こけ玉のブログ

不惑の年などもうとうに過ぎたのに、いまだに自分の道も確立できていない。
そんな男の独り言。


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これはある個人の能力というより、ある特殊な能力を身につけた個人の細胞の話である。

私たちの体は約60兆個もの細胞から構成されている。

約260種類の様々な細胞があり、寿命も24時間から死ぬまでのものといろいろである。

寿命の最短は胃や腸の消化管の上皮細胞で、およそ24時間で死滅するそうだ。

最長は心筋や中枢神経細胞で、これらは細胞分裂をしないので、その寿命はというと死ぬまでということになる。

もっとも、最近の再生医学の研究から、二度と細胞分裂しないとされていた脳の神経細胞でも再生能力を持つことが分かってきているが、腸管の上皮細胞のように役割をすぐに次世代の細胞に託すようなスピード感のあるものではない。

そのほか、血液中の赤血球なら約120日、骨細胞なら数年から10数年と本当に様々である。

ヒトの体は死滅した数の細胞分だけ再生させてその体を維持しているが、昨日のあなたと今日のあなたは決して同じ人間ではないということだ。

そんな細胞を様々な研究に役立てようと、細胞を培養する技術の確立に19世紀から取り組まれてきた。

そして1907年にカエルの神経細胞の培養に成功し、そこからマウスなどの哺乳類を始め、様々な動物の細胞が培養されるようになった。

しかし、ヒト由来の細胞を安定的に数週間培養し続けることはその後50年たっても誰も成功には至らなかったのである。

そんな中の1951年2月8日、ジョージ・ゲイは勤務していたジョンズ・ホプキンス病院で小さな癌の病理切片を入手した。

そして、その切片から得た細胞の培養に初めて成功することができたのである。

その病理切片こそが後にヒーラ細胞(HeLa細胞)と呼ばれ、不死細胞として世界の研究者の手にわたることとなるものだった。
 
 
 
その病理切片は同病院を子宮頸がんで受診したヘンリエッタ・ラックスさんのものだった。

彼女はアメリカ・バージニア州のたばこ農家出身の黒人女性で、5人の子の母親でもあった。

30歳の1951年1月に腹部にしこりが見つかり上記診断を受けたのだがすでに手遅れで、同年10月4日に31歳の若さでこの世を去ることとなった。

HeLa細胞とは彼女の頭文字から付けられた名前だったのである。

当時は、切除された組織や外科手術、治療・診断中に得られた材料は医師や医療研究所のものと考えられていたために、彼女やその家族に説明し、同意を得る必要がないとされていた。

世界で初めて培養に成功したHeLa細胞は、こうして多くの研究者たちに提供され、本人はもとより、家族すら知らぬ間に世界中に広まっていったのである。
 
 
 
ところで、それまで成功しなかったヒトの細胞の培養がなぜ突然に可能となったのだろうか。

それは彼女の子宮頸がんの原因となったヒトパピローマウイルスの遺伝子の一部が、彼女の細胞の染色体に組み込まれ、寿命と分裂にかかわるスイッチに影響を与え、不死化させたことが要因だといわれている。

なんと、彼女の命を奪った癌が不死細胞を作ったということである。

私たちの染色体には末端にテロメアという部分がついている。

そのテロメアの長さが細胞分裂するたびに徐々に短くなっていき、それがなくなったとき細胞も分裂できなくなり死を迎えるといわれている。

そのため、通常は細胞分裂の回数が決められているのだが、HeLa細胞はこのテロメアが短くならず、旺盛に分裂を繰り返すことで不死の能力を得たのである。
 
 
 
世界中に広まり、培養が繰り返されてきたHeLa細胞。

その培養された総量はなんと5000トンを超えたという。

人によっては5000万トンと報告する人もいる。

おそらくどちらかの桁間違いだと思われるが、彼女の元の体を優に凌駕する量が培養されていることは紛れもない事実である。

Hela細胞は癌研究や製薬などに役立てられた。

核兵器による放射能の影響調査にも使用されたし、無重力での細胞増殖を調べるために宇宙にも行った。

そのほかポリオワクチンの研究、化学療法、クローン作製、遺伝子マッピング、体外受精等々の研究にもこの細胞は貢献した。

HeLa細胞は彼女を死に追いやったがん細胞だが、ここまで増殖し、人のために役立っているとは何とも皮肉な話である。
 
 
 
これほどまでに世に大きく貢献したHeLa細胞だが、このようにヘンリエッタ・ラックスさんの細胞が広く使われていることを家族が知ったのは彼女の死後20年も経ってからのことで、偶然によるものだったという。

彼女の細胞の培養に成功し、世界の研究者に提供された際は金銭的利益を求めず無償提供されたのだが、その後の研究で莫大な利益を生み出しており、ことは訴訟問題にまで発展した。

それらにまつわる話はいずれご紹介していきたいと思う。

かくも奇妙で、ドラマチック、そして壮大な運命を細胞レベルでたどる人もいるのだねぇ。
 
 
 
 

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盛岡・若園町の おのでら鍼灸経絡治療院 
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10年ぐらいも前になるだろうか。

 

ある歯科にかかっていた時、義歯を壊されたことがあった。

 

その場で医師も謝罪していたのだが、いざ作り直すという段になると、歯科側は一部の負担だけで、自分に対し大半の支払いをするように求めてきた。

 

こちらは全額負担してもらえるか、あるいは一部の自己負担だけで済むだろうと思っていたのでびっくりした。

 

誰が見ても歯科側の責任だったため、自分も納得できずに交渉した。

 

個人経営の歯科だったので、その医師と直接交渉しようとするも、本人は電話口には出てこず、受付のお姉さんを介しての交渉だった。

 

結果的には半分までなら出すが、嫌なら他の歯科に移ってくれと言っているとのことだった。

 

他に移って全額自己負担するのも癪なので、泣く泣く半額で手を打つことにした。

 

まあ、もう少しやりようもあったかもしれないが、揉め事を長引かせるのも嫌だったので手を打つことにしたのだ。

 

問題はその医師の責任逃れをしようと発した言葉である。

 

「悪気があったわけじゃないんだし」

 

・・・。

 

そりゃそうだろう。

 

世の中のほとんどのミスは「悪気があって」起きることではない。

 

それでは、悪気が無ければ全て許されるのか?

 

時折問題になる医療事故もほとんどが悪気があって起こされたものではない。

 

「悪気があった」としたらそれは犯罪ということである。

 

人はついついミスを起こしてしまう。

 

誰もが多少なりとも必ずやっているだろう。

 

しかし、たとえ偶発的であっても、たとえ誰もがやることであっても、起こしてしまったミスの責任は免れるものではない。

 

交通事故だってそうだろう。

 

事案が大きければ大きいほどきちんとした責任を取らなければならないのだ。

 

 

 

先日、佐賀県で起きた自衛隊のヘリ墜落事故で、家が損壊し、娘さんも軽傷を負った被害者が「許せないですよね」と投稿したツイッターに、下記のような暴言の数々が寄せられているらしい。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180211-00000006-mai-soci

 

<何様? 墜落して亡くなった隊員の事考えねーのかよ>

<わざと落ちた訳じゃないし、許せないの意味が分からん>

<死ななかっただけいいじゃないか>

 
 
事故の様相からすれば機体に何らかの問題があったことは確かなようだし、そういう意味では操縦していた自衛隊員も被害者のひとりであることは間違いない。
 
しかし、家を壊された被害者はその自衛隊員個人を責めているわけではないだろう。
 
上記の話ではないが、わざとじゃなければ怒ってはいけないとでも?
 
「何人死んだんだ」発言で辞任した松本内閣副大臣と全く同じ発想だ。
 
まったく、ネトウヨや保守の人達の発想はすっかり同じだ。
 
「お上に楯突くんじゃねえ」
 
ってか。
 
こと、軍事関連のこととなると、より敏感に反応する。
 
「ニュース女子」問題にも見られるように、時には捏造までして民の声を押さえ込もうとする。
 
そこにはたとえ亡くなられた自衛隊員のことを引き合いにだそうとも、全く人間らしい優しさは感じられない。
 
自分の意にそぐわない者には徹底した攻撃をしてはばからないのだ。
 
 
 
娘さんもたまたま軽傷で済んだらしいが、ほんのちょっと前までいたところにヘリが突っ込んだようで、何十秒かずれていたら亡くなっていたかもしれなかったのだ。
 
大変なショックを受けられたとのことで、今後PTSDなど発症しなければいいのだが。
 
ネトウヨや保守の人たちよ!
 
「死んだわけではないから問題はない」などという発想は厳に慎みたまえ!
 
(そういえば、上述の歯科も自民党県連の建物の中にあって、医師も常に保守的な話をする人だったなあ)
 
 
 
 
 
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このコルサコフ症候群は、以前、書籍紹介をしたオリバー・サックス氏の「妻を帽子とまちがえた男」にも収録されていた疾患で、ビタミンB1欠乏によって起きる、健忘を主症状とする疾患である。

ビタミンB1欠乏というと真っ先に脚気を想起するが、このような脳疾患を起こすこともあるようだ。

同じくビタミンB1欠乏によって発症するウェルニッケ脳症と合わせ、「ウェルニッケ・コルサコフ症候群」と称されることもある。

ウェルニッケというと、多少リハビリを学んだものは脳のウェルニッケ野という言語理解を司るエリアを思い浮かべるだろうと思われるが、
 
ウェルニッケ脳症は側頭葉のウェルニッケ野に障害があるのではなく、視床や乳頭体など中心部に近いところの障害で生じる疾患である。

ウェルニッケ脳症は部分的な眼球運動障害や運動失調を引き起こす疾患なので、健忘を主症状とするコルサコフ症候群とは全く病相が異なる。

眼球運動障害で外側に目を動かせなくなり寄り目になるとか、運動失調では急激に歩行が不安定になってどこかにつかまり歩きをするようになる。

このウェニッケ脳症が慢性化してくるとコルサコフ症候群を引き起こすことがあるということだ。

そのほか、軽い意識障害から昏睡状態に陥ることもあるし、回復過程では物が二重に見えたり、めまいがすることもある。

無力、無気力などの精神状態からうつを発症することもあるという。

ビタミンB1の欠乏がこれほど多彩な症状を発症させる。

我々には欠かすことのできない栄養素だということだ。
 
 

コルサコフ症候群は必ずしもウェニッケ脳症を経て発症するわけではなく、外傷や脳卒中などの器質的原因によって起きる場合もある。

両者は同じビタミンB1欠乏によって起きるが、脳の障害を受けるエリアの違いから運動障害と健忘という病相が異なる。

また、ウェルニッケ脳症は意識障害を伴うこともあるが、コルサコフ症候群は基本的に意識障害を伴うことはない。

さらに、ウェルニッケ脳症は回復可能とされているが、コルサコフ症候群は若干の改善はあっても、基本的に脳の萎縮が始まっており、不可逆的障害とされている。

このように疾患としては全く別概念の両者だが、原因が同一であり、アルコール飲歴から、

「アルコール依存患者にしばしば発症する中枢神経疾患の、急性期がウェルニッケ脳症、慢性期をコルサコフ症候群」

と捉えられることもあるそうだ。

ウェルニッケ脳症を経てコルサコフ症候群を発症する患者は約80%とも言われている。
 
つまり、前述のウェルニッケ脳症は回復可能だが、コルサコフ症候群は回復が難しい障害であることを考えると、
 
ウェルニッケ脳症の段階で適切な治療を受けていれば、コルサコフ症候群を発症しなくて済む可能性が高いということである。
 
 
 
オリバー氏が紹介する症例はジミーという49歳の男性だった。

彼はウェルニッケ脳症を伴わない、純粋なコルサコフ症候群のケースである。

彼はいくつかの病院や施設を経て1975年にオリバー氏のもとにやってきた。

彼は陽気で、活発で、社交的であり、若い頃の話を明瞭に話してくれた。

その様子にはどこにも異常があるようには見受けられなかった。

彼が語る話は1943年の17歳の時に海軍へ入り、潜水艦乗り組んだ頃の話から戦争終結へと移っていく。

ところが、終戦後の大学時代、海軍時代にまで来ると、それまで過去形で話ししていたのが現在形の話し方になったのである。

怪訝に思ったオリバーがさりげなく

「それでジミー、君はいくつになるの?」

と尋ねると、ジミーは戸惑いながら

「え~と、19歳じゃないかな。今度の誕生日に20歳になるところです」

と答えたのである。

現在49歳のジミーは今だに19歳の時代を生きていたのである。
 
 

ジミーの身に起きている症状は、新しい物事・体験を覚えられない前向性健忘と、発症以前の過去の記憶がすっぽりと抜けてしまう逆行性健忘が合わさった状態だった。

ジミーの場合は19歳以降の記憶がすっかりと抜けてしまったのである。

自分は19歳という意識で生きている彼は、年齢を重ねた兄に会うとその変貌ぶりに驚く。

何より、自分の顔を鏡で見せられた時には非常にショックを受けてしまうのだった。

しかし、さらに悲しいのはその受けたショックも窓の外の少年らの野球風景に注意を向けてあげると、そのショックすら忘れてしまうのである。

理数系が得意で、頭の回転が早い彼は三目並べなど早く答えを出し展開の速いゲームは非常に得意なのだが、チェスなどの時間がかかるゲームでは全く力が発揮できないのである。
 
 
 
ところで、脳萎縮すら起きているコルサコフ症候群。

いわばアルコール性の認知症ともいえるわけだが、なぜアルコール依存症によってB1欠乏などの栄養障害が起きてしまうのだろうか。

アルコール依存症患者は酒ばかり飲んでつまみを摂ることが少ない。

それによる栄養障害で、ビタミンB1の摂取不足となることがまず挙げられる。

しかも下痢を起こすことも多く、それも腸からのビタミンB1吸収を悪くしている要因となっているのである。

さらに、アルコールを分解する際にはそもそもビタミンB1を大量に必要とするためにアルコール依存症の人は二重三重にビタミンB1欠乏を起こしやすくなっているのである。
 
 
 
コルサコフ症候群の主症状は健忘と書いたが、つまり記憶障害を起こすということで、昔のことを思い出すことができなくなるし、新しいことを覚えることも難しくなる。

しかも今現在いる場所や日時についてもわからなくなる見当識障害という症状も起きる。

人は記憶の積み重ねによって自分の存在というものを確認できるという。

たとえその記憶がつらく悲しいものであっても、それら経験の記憶のつながりの中で自分というものの存在を自覚できるのである。

その記憶が失われ、自分がどのような人間であったかを忘れ、今どこにいて、時間の流れすら失ったとき、それは

「まるで大海原に投げ出されたいかだに乗っているようなもの」

とも評される。

ジミーも時に「過去を忘れてしまっている自分」を気付かされショックを受けることがある。

しかし、そのショックすら次の瞬間には忘れてしまうのである。

だが、何らかの「違和感」は感じる。

その違和感の中で、彼は人生に失望も感じないかわりに、喜びも感じず、「生きている」という実感もないのだそうだ。

そのため、ジミーは常に寂しげで、落ち着かない様子を見せていたという。

確かに失われてしまった記憶の中にアイデンティティーを見出すのは不可能なようだ。

しかしジミーは神に祈りを捧げるときには非常に深い集中力を発揮し、穏やかな時間を過ごすことができたという。

宗教に限らず、自分を必要としてくれる仕事、あるいは自分を愛してくれる人、そういったもの存在によって自己肯定感をたとえ一時的ではあっても持つことが出来るのだろう。

オリバー氏の施設で、ジミーは庭づくりという仕事を与えられ、落ち着いた日々を過ごせるようになったという。
 
 
 
「作話」についても少し触れておきたい。

彼らはそうして記憶を無くす一方で、会話は上手で流暢である。

なので、本人は話のつじつまを合わせようと、思いついたことを上手につなぎ合わせ、会話を成立させようとする。

つまり、心ならずも作話をしてしまうのである。

自分に記憶障害があるとは思いもしていないわけだから、なんとか辻褄を合わせようとするのは当然の反応だろう。

そんな会話はまるで認知症の方との会話と同様である。

もし、そのようなとき、彼らの話すことが「作り話で間違っている」と指摘され、頭ごなしに否定されるようなことがあれば、彼らは寄る辺を無くし、追い詰められていくことだろう。

認知症を患っておられる方には、自分は認知症であるとの自覚はない。

自分の住んでいる世界の中で感じていることを話しているだけなのだ。

それは彼らにとって真実なのだから。

もし軌道修正が必要な場合であっても、一度その作話を受け止めてあげてほしい。

彼らは本当の記憶と自分の作話との区別がつかなくなることもある。

非常に暗示にもかかりやすく、実際にそこに見えないものでも見えるといわせることもできる。

彼らの作話を頭ごなしに否定してはいけないが、作話に付き合いすぎて、内容をエスカレートさせ、助長させてもいけない。
 
 
 
いずれにしろ、「自分」を無くさせないように、大海原に漂うことにならないように、ウェルニッケ脳症の段階で禁酒と栄養改善、リハビリによる運動機能改善を図り、コルサコフ症候群を防ぐことが大事である。

もちろん、ウェルニッケ脳症にもならないほうがいいのは言うまでもない。

それに、すべてのアルコール依存症患者が本疾患を発症するわけではないが、毎晩2合以上の晩酌は欠かせないという方は、くれぐれも注意したほうがいいようだ。
 
 
 
 
 
 
 

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