滋賀県文化財保護協会は28日、大津市神宮町の宇佐山古墳群から、古墳時代前期末(4世紀末)から中期前半(5世紀前半)にかけての未盗掘の石棺が見つかったと発表した。

 内部には人間の頭骨がほぼ完全な形で残っており、魔よけなどの意味がある赤色で鮮やかに着色されていた。被葬者は20~40歳代の小柄な男性とみられ、副葬品は少なかった。協会は「琵琶湖を一望できる立地などから、水運などで豪族に仕え、日本海側の文化に影響を受けた職能集団の墓ではないか」とみている。

 同古墳群は宇佐山(335メートル)中腹にあり、これまで古墳時代後期(6世紀)の円墳12基を確認。古墳群内で砂防工事が計画され、協会が4月から1600平方メートルを調査していた。

 箱式石棺(長さ158センチ、幅36~24センチ、高さ30センチ)は板状に加工した花こう岩を何枚も組み合わせた形で、表土から深さ約40センチで確認。床石はなく、蓋(ふた)石は粘土で接合されていた。石棺の外には、鉄剣や鉄鏃(ぞく)が副葬されていた。頭骨は、下あごが見当たらず、石棺内に流入した土に埋もれて風化したと推定される。

 箱式石棺は九州や山陰地方に多く、県内では、高島市・打下(うちおろし)古墳(5世紀前半)などで出土している。

 現地説明会は7月4日午前10時と午後1時半。近江神宮の境内奥地。問い合わせは協会(077・548・9780)。

 片山一道・京大名誉教授(人類学)の話「酸性土壌の日本で、古代の人骨が完形で残る例は極めて貴重。石棺に納めた遺体の頭部に塗られた水銀朱が、遺体の腐敗後も頭骨に残り、全体に広がったのだろう」
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