今週火曜日にテロ等準備罪について、衆議院では決着となりました。
4野党は対決姿勢ばかりであり、与党になんらの譲歩も引き出せなかった以上、これは敗北であると考えます。
あたりまえだけどなかなかできない会議のルール [ 宇都出雅巳 ]
過去の三度の廃案においては、一度目と二度目は郵政民営化が主軸に政治が動いていたため、衆議院の解散によって消されました。
三度目の廃案は、麻生内閣による支持率低迷。そしてこのころは、野党である民主党の政策に与党の自民党がケチをつけまくりであり、主軸は民主党にありました。そこで解散して廃案となり、民主党政権となったために四度目の提出はなかったのであります。
過去の三度を見てみると、主軸が別のところにあったのです。そして、今回四度目の廃案を狙うのならば、森友学園や加計学園ではなく、民進党が主軸とするものについて相手を巻き込めば成功するものを、むざむざ自民党政権の主軸に振り回されて終わりました。なんらの主体性を持たず、ただ相手の反対だけを言っていれば、相手の中心軸に振り回されて終わるだけに決まっています。
そしてこの日の採決では、自由党と社民党が組織的犯罪処罰法等改正案について採決すること自体に反対したため、この日に採決すべき法案についてすべて欠席しています。
したがって自由党及び社会民主党・市民連合はすべて採決結果にありません。
というわけで、この5月23日の衆議院本会議のメニューは、
●地方自治法等の一部を改正する法律案(193国会閣55)
●廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(193国会閣62)
●特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(193国会閣63)
●地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件(193国会承認2)
●中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案(193国会閣31)
●組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(193国会閣64)
この後、維新の会が修正協議を提起し、原案は修正されました。
の5法案・1承認案の採決でありました。
地方自治法等改正案については、
により、
賛成=自民、公明、維新
反対=民進、共産
の賛成多数により可決。参議院に送付。
廃清法改正案・バーゼル法改正案・福島地方環境事務所の設置については、
により、
法案については全会一致。
福島地方環境事務所の設置については、
賛成=自民、民進、公明、維新
反対=共産
の賛成多数により可決。参議院に送付。
中小企業信用保険法等改正案は、
により、
賛成=自民、民進、公明、維新
反対=共産
の賛成多数により可決。参議院に送付。
そして山場の組織的犯罪処罰法等改正案は、記名採決となりました。
その経過は、
により、
投票総数 459
可とする者 338
否とする者 121
の賛成多数により修正議決され参議院に送付。
自民292+公明35+維新15+無5=347 で9票足りず。
民進95+共産21+無7=123 で2票足りず。
派閥だけ自民党二階派に属している中村喜四郎議員が法案に反対しています。これは珍しい現象です。欠席は今までけっこうありましたが青票を入れた模様です。
なお、前回の
での採決結果は、
投票総数 459
賛成=民進、共産、自由、社民 125
反対=自民、公明、維新 334
による賛成少数で否決。
与党系334、野党系125でありましたが、今回の法案採決では、与党系が4増えており、野党系は自由・社民の欠席によって4減っております。
▽賛成したと思われる無所属
小泉龍司議員、中川俊直議員、長崎幸太郎議員、武藤貴也議員
▽反対したと思われる無所属
川端達夫副議長、亀井静香議員、仲里利信議員、上西小百合議員、野間健議員、中村喜四郎議員、長島昭久議員
▽投票できない無所属
大島理森議長
●参考
●審議過程はこちら
この法案については廃案を求める声が野党支持者(維新除く)から多く寄せられたわけでありますが、その廃案へ至る道筋について、誰も方法を試みることなく、全員が全員ただ単に「廃案にしろ」と叫ぶばかりで、具体的方策について意見が全く出ていません。
まず、どうしてそうなるかと言うと、相手の気持ちを理解しようとせず、与野党ともに、自らの意見を敵に対して押し付け合うだけに終始しているのだから、数の多い与党が勝つに決まっているわけです。
だから最初から結果は明らかであったのです。
しかし、そうは言ってもこれまで三度廃案になってきたわけであり、またこれに限らず、法案を廃案に追い込んだケースというものは皆無ではありません。
そのケースについて検証してみます。