第2回短編小説カーニバル(1)

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どうも、はむばねです。
というわけで、超今更ながら第2回短編小説カーニバル の感想だよ!
投票の締め切りまであと10日なので、まだ読んでない方は急いで読んでね!
え、お前が言うなって?
正論過ぎてぐうの音も出ないな!
でもまぁほら、最初から読む気がある人は私の感想なんて読まなくて読んでくれるわけじゃないですか?
「ちょっと乗り遅れた感があるし、今から読むのもなぁ……」とか思ってる、あるいは「読もうと思ってたけど忘れてた」人が、この記事を読んで改めて読む気になってくれる可能性もあると思うの。
と、自分への言い訳も完了したところで早速感想行ってみよう。
なお、作者さんの名前は敬称略とさせていただきます。
あと、いつも通りちらほらネタバレが混ざっている可能性がありますのでご注意ください。


○朝起きたら私の左手がエッチな漫画を描いていた件(著:櫻龍・七海真咲 絵:武田みか)
まず、一言言っておきたい。
本日(いつも通りに)2chのまとめサイトとかを読んでいると、こんなレスがあったんです。
>例えば俺に1万年の時間が与えられて「2010年の日本で起こりうる事件を思いつくだけ列挙し続けろ」って言われたら
>その中に「育児放棄のシングルマザーが子供を部屋に閉じ込めて死なせた」とか、「NHKの解説委員が局内で首吊り」とかは多分たくさん考えてりゃそのうち思い浮かぶと思うんだ
>でも「高校生が「助けて。アミーゴ」と叫んで死亡」ってのは1万年考えても1億年考えても出てこないと思う

私は今、この小説に同じ思いを抱いている。
そりゃもう1万年も考え続ければ、「女子高生がチェーンソーを持った不死身の男と戦う」とか、「桜の舞う季節に、昔住んでいた街で出会った少女たちと過ごす」とかは(内容はともかくとして設定は)思い付くと思うんだ。
でも、なかなか「左手が別の人と入れ替わってエロ漫画を描いてる」とは思いつかないよね。

しかもこんなタイトルで更に内容もほとんどタイトルが表している通りのくせに、話自体は物凄く爽やかときたもんだ。
いやもう、ホントに爽やか。
なんで(基本的には)エロ漫画描いてるだけなのにこんなに爽やかなんだ。
特にラストの爽やかさは、さわやか3組もかくやという程ですよ。
いや、さわやか3組って実際には見たことないから知らんけど。

やはり青太さんが割と爽やかだからかな?
今回は珠恵さん視点であんまり青太さん(本体)は出てこないわけですが、青太さんも十分に主役を張れる器ですよね。
夢のために頑張る(でも報われていない)男の人とか、王道ですし。
ていうか、なんか「大人な男性」という感じ。
ストーリー的には一応途中でヘタれるわけですが、ヘタれ方もなんか大人。
感情に任せるわけじゃなくて、冷静に分析した上での「決断」なんですよね。
それゆえに、セリフにも重みがある。
個人的には、そんな青太さんの包容力に包まれる珠恵さん的なお話も読んでみたいところです。

ちなみに作中での創作論は、作者さん自身の経験に裏打ちされたものなんですかね?
なんとなく本作にもそれが適用されている気がします。
特に、短編に関するところ。
今回にしても、ほぼ完璧に二人(と、エロ漫画)にだけフォーカスを当てた構成で、それゆえにこのページ数でも二人のやりとりが十分に描かれ、ラストに説得力が生まれてるんですよね。
私も、短編を書くことがあれば参考にするよ!

ただ一つ、純粋に疑問なんですが。
そりゃ確かに「エロ漫画にもストーリーを求めたい」という人もいるのでしょうけれど、それとは別に「エロ漫画はエロければそれでいい」っていう層は存在しないんですかね?
まぁ今回の場合それが青太さんの希望にそぐわないことは明らかなので、もしかすると編集さんからそういう方向も打診された上でのこの展開なのかもしれませんが。
それとも、やっぱりエロ漫画でも最低限の「面白さ」は必要なものなの?
教えてエロい人!(正しい意味で)



○俺とお嬢様のショートコント(著:遭川遭 絵:浅羽清香)
今回も、まず一言言っておこう。
櫻坂さんがかわいすぎてヤバい。
霞月君もかっけぇ。
あと尾上さんもかわいいよ!
帆影さんもかわいいよ!
すまねぇ遭川先生、私は冷静に小説の内容だけを評価できる自信がないよ……
というわけで、プレビューコミックを読み終えた時点で間を置き、一旦心を落ち着けてから本文に入った。

で、本文を読み終わって。
再び冷静さを失った私であった。
これはヤバい。
面白い。
というか、美しい。
要塞都市を読んだ時の私の感想に「本来この作品を語る上で、たぶん最も褒めるべきところはそういう構成とか完成度とか? そういうところだとは思う」という言葉がありますが、それはこの作品においても同じというか、むしろよりそのレベルが上がってます。
短編だからこそ、むしろ如実に表れたというべきか。
これからこの作品を読む方に是非とも言いたい。
是非とも、最後まで読んでくれ。
最後まで読んで、初めて(改めて?)この作品は一つの作品として完成するんだと思いました。
なんというかホントにね、全てのピースが意味を持ってるというか、「美しい」というのが私の少ない語彙から選べる最も適切な表現です。
ホントはそこについてあと数十行ほど語りたいわけなのですが、ネタバレするわけにもいかない都合上こんな曖昧な表現ばっかり羅列してても仕方ないので内容について触れていきたいと思います。

さてさて、そんなわけで。
タイトルを読んだ時点では「あぁ、主人公とお嬢様のショートコントのような日常を描くんだな」と思っていたんですが、ホントにショートコントやるのかよw
いやまぁでも、私の最初の認識もそれはそれで間違ってはいなかったかな。
上記のような前提で読んだため要塞都市のニャルムとのやりとりのようなものを期待して読み始めたわけなのですが、何ら裏切られることはなかった。
むしろ、そこを抽出して濃縮した感じ?
「た……例えた」とか、クソワロタw

しかし、全体になんとなく日野氏の時を思いだす作品でしたねぇ。
まず、文章の詰まり具合とかw
でもって、にも関わらず引きこむ力とかね。
私はある程度文章が詰まってるのを見るとセリフ以外流し読み気味になるという作家にあるまじき文盲なのですが、普通に細かいところまで全部読んでしまいましたものね。
おかげで、読み終わるのにめっちゃ時間かかりましたがw
しかし、それをまるで後悔させない。
あと、「頑張る女の子のために頑張る男の子」ってところも同じテイストかな?
少なくとも日野氏の作品が好きな方なら、楽しめるんじゃないですかねー。

さて最後にもう一度言っておきますが、これは是非とも最後まで読んでいただきたい作品です。
私の中で、最初の評価から中盤でやや落ち、それすらも手の中だと知った終盤で鰻上りになった感じですからね。
まぁラストはもしかすると好みが分かれるところではあるかもしれないのですが、個人的にはあれが最高です。

いやぁ、しかしまぁあれだね。
中盤の審査会のところでは、色々なものを思いだして私自身『人間が死ぬ直前に分泌すると言われる特有のそういうアレ』が出そうになったね!




○ぎよタン ~恋せよギロチン乙女(著:大渡鴉 絵:葉月翼)
『俺とお嬢様のショートコント』がグイグイ後ろを押される面白さだとすれば、こちらは前方に引っ張られる感じの面白さでした。
終始、すっげー続きが気になった。
であるがゆえに、これはこれで上とはまた違った意味でラストまで読んでほしい作品かな?
なんつーか正直印象操作されていた感が拭えないというか、事前情報まで含めて騙された感がある。
なんだろうねこの感覚、と思ったらあれか。
これは、ゼノギアスでシタン先生がいつ裏切るのかいつ裏切るのかとハラハラしながらプレイしていた時のあの気持ちに近いのかもしれない。
あるいは、コードギアスでやられセリフを吐きまくる朝比奈さんを見守る時の気持ちでも可。

作品の雰囲気も、それに拍車をかけていると思うのですよね。
なんというか、自然に馴染みこんでる狂気というか。
ほとんど現実世界と変わらない中で、「死刑執行官」がアイドルという明らかにそこだけ浮いた設定。
むしろ、他が浮いていないからこそそこがより浮き彫りになっているというか。
主人公だけがそれをおかしいと思ってるから、尚更ですよね。
なんつうか、ただの日常、ごく普通の学生生活を描いているだけでも仄かな狂気が伝わってくる感じ?
なんだったかなー、これも似たような感覚をなんかで覚えた気がするんですけどねー。
『沙耶の唄』かな?
それもちょっと違う気がしますが……

まぁとにもかくにも、そうであるがゆえにあのラストが生きているのだと思います。
でもこれは、ラストというよりも『プロローグの終わり』みたいな印象かな?
正直なところ、『俺とお嬢様のショートコント』はそれ一本で完璧にまとまっていて、そうであるがゆえに「あぁいいお話でした」と終わってしまう感があったりするのですが。
こちらは、「ほぅほぅ、それでそれで?」と彼らの続きの物語をもっと読みたくなる感じです。

あと、最後にこれだけは言っておく必要がある。
殺子さんかわいいよ殺子さん!
よし、3本目にしてようやくお決まりのセリフが言えた。
なんというか事前の予想に反してというか、個人的にはこの作品が一番萌え成分が高かった気がしますねー。
ヤンデレの魅力に取りつかれそうになったわ。
加えて、いっこー君も非常によろしいですね。
なんというか、自分では覚悟を決めたつもりでもいざとなればてんでダメ、とかテラリアル。
それでも最後であの選択ができるからこそ、彼は主人公なのだなぁ。



○銀の人形姫と犯罪王の弟 -推理パズル創作学園-(著:朱鴉更紗 絵:華師)
プレビューコミックのワクワク感がパねぇwwww
というわけで、プレビューから含めてこちらも前から引っ張ってくれる面白さですね。
まぁ、変則とはいえ推理ものなので当たり前っちゃ当たり前かな?
でもってこれも……というかこれは、あからさまに連載に向けて放ってきた形……なのかな?
なんというか本チャンはあからさまに残ってるし、事件は割とあっさりで、今回はキャラの顔見せ的な印象。
まさに、『第一話』って感じでしたね。

事件のトリックにしても、今後はもっと複雑になっていくのでしょうか?
私はミステリとか全然読まないのですが、ミステリ好き的にはどんな感じなんでしょうね?
というか、この作品の売りはミステリそのものではなく「それを肝とした世界観」なのかもしれませんね。
今後どうなっていくかはともかく、現状の「被害者のいないミステリ」っていうのは結構斬新なのかな?
純粋に推理だけを楽しむことができるというか。
それゆえに、作品全体に悲壮感が漂わないのはいいですね。
推理モノって、やっぱり人が死んだりとかしてどうしても鬱々としがちですからね。
「犯罪王」なんて二つ名が、普通に支持されているのもその世界観ゆえですね。
今まで犯罪者を主人公というか「良い者」サイドにするとせいぜい義賊のような形にするしかなかったと思うのですが、これなら犯罪上は殺人犯でもOK。
うん、そう考えると上手い世界設定ですね。

その上で、役者もなかなか癖のある人たちを用意してきてますねー。
しかしそれゆえに、今の所主人公の活躍する姿があんまり想像できないw
というか話の特性上、この話ってどう収束させるんだろうなー。
そのあたりも含めて、連載時には期待、ってところでしょうか。



前回同様長くなったので、続きはまた明日。
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