2007-11-17 23:23:41

成人式と振袖の無関係

テーマ:着物

成人式と振袖にはあまり因果関係が認められない。


つまり


成人式≠振袖


これは間違いない。

本日は、多少長いがあえて誤解を恐れず、このことについて書く。


成人式に振袖を着ること


「成人式に振袖を着る」という行為。

「成人式」という日本国によって法制化された未成年から成年者への通過儀礼において、それへの

女性参加者が身に纏う正装が和装だった場合、尚且つその女性が未婚である場合、振袖を着用す

ることは式典に臨む衣装として理に適っている。


ということ。ややこしいがそのような感じだ。


「成人式」成立までに


成人式はかつて地域コミュニティでそれぞれ独自に、「成年儀式」という形をとっていた。

これはムラごとに行うこともあれば、各家庭においてなされることもあり、一様ではなかった。


また成人式の成立は、昭和21年に埼玉県蕨市で開催された「成年式」がその端緒と言える。

2年後、祝日として国が「成人の日」を定めている。


歴史的には決して古いものではない。


「成人」の定義もそれまではバラバラであり、伴う成年儀式も成年とされる年代も違っていた。

元服などは男性の成年儀式であるが、これも20歳をもって行われることなどあり得なかったことである。



イベント「成人式」と経済活動の相関関係


さて、本題に戻ると「成人式に振袖」が必然性を持たないとする意見だが、疑いを持たずに

「成人式には振袖と決まっているのでしょう?」と思われる方もあろう。

しかしこれは、「決まっていませんよ。」としか答えようが無い。


例え話をひとつ。


近年、春の節分(立冬と立春の節目)である2月3日前からコンビニエンスストアやスーパー等の

店舗でよく目にするものがある。それは「太巻き」、巻き寿司の一種である。


近畿地方に伝わる風習として、節分の日にはその年の恵方(縁起の良いとされる方角、年毎に変わる)

向き、無言でこの太巻きを食べるというものがある。


近畿以外の地方では今まで聞いたことも無かったという方が大半だろう。

僕も受験で奈良に行った折、ホテルで夕食後に出された(笑)太巻きにかぶりついたのが、初めてその

習慣を知った日である。



これとよく似た展開を、皆さんは至極当然のように受け止めている。


なぜクリスマスにプレゼントが贈られるのか。


なぜ聖バレンタインデーにチョコレートを贈るのか。


よく「おもちゃ屋の陰謀」「製菓会社の陰謀」と囁かれるが、

実に、まったくもって、その通りなのである。


それらが導入される以前の文化・風習などは問題にならない。そこに経済の動きがあるから、これら

イベントは発生するのだ。いや、これらのイベントを発生させるのだ。

我々は、微かな違和感を覚えつつも、このようなイベントを受け入れている。

十字の切り方も、聖人バレンタインが何を成したかも知らず、節分を年1度の日だと思い込みながら…。


すなわち、成人式に振袖を着るという「カタチ」も経済活動のカラクリ故のものなのだ。

※もっとも、現在の成人式以前から振袖を着用する習慣のある地方は存在するので、それは広義での

  成人式を語る上では例外としたい。



「成人式に振袖を!」呉服業界を追い詰めたもの


ではそのカラクリが誰によって、いつ頃始まったか。


これはまだ調査を重ねる必要はあるのだが、成人式に振袖を着ることによって誰が得をするかという

点で、明白である。


やはり和装業界の仕組んだイベントなのだ。


高度成長期である1960年代からこのイベントは始まり、同業界は信じられないほどの利潤を得ている。


その要因を求められる。

振袖客さえ捉まえれば、その後は一定の収入源が確保されることが約束されるのだ。

こんなオイシイ話は呉服業界の中でも他に類を見ない。


もっとも現在は、嫁入り道具を持たせること自体が稀有になってきている。

嫁入り道具がプレステやらDSだったりするぐらいだ。


となれば、取り敢えずはいかにして振袖自体(袋帯等含む)を売って儲けるかの勝負になってくる。

成人式を前に彼女らの名簿は売買され、どこから仕入れたのかDMは届き、電話は鳴り、見知らぬ

呉服屋が営業にやってくる。


そんな振袖商戦の折、呉服屋が口にする「成人式に振袖をお召しになることは日本の古くからの

伝統です。」「伝統文化の継承として、振袖を提案させていただいております。」等の言葉。


100%が間違いでないにせよ、美辞麗句を連ねた単なる営業トークでしかない。

ちなみに、これをペラペラッとやっている若い兄ちゃん店員を見ると張っ倒したくなる。

まあ、彼らにすれば売り上げノルマが至上命題。

ゆっくり考え、知識を養うことも会社や上役の檄の前には消し飛んでしまうだろう。残念。


成人式での振袖を熱心に熱心に売り込んできた業界。

その販売手法は、驚くようなエピソードだらけ。

チェーン展開をする有名企業、街の呉服屋、その他呉服のジャンルに関わる人々の手によって

作りあげられてきた成人式伝説は、ある意味滑稽ともいえる業界全体の沈降を招いている。


笑えないのは小売店や流通も勿論だが、何よりメーカーである。

作っても売れないのだ。売れないものは作れないし、それよりも毎日の生活を守ることが優先される。

その向こうには「廃業」の文字がちらついている。

いざ振袖などの絹物の着物が欲しくなったとき、疲弊しながら廃業していった作り手に「復活してくれ」といってもほぼ無理な願いだ。


「成人式に振袖を!」と声を嗄らして叫んできた呉服業界。一旦その魔法が解ければ脆いものである。

どれだけ「振袖」というものを深く考え商品として提案し、有益な活用を消費者へ促さなかったか、

そのツケは確実に今、業界全体を圧迫している。



もうひとつ、思い出したついでに。

「着物は三代着られます」という決め台詞。これが幻となりつつあるが、これについてはまたいずれの

機会に。


未だに振袖振袖振袖という商売しか出来ない店には、そろそろ引退してもらうことにして、向こう

数十年に及ぶあろう、自らの身をおく呉服業界の未来を模索したい。



しかして振袖は無くなれ、ということでなし

成人年齢の引き下げ・成人式の変容・成人の意識そのものの変化などなど、呉服業界以外での

断続的な変化の波は確実に押し寄せている。

そのときに起こるのは、どこかでメーカーがまた1軒廃業するであろうこと。

表面の華やかさの向こうにある幾工程もの作業や、技術の保持があって、はじめて店頭にやって来る

商品たち。


その技に報いるのは、やはり着用することではないだろうか。


たんすの肥やしに良いですよ、と商売する者はいないと思う。

しかし、箪笥の肥やしにしないためにはこんなことが良いですよ、着て下さいねと伝えるものは少ない。


振袖は何も成人式のためにあるわけではない。

僕は、中学生のうちから着ておくことをオススメしたい。

成人式の時には決して気づかない、振袖の魅力に浸ることが出来る。





僕みたいな者の意見は、業界の片隅での愚痴かもしれない。

つぶやき程度にも世に聞こえはしないだろう。


ああ・・・。





振袖は、男も着るものだったんですよ

にほんブログ村 ファッションブログ 着物・和装へ 「着物の人が増えますように。」

木綿着物!染織こだまS  児玉健作



ひとえに、振袖が婚礼の前に準備するいわゆる「嫁入り用の着物」へと直結するツールだったことに
これにより全国で一部の伝統行事としての体裁を除き、一律の「成人式」の姿が現れる。
AD
いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)

hasunoyaさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントをする]

4 ■Re:かなり過去記事ですが

>ジュンちゃんさん

その後さらに考え方も深めていますが、概ね成人式のあり方も、
それに伴う振袖販売にも、未だに否定的な立場でおります。

自縄自縛というか、呉服屋さんが呉服屋さんであることの意義を
もっともっと考えて、伝えていくことがあると思うのですよね。

機会を見つけて、またこういった記事を書いていきますね。

3 ■かなり過去記事ですが

とても興味深い記事なので、コメントさせていただきます。

私、着物けっこう着てますし、好きでもありますが、成人式の振り袖と卒業式の袴スタイルには否定的です。
ご意見拝見し、多いに頷きました。

2 ■Re:恵方巻

>文吉さん

え、そうなんですか!?

と全国で恵方巻について語られる日が来るのかもしれません。
何事も経済の力とは文化の伝播原動力になるという例でしょうか。

しかしそのわりには誰も「花祭り」に触れませんね・・・。

1 ■恵方巻

38年前まで、京都市伏見区ではこんな風習はありませんでしたよ。

コメント投稿

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。