反射 | 続・きょうのできごと

反射

「てぶくろを買いに」という絵本がある。
雪が太陽を反射して輝くさまを初めて見た子狐は、
そのあまりの眩しさに、眼に何か刺さったのかと思い、母狐に懇願する。

“眼に何か刺さった、ぬいて頂戴”






山が、粉砂糖をまいたようにまだらに白く染まっている。
息をするだけで鼻の奥が痛くなるほどに空気は冷たい。


雪がちらつく誰もいない公園。
紫色の傘を差して、私はずっと待っていた。

少し経って九歳の私が現れた。緑色の一輪車を抱えている。
「こんにちは」私がそう声をかけると
「こんにちは」と返しつつも怪訝な顔をされた。



雲間をぬって、太陽が少し溶け始めた雪の表面を反射する。
心臓に何かが刺さった。
ぬいて頂戴とも言えない眩しさ。