プリズム


百田尚樹 幻冬舎 2011年10月

プリズム/百田 尚樹
¥1,575
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「僕は、実際には存在しない男なんです」世田谷に古い洋館を構えるある家に、家庭教師として通うことになった聡子。ある日、聡子の前に、屋敷の離れに住む 謎の青年が現れる。青年はときに攻撃的で荒々しい言葉を吐き、ときに女たらしのように馴れ馴れしくキスを迫り、ときに男らしく紳士的に振る舞った。激しく 変化する青年の態度に困惑しながらも、聡子はいつして彼に惹かれていく。しかし彼の哀しい秘密を知った聡子は、結ばれざる運命に翻弄され―。



この青年のことについて、わかりにくい症状であるにかかわらず、噛み砕いた説明があるので、すんなり受け入れられる。


青年が、なぜこのような状態になったのか、それは、青年の過去の出来事が大きく影響していることを知り、とてもつらかっただろうなとやりきれない気持ちになった。


自分の知らないところで、記憶のない行動を起こしている時がある。こんな記憶のない時があるというのは、とても不安だろう。


この青年に感情移入した。逆に、聡子には、共感できなかった。聡子の視点で書かれているので、聡子の恋愛物語なのだろうが、この青年の物語の中に聡子という存在が現れたという印象でこの物語を読んだ。




お気に入り度★★★