田園発 港行き自転車

宮本輝 集英社 2015年3月


田園発 港行き自転車 (上)/宮本 輝
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田園発 港行き自転車 (下)/宮本 輝
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絵本作家として活躍する賀川真帆。真帆の父は十五年前、「出張で九州に行く」と言い置いたまま、富山で病死を遂げていた。父はなぜ家族に内緒で、何のゆか りもないはずの富山へ向かったのか―。長年のわだかまりを胸に、真帆は富山へ足を向ける。富山・京都・東京、三都市の家族の運命が交錯する物語。

東京の暮らしに疲れ、仕事を辞めて、故郷の富山に帰ってきた脇田千春。実家でふさぎ込んでいたが、親戚の中学生・夏目佑樹と触れ合ううち、自分らしさを取 り戻していく。父のいない子として生まれた佑樹は、不思議な懐の深さを持つ青年へと成長していて―。富山・京都・東京、三都市の家族の運命が交錯する物 語。

絵本作家の賀川真帆、東京から富山に帰ってきた 脇田千春、そして京都の・・・・・・

さまざまな人が織り成す群像劇。

許されない関係から、生まれたつながりもある。一方の人たちは、傷つき悲しい思いをしたことだろう。しかし、そこから生まれた幸せというものもある。決して許されない行為であったにしても、月日の流れは、その人たちを結び付けていく。いったい、どの方向へ向かうのか。


都会ではうまくいかなかった千春が、地元に帰ってきて、自分を取り戻していく様子等、よかった。

佑樹は屈託のないいい子に育っているなあと思う。


人のつながりのぬくもりを感じさせる物語だった。
最後の場面は秀逸。その後を想像させる。


お気に入り度★★★★