AJCNが慰安婦合意についてのレポートを発表しました。慰安婦合意賛成の方々と話していて、もやもやしていたのが、これを読めばすっきりです。

AJCN Sydney
慰安婦日韓合意:肯定派の「肉を切らせて骨を絶つ」論について

何が「肉」で何が「骨」か?

今回の日韓合意を擁護する方々の論はタイトルにある「肉を切らせて骨を絶つ」論に基づくものがほとんどです。一言でいえば「韓国に対してあえて大幅な譲歩をしながら、(肉を切らせて)韓国の反日を永久に封じ込める(骨を断つ)」ということだと思います。

AJCNは今まで発表した2本のレポートでこの論議とは本質的に異なる角度から論じていますが、あえてこの論を使って違いを明確にすると、以下の様になります。

1.立論のスコープ 

  • 擁護派は日本対韓国(+米)、AJCNは日本対世界
  • 擁護派は(日韓+米)政治重視、AJCNは国際世論重視


2.何が肉で何が骨か

1)擁護派
:10億円、お詫びのことば(軍の関与、政府としての責任)
:二度と蒸し返さないとの韓国政府の約束、政府レベルで日本を本件がらみで非難することを抑制、ソウル大使館前の慰安婦像撤去

2)AJCNの見方(韓国サイドも同様と考える)
:日韓合意の内容(二度と蒸し返さないとの現政権の約束、政府レベルで日本を本件がらみで非難することを抑制、ソウル大使館前の慰安婦像撤去への努力、韓国国内の合意反対勢力の説得。
1000年日本民族に謝罪させ続けることができる朝鮮民族の絶対正義、そのお墨付きを世界から獲得すること。


つまり擁護派が「肉」と思っているお詫びの言葉の中に、韓国側が「骨」と考えているものがある、ということです。

韓国は国際的に認知されなかった「統合臨時政府」の3.1運動を起点に歴史を記述、憲法の中でこの臨時政府を大韓民国の正当性の拠り所とし、反日運動が国の起点だとばかりに反日教育にいそしんでいます。韓国の自民族優位主義に基づく反日思想と日本蔑視は、日韓併合による近代化および、自力で独立できなかったことへの鬱憤の反映であることは言うまでもありませんが、もっと根本で韓国人の意識の深層を形成しているのは、韓国に古くからある中華主義と華夷秩序の世界観です。自らを「小中華主義」の継承者とみて、日本人を低級で劣った非文明人と心の底で思っている、思いたいのです。

このような国にとって、日本軍、日本政府が組織的に女性を虐待したことを現日本政府が認め、世界で認知される歴史上の事実となることは、韓国の絶対正義を獲得することであり、これが韓国側が断ち切りたい日本側の真の「骨」です。今回の合意で、日本政府は自らの骨を断って韓国に差し出したのです。

蒸し返し禁止、国連での非難禁止などは政権が変われば平気で破棄するし、大使館前の慰安婦像の移動など、ウイーン条約違反であるにも拘わらず、民間設置を理由に実行しないでしょう。この意味で10億は無駄金です。

今韓国国内外で慰安婦像を設置すべく運動しているのは民間団体であり、個人の集合体です。彼らに対する資金供給も裏から続けるでしょうから、今後もこれらの反日運動の実態は変わらないでしょう。それを実行する韓国人も反日教育によって続々と養成され、海外にも反日度が高い若い世代が押し出されています。

今回の合意が米国での調印が噂されている2016年3月までに、韓国側から破棄される可能性もかなりあります。その場合であっても今回の合意を受けて世界に拡散された、「日本政府が幼い少女を拉致して性奴隷にしたことを正式に認めたとする認識」は固定されたままです。AJCNは既出のレポート で、外務省が発表した英文では、そのように解釈されることを防げないと指摘しました。

日本政府がこれを否定する説明をしないかぎり、いくら民間団体、個人が反証しようとも説得力がありません。各国のメディアの報道は各国国民世論の基礎を作ります。今のままでは明らかに日本、及び日本人に対する汚名が「確固たる事実」となり、教科書にも記載されて、将来の世代に引き継がれるでしょう。

政府の反証、否定の説明なしに、民間だけでこの情報戦を戦うことは困難です。一度刷り込まれ、感情を伴った認識を変えるには大変な労力がいります。

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