いつか陽のあたる場所で

乃南アサ 新潮社 2007年8月

いつか陽のあたる場所で/乃南 アサ
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いつか陽のあたる場所で (新潮文庫)/乃南 アサ
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ご近所の噂話にビクリとし、警官の姿を見てはドキリとする。ワケあって下町は谷中で新生活を始めた芭子と綾香。二人に降りかかる霧はいつの日か晴れるのだろうか。

下町は谷中で新生活を始めた芭子と綾香は、過去を隠しておきたい事情がある。2人は、過去がばれてしまわないかとひっそりと暮らしている。その暮らしぶりは、まじめだ。

人と関わらないようにと過去を隠して生きている芭子にそんなにビクビクしていなくていいんだよと言ってあげたいが、もし、過去がわかったら、まわりの反応が予想できるので、不安な気持ちになるのも事実だ。

芭子は、いつも明るくパン職人になるという将来への夢も持つ綾香がうらやましかった。しかし、早朝にこっそりと、パン屋で綾香の現実の姿をみてしまった芭 子は、いつもとは違う綾香のことを知る。今まで支えてもらってばかりいた綾香を今度は自分が支えなくてはと、心を入れ替える。その芭子の成長が
よい。

芭子の家族の態度は、冷たい。自分たちの身を守ることだけを考えている。それって、とても悲しいことなのに、それを受け入れようと決めた芭子。つらかっただろうな。

支え合っている芭子と綾香を見守っていきたい。


「ボクの町」「駆けこみ交番 」の高木聖大巡査も登場。何か懐かしかった。

お気に入り度★★★★