道のり

　千駄ヶ谷の駅前からバスで西麻布二丁目までの道のりには特別な思い入れがある、そのバスの路線に何があるかと言えば、もう4年前になるが初めてのフィニッシュの仕事で『電車でGO』のポスターを担当するにあたりその打ち合わせ先に行くために使うのが千駄ヶ谷～西麻布二丁目の路線なのだ。

　その後もCD『ちょんまげ天国』などでもこの路線だ、昨日も新たにCDジャケットの発注をもらい打ち合わせに向かうため千駄ヶ谷からバスに乗った。

　バスに乗ってしばらく当時の記憶が蘇る、、、、期待と不安を抱きながら窓の外を流れる風景を見ていた、、、、、。

　風景を眺めながら当時の自分と対峙する。

　ただただ夢中で描いた、、、余裕も無く、、、あらゆる要素があの二度と出来ない、自分の絵でありながら自分の絵でない様なあのジャケットを生んだ。

　映画や漫画、音楽などあらゆるジャンルでも作り手の経験や技術がそのまま成功に反映されるとは限らない。

　それはわかるのだが作り手としては当時とは違う、いまの自分が最良だと思う。

　良い物にしなければ、、、、勝ち負けが付く物ではないけれど今の自分4年分の経験を生かさなければ。

　千駄ヶ谷～西麻布二丁目、、、、、これからもこの区間は俺にとっては作品と同じくらい思いで深く、自分と向かい合える不思議な場所。