大友涼介です。

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東京新聞:【社説】「戦後70年を考える 元ゼロ戦乗りの反戦論」2015/08/14(東京新聞):社説・コラム(TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015081402000147.html

<引用開始→

 戦争体験者が減る中、真珠湾攻撃から敗戦まで「ゼロ戦」に乗り続けた元パイロットがいます。講演で「戦争ほどの罪悪はない」と語り続けています。

 長野市在住の原田要さん。九十九歳。つえが必要な日常ですが、往時を語りだすと言葉に力がこもります。十七歳で旧海軍に入り、パイロットとして日中戦争へ出撃、太平洋戦争ではゼロ戦に乗り、真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦、ガダルカナル島攻撃など主要な戦闘に参加。空中戦で撃たれ、重傷を負ったこともあります。




◆危機感から始めた講演


 原田さんは語ります。「寝ると戦争の夢ばかりみる。忘れよう、と努力して忘れかけていたところで湾岸戦争が起きたのです。テレビでミサイルが撃ち込まれる様子を見た若い人たちが『花火のようできれい』と言ったのにがくぜんとしました。ミサイルが落ちるところには一番弱い人々がいて犠牲になっている。そのことに思いが至らないのです」

 幼稚園経営を引退し、穏やかな生活を送っていた原田さん。講演活動を始めたのは、戦争を知らない世代への危機感からでした。「戦争で幸せになる人は一人もいない」。これが操縦席の内側から最前線を見てきた実感なのです。

 開戦前の一九四一年秋、空母「蒼龍(そうりゅう)」への乗艦を命じられ、大分県の航空隊でゼロ戦と出会いました。厳しい訓練を経て出港。戦艦、空母、巡洋艦などが集結した択捉島の単冠湾で「目標は真珠湾」と知らされました。原田さんの役割は艦隊の哨戒飛行でした。

 攻撃隊が戻り、「軍港が火の海になりました」との報告があり、艦上は「バンザイ、バンザイ」と戦争に勝ったよう。電信員が原田さんに近づいてきました。ゼロ戦一機がはぐれてしまったのです。




◆小を見捨てる無慈悲


 「攻撃前、位置が分からなくなったら、誘導電波を艦隊に要求しろ、その電波に乗って帰れるという話でした。電信員は『電波を要求しているが出せない』という。『ひどいじゃないか』と詰め寄ると『敵が電波に乗ってやってきたら元も子もない』というのです。大を守るために小を犠牲にする。戦争の無慈悲を感じたのです」

 真珠湾攻撃から半年後、日米の空母機動部隊が激突したミッドウェー海戦で日本は参戦した空母四隻すべてを失いました。原田さんはやむを得ずゼロ戦ごと着水、周囲の兵士が海に沈む中、日本の駆逐艦に救助されます。

 「甲板は手や足を失った兵士や顔が黒こげになった兵士で埋めつくされ、地獄絵のようでした。医官が近づいてきたので『苦しんでいる人を早くみてください』というと『何を言っている。君のように少し手当てをすれば、戦える人から治療する。ここは最前線なんだ』といわれたのです」。戦争はやはり無慈悲でした。

 軍は敗戦を隠すため、原田さんら生還したパイロットを鹿児島県の収容所のような基地に幽閉。その後、転属を命じられ、ガダルカナル島の攻略戦で敵機に撃たれて左腕を負傷、ジャングルに不時着して日本軍の基地にたどり着き、再び一命を取り留めました。内地に戻り、特攻隊員の養成教官などを経て、終戦を迎えました。

 講演会で「敵を撃墜すると気持ちがいいでしょう」と聞かれることがあるそうです。原田さんはこう答えています。

 「とんでもない。まず落とされないで助かったとホッとする安堵(あんど)感。その次に技術が彼よりも上だったという優越感。このふたつが頭をさっとかすめる。そのあと相手も死にたくなかった、彼の家族まで泣くだろう。そう考えれば、気持ちがいいはずがない」
 「接近戦で相手のパイロットが『もうやめてくれ』という顔をする。身ぶりまで見える。でも、撃たなければ次には自分が撃たれるから撃つしかない。罪も憎しみもない同じ人間にとどめを刺すのが戦争なんです」


 戦後、原田さんは米国に行き、ガダルカナル島で自分が撃墜したものの、生還した米人パイロットに会い、州知事になったことを知りました。英国ではインド洋空戦で撃墜した英人パイロットと再会、「ヨウコソ」と歓迎され、涙がとまらなかったそうです。




◆「戦争ほどの罪悪はない」


 訪れたミッドウェー島は野鳥が生き生きと暮らすのどかな小島でした。小さな島の取り合いに命を懸けた過去は、尖閣諸島をめぐり対立する現在の日本と中国の姿と重なります。

 国会では野党が「戦争法案」と批判する安全保障関連法案の審議が進みます。「戦争ほどの罪悪はない」「平和は犠牲の上になりたっている」。原田さんの言葉を今こそ、かみしめたいものです。

←引用終了>
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