今週号の「AERA」(表紙がまっちゃんですごいインパクトだ!)の特集で、『「使われ社員」が勝つ』という記事がある。うんうんとうなずきながら読んでいた。


私的な翻訳をすると、目の前に頼まれた仕事があったのなら、それが、自分のやりたいことだとか、好きなことだとか考えるひまがあったら、とりあえずやって結果を出していく。その積み上げをしていくことで、いろいろなスキルが身について、さらに自分の得手不得手や好き嫌いがわかってきて、さらにまわりからも信頼されて、どんどん次のステップに進めると言うことでしょうか。

キャリアって積み上げ方式なんだよね。


そうすると、たとえ上司がちょっと気に入らなくても、まわりにちょっといじわるな人がいても、自分対仕事、その仕事で自分はどういった成果を出すのかということに集中していれば、そんなことはどうでもよくなる。誰かや会社の愚痴を言うのではなく、自分が都合のよい環境を作りだすにはどういった作戦を立てればいいのか、ということに注力できる。


その記事の中に、哀川翔さんのコメントがあって、

「意見を言うときには角度が大事ってことだよ。どの角度がいいかっていうのは相手の話をキッチリ聞くことで分かるんだ」

おおー!すばらしい。


私も若い頃はこの「角度」がわからなくて、相手がクライアントでも、上司でも、(はたまた恋愛でもそうだったように思う)直球勝負で挑んでは撃沈していたように思う。でも、今はこの哀川さんの「相手の話をじっくり聞いて角度を見つける」という表現がすごくしっくり来る。


さて、きのう発表された2008年卒大卒求人倍率調査 (リクルートワークス研究所)では、求人総数過去最大の93.3万人、従人倍率は2.14倍と16年ぶりに2倍を超えるとある。

希望の会社に入りやすくなると、苦労せずに就職できてしまうために、逆にあまり悩まずに進路が決まり、就職した後に「リアリティショック」が起き易くなるように思う。

* リアリティショックとは、エドガーシャインによって知られるようになった考え方で、最初の仕事につく多くの人が、仕事経験について誤解や幻想をいっぱいもっているために、仕事とはどういうものかといういう夢と、実際の仕事の経験が食い違うかもしれないためにおきる、期待はずれや幻滅などを言います。


リアリティショックを起こさないためには、

①一つには、就職活動中に、自分自身の適性や基礎力をよく理解すること、

②二つめに、企業をイメージや業界で思い込まずに、「自分がそこでどんな仕事をするのか」というところまで理解して受けること、

③入ったあと3年は(AERAにある高島屋の社長の言葉を借りると「運や相性が悪くて会社と合わなかったら、転職することも一つの手段ですが3年間は我慢してほしい」

という3点が大事だと思う。


特に③について、社会に出てから思うことは、どんな仕事でも「基礎」の部分はあまり変わらなくて、それは3年ぐらいすると大体身につくように思うのだが、転職してしまうと、その力をつけないままに終る危険性がある。また、会社に入ってから、どうも違う、嫌だ・・・と思った時は、もちろん、運や相性もあるし、会社や上司のせいでもあるのだが、一方の自分の側にも、必ずなんらかの課題があるわけで、それに目を向けずにまわりのせいにしていては、いつまでたっても何も自分の中に革新はおこらない。


自分にはどういった問題があるのか。自分がどう変わればいいのか。自分がどういったスキルを身につければいいのか。


就職活動を通じて、こうしたことに意識を向けてほしいな、と思うのでした。


使われる極意―哀川職業安定所 すべては、呼ばれるために/哀川 翔
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