もしも君が迷ったなら

思いついた言葉を詩に。思いついたストーリーを小説に。


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始めに。


以前このブログで連載していた小説をただいま再編中です。

再編とか言いつつ、ほぼ書き直しているので、以前の話と全く変わってしまっています。


小説サイト【EVERBLUE 】でもアップしていますが、こちらのブログでも連載という形でアップすることにしました。


1話を携帯でも読みやすい量に分けてアップしているので、PCで読んでいる方は少ないと感じられるかもしれません。

PCの方は【EVERBLUE 】へお越しいただければ、HTML版で読む事ができます。


感想、コメント、誤字脱字指摘など随時受け付けていますので、拍手orコメント欄をご利用ください。


タイトルでサイトのページ(別窓)、数字クリックでアメブロでの記事(同窓)に飛びます。

-目次-


プロローグ    


act.1 舞い降りた天使                  


act.2 敵と味方                  


act.3 彼女の事情                    10


act.4 そして、彼女の事情                  


act.5 進行と逆行                    10  11  12


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 翼が優子を保健室へ連れてくると、気を失っている優子を見て、養護教諭は驚いた。しかし特に怪我もしていないのでホッとしてベッドを貸してくれた。
「高村、悪いけど彼女の傍に付いててやってくれる? 先生には『足が痛む』とか言ってさ」
 優子をベッドに寝かせた後、翼にそう耳打ちされ、健太は頷いた。
 案の定、教諭からは教室に戻るように言われたが、『足が痛いので休ませてください』と言うと、教諭は仕方なく休憩することを許してくれた。


 ベッドに横たわった優子は、静かな寝息を立てて眠っている。
 健太は思わず自分の拳を握った。
 もしかして自分は優子のことを何も知らないんじゃないのだろうか?
 知っているつもりだった。だけどきっと自分はほんの少ししか知らないのかもしれない。
 どうして優子が逃げ出して、しかも気を失ったのか、その心当たりさえ全く分からない。
 悔しいが、現時点では翼と変わらない。いや、もしかしたら翼に負けている。
 傍にいることしかできない。優子の心を開くこともできない。
 好きなだけじゃダメなんだと思い知らされる。
 正直、もうどうすればいいのか分からない。
 優子の中の闇は深くて、きっと自分なんかじゃ到底光を射すことすらできない。
「ハァ……」
 思わず溜息が漏れる。
 優子を見やると、穏やかな顔をして眠っていた。起きている時は、何かに怯えているような表情しかしない彼女が安らげるのは、夢の中だけなのかもしれない。
 そう思うと悔しくて堪らなくなる。どうして自分は何も出来ないのだろう? 自分には何も出来ないのだろうか?
 自然と涙が込み上げてくる。それに気づき、健太は制服の袖で涙を乱暴に拭った。
 こんな事で泣くなんて、男らしくない。
 きっと一番泣き出したいのは、優子だ。母親が亡くなった時でさえ、涙を流す姿を見ていない。どんな時も、何があっても、優子の涙を見たことがない。
 あの日、母親を亡くした日から一層固く心を閉ざしてしまった。そんな彼女をどうすれば明るく笑うようになんてできるのだろう?
 何をすればいいのか、全く分からない。
 それは途方もない事のような気がした。


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 不意に誰かに右手を掴まれ、引き寄せられる。
「捕まえた」
 頭上で声がした。抱きしめられ、身動きが取れない。
「どうして……」
 優子は小さく呟いた。
「え?」
「どうして……死なせてくれなかったの……」
 その声はあまりにも小さすぎて、か弱かった。だけど翼の耳には十分聞こえていた。
「どうして……」
 壊れたように呟く優子の頭を優しく撫でる。
「もう大丈夫だよ。大丈夫」
 その言葉にようやく優子の瞳から涙が溢れ出た。



 バタバタと足音が近づいて来ることに翼が気づく。追いかけてくるメンバーを見て、翼はようやく優子の言動の理由が分かった。
 恐らく彼女は、過去のことを思い出してしまったのだろう。
 ふと腕に重みがかかる。どうやら優子は精神的疲れから眠ってしまったようだ。
「優子!」
 一番に駆け寄ってきたのはやはり健太だった。心配そうに優子をのぞき込む健太に、翼が声をかける。
「大丈夫。気を失ってるみたいだ」
 そう言うと、ホッと安堵の溜息を漏らした。
「とりあえず彼女を保健室へ連れて行こう」
 翼はそう言うと、優子を抱き上げて保健室に向かう。それに付き添って健太も松葉杖をつきながら翼を追った。
「どうしたらいいの?」
 取り残された真由子は隣にいる由美に呟いた。
「あたしたちも行こう」
「でも……高村が……」
 真由子はそう言って、そこから動こうとしない。見かねた由美は真由子の手を取った。
「大丈夫だよ。翼くんがいるから、きっと何とかしてくれる。だから行こう」
 何でそんな言葉が出たのか由美自身もよく分からない。だけど、きっと翼なら上手く事を運んでくれる気がした。
「分かった……。行こう」
 真由子はようやく顔を上げ、保健室に向かった二人を追った。

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 二人が空き教室を出て、渡り廊下に出た時だった。目の前を何かが通過した。
「え? 優子?」
 その瞬間、翼が彼女を追いかけ始めた。健太が驚いて出遅れていると、後ろから谷沢由美と中田真由子が優子を追いかけてきた。
「あ、委員長! 木元さんはどっちに?」
 由美に話しかけられ、ようやく二人に気づく。
「あっち……ってか今翼が追いかけてったけど……」
「そう……」
「何があったんだ?」
 そう聞くと、二人はお互いの顔を見合わせて黙り込んだ。
「何だよ。黙ってたら分からないだろ? 言いたくないことか?」
 健太の問いに、由美が顔を上げる。
「委員長。後でもいい? 今は木元さんを追いかけないと……」
「あぁ、そうだな」
 上手くはぐらかされたと思ったが、とりあえず優子を追いかけて行くことにした。


「待って!」
 後ろで誰かに呼ばれた気がした。それでも優子は気づかないふりをして走り続ける。
 行く宛なんて、全くない。だけど、なぜか足は止まらない。
 どうしようもなく、怖くて堪らない。
 嫌な過去が、蓋をしたはずのあの黒い過去が、染み出てくる。
 このまま、誰も知らない、誰もいない遠いところへ行けたらどんなにいいだろう。
 視界がぼやける。
 そう、大好きだった母の元へ行けるなら、どれだけ幸せだろう。
 もうすぐ校門だ。ここを飛び出せばきっと……。


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 翌日の昼休み。健太は翼を呼び止めた。
「何?」
 笑顔でそう聞かれると、どう切り出していいのか悩む。
「話がある」
 そう短く告げ、誘導して、二人は今は誰も使っていない教室に入った。
「何? 話って」
 翼は屈託のない笑顔で尋ねてくる。
「お前は……優……木元さんのこと、どう思ってるんだ?」
 そう聞いて、健太は『しまった』と思った。あまりにも唐突に核心に触れてしまった。
 翼を見ると、やはりきょとんとしている。
(しまった……直球過ぎた)
「好きだよ」
 後悔してるとあっさり答えが返ってきた。一拍遅れて、その返事に気づく。
「え?」
「もちろん、友達としてね」
 翼はそう付け加えた。
「だけど、この先どうなるか分かんないよ。俺はまだ転校してきたばかりで、木元さんのことよく知らないし。だからもしかしたらもっと好きになるかもね」
 翼は屈託のない笑顔でそう言った。その無邪気さに殺意が湧く。
「でも何でそんなこと聞くんだ? あ、もしかして、高村って木元さんのこと……」
 そう言われた瞬間、健太はどうしようもない恥ずかしさに見舞われた。
 そりゃあれだけ直接聞けば、誰だって気づくに決まってる。自分が悪いのだが、それどころじゃない。
「ああ、そうだよ! 俺は優子のことが好きだよ! 悪いかよ!」
 半ばムキになってそう言い返すと、翼はプッと笑った。
「何だよ。笑ってんじゃねぇよ」
「ごめんごめん。あまりにも素直すぎて……」
 翼はそう言いながらも笑っている。なんだかやっぱり恥ずかしくなって、顔が真っ赤になったことに自分でも気づいた。
「でもさ、そのことどうして本人に言わないの?」
 一頻り笑った後、翼がそう突っ込んでくる。そりゃ言いたい。言ってすっきりしたい。
「言えるわけねぇよ。まだあいつには……」
「まだ? 何かあるのか?」
 言葉の端を捕らえられ、健太は口をつぐんだ。
「おーい。高村ぁ?」
 黙り込んだ健太の目の前に、翼の顔が現れる。
「お前には関係ねぇよ」
「何だよそれー。呼び出しといてそれはないだろ」
 翼の言い分はもっともなのだが、これ以上情報をこいつに漏らしてたまるかという気持ちの方が遙かに勝っている。
「まぁ話したくないなら、それでいいんだけどさ。……これだけは言っておくよ」
 そう言いながら、翼は健太に向き直った。
「俺はお前の味方でもあるから」
「は?」
 突然の脈略のない台詞に健太は思わず顔をしかめた。
 だけどその真っ直ぐな瞳に、瞬間身動きが取れなくなる。
「俺は高村とも友達になりたいんだよ」
 そう言って翼は笑う。
「お前は既に大勢の友達がいるだろ」
 ついこの前転校してきたとは思えないほど、翼の周りにはいつもたくさんの人がいる。
「うん。だけど、俺は高村とも友達になりたいんだ」
 その真っ直ぐな言葉に、健太はどう返せばいいのか、分からなくなる。
「ダメかな?」
 まるで子犬のような目で見られては、突き放すことなんてできない。
「……友達は言葉で作るもんじゃねぇよ」
 そう言うと、翼は笑った。
「あぁ、そうだな」


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