本「サブマリン」

テーマ:
サブマリン
 
伊坂幸太郎 講談社 2016年

 

サブマリンサブマリン
1,620円
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「武 藤、別におまえが頑張ったところで、事件が起きる時は起きるし、起きないなら起きない。そうだろ? いつもの仕事と一緒だ。俺たちの頑張りとは無関係に、少年は更生するし、駄目な時は駄目だ」/「でも」/うるせえなあ、と言いたげに陣内さんが顔をしかめ た。/「だいたい陣内さん、頑張ってる時ってあるんですか?」/と僕は言ったが電車の走行音が激しくなったせいか、聞こえていないようだった。(本文よ り)

 

『チルドレン』から、12年。家裁調査官・陣内と武藤が出会う、新たな「少年」たちと、罪と罰の物語。
 
「チルドレン」既読だが、このブログに感想が書かれていない。それほど、前の作品なのか。
そうか、12年か・・・・・・・・・・
 
陣内は、強烈なキャラなので、よく覚えている。
いつもめちゃくちゃなことを言っているのに、たまにとてもいいことを言う。
はた迷惑極まりない人物だけど、憎めない。
温かい心の持ち主なのだ。
この陣内と武藤との会話が面白かった。
 
今回は、交通事故の謎に迫る。
少年犯罪のについての罪と罰について。
 
重いテーマだけど、軽妙なやり取りの中で、話が進んでいくので、それほど暗くならずにすんだ。
 
 
お気に入り度★★★★★
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映画「ザ・ウォーク」

テーマ:

ザ・ウォーク

 

監督: ロバート・ゼメキス

 出演: ジョセフ・ゴードン=レヴィット, ベン・キングズレー, シャルロット・ルボン, ジェームズ・バッジ・デール

2015年

 

 

 

 

 

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキス監督による実話ドラマ。ワールドトレードセンターの地上411mの高さを舞台に命懸けの綱渡りに挑んだプティの無謀な挑戦を描く。

 

 

 

フィリップが、綱渡りに興味を持った理由や、なぜ、ニューヨーク、ワールド・トレードセンターのツインタワーの屋上の間にワイヤーを架けて歩くことを思いついたのか。

そして、実行に移すまでの過程が丁寧に描かれていて、よくわかった。

 

綱渡りを実行する前に計画がわかってしまったら止められてしまうから、人に見つからないように、そして、命がかかっているから、安全面では、細心の注意を払い、協力者を得て、着々と準備が進んでいく。

 

犯罪なんだろうけど、自分の夢の挑戦のために計画を練って進んでいく姿はすばらしいと思った。

 

そして、実行した時のフィリップの姿、結果はわかっていても、ドキドキした。

フィリップの背筋を伸ばして歩く姿は、堂々としていたな。

 

そのツインタワーが、今はないと思うと、寂しくなった。

 

お気に入り度★★★★

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本「アンマーとぼくら」

テーマ:
アンマーとぼくら
 
有川 浩 講談社 2016年7月
 

 

 

 
休暇で沖縄に帰ってきたリョウは、親孝行のため「おかあさん」と3日間島内を観光する。一人目の「お母さん」はリョウが子どもの頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。観光を続けるうち、リョウは何かがおかしいことに気がつく。かりゆし58の名曲「アンマ―」に着想を得た、書き下ろし感動長編。
 
32歳のリョウが、沖縄で観光ガイドをするおかあさんに案内してもらって、3日間沖縄を一緒に観光するうち、昔のことが思い出される。
現代と過去が交互に語られていくが、どこな不思議な世界に行ってしまったような感覚を覚えた。
 
お父さんはほんと、子どもで、困った人だな。
アンマーというのは沖縄で母親のこと。ぼくらというのは、ぼくと父親のことなのかな。
 
楽しい思い出ばかりではない。つらい出来事もあったけれど、一人目の「お母さん」も二人目の「おかあさん」もリョウのことを深く愛していたのだと思う。
 
家族愛を描いた、あたたかいお話だった。
 
沖縄の観光名所が出てきて、ちょっとした旅行気分を味わった。そして、その場所を訪れてみたくなった。
 
お気に入り度★★★★
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ストロベリーライフ

 

荻原浩 毎日新聞出版 2016年9月

 

 

直木賞受賞第一作の最新長編小説。
明日への元気がわいてくる人生応援小説!

農業なんてかっこ悪い。と思っていたはずだった。
イチゴ農家を継げと迫る母親。猛反対の妻。
志半ばのデザイナーの仕事はどうする!?
夢を諦めるか。実家を捨てるか。
恵介36歳、いま、人生の岐路に立つ!

デビューより20年、新直木賞作家がたどりついた〈日本の家族〉の明るい未来図。
懐かしい笑顔あふれる傑作感動長編。

 

 

父が倒れたというので、郷里に戻る恵介。

 

やむにやまれず・・・・・ということはある。

農業を継ぐと決めたわけではなくても、頼んであった苗を植えるまではここにいようとか。

 

また、独立した仕事、フリーのデザイナーの仕事が忙しかったなら、

農業にかまっていられなかったかも・・・・・

 

農業の方に風が吹いていたのかも。

 

妻の美月と子どもの銀河は、東京に帰り、別々の暮らしが始まる。

 

恵介は、農業を継ぐのか?夫婦仲は?

 

 

恵介は、いつしか、イチゴ栽培に魅力を感じるようになる。

農業のことを勉強し、昔ながらの方法を踏まえたうえで、日本の農業を変えるとまではいかなくても、自分なりの道を見出していく。

 

消費者の反応が見えるというのは、生産者にとって、喜びも大きいのだろう。

 

恵介の作ったイチゴ、おいしそうだった。 富士山をバックに望月農園 でイチゴ食べたい。

 

今までの仕事を辞めて農業に専念というわけではなさそうだが、恵介なりのこれからの道が開けたことはよかったと思う。

美月と銀河との関係もうまくいきそうでよかった!

 

イチゴ作りのノウハウが詳しく書かれている。時間をかけて取材されたのだろうな。

 

お気に入り度★★★★

ザ・クリミナル 合衆国の陰謀

 

監督: ロッド・ルーリー

 出演: ケイト・ベッキンセール, アラン・アルダ, マット・ディロン, ヴェラ・ファーミガ, アンジェラ・バセット

2007年

 

 

 

 

 

大統領暗殺未遂事件をめぐる陰謀を描くサスペンス。ジャーナリストのレイチェルはあるルートから情報を入手し、大統領暗殺計画に関わるCIAスパイの身元を暴露する記事を書いた。政府への情報提供を求められる彼女はその申し出を頑なに拒むが…。

 

 

ジャーナリストのレイチェルの書いた記事の情報提供者は誰なのか?

レイチェルは政府から情報提供を求められるが、ジャーナリストとして権利を守るために口を閉ざしたため、 拘置所に入れられてしまう。

 

政府対女性ジャーナリスとの闘い。

必要に圧力をかけてくる。

悪いことをしたわけでもないのに、何か月も拘置所に拘束される。

そのことにより、最初は協力的だった夫にも変化が・・・・・

夫や子供と離れ離れに暮らさなければならなくなり、家庭も崩壊へと・・・・・・

なんと理不尽なことだろう。

 

誰が情報提供者なのかというサスペンスというより、

ジャーナリストが権利を守る戦いといった濃厚な人間ドラマだ。

 

レイチェルの心の葛藤がよくあらわされていたと思う。

 

お気に入り度★★★★

本「みかづき」

テーマ:

みかづき

 

森絵都 集英社 2016年9月

 

 

みかづきみかづき
1,998円
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昭和36年。小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。ベビーブームと経済成長を背景に、塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲い―。山あり谷あり涙あり。昭和~平成の塾業界を舞台に、三世代にわたって奮闘を続ける家族の感動巨編!

 

 

 

小学校用務員だった吾郎を説得し、千明は塾を始める。その当時は、塾は懐疑的な存在だった。
それが、時代とともに、塾の数も増え、塾の競争がおきる。
そして、千明が始めた塾は、わからないところを教える塾から、進学塾へと変貌を遂げる。
 
それに伴い千明と吾郎の仲もあやうくなっていく。
 
塾の変遷、文部省との関係の変化、教育に対する考え方等、多くの問題が語られている。
 
千明、吾郎の考え方の違い、その娘たち、三人三様の考え方・・・・・・・
ずっと、塾とかかわりを持っていた人たちばかりではない。
 
回り道をたくさんした。
それでも、教育の場に戻ってきたように思う。
 
孫の一郎。教育とは、かけ離れた場所にいた彼が、自らが気づき、始めたこと。
現代の問題点を提示している。
それを応援しようとする家族の人たちの姿がよかった。
 

 

<どんな子であれ、親がすべきことは一つよ。
人生は生きる価値があるってことを自分の人生をもって教えるだけ>
<一緒になるなら、ほどよく鈍感でおおらかな男を選びなさい>

千明の母、頼子の助言は、他にもあったが、的をえていると思う。

 

 

信念をもって、行動していても、思うようにいかないことは多くあるだろう。時代とともに、考え方が、変わることもあるだろう。

紆余曲折を繰り返しながら、周りの人の手助けを得て、前に進んでいくものではないだろうか。

 

 

 
お気に入り度★★★★★

日本のいちばん長い日

 

 監督: 原田眞人

出演

役所広司 本木雅弘 松坂桃李 堤真一 山﨑努 神野三鈴 蓮佛美沙子 大場泰正
小松和重 中村育二 山路和弘 金内喜久夫 鴨川てんし 久保酎吉 奥田達士 嵐芳三郎
井之上隆志 矢島健一 木場勝己 中嶋しゅう 麿赤兒 戸塚祥太(A.B.C-Z)
田中美央 関口晴雄 田島俊弥 茂山茂 植本潤 宮本裕子 戸田恵梨香(特別出演)
キムラ緑子 野間口徹 池坊由紀 松山ケンイチ(特別出演)

 

2015年
 

 

 

 

『クライマーズ・ハイ』の原田眞人監督が、半藤一利の同名小説を映画化。1945年7月、連合国は日本にポツダム宣言受諾を要求。降伏か、本土決戦か…。玉音放送をめぐる政府首脳の動きと終戦反対派の青年将校たちのクーデター計画が明かされる。

 

 

 

 

 

 

8月15日、終戦の日。

その裏側で、こんなドラマが展開されていたとは!

 

 

 

昭和天皇の苦渋の決断。それは、日本を守るため。

終戦に向けて奔走した鈴木総理。

 

青年将校・畑中健二の起こしたクーデターは、それは、熱い熱い日本への思いがあったからこそ。

その胸の内を理解しているからこそ、中に入って板挟みとなった 陸軍大臣・阿南惟幾 。彼の行動の重みを感じた。

 

 

誰もが、日本を愛し、日本のためを思っての行動だったのだ。

史実に基づいた濃厚な映画だと思う。

 

 

お気に入り度★★★★★

本「城崎裁判」

テーマ:

城崎裁判

 

著者:万城目学
編集:BACH
装丁:長嶋りかこ
発売日:2014年9月18日
価格:1,700円税込
 
 
小説家万城目学が城崎に滞在し、志賀直哉の足跡を追体験して書かれた書き下ろし新作。志賀直哉が、城の崎にて」の中で投石によって死なせてしまったイモリへの “殺しの罪” と、小説家の創作の源泉を探る温泉奇譚。
 
──これは本当に本なのか。そう、これは本なのだ。こんな妙ちきりんな小説を書いた物好きはどこのどいつだ。そう、私だ! などと、ひとりニヤニヤしてしまうような、不思議でたのしい一冊を作る仕事にかかわれたことを、とても光栄に思います。城崎にしかない、世界に二つとない本です。ぜひ、お湯につかって読んでください。ただし、表紙がタオルだからって、そのまま身体は洗わないでくださいね。 万城目学
 
 
 
 
「本と温泉」http://books-onsen.com/という企画のもと作られた本。城崎限定発売
 
城崎文芸館 万城目学企画展 にて購入した本です。
ブックカバーが、タオル地。こんな本、他に見たことない。
 
 
作家が城崎温泉に湯治に出かけた話。
志賀直哉の足跡を追体験し、温泉につかっていると、イモリに遭遇する。
 
といったふうに、温泉の露天風呂に入るたびに、不思議な生き物に出会うという、奇妙なお話。
 
城崎の温泉に最近行ったばかりの私にとって、あの温泉だと、その光景が、ありありと目に浮かんできて、親近感を感じることができた。
 
作家は、どんな罪に問われたのか?裁判の被告になった作家の運命は?
 
ユーモアがあり、最後の落ちには、にんまり。
 
お気に入り度★★★★
 

天晴れアヒルバス

 

山本幸久 実業之日本社 2016年9月

 

 

 

アヒルバスのバスガイドになって12年、いつしかベテランになった高松秀子(デコ)。恋も仕事も充実…のはずが、後輩に追い抜かれっぱなしの日々。外国人向けオタクツアーのガイドを担当するが、最悪の通訳ガイド・本多光太のおかげでトラブル続発。デコは乗客に、そして自分にも幸せを運ぶことができるのか―!?アラサーのデコにもとうとう春が来る!?

 

 

ある日、アヒルバス の続編。高松秀子は、いつのまにかアラサーになっていた。

 

今では、バスガイドだけでなく、後輩に気を配ったり、問題ある社員の教育をしたり、企画を考えたりといろんな仕事を任されている。

 

後輩たちが、立派に成長したり、結婚していったりして、ずっと、仕事を続ける自分に、なんで?という思いはあるものの、お客さんの笑顔を見ると悩みなんて吹っ飛んでしまうデコなのだ。

 

デコこそ、バスガイドが天性なんだろうな。

お客さんのために頑張っている彼女の姿は素敵だ。

 

今回は、外人向けのツアーで、通訳の本多のいい加減な行動に客もまわりもいらだっているのを一緒に組んだデコが、どのような行動に出るのかが、みもの。

 

 

デコの存在が、まわりを明るくし、問題を解決の方にむけて進んでいる。

 

 

いろんなツアーがあって、参加したいなあ。

 

お気に入り度★★★★

本「よっつ屋根の下」

テーマ:

よっつ屋根の下

 
大崎梢 光文社 2016年8月

 

よっつ屋根の下よっつ屋根の下
1,404円
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勤め先の大病院の不祥事隠蔽を批判し、犬吠の地方病院に飛ばされた父。製薬会社に関係の深い実家を気にして、父についていこうとしない母。都会暮らしが好きなのに、父をひとりにできなくて、ついていったぼく。お母さんを責めないで!と言いながら、密かに自分を責めていた妹。たとえ自分は離れても、いつまでもそこにあってほしい、ぼくたちの「家」。それは、わがままだろうか。家族でいるのが大変な時代の、親子四人の物語。
 
 
 
父の行動は、正しかったのかもしれないが、勤めていた病院から、地方へ飛ばされる。
 
正義感の強い父の行動は、立派だと思う、しかし、そのことで、家族がバラバラになってしまったことでは、心を痛めたことだろう。
 
父と一緒に来たぼく。都会では、塾へ通い、ぼくには、進学の道が開けていたはず。
それを捨て、父を一人にできないとついてきたぼくはけなげだと思う。
ぼくが、友達ができ、この土地に慣れていく過程を描いたこの章が一番よかった。
 
母は、都会にとどまる。父と一緒に、どうして来なかったのか?と、この母に対して、悪い印象だった。しかし、彼女には彼女の事情があったのだと少し、見方が変わった。
 
母と残った妹。小さかったから、自分で判断ができず、母の意見に従った。大きくなってから、それでよかったのかと、ずっと自問を繰り返していた。
 
家族4人がそれぞれ、違った道を進む。
よっつ屋根の下という題名は、一つ屋根の下で、一緒に暮らさない家族ということだろう。
 
 
 
別々に過ごした時間は、その人にとって自分を見つめなおす時間だったに違いない。自立した四人。今まで、苦労を重ねた分、これから、いい関係を築いていけたらいいなと思う。
 
この物語を読んで、一つ屋根の下で、一緒に暮らさない家族というのもあるのだと思った。
 
お気に入り度★★★