気がする。(Crossfaithとかcoldrainとか好きなバンドなんでこの場に出演しているのはうれしいがそれでも違和感がある)


そして何よりも違和感があったのが日本からのGALNERYUSとANTHEM。海外からのTHE TREATMENT、Steel panther。(まぁSteel~は向こうで出てるんだけどね)


運営側の方針なのか、スポンサー側からの制約か、メディア対策かはわからんがラインナップみる限りではどうもメタルフェスのはずなのに、メタルバンドの出演枠が限られている気がしてならない。その中でのメタルバンドがコレ。開催当初からのラインナップを見ていただくとわかると思うが、限られた中でのチョイスでなんでこーゆー古典的なスタイルのイモっぽい感じのバンド選ぶかなぁ…。好みの問題でもあるとは思うが「メタル外」の人間からみてこのテのバンドじゃメタルのカッコよさって伝わらないでしょ。少なくともSLAYERとPANTERAで育った人間からするとダサいんだよ。(好きな人ごめんね)

この辺りからも日本の運営側がメタルにもOzzfestにも関心がないというのが透けてみえる。

日本からの出演バンドをみるとメディアが扱いやすいバンド、レコード会社がスポンサー的に動けるバンドというポイントが露骨に見えるし。(人間椅子が出演したというのは奇跡だと思う)

多分、一番戸惑っていたのは出演したバンド側じゃねぇかって?気もするし。


・ガルネリのスレで晒された(アンセムとスティール・パンサーのスレには晒されていない)直後に炎上したこと


・同ブログ内の他のエントリにはいっさいコメントがついていないにも関わらずガルネリdisの当該エントリだけコメントが延びていること


以上の理由から、ガルネリ信者による炎上と解釈するのは妥当な論理的帰結と言えるでしょう。


参考:
【ガルネリウス】GALNERYUS 60 【10周年】
http://desktop2ch.tv/hrhm/1367069242/

ANTHEM アンセム限定スレッド★42
http://2ch-archives.net/awabi.2ch.net-hrhm/1-1361535347/

【ダサ】STEEL PANTHER【カッコいい】
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/hrhm/1306047804/l50


もっともスティール・パンサーは「NWOTHM(New Wave Of True Heavy Metal)」と称される欧米のメタルの最新トレンドに位置づけられるバンドですし、ステレオタイプな80'スタイルをただ焼き直すのではなくパロディにする批評精神も感じられますから、ガルネリウスやアンセムの音楽性とは似て非なると感じます(ちなみに幕間のサウンドチェックでローディーがベースでサバスのリフを弾いていたっけな)。


さて、それに対するガルネリ信者の反応は以下のとおり:


1. 無題

ガルネリ好きなんでそういう記述は辛いです。
他人の大切にしているものを理解して下さい。
そしてあなたの大切なものを守っていって下さい。

uni 2013-05-14 21:27:18



10. 無題

イモ臭いとか書いたらファンは怒るでしょう。
どう感じるかは個人の自由ですが、今後はもっと他の表現を使用された方が良いと思いますよ。
いと 2013-05-16 19:12:05


ガルネリを扱き下ろす文章を、わざわざ2chのガルネリ信者が集まるスレに晒す行為は、件のブログ主に対して、という以前にガルネリ信者への嫌がらせであり、まさにそれこそが“荒らし”というものです。噛みつく相手間違えてますよ。



またそのような意図すら見抜けず挑発にまんまと踊らされ、炎上に加担する低脳も“荒らし”でしかありません。



ガルネリが「イモっぽい」と言う人に対して「イモっぽいとは何事だ」と食ってかかるのは「反論」でも「評論」ではなく、たんなる音的嗜好の押しつけでしょう。



傍目には、自分の好きなもの(=他人には蠅の糞ほどの価値もない)を貶されたくらいですぐにブチキレるイタい人たちでしかありませんし、晒した当人もそのようなイタい様を眺めてあざ笑っているであろうに。


ま、そのような客観性・他者性の欠如こそが「信者」と揶揄される所以ですが……。



3. 古典的なバンドの魅力

アンセム、ガルネリウス、パンテラ、ホルモン、DIR、コールドレイン、サバス、スレイヤーも全部好きな自分にはあなたの意見的外れで頓珍漢なものにしか聞こえません。
ガルネリウス、アンセムが古典的でイモっぽいというなら、サバスはそれ以上に古臭く聞こえる人間が多いのではないでしょうか。
ただ伝説のバンドというだけであがめているようにしか聞こえません

アラフォーメタラー 2013-05-14 22:44:19


赤の他人のブログのコメント欄で俺様の好きなバンドをけなすとはけしからん、と自己主張することのほうがよっぽど《意見的外れで頓珍漢なものにしか聞こえません。》と思うのですが。



さらにこいつの場合は“客観性”“中立性”を装うあまり、ロクに知りもしない他のバンドについても知ったかぶりしているのが、いかにも厨臭くて微笑ましいところです。それについてはおいおい突っ込んでいきます。



それにしても「サバスも好き」と言いつつ《サバスはそれ以上に古臭く聞こえる人間が多いのではないでしょうか。》などと言うのは矛盾していますね。そもそも当該箇所の《古臭い》という表現が時系列的な年代を指しているのではなく、先述したメタルのステレオタイプを“ただ焼き直しただけ”の陳腐な音楽性を想定していることはまともな読解力さえあれば文脈から判断できるはず。



またガルネリを《古臭い》と感じる人とサバスを《古臭い》と感じる人が同一人物であるという決まりはありませんし、サバスを《古臭い》と感じる人が好き好んでサバスのライブを観に行くとも思えませんので、たんなる揚げ足取りを除けば論理的に何の意味もない抗弁です。


次のコメントも同様の誤読に陥っています:



9. 無題

1985年、オジーを含むサバスが一瞬だけ再結成して「ライブ・エイド」というチャリティーコンサートに出た時の雑誌記事を思い出しました。

「なんで今さらブラック・サバスみたいな古くてイモ臭いバンドをこの素晴らしいライブ・エイドに出演させるのか分からない。ヘヴィメタルやハードロックがダサいものとして誤解されてしまう。少なくとも自分にとってはダサいし、他の人にヘヴィメタルを紹介する時には選ばないだろう」

そんな内容でした。ご覧の通り、こちらのブログの記述と驚くほどシンクロしていたのです。
歴史は繰り返されるんですね。

ブログ主さんの見方が間違っているということを言いたいのではなく、こういう見方はどの時代にもあって、これまで何度も似たような論争が繰り広げられてきたということを申し上げたくて書き込みました。

こちらのブログの記事自体は読み応えがあり、面白かったです。
かなりの文章力がある方とお見受けしました。
これからも頑張って下さい。

失礼致します。

昔話 2013-05-16 12:25:31



非実在の【雑誌記事】なるものをどこからか引っ張ってきては「なんで今さらブラック・サバスみたいな古くてイモ臭いバンドをこの素晴らしいライブ・エイドに出演させるのか分からない。ヘヴィメタルやハードロックがダサいものとして誤解されてしまう。少なくとも自分にとってはダサいし、他の人にヘヴィメタルを紹介する時には選ばないだろう」という言辞は当該箇所のガルネリdisをそのままオウム返しにサバスdisにパラフレーズしているだけです。何の出典も明らかにされていないので資料的価値すらありません。



つまり《歴史は繰り返されるんですね。》などともっともらしいことをのたまいながらそのじつ歴史認識について述べているのではなく、ただガルネリdisに対抗するためにサバスをdisりたいというこいつ自己の卑しい願望を投影しているにすぎません。べつにサバスをdisったところでガルネリの「イモっぽさ」が相殺されるわけではないのですが。


さて、ここへきてガルネリ信者に象徴される「メロスピ厨」(「ネオクラ厨」とも)の心理的傾向も明らかにされています。



すなわち「メロスピ厨」とは、たんにメロスピが好きだとか、あるいはメロスピ以外の音楽に興味がないといったことではなく、



それこそオジー時代のサバスのようなメロスピと対極にある《メロディアス(=ネオクラシカル)でなくテンポの遅い音楽》を“主体的に貶める”傾向にあるということです。



そこをいくと件のブログ記事は、ガルネリやアンセム、スティール・パンサーが「イモっぽい」というのはブログ主の音的嗜好の表明である一方、coldrainやCROSSFAITHなどに関しても、その音楽性の高さは評価しつつオズフェス参加については異議を唱えています。すなわち「メロスピ(ネオクラ)」ないしそれに準じる「正統派」「様式美」のメタルだけをことさら敵視しているわけではない。



ゆえにこれは《ガルネリ信者=メロスピ厨》と「サバス信者」の対立ではなく、あくまでも



《ガルネリ信者=メロスピ厨》が、その偏狭な「メロスピ(ネオクラ)至上主義」をいち個人のブログに押しつけている



……という図式になります。



ここで《ガルネリ信者=メロスピ厨》であるところの【アラフォーメタラー】の発言に戻ります:



12. Re:Re:無題

>MO 6x4x9x4さん
あなたがオススメしてるバンドをみると、なんとなく音楽的な好みは分かります。
ラムオブゴッド、キルスウィッチは自分も格好いいと想います。それ以外のバンドも評価が高いのは一応知っています。キルスウィッチはアルバムも何枚か持っていますし。
しかし、ネット上でオズフェスのラインアップの希望としてラムオブゴッドとキルスウィッチの名前が挙げた人が居ましたが、反応としては歓迎する声はほとんどなく、キルスウィッチいらね、ラムオブゴッドいらね、って意見が多かったです。

アラフォーメタラー 2013-05-17 07:48:13


本場のオズフェストが実態としてどのような趣向のイベントであるかということと、この馬鹿を含む消費者がオズフェストに何を望むかなどということはまるで関係ありません。



“客観性”“中立性”を装いつつも、けっきょく話が自分中心に完結してしまうところが《ガルネリ信者=メロスピ厨》の幼児性を如実に物語っています。


(ちなみに当のブログ主も述べているとおり、こいつが《意見的外れで頓珍漢な》レスをつけているブログ主【MO 6x4x9x4】のコメントは、たんにお勧めのメタルを聞かれたから答えただけで《オズフェストに何を望むかなどということ》とはまるで関係がないのですから二重・三重におかしいのですけれど)



また自分の好きなものを貶されたからといって、相手の好きなものを貶すことで“言い返してやった”気になるというのも、いかにもな幼児性の表れですな。アラフォーにもなって恥ずかしくないのかね。


もっとも、おそらく《ガルネリ信者=メロスピ厨》であるところの【アラフォーメタラー】はそのじつ「ラムオブゴッド」「キルスウィッチ」も聞いたことがなく《アルバムも何枚か持っています》というのも大嘘でしょう(まさかこの直後に「ディスクユニオンの中古オンラインショップ」に発注してたら笑えるけど)。



次のような“知ったかぶり”を見るとなんかそんな気がします:


20. Re:Re:Re:Re:無題

>MO 6x4x9x4さん
別にそれに対してコメントを求めたわけではなく、オズフェスの観客が求めてたものは必ずしもあなたがかっこいいと思うバンドと一致してるわけではないのでは?ということを言いたかっただけです。

そもそもオズフェス自体を間違って理解しているようです。オズフェスはそもそもメタルフェスではありません。オジーのために開催されたフェスであり、サバスが出演していない年も多々あり、そのオジーが90年代以降やっていた音楽自体はメロディックでオーセンティックなハードロックです。
オリジナルサバスへの再評価は周りに人間たちによって過剰とも言えるほどに作り上げられた部分が多大にあります。

過去オズフェスには、モトリーやモーターヘッド、正統派メタルのプリーストやメイデンからオールドスクールのスラッシュバンドのエクソダス、メロスピのドラゴンフォース、果てはメタルから毛嫌いされることも多いミクスチャーバンドまでさまざま出ています。

今までもメタルに限らずさまざまなタイプのバンドが出演してきたのがオズフェスでしょう。
そもそもフェスっていろんなジャンル・タイプの音楽に触れられるのが魅力だと思うのですが。
自分の聴きたい音楽だけみたいならバンド単独のライブに行けばいいだけでは。

確かに今回のラインナップは移植なバンドが多くオズフェスとしては不満の残るものだったかもしえませんが、日本で行われるという地理的な理由もあり海外のバンドが少なくなったこともあるでしょうしHIP自体が国内のバンドを売りたい意図もあったのかもしれません。

オズフェスという名前を使わなければココまでの批判は無かったのかもしれませんね。

アラフォーメタラー 2013-05-18 02:27:33



いやいや《そもそもオズフェス自体を間違って理解している》以前に「メタル」というもの自体を《間違って理解している》のは【アラフォーメタラー】自身ですw



そもそも「ミクスチャー・ロック」なる呼称は日本独自のもの。それらは海外では"RAP METAL"などと呼ばれ、《メタルから毛嫌いされることも多い》どころか完全にメタルの範疇です(そもそも「メタル」から毛嫌いされるってなんだよ、「メタル」は音楽のジャンルだろうが、という揚げ足取りはさておき)。



それをメタルとして認めないのは、メロスピを中心にメタルの「様式美(←これも日本固有の観念)」を規定する「メロスピ厨」の卑小な感性の押しつけでしかありません。日本の常識は世界の非常識。



《今までもメタルに限らずさまざまなタイプのバンドが出演してきたのがオズフェスでしょう。》と言いますけれど、物議を醸したももクロの出演にしても、完全に畑違いの「アイドル」であるももクロが、「アイドル」の可愛らしいイメージと真逆なメタル・フェスのオズフェストに参加するという意外性・話題性に基づくものであり、すなわち《オズフェスト=メタルの祭典》という記号性の上に成り立っているのです。そこを否認して《今までもメタルに限らずさまざまなタイプのバンドが出演してきたのがオズフェスでしょう。》などと逆張りを決めてしまってはオズフェスト自体の意義が失効してしまう。



またオジーのソロに関しては、たんに《メロディックでオーセンティックなハードロック》といった皮相な印象評論に留まるものではなく、当時サバスの成功によってすでにスターであったオジーが、若手の革新的なギタリストを発掘してきたという歴史的功績が挙げられます。オズフェストの趣旨も、そのようにしてオジーが新しいメタルのスタイルを追究するバンドに活躍の場を与えるというものです。



ちなみに《オジーが90年代以降やっていた音楽》と限定しているのも意味不明。80年代に入ってソロ活動始めた時点からオジーの「音楽」は一貫して《メロディックでオーセンティックなハードロック》をやっていたはずですけど(だからこそオジーのソロは好きでもオジー時代のサバスは苦手という人も多い)、たぶん【アラフォーメタラー】のくせに「90年代以降」のオジーしか押さえてないんだろうな。あらららら、また“知ったか”しちゃいましたねー。



そこをいくと、メイデンやプリーストの起用はその趣旨から外れている感じもします。しかしそれはあくまでも今日的な捉え方であり、彼らの登場は当時のロック・シーンにおいて、まさしく新世代のヘヴィ・メタルを提示したものでした(その意味では、彼らとほぼ同世代のアンセムの出演も「日本版オズフェスト」のラインアップとしては妥当と言えるかもしれません)。



ゆえに、サバスへの評価も含めてけっして《ただ伝説のバンドというだけであがめている》ということではありません。そのようなオリジネイターたちと、ガラパゴス化した日本のメタル業界でしか通用しない「様式美」を何の批評性もなく踏襲して“ただ焼き直しただけ”のエピゴーネン(ブログ主の言を借りれば「某国のバッタモノ」)を同列に置くのは、ずいぶん杜撰な歴史認識です。


だいいち《オズフェスという名前を使わなければココまでの批判は無かった 》のであれば、その「オズフェスト」を日本で開催する意味もないのですから、元より議論自体が成立しません。いったい何の話がしたいのか、というか何をムキになって一人で食い下がっているのか。



大好きなガルネリを「イモっぽい」と言われたくらいでいちいちカッカしてないで、もっと冷静に書き込んだらどうですか。アラフォーにふさわしい大人の振るまいが期待されます。


おまけ:
屍忌蛇
@koban4148
https://twitter.com/koban4148/status/429845155860860928
俺が日本のギタリストで嫌いな奴、島、しゅう、ケリー、大村、全員イングヴェィキッズ、死ね

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「BURRN!」の今月号(2013年3月号 シンコー・ミュージック)に、当ブログでも取り上げた昨年12月22日のALDIOUSワンマン・ライブのレポートが載っているというので立ち読みしたところ、当日のアンコールで披露された新曲バラードのタイトルが判明した。


『菊花』


本文中ではRe:NOが17歳の時に作ったと書かれていたが、元々は推定少女のラスト・ライブで、【Rino】がアコギの弾き語りで独奏した曲である。


2006年03月25日 推定少女『フレアイ☆イベント FINAL』


公の場ではそれが初披露だろう。ソロに転じた後も、推定少女時代に自作した『ヌリツブサレタジジツ』や『イバラの道(未音源化曲)』と共にレパートリーに加えられていたようだが、私が聴いたのは6年前の1回きりだ。


ホテルの地下のカラオケボックスで、50人ほどの客を前に、ところどころつっかえながら奏でていたあの歌が、今や渋谷O-EASTという大舞台で、あれほどまでに立派な形に昇華された。



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ALDIOUSワンマン@渋谷O-EAST

テーマ:
すでに周知のとおり、昨年8月、「嬢メタル」ブームの中心的存在であるガールズ・メタル・バンドALDIOUSの新ヴォーカリストとして、元「推定少女」のメンバーでファッション雑誌「KERA」の読者モデルのRe:NO(推定少女時代は【Rino】)が加入した。

 

2005年の推定少女解散以降、ソロやバンドの活動を通し、インディーズの世界で独自の音楽性を模索していたRe:NOであるが、メジャーで活動していた頃に較べるとやはり精彩に欠ける感は否めず、正直なところあまり興味がもてなかった(なお、今のところ推定少女の活動については「黒歴史」として“なかったこと”にされており、これはALDIOUS加入後も変わっていない)。


しかし、まさかヘヴィ・メタル・バンド、それも今や「嬢メタル」の枠を越え、日本のメタル・シーンを牽引するバンドの一つとなったALDIOUSに加入するとは……。


このあまりの“仰天人事”をTwitterのTLでたまたま目にしたとき、我が目を疑わずにはいられなかった。推定少女時代にも激しめの曲はあったとはいえ、ライブではカラオケだったし、しかも相方のLissaとのツイン・ヴォーカルだった。Re:NOとメタルのイメージが、どうしても結びつかない。


もっとも、ALDIOUSというバンドについては、音源が出るたびにいちおうはチェックしていたものの、前任ヴォーカリストの一本調子な歌い方に魅力を感じられなかったこともあり、こちらも特に思い入れのある存在ではなかった。


それでもRe:NOが加入したとあっては話は別だ。Ozzy Osbourne脱退後のBLACK SABBATHにRAINBOWのRonny James Dioが加入した時の衝撃も、おそらくこのようなものであっただろうか(もっともロニー時代のサバスは大嫌いですが)。


ALDIOUSは今や押しも押されぬ人気バンドであり、ライブもファンクラブの優先予約を利用しないかぎり良い場所を押さえることは難しい。Re:NOの“第二の人生”を応援すべく、私はファンクラブに加入し、初音源となるシングル『WHITE CROW』発売に伴うワンマン・ツアーのファイナルにあたる渋谷O-EASTでの公演に参加した。


整理番号は16番。下手側ではあるが最前列を確保できた(ちなみに推定少女のライブではけっきょく一度も最前列を取ることができなかった)。


ツアーでは各公演ごとに同じ事務所に所属する「嬢メタル」バンドが前座につき、この日はCYNTIAが登場した。


しかしのっけからバラードという選曲で出鼻を挫かれ、続くアップ・テンポのナンバーも印象に残るものではなかった。華美な「アゲ嬢」のイメージを売りにするALDIOUSと異なり、バンド自体のコンセプトや各メンバーのキャラクターが曖昧なところも弱点といえる。そうこうしているうちに、昼間に食べた穴子天丼の油が重すぎたのか、だんだん腹の具合が悪くなってきた。たった3曲で切り上げたのがせめてもの救いだ。


その後も胃の不調は続き、よっぽど退出しようかとも思ったが、会場の暗転とともにSEが鳴り響き、ALDIOUSの面々が一人ずつステージに出てくると、具合の悪さも吹き飛び歓声を上げていた。


「アゲ嬢」スタイルのYoshi(Gu)とAruto(Dr)、ロリータ系のトキ(Gu)、メイド服姿のサワ(Ba)、そして漆黒のロング・ドレスを纏ったRe:NO――メンバーの一人一人がスターとしてのオーラを発散している。


1stアルバム『DEEP EXCEED』からオープニングの静かな前奏曲を省き、いきなり『LUFT』で激しく攻め立てる。インディーズ時代のXを思わせるスラッシーなファスト・チューンだ。


そして気になるRe:NOの歌だが、結論から述べると予想以上にしっかり声が出ていた。


先述のシングルでは、自己のキャラクターとALDIOUSの世界観とのギャップにまだ戸惑っている印象も受けたが、その後何度か共にライブを重ねたことで、ようやく声がバックの音になじんできたのだろう。


ソロで地道にキャリアを重ねてきただけあって、その声には透き通るような美しさだけでなく陰影が備わっている。『ULTIMATE MELODIOUS』『DEFENDED DESIRE』そしてシングルにも収録された『DEEP』など代表曲の数々が、次々にRe:NOの色に染め変えられていく様は圧巻だ(ただし前任者時代のシングル曲『MERMAID』は演奏されず)。


とくにアンコールで披露した新曲のバラードが絶品。もともと優しくしなやかな声質なので、推定少女時代もバラードがとくに秀逸だった。また先述のとおり本編ではイメージ・カラーの黒を基調としたドレスを纏っていたRe:NOだったが、アンコールではウェディング・ドレスを思わせる純白の衣装にチェンジ。このあたりもさすがにファッションモデルらしい気配りといえる。


ただ、MCは相変わらず苦手のよう。時々「シブヤーッ!」などと掛け声を入れるのを除いては、喋りはほとんど他のメンバー、主にトキとArutoの漫才のような掛け合いに任せっきりだった。そのせいでフロントマンでありながらメンバー中でいちばん影が薄い印象を受けてしまう。アンコールでの長い一人トークにも緊張が窺えた。


思えば推定少女時代もLissaがリードする横で相槌を打つのが【Rino】のスタイルであった(ツービートにおけるきよし師匠のポジション)。けっきょく長所も短所も推定少女時代のままというのが、なぜだか嬉しかったり……。


いずれにせよステージングについては課題が残るものの、今のRe:NOはALDIOUSのヴォーカリストとして、じゅうぶんにその役割を果たしていると言えるだろう。そしてこれまでは正直言って良い聴き手ではなかった私も、今のALDIOUSなら胸を張ってファンを名乗れる。


ANCIENT MYTHの主催企画『Abyss from ancient Vol.3』のために吉祥寺へ。次週発売される3rdアルバム『AKASHIC』のレコ発でもあった。


休みにできたはずが急に仕事が入り、早く終わらせようと朝早くに家を出たら、前の晩に降った大雪のせいで車のエンジンが凍結。JAFを呼ぶも2時間近くかかり(なのに到着した途端に直ってやんの)足止めを喰らうという有様。この時点ですっかり気分が萎えているが、こうも災難続きだとかえって意地でも行ってやろうという気になる。幸い仕事は早々に抜けられたが、向かう途中の電車が地震やら車両点検やらで2度もストップするなど、何かに呪われているとしか思えない。


会場のクレッシェンドはメタル系のイベントに力を入れている箱で、ANCIENT MYTHも頻繁にライブを行っているが、開場2時間前にチケットの清算を済ませ、整理番号順に入場するという独自のシステムを採用している。多くの集客があるイベントの場合(ちなみに今回はソールド・アウトになったそうだ)入場の手続きに時間がかかり開演時刻に間に合わないためだろう。メタルのライブを後ろで大人しく観ても仕方がないので、できるだけ早く入場したいが、午前中に用事が入ると受付開始時刻に間に合わず、地方から上京する身としては厳しいものがある。会場に到着した頃には1時間近く経過しており、番号は20番台だった。


また、整理券と共にディスク・ユニオン吉祥寺店の当日限定割引券ももらえるのだが、ディスク・ユニオンがある繁華街と町外れに位置するクレッシェンドは正反対の方向なので、足を運ぶ気にはなれない。しかし今回は、割引券を使って買い物をするとANCIENT MYTHのメンバー全員のサインが入った写真がもらえるというので行くことにした。


それにしても品揃えが最悪。店舗自体はけっして狭くないのに、大半が中古盤ばかりで、メタルの新品となると100枚もないのではないだろうか? メタルではめぼしいものがまったくなかったので、レゲエのレア音源の再発CD(こちらはわりと充実していた)を適当に1枚選んで“ミッション”を完了した。


その後、ラーメン屋で遅い昼食。開場時刻には間に合わなくなるけれど、これから何時間も立ちっぱなしになる上、終了後には終電の都合で夕食を取る時間もない。くたくたに疲れているのに漫画喫茶で夜を明かす事態はなるべく避けたい。


開演前、ANCIENT MYTHの物販ブースに立ち寄り、事前にネットで取り置きしておいたグッズを手に入れる。加えてサイトでは売り切れになっていたVネックのTシャツも購入できた。壁に展示されていたものだが、これが最後の1枚なのだとか。だんだん運が向いてきた。


対バンは総勢4組。トップ・バッターのPAX IN TERRORのみ男性ヴォーカルのパワー・メタルだが、その後に続くVAMPIRE PLEDGE、シェーンベルク、TEARS OF TRAGEDYはいずれも“嬢メタル”で、ゴシック系ないしそれに通じる耽美的でシアトリカルな演出を取り入れており、見応えがあった。


個人的に、とりわけ衝撃的だったのはVAMPIRE PLEDGE。


もろにデーモン閣下をパロった大仰なナレーションで幕を開けたかと思うと、メンバー全員が不気味なメイクとコスチュームを装い(ちなみにドラムスはANCIENT MYTHのJUHKIが掛け持ち)、サタニックなサウンドを繰り広げる(とはいっても曲調自体はストレートなのでそれほどマニアックな印象はなく、やはり聖飢魔Ⅱに近い)。それでいてヴォーカルの声質や佇まいはアイドル風で、アキバ系にもアピールするキャッチーさも兼ね備えている。


しかしこれはまさしく、私が十代の頃にやりたくて音楽誌(「バンやろ」とか)にメン募を出しまくっていた音楽性そのものではないか! カッコ良いけど、ちょっとくやしいぞ。


続くシェーンベルクは、たしかずいぶん前にデモ音源を聴いたことがあったけれど、その時の宅録丸出しのチープなサウンドとは打って変わって、重厚なネオ・クラシカル・メタルを演奏していた。女性ヴォーカリストのファルセットを駆使する豊かな歌唱力、「シェーンベルク劇場へようこそ!」といったMCがオペラチックな世界を構築する。


TEARS OF TRAGEDYは名前だけよく目にしていたが、THEATRE OF TRAGEDYに酷似したバンド名のせいでメロデス系かと思い込み、スルーしていた。しかし実際にはデス系の要素はまったくなく、高揚感溢れるメロディーを力強く歌い上げるパワー・メタル。VAMPIRE PLEDGE、シェーンベルクらと共に、即座に音源をフルコンプしたくなるほど私のツボにはまるサウンドであった。やっぱり食わず嫌いはいけませんね。


そしてトリのANCIENT MYTH。ニュー・アルバム収録曲中心のセットリストながら、脱退したMITTUの作曲による『SEED』と『ELEMENTAL DESIRE』も封印されることなく演奏された。MITTUの気高いメロディー・センスが特に気に入っていた私としては一安心。ただしMICHAL加入以前に発表された1stアルバム『ANTIBES』からの曲はなかった。


アンコールでは2ndアルバムのタイトル曲『ASTROLABE IN YOUR HEART』が披露されたが、序盤でギターの音が出なくなり、ギタリストのYURIがステージ袖に一時退却するというトラブルも。


どのバンドも幕間のセッティングが長く、時間が押し気味だったので、終電に間に合うかヒヤヒヤしていたが、なんとか無事に帰宅できた。


電車の中でANCIENT MYTHのチケット予約特典「ウァレンティヌスの呪い」を美味しく頂く。アルバム発売に先駆けて公開された『rw-rw-rw-(ちなみに「パーミッション」と読む。コンピュータ用語で“rw-rw-rw-”は数字の「666」を表す)』のPVで「鍵」が重要な小道具として用いられていたのを思い出す。そう言えばライブ中もヴォーカルのMICHALが客席の何人かに手渡していた。


色々あっても目的はすべて果たせたし、終わり良ければすべて良しだ。