もしも君が迷ったなら

思いついた言葉を詩に。思いついたストーリーを小説に。


テーマ:

連載していた『for my dear』を小説サイトEVER BLUE でHTMLにまとめてアップしています。

是非覗いてみてくださいm(._.*)m

 

プロローグ

 

ACT 1 a quirk of fate  (1~15)

 

ACT 2 close to you  (16~24)

ACT3 a bride of June  (25~38)

ACT4 Recollection  (39~48) 


ACT 5 the truth of the fourth year  (49~60)


エピローグ



無事連載終了しました。読んでくださった皆さん、ありがとうございました<(_ _)>


次回の連載は未定です。また思いつきでやっちゃうかも。。。w

AD
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
最近の画像つき記事  もっと見る >>

テーマ:

父はしばらく墓の前に佇んでいた。莉緒たちは父を残してその場を去った。父もきっと母と二人で話したいだろうと思ったからだ。
駐車場で父を待つ間、莉緒はただ夕日に染まる空を見つめていた。
「はい。」
目の前に突然缶コーヒーを差し出され、莉緒は現実世界へ引き戻された。
「ありがと。」
爽一郎から受け取り、缶を開けて一口飲む。冷えた体が少しだけ温まる。
「やっぱり許せない?」
聞かれ、莉緒は少し考えた。
「分かんない。」
莉緒の思いがけない返答に、爽一郎は驚き、顔を覗き込んだ。
「分からないって?」
「本当は許してるのかもしれない。……けどやっぱり、ちゃんと顔を見て話をしたくない。嫌な感情が出てきそうで……。」
「そっか。」
爽一郎は莉緒の頭を優しく叩いた。
「莉緒。」
いつの間にか父が戻ってきていた。
「爽一郎くん。莉緒を頼んだよ。……何て私が言えた義理じゃないが。」
寂しそうに微笑む父に、莉緒は胸が痛んだ。
「お父さん。」
莉緒に呼ばれ、父は顔を上げた。
「あたし、まだお父さんのこと、許せないと思う。あの時お父さんが戻ってきてくれたら、お母さん一人であんなにがんばらなくてもよかったと思うし。この先、お父さんのことを許せるかどうかなんて分からない。」
莉緒の言葉を真摯に受け止める。
「あぁ。覚悟はできてるよ。」
「よく言うよ。ヘタレのくせに。」
莉緒の毒に、爽一郎も父も驚く。
「許せないかもしれないけど……たまには顔を見せに行くよ。爽一郎と一緒に。」
莉緒は照れたように、顔を背けたが、それでも父は嬉しそうに笑った。


父を送り届けた後の車内。莉緒と爽一郎は運転手付の車で新婚旅行に行くため空港へ向かった。
これから先、思いがけない困難があったとしても、きっと二人で乗り越えていける。
そんな確信が二人の中にあった。今までがそうだったように。
二人は手を繋いだ。きっと誰にも解けない二人の絆のように、固く、強く。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

そして結婚式の日。花嫁の父が居ないので、入場の際は爽一郎の会社の人が代わりを務めることになっていた。
爽一郎はやきもきしていた。時計と睨めっこする。


数日前、爽一郎は莉緒に内緒で莉緒の父に会っていた。
招待状を渡すと、困惑した表情をした。
「私が行っても、莉緒は喜んではくれないよ。」
「でも莉緒の父親は貴方しかいないんですよ。」
爽一郎の言葉に、少し動揺したようだった。
「お待ちしています。」
返事はもらえないまま、爽一郎はその場を去った。


「兄さん、莉緒の準備できたよ。」
真由が呼びに来る。真由と共に莉緒の控え室に向かった。


ノックをして控え室に入った爽一郎は、莉緒に目を奪われた。純白のドレスに身を包んだ莉緒は今までよりも数倍綺麗に見えた。
「どう……かな?」
莉緒は照れながら尋ねた。
「綺麗……だよ。」
そう言うと莉緒は照れたように俯いた。
「そろそろ準備お願いします。」
呼びに来られ、二人は教会へ向かった。


莉緒は教会の外で待機していた。
「莉緒!」
呼ばれ、振り返るとそこに父が立っていた。莉緒は驚き入っていた。
「ど……して。」
言葉をやっと吐き出す。
「どうしてここにいるの?」
何だか怒りが込み上げてくる。
「爽一郎に呼ばれたの?」
答えようとしない父にそう問うと、ゆっくりと頷いた。莉緒は溜息をついた。爽一郎なりに父と仲直りして欲しいのだろうが、やっぱり許せないものは許せない。
「莉緒さん。もうすぐ入場ですよ。」
父の代理をする予定だった人が耳打ちする。莉緒はどうするか悩んだ。
「一生に一度のことなんですから、やっぱり本当のお父さんにここに立ってもらいましょう。」
その男性は莉緒の隣を父に譲った。
「あ……。」
莉緒が何か言おうとするが、男性は「では。」と去って行ってしまった。
「もうそろそろ入場します。」
スタッフに声をかけられる。莉緒は仕方なく、父の腕を組んだ。
「今回だけ、許してあげる。」
莉緒は前を向いたままそう言った。父が微笑んだのは、莉緒には見えていなかった。


扉が開き、入場する。爽一郎は隣に莉緒の父が居るのを見て、ホッと胸を撫で下ろした。
爽一郎の隣に来た莉緒は少しだけ爽一郎を睨んだが、爽一郎は笑顔でかわした。


式は滞りなく行われた。


祝福のライスシャワーを浴びながら、二人が教会から出てくる。莉緒は後ろを向いて花束を投げた。見事ゲットしたのは、修二郎だった。
「次の花嫁は兄貴かぁ。」
真由が意地悪く笑う。
「えー。俺が花嫁なのー?ダーリンは誰?」
真由の嫌味を物ともせずに切り返す。
「加藤くん。」
真由が間髪入れずに答えると、修二郎は身悶えた。加藤とは修二郎の悪友で、修二郎はヤツが苦手だった。
「ぜってーやだ。」
「冗談に決まってるじゃない。」
顔面蒼白になる修二郎に冷たく言い放つ。
「莉緒、幸せそう。」
真由は最高の笑顔を見せる莉緒を見て心から嬉しく思った。
「でもまだ問題はあるみたいだな。」
修二郎は隅の方にいる莉緒の父を見つけた。
「前途多難?」
「そうでもなさそうだけどな。」


服に着替え、莉緒は支度を済ませた。
「莉緒。入ってもいい?」
爽一郎の声がしたので、どうぞ、と返事をする。ドアが開き、同じく服に着替えた爽一郎が現れる。
「行こうか。」
「うん。」
二人は桐谷の本家の皆と共に車に乗り込んだ。


車が向かった先は、墓場だった。ここに明子が眠る。
「ここが……。」
父はやっと再会できた妻の墓を見つめ、ただそれだけ呟いた。
「お母さん、今日式挙げたよ。父さんも来てくれたんだ。」
莉緒の言葉に父は顔を上げ、莉緒を見つめた。莉緒はその視線に気づかぬフリをした。
「お母さんが居なくて残念だよ。」
莉緒の言葉に、一同胸が締め付けられる思いがした。
「莉緒を幸せにします。」
突然の爽一郎の言葉に莉緒は驚いたが、すぐに嬉しさが込み上げてきた。
二人は見つめ合い、微笑んだ。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

「話し合いはどうだったの?」
仕事から帰ってきた爽一郎に一番に問われる。莉緒は上手く言えないので、黙り込んでしまった。
「上手くいかなかった?」
莉緒はコクンと頷いた。
「話、ちゃんと聞いたけど。やっぱり許せない。」
「そっか。」
爽一郎は莉緒の頭をポンポンと軽く叩いた。今にも泣き出しそうな莉緒の肩を爽一郎は優しく抱き寄せた。
しばらくして思い出したように話題を変える。
「話変わるけどさ。結婚式どうする?」
「どうするって?」
「和式と洋式とどっちがいい?」
「どっちかって言うと……洋式。」
急に式の話をされ、莉緒は妙に緊張する。
「OK。そろそろ日程とか式場とか決めないとな。」
「爽一郎。」
「ん?」
「式っていつでもいいの?」
「うーん。大丈夫だと思うけど。やりたい日とかあるの?」
その問いに、こくんと頷く。
「十一月十二日。お母さんが亡くなった日。」
莉緒の気持ちを汲み、爽一郎は頷いた。
「分かった。まだ六月だし、仕事とか都合もどうにか付けられると思う。」
「ごめんね。ワガママ言って。」
「あはは。それはワガママには入らないよ。」
爽一郎は相変わらず柔らかく笑った。


二人は少しずつ結婚式の準備を始めた。
莉緒はやはり父を招待することはなかった。爽一郎はそのことに気づいたが、何も言えずにいた。


籍は式の前日に入れることにした。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

莉緒は母の日記を握り締め、自分の部屋に戻った。爽一郎が持って来てくれたメモを探す。捨てようと思いつつもなかなか捨てられなかったメモ。机の端にあるのを見つけ、住所と電話番号を見る。住所は以前自分たちが住んでいた家の近くだった。いつから住んでいるのかは分からないが、結局自分たちの近くに居たんだと気づく。
携帯電話を取り上げた莉緒は、時計を確認する。そろそろ夕方に差し掛かる。もしちゃんと職にきちんと就いているならば、大体仕事が終わる時間でもある。少し躊躇ったが、ダイヤルをプッシュする。
数秒の間が開き、呼び出し音が響く。番号からして自宅と思われるので、もしかするとまだ家に帰っていない可能性が高い。
しばらくコールしたが、まったく出る気配がないので、電話を切ろうと携帯電話を耳から少し話した瞬間、コール音が途切れる。
『もしもし?』
父の声が聞こえ、慌てて携帯電話を耳に当てる。
「お父さん?」
『莉緒?莉緒なのか?』
まさか本当に電話がかかってくるとは思わなかったので、父は相当驚いていた。
「うん。あのね、話したいんだ。お父さんの都合のいい日でいいから、教えてくれる?」
『ちょ、ちょっと待ってな。』
「うん。」
父が受話器をそこに置き、がさごそしている音が聞こえる。出勤日の確認でもしているのだろうか?
『も、もしもし。えーっと……明日の昼間だったら大丈夫だよ。』
「分かった。じゃあ何時にする?」
『それじゃあ十二時に。』
「分かった。」
待ち合わせ場所を決め、莉緒は電話を切った。


その夜、仕事から帰ってきた爽一郎に父と会うことを話した。
「大丈夫?俺、一緒に行こうか?」
「心配しなくても大丈夫だよ。この間みたいに逃げたりしないから。」
莉緒は持っていた母の日記を爽一郎に見せた。
「お母さんの気持ち、やっと分かったから。お父さんもあたしたちのこと、捨てたわけじゃないって分かった。だからちゃんと話してみようと思ったの。」
「そっか。」
爽一郎は優しく微笑んだ。



莉緒は少しだけ早めに家を出た。待ち合わせの喫茶店に着いたのは待ち合わせ時間の30分前だった。
父が来る間、莉緒は父が居なくなったあの日から今までのことを思い出していた。あの日を境に生活が一変した。だが、そのおかげで爽一郎にも出会えた。何て皮肉なんだろう。
そんなことを考えていると、いつの間にか待ち合わせ時刻になっていた。ちょうど顔を上げたときに店に入ってきたのは父だった。
「待たせたね。」
莉緒は父の言葉に首を振った。父は目の前の席に座る。
「この間はごめんなさい。逃げちゃって。」
「いや。突然行った父さんも悪いし。それくらいの覚悟はしていたから。」
父は弱々しく笑った。4年しか経っていないはずなのに、随分と老けた気がする。
「仕事は?ちゃんと見つかったの?」
「あぁ。今工場で働いてる。」
「そう。」
莉緒はコーヒーを口に含んだ。父もやって来たウェイトレスにコーヒーを注文する。
「随分、綺麗になったね。」
久しぶりに会う娘をまじまじと見、過ぎ去った年月を実感する。
「どうしてあの日、家を出たの?」
どうしてもそれが引っかかる。母が離婚を許さなかったのになぜ?
「ずっと家を出ようとは思っていたんだ。母さんと莉緒を巻き込みたくなかったから、離婚をしようと思っていたからね。」
「お母さんはそれを許さなかった。」
「そう。」
莉緒の言葉に頷く。やっと来たコーヒーを一口すする。
「母さんは絶対に許そうとはしなかった。だから家を出るって言う強行手段に出たんだ。きっと呆れるだろうと思ってね。だけど送りつけた離婚届を母さんは破り捨てたって言ってた。」
それは嘘だと莉緒には分かった。莉緒を守る最後の手段として、大切に置いていたのを実際に見ている。だが父には告げなかった。
「どうして戻ってこなかったの?」
莉緒は飽くまで冷静を装った。震え出しそうな声を押し殺し、気丈に振舞った。
「何度も戻ろうと思ったよ。だけど、勇気がなかったんだ。母さんや莉緒はきっと迎えてくれるとは思ったが、どんな顔をして会えばいいのか分からなくて……。ずるずると後に延ばしているうちに、連絡が取れなくなってしまったんだ。」
莉緒たちが桐谷家へ引っ越したからだろう。父も母も携帯電話を持っていなかったので、連絡手段がなかったのかもしれない。
「せめてもの償いに、仕事が見つかってからは母さんの口座にお金を振り込んでた。それが借金の返済に充ててもらえたらと思ってね。」
莉緒はそう聞いても、納得ができなかった。以前と同じ町にいたのだ。探そうと思えばいくらでも探せたはずなのに。
「ニュースを聞いて驚いたよ。桐谷の長男と婚約してたのが莉緒だったとはね。」
少し嬉しそうに話す父が、許せなくなった。それでも気持ちを落ち着けて深呼吸する。
「あと一つだけ聞くわ。あの借金は本当に父さんがギャンブルで作ったものだったの?」
その質問には少し答えにくそうだった。
「あ、あぁ。そうだよ。」
その答えを聞き、莉緒は我慢していたものを吐き出した。
「もう二度と会わない。金輪際、あたしの目の前に現れないで。」
莉緒はそう言うと千円札を机の上に置き、店を出た。


父が何か言おうとしたのに気づいたが、莉緒は無視をした。
もう話すことはない。話したくもない。
ヘタレなのは知っていたが、あそこまでとは思わなかった。いくら母が愛した人でもやはり許せない。
莉緒は早足で歩いた。少しだけ期待した自分がバカだった。
溢れてくる涙を服の袖でぬぐいながら、莉緒は家へ帰った。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。