(写真はイメージです)


ある女性が離婚したあと、
東京郊外の閑静な住宅地に住み始めました。

彼女の家の裏手は、東京と思えないほど豊かな緑と、
大きな池がある公園で、静かで落ちく場所でした。

彼女はその場所がとても気に入りました。

自宅でできる仕事を持っていたので、
住む場所は彼女にとって重要だったのです。


住めば住むほどその場所にほれ込んでいきました。

家から池を眺めては、おだやかな生活を楽しみます。

鳥のさえずり、四季の移ろい。

目に見えない存在に抱かれているようなやすらぎ。



意識しないと、1週間、2週間他人と会わなくても平気でした。

全然、寂しくないのです。

その場所で、
一人で丁寧に食事をつくり、一人で散歩して、
一人で仕事をしていました。


住み始めて5年目になると、

「そろそろ再婚したら?」
周囲ではそんな声も聞こえはじめました。


「そうね、、、」とは言ったものの、

この快適な生活を本気で手放す気になれませんでした。


もちろん、それではまずいと思って、
何人かとおつきあいもしました。


でも、どういうわけか最後はうまくいかないのです。


別れる度に、池のほとりで、ほっとしている彼女がいました。
(ダメだったんだから引っ越さなくてもいいよね)


いつしか、賃貸の更新通知すら届かなくなりました。
そこにいるのは当然と言われているようで嬉しい気持ちでした。



そして、、、


あっという間に12年の月日がたちました。



さすがの彼女も、
ある男性とお付き合いをはじめました。


久々に心のときめきを感じます。


でも、どうも話がすすみません。
またトラブルの影がちらほらします。
恋の仕方をすっかり忘れてしまったようです。


同じ頃、霊視できるという人と出会い、
見てもらうことにしました。


すると、
「あなたは一人暮らしではありませんね。
水辺の妖怪があなたとずっと一緒ですよ。」
と言われてしまったのです。


彼女はゾッとしました!
全然寂しさを感じなかったのはそのせい!?


確かに、その家にいると大きな存在に守られているような気分でした。

それにしても、妖怪なんて!

このままでは一生ここに住むことになりそう。
引っ越そうかとも思いましたが、
タイミングが違うような気がして実現しませんでした。

さすがの彼女も、友人に相談したのです。


その友人が、あるカウンセラーを紹介してくれました。

フラクタル心理学という聞きなれない心理学を勉強したということでした。


喫茶店で会ってお話をすると、

そのカウンセラーは、笑い始めました。

そして、言うのです。


「大丈夫。安心してください。

水辺の妖怪の正体をお教えしますよ」



皆さん、水辺の妖怪の正体、
お分かりになりますか?

(続く)