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復興予算流用「言い逃れマニュアル集」=「安住ノート」をスッパ抜く(取材協力・福場ひとみ氏)週刊ポスト2012/11/09号

<書き起こし開始→

本誌がスクープした復興予算流用の「国家犯罪」を、いまだに官僚も政治家も認めようとしない。それどころか、国民の怒りをかわし、後追い報道を食い止めるための反論文書の作成にばかり勤しんでいた。噴飯ものの「言い訳集」をスッパ抜く。


◆「クソ」にも「ミソ」にも注ぎ込んだ


ある意味では、なんとも率直な物言いだった。

「ミソモクソも一緒にした議論はやめていただきたい」

連日国会を騒がせている復興予算流用問題に関して、枝野幸男経産相が口にした言葉だ。10月18日、参院決算委員会で被災地の補助金が不足していることを自民党から指摘されると、こうまくし立てた。

「地域の(復興)計画が立たないなどさまざまな事情から被災地で予算を執行できていないことと、被災地以外に予算が使われていることは、理由も原因も全然別の話だ」

枝野氏はその後、「ミソもクソも」という表現については「上品でなかった」と撤回したものの、内容そのものは否定していない。

要するに主要閣僚自ら、「復興予算はミソにもクソにも注ぎ込んだ」と開き直ったのだ。その上で枝野氏は、被災地の復興が進んでいないのは被災地の問題、と責任転嫁までしてみせた。

このように、いま永田町と霞が関では、流用問題の責任を回避しようと、政治家と官僚の狡猾な「言い訳合戦」が展開されている。

3ヶ月前、本誌(7月30日発売)が復興予算流用問題をスクープすると、財務省内は「これは大変なことになる」と蜂の巣をつついた騒ぎとなった。

そこで財務省が作成したのが、通称「安住ノート」という反論文書である。復興予算について「19兆円の枠を超えざるを得ない」と公言した安住淳前財務相の名にちなんでこう呼ばれる内部文書は、「8月10日週刊ポストの記事について」と題し、「事実誤認やミスリーディングと考えられる例」を並べている。

安住ノートは9月になって本誌の後追い特集をしたNHKや毎日新聞についても同様に作成され、官僚を通じて記者クラブや政治家たちにバラ撒かれた。

なぜこのようなものが作成されたのか。本誌発売直後から流用問題を追及している河野太郎衆院議員(自民党)が解説する。

「週刊ポストの報道を他メディアに後追いさせないように、インチキ記事、インチキ報道だというイメージを付けたかったからですよ。彼らは反論文書を使って、他メディアに印象操作をしていたんです」

効果は覿面(てきめん)だった。流用問題が本格的な騒動になるのは、河野氏ら衆院決算行政監視委員会が取り上げた10月になってからだ。それまで大メディアは、積極的に扱おうとはしなかった。

ジャーナリストで東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏は言う。

「記者クラブは普段、財務省主計局からのレクチャー通りに書いているから、彼らの反論には弱い。ただ今回は国会が動いた。記者クラブは『本紙が~』ではなく『政府が~』とか『国会が~』だと安心して書けるのです」

政治家の後ろ盾がなければ官僚攻撃もできないとは、なんとも情けない。


◆屁理屈の繰り返し


では、安住ノートに書かれた本誌への反論は、どの程度説得力があるものだったのか。そこには目を疑うような記述が並んでいた。

たとえば、「各府省の人件費に復興予算が充てられている」との本誌記載については、「各府省の復興事業に係わる増員分のみであり、全て時限の定員」との反論が書かれてある。

だが、これが反論になっていないことは明白だ。

財務省は増員というが、新たに人を採用したわけではなく、もともといた各府省の役人のうち、一部の人件費を「復興に関わっている」という名目で復興予算に付け替えただけ。つまり、公務員制度改革で削減された分の人件費を復興予算で賄った、というのが実態なのだ。事実、復興予算に109人分の人件費を計上した農水省文書課の職員は、本誌の取材当時、そのことを率直に認めている。

「復興予算で多少人件費を増やしましたが、農水省は公務員制度改革で535人も定数を削減している。真面目にやったのはうちだけで、他の省は新規事業を立ち上げてプラスマイナスゼロにしているんですか。後で気が付いてびっくりした」

また、復興予算の人件費には福利厚生費用が含まれている。これには、スポーツクラブの利用料割引や東京ディズニーランドの入場料割引などの特典があるが、文科省福利厚生室は取材当時、「スポーツクラブの割引には予算が使われているが、ディズニーランドに国費の補助はない。広報活動の一環で割引してもらっている」と説明していた。本誌は「特権を大威張りとは呆れる」と皮肉ったが、この安住ノートでは、「東京ディズニーランドの入場料割引に国費は入っていない」とまったく同じ説明が堂々と掲げられている。

要するに安住ノートは、本誌であらかじめ書いておいた役所側の屁理屈を、改めて繰り返しているだけなのだ。本誌をまともに読めば反論が意味をなさないのは明白だが、新聞・テレビの記者たちがこれを鵜呑みにして追及を控えたというなら、不勉強というほかない。

安住ノートの中でもっとも奮っているのは、「天下り団体(国際交流基金)に復興予算が充てられている」という本誌指摘への反論だ。「文化・芸術活動を通じた震災からの復興に向けた記憶・体験の共有」という得体の知れない事業で、外務省が独立行政法人・国際交流基金という外務省役員の天下り団体に約1・2億円を投じていた。

安住ノートでは、「国際交流基金の役員にいわゆる天下りの官僚はいない」と断言した後、カッコ書きで<理事長(外務省OB)は公募採用>と付言されている。公募だから天下りじゃない、とはなんたる屁理屈だろうか。


◆捕鯨予算で石巻が喜んでいる!?


安住ノート以外にも、官僚たちは得意の作文能力を活かし、復興予算流用の「言い訳」を構築している。だが、言い訳の多くは、7月時点の本誌に対する説明から明らかに変節している。

典型的なのが、独立行政法人・日本原子力研究開発機構に対する復興予算の拠出である。復興特別会計から総額107億円、うち42億円が「国際熱核実験炉計画(イーター計画)」という核融合エネルギーの研究開発・設備費用に投じられていた。

当初の説明はこうだった。

「実験を行っている日本原子力研究開発機構は、(被災した)青森県と茨城県にあります。同事業のコンセプトは、この研究所を日本と欧州が参画する『世界的な核融合の拠点施設』にして、イノベーションの力で復興に寄与しようというものです。世界的な研究拠点ができれば、被災地に活力を与えるという趣旨です」(文科省研究開発局担当者)

曖昧な言葉で誤魔化そうという魂胆が見え見えだが、その後、この理屈が洗練されていく。

9月21日放送のTBS系『朝ズバッ!』では、「茨城の研究施設の管理棟が震災で一部損壊したこともあり、施設の整備を行う」(同機構)という説明が付け加えられた。

さらに、10月18日の参院決算委員会では、田中真紀子文科相が「国際協力で進めているものであり、青森、茨城両県での新しい産業や雇用の創出にも貢献する」と弁明した。

今度は「国際協力」という名目を持ち出した。また、「新しい産業」や「雇用の創出」といった言葉で被災地の経済的なメリットを訴えようと腐心している様子も窺える。しかしどんな言い訳を重ねても、被災地の具体的な復興政策は見えてこない。

東京の荒川税務署など、被災地以外の税務署改修工事が復興予算で行われていることについて、同委員会で城島光力財務相は「納税者の来訪が多い庁舎で、将来の巨大地震に備える必要がある」と説明した。だが、取材当時はどうだったかというと、

「今回の地震でどこか崩れたとか、老朽化が著しいというわけではなく、耐震化工事に着手しやすい税務署だった」(国税庁会計課)

と、改修は役所側の都合に過ぎないことを認めていた。後から「納税者のため」などと理屈を付けたことはバレバレなのだ。本誌に正直な説明をしてしまった会計課担当者が後に役所内で後に役所内で叱責されていないことを願うばかりである。

なかには、言い訳の上塗りを重ねた結果、自分たちの首を絞めたものもある。シーシェパード対策だ。

復興予算から調査捕鯨に18億円、それを妨害するシーシェパード対策費に5億円が計上されていた事実は、流用問題の象徴とされた。

水産庁国際課は当初、本誌に対して「石巻はかつて捕鯨の町だった。石巻の再活性化のためにも商業捕鯨を再開したい」と説明していた。が、調査捕鯨の母船は広島港から出港しており、石巻とは何の関係もないと記者が指摘すると、「南極に行っている乗組員さんの中には、石巻周辺の人もいる」「石巻出身者には鯨を捌くのが上手な人が多い」と説明が二転三転。最後には、「石巻の人たちは捕鯨の再開を待ち望んでいます」と、石巻市民の声を勝手に代表する有り様だった。

場当たり的にも程があるが、その後も役人は、流用を正当化するためのトンデモ方便を展開していた。

問題を追及する平将明衆院議員(自民党)は言う。

「ポストの報道後、水産庁に説明に来させたら、『石巻には鯨肉の加工業者があり、復興予算をつけてくれたおかげで、店を閉めなくてすんだと喜んでいた』と説明してきた。ところが実際に現地で調べてみると、石巻の加工業者が扱っていたのは近海で捕った鯨ばかりで、南極のものなどなかった。水産庁は嘘をついたんです」

だが、政権側はこの子供騙しに簡単に引っ掛かった。

吉田公一農水副大臣は、「私も最初、なんで復興に捕鯨が出てくるのかと率直に思った。しかし、石巻が捕鯨の拠点であり、鯨肉の加工業者が存在することを知り、復興の一助になると納得した」(10月18日記者会見)という。これが、担当副大臣の「政治主導」なのだ。


◆仕分け人たちは「自公のせい」


だが、いくら官僚が頭をひねって言い訳を編み出しても、国民の怒りが収まるわけがない。「復興とは無関係な事業に復興予算が使われている」という事実は隠しようがないからだ。

すると、政治家たちは新たな言い訳を口にし始めた。責任のなすり合いだ。

復興予算流用問題で自民党からの追及に対し、民主党は「事業仕分け」で大いに名前を売った蓮ホウ参院議員、枝野経産相のコンビを投入した。

だが、2人の強弁は、議場で聞く者たちを唖然とさせた。

「一言言わせていただきたい。もともと内閣が出した復興基本法案は対象を被災地に限定していたが、自民党さん、公明党さんからの建設的な意見も踏まえ、対象は日本全国になった」(蓮ホウ氏)

「御党(自民党)も合意されて進めてきた話だ。反対した共産党が『けしからん』というのなら話はわかるが、一緒に進めてきて、そういう話をするのはあまりにもアンフェアだ」(枝野氏)

政権与党が、自ら決定した政策の責任を野党に転嫁するなど、言語道断という他ない。

確かに復興基本法案は、もともと「被災地域の復興」とされていた原案が、自公との協議によって、「東日本大震災からの復興」という言葉に差し替えられたことで、被災地以外にも使えるスキームとなったのは事実だ。しかも前々号(10月26日号)で指摘した通り、自公両党は本誌スクープの後も、増税法案への影響を考えて法案成立まで問題を先送りしていた。今になって”これは政府批判に使える”と騒ぎ出しているに過ぎず、流用の”共犯”であることは間違いない。

だが、それにしても蓮ホウ・枝野両氏の言い訳はあまりに見苦しい。民主党が流用の”主犯”であることに変わりはない。

本誌スクープ直前の7月24日、参院予算委では安住財務相(当時)が、同じく民主党の川上義博参院議員との間で、防災・減災名目の公共事業の必要性について、こんなやり取りを交わしていた。

安住「今、実は復興予算の中で全国防災事業もやっているんですよね。1兆円ほど投入しております。(消費増税引き上げの)前となると、やっぱり本予算、さらには復興予算の中で全国防災等について最低限必要なものについては手当をしていく」

川上「自民党の提案者が、増税法案が通る前から事前防災をやる必要があるとおっしゃっている。自公の期待に応えようじゃありませんか。補正予算を組んで。解散やってる暇なんてありませんよ」

もうおわかりだろう。民主党と官僚たちは、復興予算が流用できたのに味をしめて、端から本予算も消費増税分も公共事業に使い回す気でいた。誰も騙されていたわけではない。わかっていて罪に加担したのだ。

官僚と政治家が結託して国家的詐欺を行い、それが発覚すると、「あいつが悪い」という言い訳の応酬で責任の所在を曖昧にしていく。そして、被災地だけが、また置き去りにされる。

←書き起こし終了>


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