お身持ち良ろしからず、暫くお慎みあるべし

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主君押込』という言葉をご存知でしょうか。


つい最近、どこかのテレビ番組で紹介されていたのでご存じの方も多いかもしれません。
Wikipediaではこう説明されています。


行跡が悪いとされる藩主を、家老らの合議による決定により、強制的に監禁(押込)する行為を指す。日本におけるクーデターの類型。


簡単に言うと、あまりにもトップとして態度が悪かったり使えない主君を、家臣たちが協議の上で失脚させて座敷牢に押し込めてしまうというものです。主君を座敷牢に押込めるから『主君押込』です。


君主が血縁継承である世においては、時にとんでもなく愚かな者がトップに立ってしまうことがあります。愚かであっても家臣の言いなりになる「阿呆」だったらまだ良いのですが、能力が無いくせに家臣の言う事を聞かず、思いつきで好きなように國政を動かされたらたまったものではありません。トップが腐っていると國が傾くのです。

そうなっては困るので、重臣たちが話しあって「チェンジ!」って言う。
そうすると、ムキムキの男衆がわらわらと現れて座敷牢に連行・・・というイメージですね。


現代日本にも是非とも欲しい制度です。


さて、そうは言っても相手は君主。お國のトップです。
失脚させるにしても座敷牢に幽閉するにしても「作法」というものがあります。

勢いで君主を殺害して「はい終わり」というわけには行きません。
君主を断罪するにはそれなりの手順が必要なのです。


重臣・・・当時でいう家老が集まって協議し「押込やむなし」となったら、家老一同が藩主の前に並びでてこう言うのです。


お身持ち良ろしからず、暫くお慎みあるべし


これを、大阪弁に訳すとこうなります。


「お前 調子こきすぎやし、しばらく座敷牢入っとけや。」


そうするとムキムキの男衆たちがわr・・・(略)

これが、『主君押込』です。


ネコ ネコ ネコ ネコ


さて、ここからが我が家の話ですが、もう大体わかりますね。

我が家で、最も自由気ままに生きることができた「王」のような振る舞いをしていた者とは「お猫様」です。それはそれは「猫バカ」と周辺に言われるほどの可愛がりをしていたのですが、猫にも色々と事情があるのでしょう。ある時を境に「突然凶暴になる」という行動を取るようになりました。


何が気に入らないのかわかりませんが、何かで「スイッチ」が入って凶暴化し、手近にいる人間を攻撃するのです。そういう時の猫は遊びの時とは攻撃力が比べ物になりません。手指を「噛みちぎって」来ようとするのです。普段、遊びの最中に手を噛んでいるのは「手加減してくれている」ということがよくわかります。

たかだか「猫」と侮ってはいけません。
彼らは本質的にはトラやチーター等と同じで、他の動物を狩る事に特化された進化をしているのです。笑い事では済まない怪我を負います。


この状態のことを、我々は「キャットハザード」と呼んでいます。


1年ほど前にも2回ほど「ハザード」が発生して、それからずっと落ち着いていたのですが、最近になって急に頻繁に発生するようになりました。最初は嫁相手だけだったのですが、やがて私にも向かってくるようになりました。


嫁は足じゅう傷だらけになって、後に変色し結構笑えない状態でした。
私も一度、右手中指の第一関節の少し上の所と、左手の人差し指の第一関節と第二関節の間をざっくりやられ、血まみれになるという事態にもなりました。

他のブログで紹介しているように、私はバイオリンをやっています。バイオリン弾きには解ると思いますが、このヤラレタ部分はバイオリンを弾くという行為においてトップレベルに重要な部位だったりします。


そして、このハザードが一日に2回とか3回とかの頻度に発展してきて、さすがに日常生活に支障をきたすようになってきました。今はまだ「大人な態度」でハザード化した猫を刺激しないようにしていますが、私は実は非常に短気な性格をしているので、次に猫に傷をつけられたらカッとなって本気で反撃をしてしまう危険があります。
相手は所詮4kg程度の体重しかありません、人間の大人の男が本気で攻撃してしまっては無事では済まないでしょう。そうなってしまうのはとても悲しいことなのです。


そしてまた、この状態を放置しておくこともできません。
嫁は真剣に猫を怖がっています。いずれ、この家で我々は子を成す事を考えると、凶暴な猫を闊歩させておくわけには行きません。


世の中には、「猫が可哀想」だとか「動物愛護の精神に反する」とか色々なことを言う人いますが、現実問題としてこのような事が発生してしまった場合には、「優先順位」というものがあるのです。綺麗事ではすみません。ふるうべきナタは振るう必要があるのです。


― これはやむなし


だからといって、相手は今まで「お猫様」として散々かわいがってきた相手です。家から追いだしてしまうとか、保健所に引きとってもらうとか、そんな事はできません。ナタを振るうにしても、そこには「作法」が必要なのです。


そこで、「主君押込」です。


「暫くお慎みあるべし」なのです。


ネコ ネコ ネコ ネコ


そして、その日がやって来ました。


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直前までこんな感じで大胆に、デカイ態度で寝ていたお猫様が何の前触れもなくハザード状態に入りました。

攻撃され、足を噛まれたり引っ掻かれたりして流血。



プツーン!



お身持ち良ろしからず、暫くお慎みあるべし



ではなく。



私 「ゴルァ。何様のつもりなんじゃワリャー


我々の地域の人はキレるとこんな口調になります。
多分、嫁はこんな私を見たこと無いと思います。


当初は、「攻撃」に来ていた猫ですが、私のキレっぷりがあまりに凄まじかったんでしょう。「狩る者」としての顔が一瞬にして、「狩られる者」の怯える顔に変わっていました。

動物相手には時としてハッキリと力関係を分からせる必要があるのです。


猫 『やっべー。こいつに喧嘩売ったらアカンねやった^^;』


そんな声が聞こえたような気がしました。




そして、お猫様はは現在、ケージという名の「座敷牢」に押込られているのです。
とは言えそこは「お猫様」、ケージのサイズは私が余裕で入れるくらいの広いものをご用意させていただきました。ケージの中には元々お気に入りだった3段のキャットタワーが悠々と入るほどのサイズです。


さて、その「お猫様」。
さぞかし、「ケージから出せや」とうるさいだろうと思っていたのですが、むしろ「ここなら安心にゃ」位の落ち着きを見せています。ハザードは一切なくなり、非常にかわいい猫に戻りました。

どれくらい気に入っているかというと、「ケージの戸が開いていても出ない」程に気に入っているようです。毛並みが前よりよくなり、便秘気味だったはずが快便になりました。「逆に戸惑ってしまう」とはこのことです。


もちろん、その座敷牢からは抱っこして出してやったり、遊んでやったりしているので、「猫を押し込めて排除した」というイメージとはきっと違うと思います。「家中自由に歩き回る猫」から「ケージ飼いが中心の猫」に変わった位の感じだと思ってもらえれば良いかな・・・と思います。


我が家は、すぐ横が森で猫のたまり場になっています。なので、春先などの「シーズン」には喧嘩が絶えませんし、庭には普通に野良猫が入ってきます。ウチのお猫様は極端に「ビビリ」なので、それが不安だったのかもしれません。ケージに入ったことで「守られた」とでも考えているのでしょうかね。


ネコ ネコ ネコ ネコ


さて、最後に再び『主君押込』について。


家老ら重臣により、藩主が十分に改心して今後の行いも改まるであろうと判断された場合、藩主は「誓約書」を書いて、元の地位に復帰する。


主君押込』は決して「永久措置」では無いのです。
改善が見られればまた元の関係性に戻ることができるという制度なのです。

私が、今回の件を『君主押込』に見立てているのはそういうことでもあります。


いつかまた、猫と一緒に同じ布団で二人してお腹を出して寝られる日が来ることを信じているのです。
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