暗い日曜日


朔立木 角川書店 2006年1月


絵描きの梶井舜が、愛人であり絵の共同製作者津島七緒を殺したということで逮捕された。彼の奥さんより依頼があり、リンメイ先生こと川井倫明弁護士が、梶井舜に会うが・・・・・・・


「死亡推定時刻」に登場したリンメイ先生の活躍を描く。彼は、「ひとのこことのわかる弁護士」。お金儲けでなく、親身になって動いてくれる弁護士としてこの作品でも温かみを感じた。


捜査書類は、何も知らなくても、何もしゃべらなくても、作られていく。フィクションができていくのだ。「死亡推定時刻」でも感じたことだが、事実とは関係なく、進んでいくことにおそろしいさを感じた。


題名の「暗い日曜日」から、内容が想像できた部分もあったので、事件自体は、たいした驚きもなかった。けれど、事件にかかわった人たちや、その家族、また、リンメイ先生や、その家族らのいろいろな思いが読み取れた点ではとてもよかった。

お気に入り度★★★★