IBM社員40万人を3/4リストラ? | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

IBM人事本部トップ(human capital managemen)のTim Ringo氏が、7年以内に40万人を10万人にリストラすることは可能だと言った そうです。広報は否定してますが、わざとリークして世論を見てるのでしょう。

足らない人材は、プロジェクトごとに「クラウド・ソーシング」から調達するそうです。そんな事が出来れば、企業としてはリスクが極端に減りますから企業価値は高まるでしょう。会社には次の世代を担うべき幹部候補だけを残し、製造はファブレス化(工場を持たない)するのでしょう。工場現場の社員とコンサルタントが同じ労働組合で同じ就業規則という形態のひずみは必ずあります。この記事で大きな波紋がなければ実行に移す可能性はあると思います。日本のメーカはIBMの動向を見てどうするか決める事になります。プライベートクラウドの時の動きと同じです。

クラウドソーシングというのは、少し前に流行した新しい形態の雇用方式です。カタカナで書くと、クラウドコンピューティング(Cloud Computing)と区別出来ませんが、こちらは雲(Cloud)でなく群衆(Crowd)です。

必要な技能や労働力を、派遣会社などでなく群衆(Crowd)に業務委託(Sourcing)するという造語です。インターネットの普及で、需要と供給のマッチングが簡単になったため、特に専門性の高い業務についてそういう形態が出てきています。労働が流動的な米国が主流ですが、日本でも具体的な作業をネットに公開して、それを受注したい人が応募するというサイトがいくつかあります。

例えば、財団法人全国中小企業取引振興協会が主催するビジネス・マッチング・ステーション では、中小企業2万社が登録し加工作業を中心とした仕事のマッチングを行っています。

金型や精度が数字で示せる製造ならこの方式でいけるでしょうが、ソフトやコンサルは実際には無理です。というのは、コンサルやソフトには工学がないからです。システムの運用強度計算とか、BCPレベル、UIレベルなど将来的には数値化出来そうなものはありますが、今のところ出来ません。会社対会社の契約であっても、結局は人で左右されます。それにプロセスも会社によって大きく違います。設計の手法は同じ会社の中でもバラバラです。

提案書のプレゼンの条件で「受注できた時のプロジェクトマネージャが行う事」というものがありますが、これは正解です。受注するまではトップのメンバが来るのに、受注したとたんペーペーが来る会社があるためです。「釣った魚に餌をやる馬鹿はいない」という事だけではなく、受注が取れるSEは一握りしかいないという事でしょう。