- 「自己啓発病」社会(祥伝社新書263)/宮崎 学
- ¥798
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この本は、自己啓発から日本社会の在り様を見据えた本です。
2000年以降の地方社会の不景気や派遣労働による企業社会の解体により日本人は、地域や会社の繋がりから切り離されバラバラの分子になりました。そして、それは小泉ブームの大衆的熱狂の中で、「自己責任」として受け入れられました。
『1980年代の「自己開発」ブームは、社会の自信にあふれた全能感にあおられたものだった。2000年代の「自己啓発」ブームは社会の不安な無力感から逃れるためにすがったものだったのではないか。』
望んで一分子になった手前、宗教という繋がりにすがるわけにもいかない我々は、自己啓発によって心理的安定を得ようとしたのでしょうか。
そんな現代の自己啓発の核心的キーワードとして著者は、「自助」という言葉を取り上げます。この言葉は、スマイルズという人が書いた「自助論」という本によって広まりました。この本の読者がアマゾンに投稿した感想文には、次のように書かれています。
「自助=自分を助ける すなわち、自分を成功させる、自分を成長させ自分の人生を豊かなものにするには、内的コントロール(自分)から変えていく事が大事であることを教えてくれる本です。」
著者は、このような『「努力」を礼賛・奨励するだけの嫌味な本』として自助論を読む人達を、
「自己本位の成功」に酔った読者たち
と呼び、蔑んでいます。その後の章でスマイルズの自助論を詳細に分析し、スマイルズの真意を明らかにします。
『自助によってもたらさられる成功が、いかにして「利他」に結びつくか、連帯と共助をもたらすかを説いた本だったのである』
そして、この本の最後には、自己啓発病社会に対する解毒剤としてスマイルズの自助すら乗り越える著者流の自助概念を提案しています。これが妥当か否かは、読者によって意見が分かれると思います。しかし、根強い「自己責任論」に基づく自助の精神の呪縛から逃れるためにも一読をお薦めします。
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