ナミダが 溢れる


Voice-6



「ぅ…」

「!!陸くんっ!?」

ベッドで横たわる少年が苦しそうに呻く

思わず、握る手に力が入った

「ぁ、や…め?」

うっすらと開く漆黒の瞳

彼の顔が、歪んで見える——

「僕は……此処は?」

「よ…かった…っ
陸くん…っ!!」

彼の体に、覆いかぶさるように抱きついた
視界は…全てが歪んで見える
じわりと、塩辛い“雫”が、頬をつたる

「あやめ…
…大丈夫、だったか?」

「うん…うん…!
陸くんが守ってくれたから……大丈夫だよ…!」

「そ…ぅか…」

力なく、ホッとしたように…陸くんは微笑んだ

私も、それに応えようと——涙に濡れた顔で、そっと微笑む


「目、醒めたみたいね?」


凛とした、女性の声

あやめの背後にある扉が開き、そこから入ってくる…女性

女性は漆黒の長髪を、顔の右上で結っていて

左肩に、入れ墨をしている、女性

「貴女は…?」

「私たちを助けてくれた人だよ」

あやめが顔を上げ、陸の手を握りながら言う

「リアよ
リア=ティーゲス
初めまして」

にっこりと、愛敬のある微笑み

陸はあやめの手を借りて、上半身を起こした

「僕は「アヤメから聞いた
リクよね?私のことは、リアで良いわ
私も、そうするからさ」

陸は頷き、あやめをみる
あやめは小さく「大丈夫、良い人だよ」と、陸に耳打った

「とりあえず、何か食べる?
アヤメは食べたから、リクが食べないと片付け出来ないからね♪」

リアは、持っていたトレイを机に置き、陸に食事を進めた



 * * *


「大体の事情は、アヤメから聞いたわ
それで…話しにくいんだけど…」

「何か、わかったんですか?」

陸の口へ、粥を運びながらあやめが言う(陸の顔は有り得ないくらいに真っ赤である)

リアは多少躊躇いながら

「ここは…アンタたちの言う“ニホン”…ましてや、“トウキョウ”なんてトコじゃあない」

「え…!?」

「何だって…!?」

衝撃的な事実

陸はリアの言葉を疑った

しかし——その目は、真実を告げる瞳だ

「この世界の名は…“アリエス”」

「アリエス…?」

リアはゆっくりと、この“世界”についてを、語りだした


“アリエス”

それは、“世界”の名である

この世に“心”を持たぬモノは無く、木や花——空気さえも“心”を持つ

そして、この“国”の名前


“ヴェイグラン=シーズス”


“アリエス”は5つの国に別れてあり、ヴェイグラン=シーズス=は東の国である


緑が豊かな、全ての種族が共存する国


「ここはそこの東の果て、“ヴェイシス”さ」

「ヴェイシス…」

リアは頷きながら真剣な面差しを見せる

「それで?
アンタたちは…何故アリエスに?」

あやめと陸は一瞬戸惑い——だが、はっきりと

事の成り行きを話し始めた——…



————————


ぎゃー…
久々もほどほどにしろって感じですね……

更新が遅れた訳はですね、リアの名前が決まらなかったのですよ…

交換ノートにて友人に出してもらった名前を元に出来たのが、リア=ティーゲスです

次は…きっと華月sideですね…
あやめ&陸ほどラヴラヴではありませんが(笑…えない)

では…ありがとうございました

碧野いろは