GTRインプレッション2 | ハワイのバイク日記+α ~GSX1300R隼 BuellXB12SS Ducati748 WR250F~ ガレージと共に

GTRインプレッション2

いつも走り慣れている箱根界隈でGTRらしく走らせようとの試みは無惨にも打ち砕かれる事に。
スタビリティが高すぎて全然面白くありません。
パン車が多いのでパスしようとアクセルを踏みつけると4輪がブレイクしてどこかにトンでっちゃいそうな感じがするので怖くて踏めません。

やっぱり車幅が大きい事もあって狭い峠では楽しめません。
もうちょっと道幅の大きい所でなら少々挙動が乱れても安心感があるしこの車にも似合っています。

でも慣れない事もあってパドルシフトの操作は難しいです。あっという間に吹けきる1速2速では操作が追いつかずに車に怒られる事数回(笑) シフトダウンしようと左腕がセンターコンソール辺りを迷走すること数回(笑)
エンジン的には2000rpmまではモッサリした印象ですがATモードでも6速1000rpmで普通に走っているのを見ると相当トルクは出ているんでしょう。2500rpmからの暴力的なトルクと比較するので劣って感じるだけなんでしょうね。

センターコンソールには左からシフトモードスイッチと減衰力スイッチ、トラクションコントロールスイッチが3つ並んでますが、このモードの違いが大きいのも驚きました。
シフトモードをRモードにすると、シフトタイムラグがほとんど無い(ってか人間がやるより速い)シフトアップが可能です。シフトダウンのエンジンコントロールも完璧で自動で回転を合わせてくれる上ショックも全くありません。
唯一ゼロ発進時だけクラッチが繋がるのが分かるぐらいです。説明書にはクリープ現象がありますって書いてあったけどかなり弱めです。

また乗り心地も普通の車と比べれば硬いですが、同じパフォーマンスの車、私が乗った事がある車だとポルシェGT2とかフェラーリF430とかと比べればむしろ硬くありませんし、コンフォートモードにするとスカイラインクーペ並みになります。チューニングカーに乗った事のある人なら乗り心地については全く不満は出ないでしょう。

最後まで使い方が分からなかったのがトラクションコントロールスイッチでRモードにしないと、リアブレイクした時にメーターの中でチカチカインジーゲーターが光って出力を制御している事は確認出来ましたが、ケツが出て行く速度に違いはありませんでした。余り意味がないような......(笑)




メーターに関しては必要以上の情報がウザイです。エンジンを始動する度に液晶ディスプレイにエンジンオイル交換まで後何キロとかドアが開いてるとかゴチャゴチャ表示されます。
通常だと燃費計が表示されてます。燃費を気にして走る車でも無いだろうに。
それと驚いたのはオドメーターが19000キロだったのに車検証を見ると登録は7月31日。
レンタカー期間限定の筈の車が100日足らずで走りすぎのような気がする。
普段は一体何に使っているのでしょうか?




マルチファンクションディスプレーには様々な表示が可能で、横Gや縦G、更にはトランスミッションの油温や油圧まで表示出来ます。数字を見ると気になって踏めなくなる配慮でしょうか?(笑)




この車にはオプションのBOSEが搭載されてました。リアシートの座面は広いものの、足下が極端に狭いです。
前席をかなり前にスライドすれば後ろに乗れない事もないって感じでしょうか。
スカイラインクーペは短時間なら我慢出来る範囲でしたが、こちらは大人は無理です。物理的に足が入りません。




トランクは開口部はお世辞にも大きいとは言えないのですが、ランフラットタイヤを採用した恩恵でスペアタイヤが無く深さが結構あって広いです。こちらは大人でも入れますよ(笑)
ってこんな車でトランクの積載量を気にする人も居ないと思いますけど。




外に出ても排気音は勇ましいです。実際に走るとこの手の車にしては静かですけど、アイドリングでは勇ましい音してます。ご近所から苦情が出るかも。

あいにく始終ウエットで時には霧まで出てるコンディションだったのですが、普通に直線を走らせるだけなら途方もなく速い車です。RX-8と比べても速度感は半分。
R32GTRの1000馬力近いチューニングカーにも乗った事がありますが全く異質です。
R32GTRだとフルブーストにならないとトルクが出てこないのに対して、こちらは3000rpmも回っていればアクセルを踏みつけただけで猛然とダッシュします。
R32GTRが変速の度に挙動を乱すのに対して、こっちは一直線に伸びていきますので気がつくと恐ろしい速度に達しているって感じです。

でもコーナーリングは速度が出ている事もあって非常にナーバスでピーキーに感じます。
アテーサE-TSを搭載したR32GTRはドリフトしても非常に安定性が良く、それこそリアスポイラーにハエがとまれるほどゆっくり挙動が変化しますので、普通のFRよりドリフトコントロールが楽なんですが、こちらはもの凄く忙しい車です。

多分設計時に想定している速度レンジが高いのでしょうか、進入ではかなり強めにブレーキングしてもABSの介入も無くグングン速度を落とします。そこからブレーキをリリースしつつ切り込んでいっても嫌なアンダーは顔を見せずグイグイ旋回します。良い気になってそこからアクセルを踏みつけるとリアがブレークするのですが、ブレークしてから流れ出しが途轍もなく速い。更にフロントタイヤへのトルク配分がきめ細かすぎるのか、アクセルの微調整とステアリングワークを連動させるのが難しく、結局最後まで車との一体感を味わうには至りませんでした。

また、ATモードでまったりと流していた時に感じたのですが、そう言う時には快走していた時には感じなかったアンダーを感じる事が多々ありました。アレッ?曲がらない?ってドキッとします。なぜそうなるのか不明ですが、ゆっくり流している時のステアリングインフォメーションは希薄なのでこの辺りは感性とズレがあるのでしょう。

9時間で約400キロを走行して返却してから、自分のRX-8に乗るとステアリングインフォメーションの正確さとダイレクト感のあるシフトフィール等がいかに安心感に繋がっているか再確認しました。
それとは関係ないですがこれだけ爆走して平均燃費が7キロを切らなかったのは凄いです。

日産が出してきたスーパーカーは人間にもそれなりのスキルを要求する車になってました。
もちろん公道限定の話ですけど、日本の狭い峠道では正確にコントロールするのは難しいです。

R32GTRの頃からGTRは勝つ為の車だと思っていましたが、それは今も変わっていません。
つまり単独で走っては面白くない車です。でも競争しようと思えばこれほど楽に勝てる車は他に存在しません。
その分消耗品など維持費が掛かるとか、長時間の連続走行は無理とか制約はありますが、それはこの価格を考えると仕方のない部分かと思います。

誰かにどうしても勝ちたい時。この車を選択するシュチュエーションは私には来るのでしょうか?
年齢的に考えてももう無いかも知れませんね。