ニーチェの闘い

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ドイツの哲学者ニーチェの名著『善悪の彼岸』には、次のような高名な一説が読まれます。

「道徳的現象などというものは、全く存在しない。ただ現象の道徳的解釈のみが成立する」

 

これを敷衍化すると、現代社会の倫理的な諸問題についての話にもなるのですが、元々は、人間が道徳的または非道徳的と「解釈」するその根本には「善悪」といったフィルターがあるといっています。「善悪」とは、民族、国家、宗教などで多様であり、相対的なものとして存在します。それによって現象を解釈すると、不和や衝突を生み出すものとなりかねない。そのため「善悪」の「彼岸」つまりそれを超えた次元に行き着くことの必要性があるとしました。しかしその明確な「彼岸」を指し示すことが出来ない場合、善悪の価値の相対化に陥り、浅薄な伝統否定やニヒリズム(虚無主義)になってしまいます。

そういった事態をイエスや釈迦は「救済」と称して、または「真理」として我々に示したのだとも言えます。ニーチェの生きた時代は、キリスト教的道徳的価値観の時代ですが、そこから離れ、彷徨するかのごとく新たな「彼岸」を探求しようとするニーチェの「挑戦状」とも言える名著『善悪の彼岸』。その後の彼の歩みを辿れば辿るほど、彼の「功績」とも言うべき、スリリングな論理が嬉々として、現代人たる我々に突き刺さります。その後のニーチェについてはまたの機会に。

最後にフランスの哲学者ジル・ドゥルーズの名言に曰く、「ニーチェを読むと邪な事をしたくなる」。木南

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