入院していた病院を抜け出し、
家に帰りたいとわがままをいう祖父に
母がブチ切れるのでは…と見守っていたが
母は、あっさりとした感じでこういった。
私と祖父はてっきり反対するかと
思っていたので
「え?まだ完治してないのに
退院していいの?」
と拍子抜けしてしまった。
母は「病院にいたら、
そりゃあ食事もちゃんとしてくれてるし
看護婦さんとか誰かが必ず
いるからいいけどさ…
病院抜け出して
一人で歩いてギャンブルいけるぐらい
良くなってて元気なんだからさー
別に、退院してもよくない?
退院出来ないか聞いてみるわ。
だからとりあえず今日は病院行こう。」
祖父は「うん。」とうなづいた。
母は、何も考えてなさそうだが
祖父の気持ちをわかっていた。
病気を完治させる方が先だろうっ!
と正直、しょうもない理由だと
私は思ってしまったが……
祖父にとっては、楽しみの一つで
ギャンブルが本当に
大好きなことだったのだ。
祖父からすれば病気や入院によって
楽しみを奪われている感覚
だったのかもしれない。
そして、母や祖母が病院に
祖父の退院について相談した。
病院を退院してから祖父は、
病気を祖父なりに気遣いながら
毎日自分の好きなことをしていた。
しばらく母からは何も言われず、
祖父のところに行かなかったので
私は、てっきり祖父の胃潰瘍はもう
だいぶ良くなっていっているものだと
思い込んでいた。
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