第33話 やりぬく!
テーマ:ホークス
第33話
やりぬく!
7月2日(土)。前日から博多祇園山笠が始まった。ちなみに43年前の7月1日は、王選手が一本足打法を始めた日である。このとき王選手は、2打席目で本塁打を放った。
首位ホークスはオリックスと対戦した。初回の和田、ストライクが決まらず。いきなり1点を先制される。「セットポジションにしてからよくなった」(和田)。4回以降は安定した。同点の8回裏、バティスタが勝ち越し打を放つ。最後は馬原が締めて3-1。「和田の好投と大村のファインプレーに応えたかった」。7回表、阿部真が右中間に打った大きな打球を大村が攻守。お立ち台のバティスタはバンザイのあと、満面の笑顔で決めた。「チョー、ゴキゲン!」。ドミニカ生まれの男は暑さにも強い。
「新聞もTVも見ないで平常心でやっていく」(王監督)昨年6月以来の11連勝、40年ぶりの貯金30到達。指揮官に気負いはないが力強く宣言した。「ウチは2位に5ゲーム、いや10ゲーム差をつけるつもり」。お祭りは始まったばかりだ。遠くで小倉太鼓を叩く音が聞こえる。
7月3日(日)。4回裏。花火が打ちあがった。松中がバックスクリーンに、城島はライナー、そしてズレータの本塁打。MJZの3連発!「チョップ、チョップ!パナマ運河」ズレータのパフォーマンスも出た。5回裏、オリックスに追いつかれたあと、松中が2打席連続の3ラン本塁打。ホークス40年ぶりの12連勝。「あとは松中だけ」と王監督が言っていた松中の復調は大きい。
勝負に対する取り組み方が、「根本的」に他球団とは違うのだ。「気を引き締めてやっていきます」松中の言葉はチーム全員の気持ちを代弁している。どこにもやりぬく覚悟ができている。
孫泰蔵は名門・久留米大附設高を卒業したが、東大受験に失敗。地元福岡でバンドを結成、彼女もいる「楽しい浪人生活を送っていた」。
ある日、泰蔵は兄・正義から叱責を受けた。「このままでは負けグセがつく。世の中を斜に構え、どうせおれなんかという考えになる。それで人生嬉しいか。やりぬいてこれ以上やれないというとこまでやってみろ!」泰蔵は兄の言葉に「かちん」ときた。「おれだってできないことはない」。
上京して自炊生活。寝る時間以外は「誰とも口をきかずに徹底的に勉強した。ウツ状態になるほど」。勉強の仕方も兄から徹底的に指導を受けた。やがて全国模擬試験で2番。翌年、超難関の東大経済学部に合格した。
「じわーと涙が出てきた」やりぬいた男のみが味わうことができる感動だった。
(文中敬称略)







