オリジナル創作⇒世の中そんなに甘くねぇ!!小説第2話~出会いと旅立ち | ミにならないブログ~ゲーマー主婦のお絵描きと子宮体癌~

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オリジナル創作⇒世の中そんなに甘くねぇ!!


小説
第2話~出会いと旅立ち


しばらく森の中をウロウロしていたら
1軒の建物を見つけた

「なんでこんな森の中にあんだ?」

そう首をかしげる神林は好奇心からその建物のほうへ
足を向けていた


建物の前につくと表札を探す
そこには【森の妖精】と書かれていた
その横には孤児院とも書かれていた

そこから飛び出してきたひとりの少年とぶつかった

「いてっ」

神林のひざにおもいっきりぶつかってきたその少年は
そのまま森へと走って行ってしまったのだ

その後ろからは施設の人が追いかけようとしていた

「あの子また自殺しようとしてるんじゃないわよね」
「だからいったんだよ、もううちでは手に負えないって」

そんな関係者の声が聞こえてきた
正義感の強い神林は何故かさっきの少年を探そうと
森へ逆戻りしていった

名前もわからない少年をただひたすら
森を走り探している
呼びかけることもできずに

「俺…何やってんだろ」

そうポツリとつぶやきながらも
さっきの少年が心配で仕方がなかった

随分奥のほうまで歩いてきた
目線の先には川が流れていた
そこで少し休憩しようと近寄ったら
さっきの少年が座っていた

「あ」

少年も驚いたようにぴくりと反応したが
施設の人ではないのでしばらく神林を睨みつけていた

「おいおい、ご挨拶だな
さっきは人にぶつかっておきながら
今度はメンチきってるってか
てかお前なんであの孤児院から出てきたんだ?
心配してんぞ、早く戻ってやれよ」

名前も知らない少年にそう諭す神林だが
実際は自分も施設を抜け出してきていることに
今は気づいていない…

少年は激しく首を振って抵抗した

「お前名前は?」

少年はまだ神林を睨みつけている

「無理に連れ帰ったりしねーから
俺別にあの孤児院の関係者じゃねーし
それに俺もちょっとした施設にいれられててさ
抜け出してきてたんだったわ
あはは」

やっと自分の立場に気づき笑う神林を見て
少年は少し心を許したのか小さく微笑んだ

「高城真心」

ぼそっと聞こえた少年の名前

「俺は神林正義、まさよしって読むんだけど
みんなからはせいぎって呼ばれてたよ
よろしくな」

見た目はチャラい感じの神林だが
しゃべるとお笑い系で癒し系なところが
高城には心の扉を開くきっかけになったらしく
突然神林にしがみついた

「お願、神林のお兄ちゃん
僕をどこかへつれてって
もうあそこには帰りたくないんだ」

そういうと神林にきつくしがみついた

「なんだ
いじめられてんのか?」

そういうと高城の頭をすりすりと撫でた

高城は大きく首を振った

「僕たちはみんな孤独なんだ
同じ環境の子供たちが集められていても
先生たちがいくら優しく接してくれていても
偽善にしか感じない
当たり前のことをやらせてあげている
だから当たり前のことをこなしていきなさい
そんな雰囲気が嫌なんだ」

神林は少し頭をかいて悩んだ

「なんだかわかんねーが
いい環境にいるんじゃねーか
お前よりもっと悪い環境の中で生きている奴らだって
たくさんいるんだぜ
それにくらべたら普通の子と同じように生きさせて
もらってるんだからありがたいと思わなきゃ
いけねーな」

少しつんけんとした態度で神林は言い放った

すると高城はまた神林を強い目力で睨みつけた

「なんだよ、お前
どーしたいんだよ」

神林は少しキレ気味で話しかけた

「僕は敷かれたレールの上にのっかて進んでいく
おもちゃじゃない
僕にだって意思はあるんだ
僕はあの院を出て一人暮らしがしたいんだ」

「ぷっ」

神林はくすっと笑った

するとまた高城の睨み攻撃にあったのは言うまでもない

「お前いくつ?」

「16」

「16でひとり暮らしって働くだけでも大変なんだぞ」

「わかってる…ダメなら死ぬだけだ」

「簡単にいってくれるな~
 でもお前の考え方嫌いじゃねーぜ」

そういうと高城を強く抱きしめた

「よし!決めた!
俺も施設を出てお前と二人暮らしだ
俺ならそこそこは働けるからよお前ひとりくらいなら
食わしていけると思う
どうだ、乗るか?」

そういうと笑顔で高城に問いかけた

高城は間髪いれずこくりとうなづいた

「よーし!決まった!
じゃあお前の施設と俺の施設の人と話つけて
くっか…簡単じゃないかもしれないけどな」

そういうと高城を連れて孤児院への道へ戻った

孤児院につくと神林はいきなり施設の人から
羽交い絞めにあった

「お前うちの子を誘拐したのか?」

「ち、ちげーよ
一連の騒ぎを見てたから俺は心配で
探してやってたんだぜ
感謝されてもいいはずなのに
なんだよこの態度!」

と羽交い絞めにしている男性職員の股間を蹴り上げた

「本当か?信用できないな
君は早くこの院から立ち去りない」

そういうとまた職員たちが神林を取り押さえた

「ちょっと待ちなさい」

奥から出てきたのは院長らしきお婆さんだった

「あなたが真心を助けてくれた人ね
うちの職員が失礼をしたみたいで
ごめんなさいね謝るわ
お礼といってはなんだけど夕飯をご馳走するわ
どうせすか?ここで食べていきませんか?」

「いや…俺その…そんなつもりで助けてわけじゃないので
それよりお礼っていうなら俺たちの話を聞いてほしいんだ」

そういうと
さっきまで真心と話していたことを包み隠さず院長に話した

院長はしばらく考え込むと両手をパンと叩いた

「いいでしょう
あなたにこの子をまかせてみるわ
その代わりあなたはあなたの施設も出ることになるのよね
ってことは連絡は1ヶ月に1度は必ず取らないといけないのよ
また少年院に入らないようにしっかり暮らしていくなら
そして定期的に私たちに連絡を入れるなら
辛いときは戻ってくるというのであれば
許可します」

神林は目を丸くして驚いていた
自分の入っている施設のことも経歴もしっていたのだから…

「ふふふ
驚いて当然よね
あなたの施設の館長さんとはお友達なのよ
あなたが入ってきた当時にあなたのことは聞かされていたわ」

そういうと院長は笑顔で真心の背中を押し神林のほうへ
向けさせた

真心は小走りで神林の足にしがみついた

「あらあら随分懐いたようね
誰にも心を開かなかったのに…
あなたならこの子を変えられるかもしれないわね
楽しみにしているわよ
落ち着いたらここにもお世話になった施設にも
ちゃんと顔を出しなさいよ」

そういうと院長は部屋へ戻っていった

神林は立ち去る院長の後ろ姿に
深々と頭を下げた


今度は自分の施設のほうを説得しなくてはいけなかった
真心をつれて自分の施設へ急いだ
もう夕暮れときもすぎ辺りは真っ暗になっていた

こちらの施設のほうの話し合いは簡単だった
大筋の内容は孤児院の院長から聞いていたようだった

「お前はいつかここを出て行く奴だと思っていたよ
守る人もできたんだし、俺は応援するよ」

そういうと尾上は優しく神林を抱きしめた

神林だけ尾上に呼ばれふたりで少し話をした
それは一緒に連れて行くことになった真心のことだ
真心はかなり心の闇を抱えており自殺願望も強く
攻撃的な部分もあるという
慎重に取り扱わないといけない人間だったのだ
それでも神林に任せた大人たち
決して無責任に押し付けたのではなく
彼ならなにかを変えられるかも…という期待からだった

その日は保護施設で大部屋ではなく
特別に2人部屋をあけてもらい神林と高城二人で寝た


明日から誰にも頼れない二人だけの生活がまっている

自由を手にできるけれど
自由だけでは生きていけない

期待と不安を抱きながらも
二人には夢があった
自分たちだけで切り開いていく未来のために!!

しかし
現実はそうそう甘くないのであった…



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2014年7月27日執筆
栗林なお